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ASUSのデュアルR9 290Xカード「ARES III」レビュー。液冷専用の第3世代ARESはR9 295X2と何が違うのか
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印刷2014/09/16 00:00

レビュー

ARES最新作となる液冷専用モデルはR9 295X2と何が違うのか

R.O.G. ARESIII-8GD5

Text by 宮崎真一


ARESIII-8GD5
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店) info@tekwind.co.jp
予想実売価格:23万円前後(※2014年9月下旬〜10月上旬発売予定)
Republic of Gamers
 ASUSTeK Computer(以下,ASUS)は,ゲーマー向け製品ブランド「R.O.G.」(Republic of Gamers)で,以前から,独自デザインのデュアルGPUカードを投入し続けてきた。Radeon搭載モデルには「ARES」,GeForce搭載モデルには「MARS」の名を与え,いずれも「Limited Edition. Unlimited Power.」(限定版,無限の力)という統一されたタグライン(≒キャッチコピー)で展開しているため,一度は見聞きしたことがあるという読者も多いのではなかろうか。
 今回取り上げる「ARESIII-8GD5」(以下,ARES III)は,その名のとおり,第3世代のデュアルRadeonカードだ。「Radeon R9 290X」(以下,R9 290X)を2基搭載し,世界市場全体で500枚が限定出荷される予定となっている。日本では9月下旬から10月上旬にかけて,23万円前後の価格で発売になる見込みである。

 4Gamerでは,国内にも限られた数が流通するとされるARES IIIの,シリアルナンバー「11」が打たれたモデルを入手できた。そこで今回は,AMD純正のデュアルR9 290Xカード「Radeon R9 295X2」(以下,R9 295X2)とは何が違うのかを,テストによって明らかにしてみたいと思う。


EKWB製液冷ブロック搭載の液冷専用1スロット仕様

補助電源コネクタは8ピン×3


 冒頭で示した製品写真を見てすぐ分かった人も多いだろうが,ARESIII-8GD5は,ARESシリーズとMARSシリーズを通じて初の液冷用ブロック搭載モデルだ。ARESシリーズの従来製品である「ARES2-6GD5」は簡易液冷クーラーと3スロット仕様が採用された空冷クーラーのハイブリッドモデルだったので,それと比べると,1スロット仕様を実現したARES IIIは非常にスマートだといえるだろう。

ARES IIIは,基板の部品面が液冷用ブロックで,背面は補強板兼放熱板でそれぞれ覆われている。そのため,シングルスロット仕様の割に,ずっしりとした重みがある
Republic of Gamers Republic of Gamers

 ARESシリーズの伝統(?)として,ARES IIIは内箱がアタッシュケースとなっているのだが,その大きさ自体も,ARES2-6GD5のそれと比べると明らかに小さくなっている。

製品ボックスの中には比較的小振りなアタッシュケースが用意される。そして,ARES IIIは付属品ともども,その中に収められている
Republic of Gamers Republic of Gamers
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 この液冷用ブロックは,PC用液冷クーラーメーカーとしてよく知られたスロベニアのEKWB製。製品ボックスに付属するフィッティング(※配管部品)もEKWB製で,ASUSが推奨する液冷ユニットもEKWB製の「EK-KIT-L360」と「EK-KIT-X360」だ。

Republic of Gamers
EKWBというメーカー名は聞いたことがなくても,ブランド名である「EK Water Blocks」と聞けば「ああ」と思う人も多いのではなかろうか。液冷ブロックには,シリアルナンバーと並んでEKWBのロゴも見える
Republic of Gamers
製品ボックスの同梱品は,液冷関連の部材を除くと,電源ケーブルとステッカー,ロゴ入りキーホルダー,アタッシュケースのカギ,ドライバCD-ROM,マニュアルに,AMDの「Never Settle Forever」キャンペーン参加票となる

Republic of Gamers
Republic of Gamers
 カード長は実測304mm(※突起部含まず)なので,同306mmのR9 295X2とほぼ同サイズと紹介してしまって問題ないだろう。ただし基板は,マザーボードに差したときの垂直方向へ向かって,ブラケット部から同34mmもはみ出しており,そこからさらにホースを接続するためのアタッチメント部が25mm突き出ている。結果,要求されるスペースが相当広めになる点は注意が必要だろう。
 注意が必要なところといえば,PCI Express補助電源コネクタが8ピン×3で,そのすべてに電源を供給しなければ動作しない点も挙げられる。ASUSはすでにARES2-6GD5の時点で8ピン×3仕様を実現しているので,目新しくはないのだが,それでも最大で525Wもの電力を供給できるというのは,やはりインパクトがある。

R9 290X GPU。内部コードらしき「215-0852000」という刻印が見える
Republic of Gamers
 気になるスペックだが,冒頭でも述べたとおり,搭載するのは2基のR9 290Xなので,GPUあたりのシェーダプロセッサ数は2816基で,演算ユニットたる「GCN Compute Unit」数は44基,テクスチャユニット数は176基だ。足回りとなるROPの数は64基,メモリインタフェースは512bitということになる。
 GPUコアの最大クロックは1030MHzで,これはR9 290Xの同1000MHz,R9 295X2の同1018MHzよりも若干高い。メモリクロックはR9 290XおよびR9 295X2と同じ5000MHz相当(実クロック1250MHz)に留まるが,カード自体が液冷専用仕様であることと,8ピン×3の電力供給仕様であることからするに,ここは「ひとまずR9 295X2のスペックを上回りつつ,あとはエンドユーザーレベルで行う自己責任のオーバークロックに任せてある」と理解したほうがよさそうだ。

補強板兼放熱板を外したところ
Republic of Gamers
 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,取り外した時点で,カードメーカーや販売代理店,ショップの保証は受けられなくなる。そのため,本稿の記載内容を試してみる場合はくれぐれも自己責任でお願いしたいが,本体背面側の補強板兼放熱板,そして液冷用ブロックの順で取り外すと,液冷用ブロックは,「水枕」という別名のとおり,GPUだけでなくメモリチップや電源部と密接し,これらの熱をまとめてラジエータへ運ぶような構造になっているのが分かる。

液冷用ブロックを取り外したところ(左)と,液冷用ブロックに寄ったところ(右)。“水枕”は,GPUおよびクロスバースイッチとはシリコングリス経由,そのほかの熱源とは熱伝導シート経由で触れるような格好になっている
Republic of Gamers Republic of Gamers

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 カード上でのCrossFire動作が実現される基板は,2基のGPUを,PLX Technology製のPCI Expressクロスバースイッチチップ「PEX 8474」でつなぐ仕様になっていた。これはR9 295X2とまったく同じだ。
 電源部はGPUあたり6+2フェーズのようで,おそらく4+1フェーズのR9 295X2と比べると,規模が大きくなっている。その部材はASUS独自の電源品質規格「Super Alloy Power」準拠となっており,それらはASUS独自のデジタルVRMコントローラ「DIGI+ VRM」と組み合わされている。全体的に,R9 295Xと比べて相当に豪華だと述べていいのではなかろうか。

PEX 8474(左)と電源部(右)
Republic of Gamers Republic of Gamers

Republic of Gamers
 なお,GPUあたり16枚,基板の表と裏に8枚ずつ用意されるメモリチップは,SK Hynix製の2Gbit GDDR5「H5GC2H24BFR-T2C」(5.0Gbps品)だった。チップレベルの動作クロックマージンは確保されていないということになる。


今回は液冷ユニット「EK-KIT H3O 240 HFX」を利用

25x16と4KでR9 295X2と比較


 テストのセットアップに入ろう。
 今回,テストの比較対象にはもちろんR9 295X2を用意。グラフィックスドライバには,テスト開始時の最新版となる「Catalyst 14.7 RC3」を用いることにした。そのほかテスト環境はのとおりだ。


 前述のとおり,ARES IIIを使うには,別途,液冷ユニットを用意する必要がある。ASUSは推奨製品もリストアップしているわけだが,残念ながら限られた貸し出し期間中に推奨される液冷ユニットを用意することはできなかったため,今回は推奨製品と同じEKWB製である「EK-KIT H3O 240 HFX」を使いたいと思う。
 EK-KIT H3O 240 HFX自体はLGA1150やAM3+など,さまざまなCPUに対応する本格的な液冷ユニットだ。ただし,今回はARES IIIの評価なので,CPUは製品ボックスに付属していた純正の空冷クーラーで冷却することにし,EK-KIT H3O 240 HFXはARES IIIの冷却にのみ用いる。この点はあらかじめ断りしておきたい。

EK-KIT H3O 240 HFXを使ってARES IIIを液冷化したところ
Republic of Gamers
 本稿は液冷クーラーの導入記事ではないため,「ARES IIIとEK-KIT H3O 240 HFXをどのように接続するか」といった導入的な話は割愛するが,ざっくりまとめておくと,ARES IIIの冷却だけであれば,EK-KIT H3O 240 HFXの製品ボックスに入っているラジエータとその冷却用ファン,クーラント(=冷却液)のタンクとなるリザーバー,チューブ,ポンプユニットと,それらを固定するためのフィッティングを使うだけでいい。「ARES IIIで人生初の本格液冷に挑む」というのでなければ,とくに難しいことはないだろう。

EK-KIT H3O 240 HFXを使った液冷化の模様。老婆心ながら注意事項を挙げておくと,万が一のことを考え,カードをマザーボードに取り付ける前に試運転して,液漏れがないことを確認したほうがいいと思う。なお,チューブの長さにもよるが,今回のテストにはクーラントを1リットル用意する必要があった
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 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション15.2準拠。ただし,「Battlefield 4」(以下,BF4)においてはDirectX 11モードだけではなく,Mantleモードでのテストも行う。
 テスト解像度は,2560×1600ドットと3840×2160ドットの2パターンとした。これは,ARES IIIの比較対象となるR9 295X2が,4K解像度をターゲットとするグラフィックスカードであるためだ。

 なお,これは4GamerのGPUレビューにおける恒例だが,テスト時の状況によってCPU自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」の挙動が変わる可能性を排除すべく,同機能はマザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。


GPUクロック差以上のスコア差を

R9 295X2に対して示すことがある


 テスト結果を順に見ていこう。グラフ1は「3DMark」(Version 1.3.708)の総合スコアをまとめたものだ。ARES IIIはR9 295X2に2〜3%の差を付けた。ブースト最大クロック差は1%強なので,簡易液冷よりも本格的な液冷ユニットのほうが熱処理効率は高く,その分,高い動作クロックで安定する時間が増えているということなのかもしれない。


 BF4では,Mantleモードで実行したテストの結果を「ARES III Mantle」「R9 295X2 Mantle」と表記して区別しつつグラフ2にまとめたが,ここで注目したいのは,「標準設定」の3840×2160ドットで,ARES IIIがR9 295X2に対して約9%ものスコア差をつけるところである。

 AMDがGPUコアクロックを追うためのツールを公開していないので,今回は,TechPowerUp製GPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.7.9)を用い,1秒刻みの動作クロックチェックを行ってみたが,それだとARES IIIは1030MHz,R9 295X2は1018MHzでクロックが張り付き,まったく変化が見られなかったため,なぜここまでのスコア差が生じるのかは残念ながら分からない。ただ,同じ傾向はMantleモードでも見られたので,超高解像度環境において,ARES IIIがR9 295X2に対して何らかの優位性を発揮することは間違いないようだ。


 「Crysis 3」では,「高負荷設定」の3840×2160ドットを除くテスト条件で,ARES IIIがR9 295X2に対して有意なスコア差を示した(グラフ4,5)。平均フレームレートが30fpsを下回るような負荷条件を除くと,動作クロックの違いがスコア差を広げているように見える。なのでやはり,(1秒刻みでの確認では分からないものの)ARES IIIのほうがR9 295X2よりも高い動作クロックに入っている時間が長いのではないかと思われる。


 3840×2160ドット解像度でのテストが行えないため,2560×1600ドットでのテストとなる「Bioshock Infinite」の結果がグラフ6で,ここでも,より描画負荷の低い「High」設定で,ARES IIIはR9 295X2に対して約4%高いスコアを示している。
 なお,「UltraDX11_DDOF」のほうだと,スコア差は約1%だった。


 続いてグラフ7,8のスコアだが,このクラスのグラフィックスカードを前にするとSkyrimは描画負荷が低すぎるため,CPUボトルネックが生じ,スコアが頭打ちになってしまった。


 「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(以下,新生FFXIVベンチ キャラ編)の結果がグラフ9,10だ。ここでのARES IIIは,R9 295X2に対して2〜4%程度のスコア差を付けている。「最高品質」の3840×2160ドットでスコア10000を超えているのも目を引くところだ。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
Republic of Gamers
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 一方,グラフ11,12の「GRID 2」だと,ARES IIIとR9 295X2との間に,スコア差はほとんど生じていない。GRID 2は,GPUの規模差がスコアに反映されやすいタイトルだけに,規模が同じで動作クロックも近いと,スコア差も出にくいということなのだろう。



消費電力はR9 295X2より30W前後増加

冷却能力は液冷ユニット次第


 今回のテストではオーバークロック設定を試みていないとはいえ,電源回路規模が大きくなり,多少なりとも動作クロックが高くなり,そして補助電源コネクタが8ピン×3になったことで,消費電力がどの程度上がったのかは気になるところだ。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体での消費電力を比較しておこう。
 テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時としている。

 その結果はグラフ13のとおり。アイドル時の消費電力でARES IIIがR9 295X2より17W高いのが気になる人もいるだろうが,単体の液冷ユニットとR9 295X2の簡易液冷ユニットで機構面にそれほど大きな違いがあるわけではないことからすると,このスコア差は,カード設計の違いによるものではないかと考えられる。
 一方のアプリケーション実行時は,それに加え,より高い動作クロックに張り付く時間が長くなる(と思われる)ことから,平均フレームレートが変わらなかったGRID 2を除くと,ARES IIIのほうがR9 295X2より22〜36W高いスコアを示した。


 最後のグラフ14は,3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども,GPU-ZからGPU温度を確認した結果だ。ここでのスコアは,室温24℃の環境で机上にバラック状態で置いて行ったときのものとなる。
 というわけでグラフを見てみるが,まず,アイドル時にセカンダリGPUの温度が「0℃」になっているのは,「AMD ZeroCore Power Technology」によって,セカンダリGPUへの電力供給がほぼゼロになり,いきおい,センサー自体が動作しなくなっているためだ。

 高負荷時の温度はARES IIIが60℃台。これは組み合わせる液冷ユニットによって大きく変わるところなので,「一例における参考値」以上でも以下でもないが,120mm角ファン2基で冷却するタイプのラジエータを併用すれば,自己責任でのオーバークロックも十分に狙える温度を保てる,とはいえそうである。オーバークロックを前提としないなら静音化も狙いやすいのではなかろうか。



“素”の状態で史上最速グラフィックスカード

あとは使い方次第か


 以上,ARES IIIは“素”の状態でR9 295X2よりおおむね高速といえ,史上最速のシングルグラフィックスカードだとまとめることができるだろう。もちろん,そのスコア差はわずかであり,ほとんど体感できるものではないので,導入の手間が(PCケース以外)ほとんどかからないR9 295X2のほうが,多少なりとも万人向けとはいえる。

外部出力インタフェースはDisplayPort×1,Dual-Link DVI-D×1,HDMI×1
Republic of Gamers
 ただ,全世界500枚限定のグラフィックスカードを,導入の手間を気にするような人へ届けたいとは,ASUSも考えてはいないはずだ。強力な電源周りを使ってオーバークロック動作させたいとか,自慢の液冷システムに組み込んで派手に使いたいとか,ウルトラハイエンドのゲームシステムを極限まで小型化したいとかいった,ニッチなニーズに向けたアイテムと見るべきである。

 ほかに類を見ない,世界でただ1つの選択肢であるがゆえに,刺さる人には間違いなく刺さる。ARES IIIは,そういう製品である。

ASUSのARES III製品情報ページ(英語)

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    Radeon R9 200

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