MSIの日本法人であるエムエスアイコンピュータージャパン(以下,MSI-J)は,2007年11月10日にゲーマー向けノートPC
「GX600」を発売した。あわせて同社は,GX600で3Dゲームを快適にプレイできることをアピールするためのエンドユーザー参加型イベント
「GX600発売記念 お客様大感謝祭」を実施したので,イベントの模様をレポートしつつ,GX600というノートPCのポイントをまとめてみたい。
展示されていたGX600の製品サンプル
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オーバークロックモード完全サポートのGX600
「ノートPCで3Dゲームは“普通”に」をアピール
天板はMSIロゴをあしらったGX600オリジナル。写真に見えるオレンジ色の三つの点は,イベント会場のライトが反射したものだ
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GX600の概要を簡単にまとめると,CPUに「Core 2 Duo T7700/2.40GHz」,GPUに「GeForce 8600M GT」(グラフィックスメモリ512MB)を搭載しつつ,15.4インチワイド液晶ディスプレイ(解像度1680×1050ドット)を搭載と,比較的コンパクトにまとめられたノートPCだ。
4Gamerではこれまで何度か「ベアボーンとして販売される」と
お伝えしてきたが,最終的には
「ベアボーンで提供して,パーツを組み合わせてもらうよりも,はるかに安価に提供できると判明したため」(MSI-J 陳 明期氏),MSIとして初の国内向けオリジナルPC発売になったという。
ターボボタン。オーバークロック状態ではボタン周辺のオレンジ色LEDが点灯する
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さて,そんなGX600が持つ最大の特徴は,キーボードの右上に,電源ボタンや無線LANオン/オフボタンなどと並んで用意される「ターボボタン」を押すことで,簡単にCPUの動作クロックを引き上げられることだ。これはMSI独自の「TDE」(Turbo Driver Engine)によって実現されており,1回ボタンを押すとオーバークロック,もう1回押すと元のクロックといったように,それこそゲームの起動後など,いつでもCPUのクロックを切り替えられる。さらに,驚くべきことには,
「オーバークロック状態におけるアプリケーションの動作を100%動作保証する」(陳氏)という。
ただ,クロックが何%上がるのかは,発売されたタイミングでも不明のままだった。MSIは公式に20%引き上げられるとしており,会場で展示されていた複数の海外モデルでは確かに20%上がっていたのだが,国内発売されたモデルのサンプル展示機では,なぜか8%強に留まっていたからだ。このあたり,国内正規品がどうなっているのかは,追って情報をもらえることになっているので,判明し次第お知らせしたい。
「Core 2 Duo T7250/2GHz」を搭載する海外モデルでは,ターボボタンを押すと約20%のベースクロック引き上げが行われるのだが(左),国内発売モデルのサンプルでは,なぜか8%強となっていた(右)
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このほか,主なスペックは下に示したとおり。光沢のあるブラックの表面仕上げや,[W/A/S/D]キーのハイライトなどはGX600独自のもので,「没個性のノートPCに,ゲームプレイに必要な部品を載せただけ」の製品とは,明らかに一線を画している。
●GX600の主なスペック
- CPU:Core 2 Duo T7700/2.40GHz
- チップセット:Mobile Intel PM965 Express+ICH8-M
- メインメモリ:PC2-5300 DDR2 SDRAM SO-DIMM 1GB×2
- GPU:GeForce 8600M GT(グラフィックスメモリ512MB,MXM接続)
- HDD容量:160GB
- 光学ドライブ:DVDスーパーマルチ
- 有線LAN:1000BASE-T
- 無線LAN:IEEE 802.11a/g/n(Intel 4965AGN)
- ディスプレイ:15.4インチワイド液晶(1680×1050ドット,光沢タイプ)
- サウンド:HD Audio+2ch内蔵スピーカー
- キーボード:日本語配列,テンキー装備
- サイズ:358(W)×256(D)×27〜33(H)mm
- 重量:2.5kg
- バッテリー駆動時間:約3時間
- OS:32bit版Windows Vista Home Premium
- 付属品:ワイヤードレーザーマウス「X7 Game Mouse X-750F」GX600オリジナルモデル,GZ600オリジナルヘッドセット,GX600オリジナルデイバッグ
内蔵するファンは1基で,ターボボタンの下あたりに用意された背面の排気口から熱を排出する仕組みになっている。CPUとGPU,チップセットの熱は,1本のヒートパイプで効率的に伝えられるとのこと
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[W/A/S/D]キーはハイライトのみで,とくにホームポジション用の窪みなどはなし。[Enter]キー周辺のキーピッチが狭められている一方,テンキーを用意するのは好みが分かれそうだ。キーボード上部左右にある,赤い排気口のようなものは2chスピーカーとなる。なお,液晶ディスプレイ上部には130万画素のWebカメラを内蔵する
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外部インタフェースは非常に充実。デジタルYCbCr&RGB(HDMI)やD-Sub,eSATAなどを標準で備える。カードスロットはExpressCard34/54対応だ
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GX600オリジナルの付属品一覧。ヘッドセットはアナログ接続で,折りたためるネックバンドタイプ
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なお,MSI-J チャネルセールス&マーケティング部マネージャーの石岡宣慶氏は,GX600について
「ノートPCで3Dゲームをプレイするのは“普通”のことになる」とアピールし,実際にGX600の実機を利用した
「F.E.A.R. Combat」によるデスマッチ大会を実施。タイトル選択が絶妙だったというべきか,F.E.A.R. Combatはまずまず快適に動作しており,「GX600では3Dゲームを不満なくプレイできる」というメッセージは,来場者へ確かに伝わっているように見えた。
MSIによる想定売価は
27万円前後。GeForce 8600M GT搭載ノートPCの3D性能(
関連記事)を考えるに,最新世代の3Dゲームを前にすると少々厳しいところもあると思われるが,スペックが無難にまとまっているのも確かだ。一部,まだよく分からない部分があるので,現時点で断じることまではできないものの,「そこそこ3DゲームをプレイできるノートPCが欲しい。だが,筐体が大きすぎたり,外観が地味すぎるのははNG」というワガママな人にとっては,現時点でも選択肢として検討に値するのではなかろうか。