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PCゲーム新作ガイド 2009「今年の注目作64本を一挙に紹介!」
2〜3年前と比べると,最近は遊びきれないほどの話題作が集まり始めたのがRPGだ。現代ものの「Alpha Protocol」やSFの「The Precursors」など,RPGとしてはあまり多くない設定の作品もあるが,「Dragon Age: Origin」を筆頭とするRPGの王道のようなゲームが多い。
2008年に大ヒットした「Fallout 3」には,DLC(ダウンロードコンテンツ)がリリースされ,「The Witcher」や「Two Worlds」にも拡張パックが発売される予定だ。
また,2009年中に発売されるかどうかは怪しいが,Eidos Interactiveの「Deus Ex 3」や,Blizzard Entertainmentの「Diablo III」なども開発が進められ,さらには「Rise of Nations」といったストラテジーで有名なBig Huge Gamesが,THQから新作RPGを発売する予定もある。
Alpha Protocol
「Alpha Protocol」は,これまで続編や拡張パックの開発をメインに手掛けてきたObsidian Entertainmentが贈る,オリジナルタイトルだ。RPGにはめずらしく,現代のスパイ活動がテーマになっており,さまざまな銃器やスパイグッズを利用できるのだ。
東ヨーロッパで民間の飛行機が撃墜されるという事件が発生,そのミサイルがアメリカ製だったために混乱が広がる。プレイヤーは主人公のCIA諜報員Michael Thortonとなり,ことの真相を明らかにするのだ。ローマ,モスクワ,台湾,サウジアラビアなど世界各地を飛び回り,謎を解くために数々のミッションをこなす。
現代のスパイ劇というと,生粋のアクションゲームだと思う人が多いだろうが,Alpha Protocolでは,主人公に10種類のスキルが用意され,溜めたポイントをそれらに振り分けていく成長要素も盛り込まれているのだ。自分のプレイスタイルに合わせてスキルを成長させられる。また,スキルの成長具合によって,使用できる武器などにも差が出るという。
Divinity 2: Ego Draconis
本作は,スマッシュヒットしたベルギー産RPGシリーズの最新作。タイトルに「2」とついているが,「Divine Divinity」「Beyond Divinity」に続く,シリーズ第3弾である。
主人公は,邪悪なドラゴンの魂が乗り移ったドラゴンスレイヤーという,なんとも皮肉な設定だ。そんな主人公となり,Rivellon王国の乗っ取りを計画しているDamianを倒すため,人間とドラゴンの体を自在に操りながら平和のために戦うのである。
Divinity 2では,ドラゴンになって自由に飛び回り,火を吹いて街や敵の砦を焼き尽くすといったことができる。ただし,敵も対空兵器を用意していることがあるので,そういった場合は,人間の体に変形して地上に降りて戦うのだ。
自分の住処となるバトルタワーが用意され,そこで装備品やアイテムの管理などを行う。また,部下を雇ってアイテム探しをさせるといったことも可能だ。
本作は非常にオプションが多く,一つのクエストでも20種類ほどに分岐するという。グラフィックスも前作とは比較にならないほど向上しており,かなり遊び応えのあるゲームになりそうだ。
Dragon Age: Origins
「Dragon Age: Origins」は, RPGの開発チームとして世界的に有名なBioWareの新作だ。
地下世界からやってくるShadowspawnの侵略を,何度も瀬戸際で食い止めている騎士軍団Gray Warden。しかし,終わることのない戦いで組織は疲弊し,ついにはOstagarの関門を守るのにすら,十分な人材を確保できない状態になっている。そんな状況の中に突然現われたのが,プレイヤーが操る主人公だ。
プレイ開始時には,キャラクタークラスと,6種類用意されたキャラクターの過去を選択。これによって,能力値だけで表現されないキャラクター設定ができ,ストーリーにも深みが与えられる。また,会話文に登場する選択肢の選び方一つで,相手の対応が異なり,クエストの内容にも影響するという。
戦闘はリアルタイムで進行するが,プレイヤーが自在に停止でき,状況にあった指示を出せるという,Biowareらしいシステムだ。また,4人までのパーティを組め,連携したコンボ技も繰り出せるという。
Drakensang: The Dark Eye
ドイツで最も人気があるといわれるテーブルトーク「The Dark Eye」をPCゲーム化したのが「Drakensang: The Dark Eye」である。開発元のRadon Labsは,オープンソース化された3DゲームエンジンNebula 3を制作したことで知られており,Drakensangにもこのエンジンが採用されている。グラフィックスのクオリティは最高レベルというわけではないが,広大な風景が魅力的な作品だ。ドイツ語版はすでに発売されており,その英語版が北米でリリースされるのである。
本作の開発にあたりRadon Labsは,The Dark Eyesのオリジナル制作者と協力し,1,000ページにもおよぶ台本を作りあげており,ボリュームにも十分期待できそうだ。
本作におけるスキルは“タレント”と呼ばれ,会話の内容も身につけているタレントの種類によって変化するという。スペルや特殊能力は40種類ずつあり,プレイヤーは3人までの仲間とパーティを組んで冒険できる。
Dungeon Hero
「Dungeon Hero」は,「Stronghold」といったストラテジーゲームの開発チームとして実績のあるFirefly Studiosが,初めて制作するアクションRPGだ。
「本物のダンジョンに潜入している感覚を描く」というポリシーを掲げており,ごく普通の人間である主人公が,ヒーローへ成長していく過程が描かれている
現在公開されている情報では,主人公ははげ頭に上半身も裸という姿で,どこか「ゴッド・オブ・ウォー」のクレイトスを思わせる闘士タイプのキャラターだ。アクションも,敵陣のど真ん中へ走り込んで片っ端から斬りまくったり,大きな敵に馬乗りになったりと,ゴッド・オブ・ウォーの影響が色濃いといわざるを得ない。
Dungeon Heroは,余りにも穴を深く掘りすぎたために地下の魔物の侵攻を許してしまうという設定で,反目し合うゴブリン達や,ゴブリンが築いた地下世界を奪おうとするネクロマンサーらが現われて戦うことになる。ちなみに,本作に登場するゴブリンは,酒場で酒盛りをしたり,焚き火の前でギターを弾いたりと,他作品とは描かれ方が違う。ゴブリンは主人公にとって敵ではなく,会話をとおしてサブクエストなどをくれる相手なのだ。一風変わったファンタジー世界が描かれているといえるだろう。
Overlord II
「Overlord II」は,「フェイブル」風の「プレイヤーがどんどん悪行を行える」というゲーム性が受けて人気を呼んだアクションRPG「Overlord」の続編で,前作から数十年経った世界が舞台だ。
世界を統一したオーバーロードは去り,そののちに,ローマ帝国を思わせる巨大文明が登場する。彼らは平和維持に躍起になり,すべての魔力やクリーチャーを,世界から消滅させようとするのである。また,環境保護団体っぽいエルフ達が登場するなど,どこか現代世界をパロったようなユーモアに溢れているのだ。
ヨーロッパの片田舎を思わせる風景ばかりだった前作とは異なり,本作では雪の積もった山岳地帯や文明都市など,バリエーションが増える。プレイヤーキャラクターは,オーバーロードの息子という設定になっており,今回はシージ(攻城)系兵器を配下の“ミニオン”(使い魔)達に操作させて戦うことも可能だ。使用できるミニオンや,画面上に現われる敵の数は前作を上回り,かなり戦略的なゲームになりそうだ。
Precursors
ロシアのDeep Shadowsが開発中の「The Precursors」は,一人称視点のゲームで,RPGにスペースコンバットシムの要素が加わったハイブリッドなゲームだ。
Deep Shadowsの独自開発によるVital Engine 3の高画質レンダリングや物理効果がたっぷり利用されており,プレイヤーは惑星から惑星へと自由に飛び回りながら敵と戦い,さまざまな謎を解いていく。
The Precursorsのストーリーは,宇宙航空学校を卒業したばかりの若いパイロットが,仕事を求めて近隣の惑星に流れていくところから始まる。そこで大災害が起こり,故郷の星は壊滅状態となってしまう。プレイヤーは,その原因を探る旅に出るのだ。
55種類もの特殊能力が存在し,レベルを上げて主人公を自分の好みのキャラクターに育てられる。オープンエンドなゲームなので,メインクエストとは関係のない惑星を旅したり,ほかの宇宙船を攻撃して宇宙制覇を目指したりするといったことも可能だ。発売は1年以上も遅れているが,その壮大な内容にはかなり期待できそうである。
Risen
「Gothic」シリーズで名を馳せたPiranha Bytesが,地元ドイツのDeep Silverと組んで開発しているRPGが「Risen」である。ちなみに,Gothicシリーズの4作目は,版権を保有するJoWoodが開発をSpellboundに委託しており,彼らは関わっていない。
Piranha Bytesは「Gothic 3」までに得たノウハウを駆使して,Risenでファンの支持を得たいところだろう。本作は以前まで「Project RPB」というコードネームで呼ばれており,2008年8月に開催されたGames Conventionで,ようやく正式に発表された作品である。
Risenの詳細はまだ公開されていないが,ヨーロッパ中世の地中海で,主人公が乗っていた船が嵐で難破してしまい,運良く火山島に流れ着くところから物語は始まる。この島は奇妙なモンスターで溢れかえっており,島に存在した古代文明の秘密を隠そうとする独裁者によって,住民は抑圧されている。
鬱蒼と茂るジャングルや,怯えながら生活する島民達の様子などがよく表現されており,グラフィックスのクオリティではGothic 3を超えているのは間違いない。今後の情報公開に期待したい1作だ。
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