「Bestiario」は,2024年にKickstarterでクラウドファンディングを実施し,5500人以上のバッカーから目標金額の4.7倍に及ぶ資金を集めるなど,スペインを中心に注目を集めてきた作品だ。舞台となるのは,謎のパンデミックが収束した後の現代スペイン。人々の記憶から消えかけていた古い伝承の妖怪や神話上の生物たちが現実世界に出現し,各地で人々の暮らしを脅かす怪異現象(Disruption)を引き起こしているという設定だ。
主人公のアクシスは,超自然的な謎を解明し,人々を守るために立ち上がったハンター集団の一員だ。どこにでもいそうな普通の青年だが,背中にはギターを背負っている。戦闘ではこのギターを武器や触媒のように使い,超自然的な力に立ち向かうという,一風変わった主人公である。
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今回のデモでは,人語を話す犬のリリスや勝気な女性のヴィアナなど,変わった経歴や能力を持つ仲間たちも登場した。本作では,太陽の光が降り注ぐアストゥリアスの丘陵地帯をはじめ,スペイン各地を旅しながら,そこで巻き起こる事件や怪異の裏に隠された大きな陰謀に立ち向かっていく。
タイトルの「Bestiario(寓話集・獣書)」が示すとおり,作中にはスペイン各地の伝承に由来する怪異たちが敵として多数登場する。片手に10本の指を持つ巨人のオハンカノ(Ojancano)や,罪によって変貌した半ワニ半蝶のココロコナ(Cocollona),天候を操る大蛇タラスカ(Tarasca)など,一般的な西洋ファンタジーとは一線を画す伝承の数々が,本作独特の世界観を形作っている。
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開発を率いるWiggin Industriesのディレクター,ロバート・アギラール(Robert Aguilar)氏は,もともと位置情報アプリ「Pandemy Z」で実績を積んでいたものの,新型コロナウイルス感染症の影響で運用を断念。そこで仲間たちと新たに開発を始めたのが,この「Bestiario」というわけだ。
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開発チームが本作のジャンルとして掲げる「ÑRPG(エニェRPG)」は,スペイン語を象徴する文字「Ñ(エニェ)」を冠したものだ。「JRPG」の優れた仕組みを取り入れ,スペイン独自の文化や伝承と融合させようという試みである。
ゲームシステム面では「ペルソナ」シリーズに影響を受けたソーシャルシムやカレンダーシステムを採用しており,メインストーリーを進めるかたわら,街の探索やサイドクエスト,伝統的なカードゲーム「チンチョン(Chinchón)」といったミニゲームを楽しみつつ,仲間との絆を深めていく作りだ。
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バトルには,「グランディア」シリーズに影響を受けたタイムゲージ方式のアクティブなターン制戦闘を採用している。行動順を意識したタイムライン上の駆け引きやキャラクターカスタマイズなど,往年のJRPGを思わせる手応えのある戦術性が印象的だ。
各キャラクターのターンになるとフィールド上を自由に移動でき,複数の敵をまとめて攻撃できる範囲攻撃スキルも豊富に用意されている。そのため,敵をいかに一直線上に並べて攻撃するかも重要な戦術になる。実際,犬のリリスは首からチェーンを伸ばし,2体以上の敵を1か所に集める能力を持っており,サポート役として活用できた。
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日本語が堪能なアギラール氏をはじめ,チーム内には日本での生活経験が長く,サブカルチャー全般に深い知見を持つメンバーが在籍している。現代世界と魔法が融合したアーバンファンタジーの世界観も,初代PlayStation世代の「ファイナルファンタジー」を連想させる。さらに,日本のゲーム業界で長年実績を重ねてきた大堀康祐氏らをメンターに迎え,助言を受けているとのことで,表面的なオマージュにとどまらず,JRPGの開発プロセスや構造に対する深い理解がチームに根付いている印象を受けた。
そんな「Bestiario」の想定プレイ時間は30時間以上とされ,2027年のリリースに向けて開発が進められている。今回のデモでは,自動翻訳ながら日本語化が進められていることも紹介された。PCのほか,Nintendo Switch,PlayStation,XBOXなどのコンシューマ機向けにも展開する予定だという。日本の王道ターン制RPGへのリスペクトと,スペインの豊かな文化が凝縮された「ÑRPG」がどのような完成度を迎えるのか,今後の展開に注目していきたいところである。
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