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PCゲーム新作ガイド 2009「今年の注目作64本を一挙に紹介!」
「シミュレーションゲーム」といっても,扱うテーマによってさまざまなサブジャンルが存在し,タイトル数も多い。とはいえ,やはり2009年最大の話題作となると,2000年のオリジナル作品登場以来,シリーズ累計で1億本を売ったという人生シミュレーションシリーズの最新作,「The Sims 3」だろう。発売後は拡張パックも次々とリリースされていくだろうし,過去の例でいけば,月間セールスのトップ10の常連になるのは間違いないだろう。また,EA Maxisの製品では,「SPORE」の拡張パック第2弾となる,「Spore Galactic Adaptations」も2009年内にリリースされる予定だ。
フライトコンバットシムの作品はここでは紹介しないが,「Digital Combat Simulator: Black Shark」「Jet Thunder」「Rise of Flight」,そして「Storm of War: Battle of Britain」といったヨーロッパ産の作品が,続々とリリースされる予定になっており,もしかするとホットなジャンルになるかもしれない。
Anno 1404
日本でも「創世紀」という名前で人気の都市建設シムシリーズの最新作,「Anno 1404」は,時代をぐっと過去に戻し,まだ本格的な大航海時代も始まらぬ15世紀初頭からゲームを始めることになった。プレイヤーは,喜望峰経由で中東に向かい,途中,砂漠の村や都市を植民地化していく。
交易を行って利益を得たり,小さな集落にさまざまな建物を建てて拡大していくというプレイの基本は変わらず,お腹がすいたとか,着るものが欲しいなどという,わがままな住民達の要望を聞きながら,より快適な都市に仕立て上げていく。ドイツらしい(?)建物の細かなディテールと,そこで暮らす人々のアニメーションがウリで,帆をいっぱいに張った船が出航したり,住人が忙しく働いていたりなど,見ているだけでも楽しい。ちなみに,本作では,ゲームエンジンも一新され,従来作に比べて,より大きな街を作り出せるようになった。
ある程度まで街を発展させると,さらに航海を進めて新たな交易相手を探さなければならない。一つの町ではすべてのアイテムを揃えられないため,新たな拠点を作り,交易をして住民の要望に応えていく。やがて,その拠点を足がかりに,新たな都市を建設できるようになるだろう。
Cities XL
本家「SimCity」がややもたついているスキに,テンポよく都市建設シムをリリースし続けているのが,フランスのMonte Cristoだ。2006年に「City Life」を発売して以来,続編や拡張パックなどを登場させてきたが,そんな彼らの新作となるのがこの「Cities XL」だ。本作でもCity Lifeと同様,自分の好きな都市の居住空間や商業地域をデザインしつつ,住人の目線で街を歩いて楽しんだりできる。
アメリカやヨーロッパ,そしてアジア風のビルが何百種も用意されており,住人の年齢や職業など,一人一人のプロフィールも表示できる。市民の経済状況は6段階で表示され,それに合わせた建物やサービスを用意していかなければならないのだ。
ビーチリゾートやスキーゲレンデ,動物園など,周囲の地形に合わせた特殊な施設も建設可能で,また市長としてだけでなく,ビジネスオーナーの視点から経済活動を後押しすることもできるとのこと。
Cities XLには「Planet」というオンラインモードも用意されており,架空の惑星にそれぞれのプレイヤーがアクセスし,一つの街を運営することになるという,都市建設シムとしては面白い試みがなされる予定だ。
Colin McRae: DiRT 2
Codemastersの「Colin McRae: DiRT 2」は,2007年に前作がリリースされた人気オフロードレースシリーズの最新作で,派手にスリップしながらダートコースを走り抜けていくエキサイティングなレースが楽しめる。
独自のEGOエンジンによって,コンシューマ機のグラフィックス性能を極限まで引き出すことに挑戦しており,PLAYSTATION 3やXbox 360のマルチコアCPUでのパフォーマンス向上が謳われている。詳細は不明だが,PC版専用のフィーチャーが用意され,またオブジェクトの物理効果や照明効果,テクスチャのディテールなども大幅にグレードアップ。キャリアシステムやフラッシュバックなど,「Race Driver: GRiD」で好評だった機能を取り入れて,システム面でも厚みを増すようだ。
World Tourと名付けられた世界各地でのレースを楽しめ,マレーシアのジャングルやサハラ砂漠といった地域でのレースが予定されている。
これまで,あまり重要視されてこなかったオンラインモードにも力を入れ,レースゲームのコミュニティが作りやすいように配慮しているという。
Grand Age: Rome
「Grand Age: Rome」は,昨年(2008年)日本でもリリースされた「インペリアム ローマ 〜ローマ都市建国〜 日本語版」の続編だ。ちなみに,タイトルの「Imperium Romanum」は,英語を母国語とする人でも覚えにくかったのだが,続編で分かりやすい名称に変更されている。
シングルプレイモードには,20の古代ローマ都市が用意され,プレイヤーはカエサルやオクタビアヌスら歴史的な人物の依頼に応えながら,より壮大な都市を建設し,信任を得ていくのである。大きな街になれば,コロシアムやパンテオンといった巨大施設を建設し,疫病や災害,暴動といった不測の事態にも対応しなければならない。前作同様に周辺の蛮族がしばしば襲来するので,50種類におよぶユニットを製作して蛮族に備えよう。これらのユニットは,戦闘を重ねることで経験値を得て,やがて特殊スキルが使えるようになったりもするらしい。
最初に選択する家系によってプレイヤーキャラクターの得意/不得意が決まるようで,今度はあの家でやってみようと,リプレイバリューも高そうだ。プレイヤーキャラクターも次第に成長し,マルチプレイモードでも彼らを使用できるというから,育て甲斐がありそうだ。
Majesty 2: The Fantasy Kingdom Sim
Paradox Interactiveが制作する「Majesty 2: The Fantasy Kingdom Sim」は,コミカルな王国建設シミュレーションとしてカルト的人気を獲得した「Majesty: The Fantasy Kingdom Sim」(2000年)の続編である。ロシアをベースに,近頃どんどん名を上げているIno-Coが,そんな前作のほんわりとした遺伝子を引き継ぎつつ,より現代的にアレンジした本作を開発中だ。
剣と魔法のファンタジー世界で自分の王国を築くゲームなのだが,特徴的なのは,サイクロプスやスケルトン軍団の来襲から国を守るためのヒーローキャラクターが,王国内にいなければならないことだ。ウォーリアやメイジといった,数種類のヒーローキャラクターが存在しているのだが,飲み屋など,彼らにとって快適な居住空間を与えてやらないと,すぐによその国に引っ越してしまう。彼らはモンスターを倒してナンボの暮しをしているので,たとえ平和なときでも,モンスター狩りなどをさせて生活を立ち行かせてやらなければならない。なんにせよ,なかなか気難しい連中なのだ。
まだ詳細は明らかにされていないが,人口を獲得し合うようなマルチプレイモードもあるらしい。
Microsoft Train Simulator 2
2007年8月のGames Conventionにおいて初めて存在が公表された「Microsoft Train Simulator 2」。以来,ゲームショウではあまり情報が公開されておらず,むしろ鉄道イベントなど,世界の鉄道マニア向けに地道なプレビューが行われているようだ。しかし,DirectX 10をサポートした「Flight Simulator X Platform」と呼ばれる技術を利用するなど,シミュレーションファンにはなかなかの期待作と呼べそうだ。
Microsoft Train Simulator 2で発表されている路線は,アメリカ北西部の難所スティーブン峠や,高速鉄道ICEでドイツ工業地帯を走り抜ける,ケルン−デュイスブルグ線など,今のところわずか4種。
これから新たな路線が発表されていく可能性はあるものの,用意された路線の数はあまり重要ではない。「Microsoft Flight Simulator X」同様,地球全体の地形が用意されており,プロやアマが自由に路線や列車モデルを作っていくという,その拡張性が目玉なのだ。
今回はさらに,NPCも数多く用意されており,駅の構内や列車の中を歩き回っているという。プレイヤーも,運転席でそれぞれの機器をいじるだけでなく,運転室から窓から外の景色を眺めたり,停車中には列車内を歩き回ったりも可能になる。
とはいえ,最近の経済状況の悪化から5000人規模の人員削減を行ったMicrosoft(関連記事)。開発を担当しているファーストパーティのACE Studiosも削減の対象となっていることから,現状,開発に黄色信号が灯った感じがする。
The Sims 3
さまざまな面でパワーアップした「The Sims 3」において,シム人達の世界はもはや家の中だけではなく,ドアを開けて外に飛び出していける。外の世界には隣人や友達,仕事場の上司や部下,さらには両親や元カレ/カノジョといった100人以上のキャラクターがそれぞれの人生を送っており,彼らと交流を深めていくなかで,プレイヤーは自分だけの(やや騒々しい)世界を作り上げていくことになるのだ。
シム人達の制作やカスタマイズの幅が広くなり,表情や体格,髪型や頭髪の色,衣服や年齢などさまざまにチューニングできる。「カッとしやすいタイプ」「カリスマ性あり」「おっちょこちょい」といった性格も60種類以上存在し,最大五つまでの組み合わせで多彩なパーソナリティが生み出される。プレイヤーの好みに応じ,好きな色や食べ物といったものも決められ,これらによって,世界にただ一人の,あなたのアバターが誕生するのである。
前作では八つあった「欲求」が六つに削減され,それぞれのメーターも危険(赤),普通(黄),満足(緑)と簡単にまとめられるなど,操作性の向上も図られている。グラフィックスも美しくなったが,ミドルスペックのPCをターゲットに開発されている。
This is Vegas
大人の楽園であるべきラスベガスが,大企業の手によって家族向けの観光リゾートに再開発されようとしていることを聞きつけた主人公が,それに対抗するためにさまざまな問題を引き起こし,その過程で自分の名声も上げていくというのが,Midway Gamesの開発するちょっと変わった人生シミュレーション,「This is Vegas」である。ユーモアとアクションを満載した大人向けのゲームとして,2009年内発売予定のゲームの中でも独特のポジションを占めている。
This is Vegasは,自由度の高いオープンエンド型のゲームで,10種類程度の架空のホテルを中心に,さまざまな場所に自由に行けるようになっている。敵の勢力が支配するカジノでのケンカや路上レースを繰り返し,街の評判を落としながら小銭を稼ごう。ひどいヤツだ。
さらに,カジノでポーカーを遊んだり,ディスコで女の子を引っかけたり,リズムダンスや飲み比べのミニゲームを楽しんだりなど,豊富なサブクエストが揃っている。
軽い雰囲気のタイトルだが,Unreal Engine 3を使用するなど,グラフィックスはかなり本格的で,夜の街らしいきらびやかなネオンが美しい。主人公キャラのカスタマイズこそできないのが残念だが,おふざけに特化した潔いゲームであると思う。
とはいえ,こちらもMicrosoftの「Train Simulator 2」同様,Midwayの業績悪化によって,開発には不安が残る。個人的に期待しているタイトルなので,ぜひ発売までこぎつけてほしいものだ。
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