北米時間2018年10月10日,Razerは,ゲーマー向けスマートフォンの第2世代モデル「
Razer Phone 2」を発表した。
ラインナップは背面が鏡面のものとサテン加工済みのものの2製品で,後者は直販限定。北米市場における価格は
799ドル(税別)からで,直販ページでは北米太平洋時間時間0:01に予約受け付けが始まる予定だ。
2モデル展開で,価格は799ドル(税別)からとなる
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気になる対応バンドだが,国内3大キャリアの仕様はけっこうサポートできていると言っていいだろう。
- NTTドコモ:1/3/19/
21/28/42
- au:1/
11/18/26/28/41/42
- ソフトバンク:1/3/8/
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横線を入れてあるところは非対応
ただし,現在のところ販売対象地域は米国とカナダ,英国,ドイツ,フランスとそのほか欧州となっており,アジア太平洋地域は外れている。Razerに確認したところ「現時点では,日本市場への投入は未定」だそうだ。技術適合証明を取得済みか否かは「ノーコメント」とのことだった。
3割高速化し,120Hzタッチセンサーを搭載し,防塵防滴に対応し,Razer Chromaに対応し,ワイヤレス充電に対応
日本で正式発売されなかった2017年のオリジナル「Razer Phone」は,前方放射(フロントファイアリング)型スピーカーを搭載して高い音量を実現し,横持ち時のタッチ操作をしやすくし,かつゲームにおいて見栄えを悪くする切り欠きを排除すべく,横持ち時の左右に大きな額縁を採用するデザインで登場したが,Razer Phone 2の外観は,かなりの部分で第1世代モデルを踏襲したものになっている。
違和感なく握れて操作でき,スピーカーの音も聞けるというデザインは初代Razer Phoneを踏襲
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従来製品比でRazer Phone 2は20〜30%程度の性能向上を実現しているとのこと
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ただし,細かく見るともちろん異なる。まず搭載するSoC(System-on-the-Chip)は「Snapdragon 845 Mobile Platform」(以下,Snapdragon 845)となり,それをゲーマー向けノートPC「
Razer Blade 15」と同様に「Vapor Chamber」(ヴェイパーチャンバー)ベースの冷却機構と組み合わせている。これによりRazer Phone 2では,「Snapdragon 835 Mobile Platform」採用のRazer Phoneと比較した場合では20〜30%の性能向上が得られているという。
Vapor Chamberベースの冷却機構を搭載する
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また,主要なモバイルベンチマークアプリで他社のハイスペックモデルと比べても高い性能を示しているとのことだ。
「Geekbench」で各社のAndroidと性能を比較したグラフ(左)。一番下が0でない点に注意してほしいが,ともあれ速いようだ。右はGeekbenchのほか,「Basemark GPU」「3DMark Slingshot」でもトップの性能だったとアピールするスライド
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初代Razer Phoneでは垂直リフレッシュレート120Hz対応のIPS(IGZO)液晶パネルを搭載して話題を集めたが,Razer Phone 2が採用する液晶パネルは,垂直リフレッシュレートだけでなく,5.7(5.72)インチ,1440
×2560ドット解像度という基本仕様も変わっていない。
しかしRazer Phone 2では,タッチセンサーのサンプリングレートが液晶パネルと同じ120Hzに向上した。また,輝度も従来の最大380Nitから今回は最大580Nitへ約50%明るくなっているそうだ。
ディスプレイパネルの輝度が約1.5倍に。これは屋外での視認性向上に寄与するだろう
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1874Hzでの比較スライド。初代Razer Phoneも98.5dBとかなりの大音量を出せたが,Razer Phone 2では103.3dBに達するという
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いわゆる「切り欠き」(ノッチ)のないデザインを生む理由の1つとなっている前面スピーカーにも改善が入った。スピーカーごとに専用のアンプを搭載することで,よりクリアでより大きな音が出るようになったそうだ。
また,Dolby Atmos対応も果たしている。
個人的にインパクトがあったのは,そういった前面放射型スピーカーを採用することでグリルの穴が開いているにもかかわらず,IP67仕様の防塵防水に対応できている点である。つまり,デバイスの内部に粉塵が入らないレベルの防塵性と,一時的にであれば水没しても問題ないレベルの防水性があるということだ。IP67仕様を獲得したことを歓迎するゲーマーは多いのではないだろうか。
また,「Razerのスマートフォン」として重要になるLEDイルミネーションは,まさかの非搭載だった初代Razer Phoneから一転し,背面のRazerロゴで「Razer Chroma」による調整が可能になった。Razer Chromaの機能は,Google Playからダウンロードできる専用アプリ「Razer Cortex Mobile」から制御できる。
背面のRazerロゴの色を変えている例。Facebookなどの通知に合わせて色を変えるといった設定も行える
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Razer Cortex Mobileではそのほかにも,性能とバッテリー駆動時間のバランスをとったり,垂直リフレッシュレート120Hz対応ゲームアプリのリストをチェックできたりするそうなので,Razer Phone 2のユーザーにとっては必須となるのではかろうか。
Razer Cortex Mobileでできることの例
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もう1つ,新要素としてはQiワイヤレス充電に対応したことも挙げられる。Razerは詳細を語っていなかったが,充電器はQualcommの「Quick Charge 4.0+」に対応するだけでなく,Razer ChromaベースのLEDイルミネーションにも対応するとのことだ。おそらくこれもRazer Cortex Mobileから制御することになるのではなかろうか。
充電中のイメージ。この画像だとLEDの色は緑だが,どうやら多色表示に対応するようである
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なお,「広角+望遠」で2基構成アウトカメラと,1基構成のインカメラを搭載する仕様は変わらず。ただし画質レベルではかなりの改善が入っているとのことだった。
というわけで,全体として順当に進化した製品と紹介していいのではなかろうか。とくにIP67仕様は注目といえ,ゲーム用途でヘビーに使いたい人にとっては見逃せない製品の登場と言えそうだ。
あとは日本で出てくれれば……といったところだが,さて,どうなるだろうか。
●Razer Phone 2の主なスペック
- メーカー:Razer
- OS:Android 8.1(Oreo)
- ディスプレイパネル:5.72インチ液晶,IPS(IGZO),解像度1440×2560ドット,アスペクト比 9:16,Gorilla Glass 5採用,HDR対応,垂直リフレッシュレート120Hz対応
- プロセッサ:Qualcomm製Snapdragon 845
・CPUコア:Kryo 385 Gold(最大2.8GHz)×4+Kryo 385 Silver(最大クロック未公開)×4
・GPUコア:Adreno 630
・モデム:Snapdragon X20 LTE
- サブプロセッサ:−
- メインメモリ容量:8GB(LPDDR4X)
- ストレージ:内蔵64GB(UFS)+microSDXC(最大1TB)
- アウトカメラ:[広角]有効画素数約1200万画素(開放F値1.75),位相差オートフォーカス対応,光学手ブレ補正搭載
・動画:4K撮影対応
- アウトカメラ:[望遠]有効画素数約1200万画素(開放F値2.6),位相差オートフォーカス対応
・動画:4K撮影対応
- インカメラ:有効画素数約800万画素(開放F値2.0)
・動画:1080p撮影対応
- 対応SIM:フォームファクタ未公開
- 対応LTEバンド:FDD LTE Band 1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/20/26/28/29/30/32/66/71,TDD LTE Band 38/39/40/41/42/48,TD-SCDMA 34/39
- 対応3Gバンド:Band 1/2/3/4/5/8
- バッテリー容量:4000mAh(※ワイヤレス充電対応,Qualcomm「QuickCharge 4+」対応)
- 待受時間:最大14日間(LTE)
- 連続通話時間:最大18時間(3G)
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ac(2x2 MIMO)
- Bluetooth対応:5.0
- FeliCa対応:−
- LEDイルミネーション:○(背面ロゴ,Razer Chroma対応)
- 防塵防滴仕様:IP67
- 主な搭載センサー:未公開
- USBポート:USB 3.1 Gen.1 Type-C
- 公称本体サイズ:約78.99(W)×8.5(D)×158.5(H)mm
- 公称本体重量:未公開
- 本体カラー:Mirror,Satin(※Satinは直販限定)
- スピーカー:フロント2ch(※前方放射型),デュアルアンプ搭載,Dolby Atmos対応