オススメ機能
Twitter
お気に入り
記事履歴
ランキング
お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
その名は「Crimson ReLive」。AMD,ゲームの録画&配信機能が追加となった新世代Radeon Softwareを発表
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2016/12/08 23:00

ニュース

その名は「Crimson ReLive」。AMD,ゲームの録画&配信機能が追加となった新世代Radeon Softwareを発表

Radeon Software
 2015年11月,AMDのGPU部門であるRadeon Technologies Group(以下,RTG)は,「Catalyst」に代わる新たなドライバソフトウェアとなる「Radeon Software」を発表した(関連記事)。そのときRTGが,第1弾のメジャーバージョン名として「Crimson Edition」という名を与え,Radeon Softwareが年1回のメジャーアップデートとなり,今後のメジャーバージョンアップでは別の赤系色となると予告していたのを(関連記事),記憶している読者も少なくないだろう。

 そして2016年12月8日23:00,RTGは,グラフィックスドライバのメジャーアップデートを発表した。その名は「Radeon Software Crimson ReLive Edition」(以下,Crimson ReLive)である。
 つまり,色は深紅のまま,さらに長い名称となったわけだが,なぜRTGは深紅(Crimson)を残しつつ,ReLive(リーリヴ,追体験)というキーワードを追加したのか。そのあたりを中心に,今回はCrimson ReLiveの概要を紹介してみたい。

Radeon Software

 なお,解説してくれたのは,AMD本社でソフトウェアマーケティングを統括するSasa Marinkovic(サシャ・マリンコヴィチ)氏と,ドライバソフトウェア担当のTerry“CatalysMaker”Makedon(テリー・マケドン)氏という,Radeon派にはお馴染みの2人に,あと1人,ワークステーショングラフィックス製品のシニアマネージャを務めるGlen Matthews(グレン・マシューズ)氏を加えた合計3名である。

左から2人めがSasa Marinkovic氏(Global Head of VR & Software Marketing, AMD)で,その右がTerry Makedon氏(Software Strategy Senior Manager, Software Engineering, AMD),さらにその右がGlen Matthews氏(Senior Manager, W-Series Product Management, AMD)。一番左はインタビューに同席していたGarrath Johnson氏(APJ Communications Lead, AMD)
Radeon Software


ゲームキャプチャ&リアルタイム配信機能「ReLive」を実装!


 というわけで,Crimson ReLiveだが,いろいろな疑問に対する完全な回答を,Makedon氏が語ってくれているので,まずはそれを紹介したい。

 「なぜCrimson ReLiveなのか。それは,今回の大規模アップデートにおける最大の目玉であり,ゲーマーにとっても極めて重要な新機能の名前が『ReLive』だからだ。ReLiveとは,『(ゲームなどの)画面をキャプチャし,カスタマイズして(SNSなどで)共有する機能である』」

Crimson ReLiveにおける目玉機能がReLiveという位置づけ
Radeon Software
 つまり,ReLive――正式名称は「Radeon ReLive」だが,本稿ではMakedon氏の発言に合わせてReLiveと表記する――とは,競合のNVIDIAが「GeForce Experience」で提供している「Share」(≒ShadowPlay)と同等の,いわゆるシェア機能だ。Radeon Software Crimson Edition(以下,Crimson)に,極めて大きな新要素たるReLiveが追加となったので,Crimson ReLiveというわけなのである。

TwitchやSteam,YouTubeといったストリーミングサービスにおいて,いまや「ゲームプレイ動画を観る人」の数は,実際のプレイヤーと比べて実に10倍以上も存在すると,Makedon氏は語っていた。それほどゲームのキャプチャや配信を行う機能は重要になってきており,だからこそRTGはReLiveの開発に注力したのだという
Radeon Software

 Makedon氏いわく,「(Crimsonをリリースした後)次にどういう機能を実装すべきか話し合う過程で,『これが必要だ』と真っ先に候補に上がった機能こそがReLive」とのこと。それ以来,およそ1年の時間をかけて開発を行ってきたという。それゆえに「ReLiveの機能や性能は業界最高レベルと自信を持っている」そうで,たとえば「プレイ動画を録画している最中でも,フレームレートに与える影響はごくわずか。最大でもわずか4%しかない」と,ReLiveの“軽さ”を強調していた。
 「(RTGが示したスライドにあるゲームタイトル以外でも)さまざまなテストを行ったが,他社製の同等機能と比べて,ReLiveはフレームレートに与える影響が最も小さいと我々は評価している」(Makedon氏)。

ReLiveの録画がフレームレートに与える影響は,「World of Warcraft」など多くのゲームで最大約3%,最も影響が大きい「Battlefield 1」でも約4%だという
Radeon Software

 もう1つRTGは,ReLiveの開発にあたり,「主要なストリーミングサービスを幅広くサポートすること」を掲げたという。実際,ReLiveでRTGは,世界でもユーザー数の多いストリーミングサービスをサポートしたと謳っている。
 具体的なサポート対象は,TwitchとYouTubeを除けばあとは中国ローカルのサービスのみだが,TwitchとYouTubeがあれば,日本のユーザーにとっても大きな問題はないだろう。

ReLiveがサポートする配信サービス一覧。「世界市場における主要な配信サービスは全部サポートした」と,Makedon氏は自信満々に語っていたので,RTGとしては,Twitch+YouTubeと中国系4サービスが「全部」ということなのだろう。数年前ならここにニコニコ生放送が入っていたかもしれないと思うと,いろいろ感慨深い
Radeon Software

 ReLiveではユーザーインタフェースの使い勝手にも配慮しているそうで,ホットキーを押すことで画面上にポップアップ表示できるツールバー「In-App Toolbar」を,好きな場所へ移動させたうえで,操作を行える。

 ゲーム配信で必須となる,「いいプレイができたと思ったタイミングから遡ってファイルを書き出す機能」は「Instant Replay」として実装しており,最大1時間巻き戻ってのファイル書き出しが可能だ。さらに,Webカムで撮影したプレイヤーの映像,あるいやロゴやイラスト,システム情報を任意のサイズでゲーム画面にオーバーレイ表示させる機能「Custom Overlay」も実装している。スクリーンショットは1クリックで書き出すことも可能だ。
 ドライバソフトウェアと高度に統合されているため,エンコード形式や画質といった詳細設定は,Radeon Settings上から行える。Makedon氏は「エンコード形式としてはH.265 HEVCもサポートしている」と付け加え,最新世代への対応もアピールしていた。

ReLiveは画面上にポップアップするIn-App Toolbarから操作可能。ワンクリックで録画を開始したり停止したり,スクリーンショットを書き出したりできる。ツールバー自体の表示位置を変えたりすることも可能だ
Radeon Software
ReLiveでは録画やスクリーンショットにオーバーレイでシステム情報やWebカムで撮影した映像,あるいは画像を乗せることができる。画像のサンプルはRadeon Softwareに付属するそうだ
Radeon Software

 なお,ReLiveが無償なのは言うまでもないが,Makedon氏は,「ユーザー登録は一切不要だということも強調しておきたい」とも述べていた。これは,GeForce Experienceがバージョン3世代でユーザー登録必須になり,ユーザーから少なからず不満が出ていることへの当てつけみたいなものだろうか。

ReLiveは,無料なだけでなく,何らかの登録も不要。ここをMakedon氏は強調している
Radeon Software

 ところで,RTGはこの夏まで,Radeon SoftwareにRaptr製アプリケーション「Gaming Evolved powered by Raptr」(以下,Gaming Evolved)を同梱し,Raptrの技術によるシェア機能などを利用できるようにしていた。それが,9月下旬以降のCrimsonではGaming Evolvedが外れていたわけだが(関連記事),それと今回のReLiveにはどのような関係があるのだろうか。

 聞いてみると,Makedon氏からは「2015年末の段階で,Raptrとの契約が(2016年中に)切れることは分かっていた。ReLiveを開発した理由の1つにはそれがある。付け加えるなら,動画のエンコードやデコードの技術では,我々に長年の経験があり,技術の蓄積もある。いわば動画の専門家である我々が,シェア機能を開発すべきだろうと考えた」という回答が得られた。突然のGaming Evolved非バンドル化には,そういう理由があったわけだ。

 そもそも,「Radeonは動画に強い」という評価は,旧ATI Technologies時代に定まっていた。以来AMD,そしてRTGも,動画に強いGPUとしてRadeonをアピールしてきたわけだが,それゆえに,ゲームのシェア機能をサードパーティ製アプリケーションへ頼り切ることへの不満のようなものが,RTG内部にあったであろうことは想像に難くない。Crimson ReLiveというメジャーバージョン名になった背景には,Crimsonにあるべき機能がようやく加わった,といった意味合いもありそうだ。

 なお,Gaming Evolvedにあった機能のうち,シェア機能はReLiveがカバーするとして,コミュニティ機能とゲームへの自動最適化機能は消えたことになる。
 この点についてMakedon氏は「コミュニティ機能や最適化機能より,シェア機能のほうが,はるかに重要と判断している。また,Raptrがなくなったわけではなく,Radeon Softwareに同梱されなくなっただけだ。コミュニティ機能や最適化機能が必要なら,Raptrを利用してほしい」と述べていた。


消費電力を削減できる「Chill」は,レイテンシも減らせる!?


 Crimson ReLiveにおける重要な新機能としてはもう1つ,「Radeon Chill」(以下,Chill)がある。

Crimson ReLiveに実装されたChillは,フレームレートを調整することで電力消費を抑え,GPUを冷やす新機能
Radeon Software
 Chill(チル)は名詞なら「冷たさ」,動詞なら「〜を冷やす」という意味なので,GPUを冷やす技術だと想像できると思う。基本的にはそのとおりで,「ゲーム中,あまり動きがないシーンになるとフレームレートを落とし消費電力を下げる。結果としてGPUの温度も下がる」というのが,その効能となる。動きがあるシーンでも一定の効果はあるそうだが,イメージとしてはゲーム中のアイドル状態に向けた機能という理解でいい。

Chill有効時と無効時で,Radeon RX 480における平均消費電力の違いを示したスライド。平均消費電力が107.7Wから74.7W,約31%もの削減を実現したという
Radeon Software
消費電力が下がれば当然,発熱も減る。Chillを有効化したところ,Radeon RX 480の平均GPU温度は88.4℃から77.3℃へと13%も下がるそうだ
Radeon Software

 フレームレートを下げるというと消費電力や発熱が減る代わりにゲームプレイに支障が出るのでは,と思うかもしれないが「Radeon Chillは,有効化しようが無効化しようが,(ゲームのプレイアビリティには)まったく違いがない」とMakedon氏は断言する。
 それどころか,「Chillを有効化すると,ユーザー操作(=マウスなどの操作)に対するフレームのレイテンシが減る」というのだ。

Chill無効時に平均7.1msだったフレーム遅延が,Chillを有効化すると,4.8msまで低下するという
Radeon Software

 「Chillを有効化すると,フレームレートが低下する。しかしフレーム遅延は減少する」と聞いて,そんなバカなと思う人が多いだろう。
 Chillはそもそも,HiAlgoという企業が持っていた,フレームレート改善技術を基にしている。AMDはHiAlgoを2016年6月下旬の時点で買収しているので(関連記事),その後の数か月で,同社の技術をChillとして昇華させたことになるわけだ。

 「詳細な仕組みは機密事項なので明らかにできない」(Makedon氏)とのことで,RTGは技術的な解説をほとんど行わなかったが,それでも突っ込んで聞いてみたところ,Chillではレンダリング前フレームに手を加えている可能性が高いことが分かった。

 3Dグラフィックスの描画では,描画負荷の高いシーンをレンダリングするのに時間がかかることがあり,その対策として,「バッファを用意し,数フレーム分のレンダリング結果をバッファに送り込んでおく」手法が広く採用されている。仮に60fps描画するとして,3フレーム分のバッファがあれば,負荷の高いシーンが出てきて,それに2フレーム分(≒33ms)の時間を要したとしても,バッファ側にある「先行して描画しておいたフレーム」を使うことで,60fpsのフレームレートを維持できる。このフレームをレンダリング前フレームと言うわけだ。

 この手法の欠点は,数フレーム分のレンダリングを先に行うため,その分だけ,入力に対する描画の遅延が発生する点だ。3フレーム先行してレンダリングしているのなら,ユーザーが仮にマウスをクリックした反応が描画されるのは3フレーム後のことになる。
 そのため競合のNVIDIAは,NVIDIAコントロールパネルに「レンダリング前フレーム」という設定項目を用意して,ユーザー側で数を指定できるようにしていたりする。

 では,Chillはどうしているのかだが,レンダリングとフレーム表示を同期させ,さらにフレームの内容に変化があるかどうかを動的に検出。そのうえで,レンダリングおよびフレーム表示のタイミングを変え,フレームに変化がないシーンでは見かけのフレームレートを落とし,GPUやCPUの負荷を軽減することで,消費電力や発熱を抑えているのではないかと見ている。

Chillの仕組みを説明したスライド。このスライドについて,RTGは説明を一切行わなかった。ただ,Chill無効時はCPUが1フレーム先のデータをバッファに放り込んでPresent(表示)させているのに対して,Chill有効時だとPresentの直前にCPUがフレームのデータを送り込むことは見て取れる
Radeon Software

 いずれにせよ,Chillは消費電力や発熱が減るうえ,フレームの遅延まで抑えるという,ほとんど魔法のような技術だが,いろいろと制限も多い。Makedon氏も「Chillはまったく新しい機能なので,導入には慎重になっている」と述べ,発表時点でChillの有効化を行えるのはわずか18タイトルに留まることを明らかにした。

 ちなみに18タイトルはすべてDirectX 9〜11世代のもの。DirectX 12やVulkan対応のゲームだと,今のところChillは利用できない。これは,HiAlgoの技術がそもそも「The Elder Scrolls V:Skyrim」のみを対象としていたことに起因しているそうだ。Makedon氏いわく,「(ただし)今後,DirectX 12やVulkanにも対応させていく。また,将来的にはユーザーの自己責任で,非対応ゲームに対してもChillを有効化できるようにすることも検討している」とのことだ。

Crimson ReLive第1弾でChillの対象となるゲームタイトル一覧。標準では無効になっているため,利用するためには,Radeon Settings上で有効化する必要があるという
Radeon Software

 これは推測だが,先述した「Chillの仕様」からすると,ChillではDirectX 9〜11のPresenctシステムコールなどをフックしてフレームレームレートの調整を行っているのかもしれない。だとすれば,DirectX 12やVulkanでそのあたりのAPIが大きく変わったため,現時点で非対応というのも納得できる話である。


ユーザーの利便性向上やディスプレイ関連の機能も多数強化


 ReLiveとChill以外にも,Crimson ReLiveにはいくつもの改良が入っている。以下,簡単に紹介していこう。


ビデオ関連(1)VP9デコーダの性能向上

 Googleが提唱する,インターネットにおける動画エンコード規格「VP9」。そのデコード性能がGPU,APUとも向上し,いずれかを搭載する環境で,再生がよりスムーズになったそうだ。Makedon氏は,「とくにChromeで恩恵がある」と述べている。

VP9デコーダの性能が向上した。Chromeブラウザでとくに効果があるとのことだ
Radeon Software


ビデオ関連(2)Skypeの性能向上

 GPUとAPUでSkypeのリソース消費を抑え従来より快適に利用できるようになっているという。とくにAPUでメリットが大きいそうだ。

Radeon搭載環境で,Skypeがより快適に利用できるようになるという
Radeon Software


FreeSync関連(1)リフレッシュレートの挙動刷新

 AMDが推進するディスプレイ同期技術「FreeSync」では,「有効化すると,ゲームのシーンによっては,ディスプレイのリフレッシュレートが急激に切り替わってしまう」ことがけっこうあった。要するにリフレッシュレートの変化がスムーズでなかったのだが,この問題を解決したそうだ。
 ユーザーからすると,見た目の違和感が減るのを期待できることになる。

Crimson ReLiveではリフレッシュレートの変化を従来よりも段階的にすることで,フレームレートの急激な変化が起こらないようにしているという
Radeon Software


FreSync関連(2)ボーダレスウインドウモード時のレイテンシ低減

 FreeSync有効時にゲーム側のボーダーレスウインドウモード――「仮想ウインドウモード」とも言う――を利用すると,従来では1フレーム以上の表示遅延が生じていた。これをCrimson ReLiveでは1フレーム未満に抑えたとのことである。

従来,FreeSyncのボーダーレスウインドウモードでは,ドライバ内でウインドウ描画のオーバーヘッド(※スライド中,「DWM Process」で発生しているのがそれ)があったため,1フレーム以上の遅延が発生していた。それを1フレーム未満に抑えているという
Radeon Software


ディスプレイ関連(1)DisplayPort 1.3 HBR3に対応

 Radeon RX 400シリーズで,DisplayPort 1.3仕様に含まれる「HBR3」(High BitRate 3)に対応し,実効データレートは最大8.1Gbpsへと向上した。DisplayPort 1.2仕様の「HBR2」(最大5.4Gbps)では対応できなかった,4K解像度&垂直リフレッシュレート120Hzや,5K解像度&垂直リフレッシュレート60Hz,8K解像度&垂直リフレッシュレート30Hzでの表示を,新たにサポートする。

Radeon RX 400シリーズでDisplayPort 1.3 HBR3に対応する
Radeon Software


ディスプレイ関連(2)HDR対応

 PlayStation 4とXbox Oneが対応して話題になっているHDR(High Dynamic Range)に,Radeonも対応する。Crimson ReLiveでは,PlayStation 4とXbox Oneが対応する「HDR10」形式だけでなく,Dolby Laboratoriesが提唱する「Dolby Vision」形式もサポートするのが特徴だ。
 対応GPUはRadeon RX 400シリーズおよびRadeon R9 Fury・390・380シリーズとなっている。

HDR 10とDolby Visionの両形式でHDRに対応するCrimson ReLive
Radeon Software


ディスプレイ関連(3)HDMIケーブルの不良検出

 HDMIケーブルが原因でHDMI 2.0出力できなかったという経験を持つ読者もいるかと思うが,Crimson ReLiveではそんな「問題のある」HDMIケーブルをユーザーが利用したときに,ディスプレイ表示の不具合を検出のうえ,問題なく表示できるようになるまでリフレッシュレートや解像度を落とし,その後,HDMIケーブルの問題をユーザーに通知する機能が追加となった。Radeon搭載のPCをテレビとつなぐようなケースで,とくに重宝するだろう。

 ちなみにこの機能,RTGを率いるRaja Koduri(ラジャ・コドゥリ)氏が,RTGのオフィスでゴミ箱に転がっていたHDMIケーブルを使ったところ,ディスプレイ表示できなかったことが,開発の契機になったのだそうだ。
 「Rajaはケチなんだ(笑)。で,ケーブルをつないだら表示されなかったと,RTGの技術者20名くらいにメールを送った。(そんな理由だとしても,)トップがそういう(不具合に関する)メールを投げたら,技術者は必死に対応しなきゃならない」と,Makedon氏は笑いながら,新機能実装の背景を語っていた。

Koduri氏の多大な貢献(?)により,品質のよろしくないHDMIケーブルを検出し,不具合を知らせる機能が追加となった
Radeon Software

 なお,DisplayPortでも同様にケーブルの品質問題に遭遇することがあるが,DisplayPortケーブルの不具合検出はサポートしていない。「DisplayPortは今後のバージョンでサポートしたい」(Makedon氏)とのことである。


Radeon Software関連(1)Wattmanの拡張

 GPUの電力プロファイルを設定する「WattMan」の対応GPUは,これまでRadeon RX 400シリーズのみだったが,それがRadeon R9 Fury・300シリーズと,Radeon R9 290・285・260シリーズ,Radeon R7 360・260シリーズまで拡大した。

WattManの対応GPUが,GCN 1.1世代以降のRadeonにまで拡大した
Radeon Software


Radeon Software関連(2)XConnectの拡張

 Thunderbolt接続の外付けグラフィックスボックスをサポートする「XConnect」が正式版に昇格した。外付けグラフィックスボックスというと「Razer Core」をイメージする人も多いだろうが,それ以外のメーカーの製品も広くサポートするという。

XConnectをCrimson ReLiveは正式にサポートする。スライドに描かれている外付けグラフィックスボックスがPowerColorブランドのものである点に注目してほしい
Radeon Software


Radeon Software関連(3)インストーラの刷新

Radeon Software風デザインの新インストーラ。クリーンインストールを選択できるようになった
Radeon Software
 Radeon Softwareのインストーラはこれまで,旧Catalyst時代からほとんど変わっていなかったが,Crimson ReLiveからは,Radeon Settingsと同じ,C++で開発されているユーザーインタフェースフレームワークである「Qt」ベースのものに刷新となった。それに合わせて,全ユーザー待望(?)の,「クリーンインストール」オプションが追加となる。

ついにクリーンインストールオプションを実装。ちなみに「Radeon Settings上でまだ残ってる『Catalyst時代のユーザーインタフェース』はどうなる?」とMakedon氏に聞いてみたところ,氏からは「Crimson ReLiveの代で取り去りたい」という回答が返ってきた
Radeon Software


Radeon Software関連(4)Update Advisorの追加

 PCにインストールされたゲームをRadeon Softwareが認識したとき,そのゲームの要求スペックを当該PCが満たしているかどうかを知らせる「Upgrade Advisor」を実装した。現状だと「対応タイトルはSteamで扱いのあるもののみ,利用できるのは北米市場のみ」という条件付きだが,段階的に対応ゲームと対応地域を広げていきたいとのことだった。
 筆者が確認した限り,確かに日本語版Radeon Settings上からは利用できなかったので,これは今後に期待ということになるだろう。

Upgrade Advisorは,Steamが示している必須要件を満たしているならチェックマーク1つ,推奨要件を満たしていればチェックマーク2つを表示する。必須要件を満たさない場合は「!」マークを付けて,ハードウェアのアップグレードを推奨するそうだ
Radeon Software


Radeon Software関連(5)フィードバック&アンケート機能の追加

 Radeon Technology GroupでRadeon Softwareの開発にあたっているチームに,ユーザーの満足度をレーティングで通知する機能が追加されているそうだ。満足度を,開発チームに直接伝えることができるわけである。
 また,「この中でどの新機能が欲しいか」という,選択式のアンケートも展開予定で,ユーザーがRadeon Softwareの開発へ,間接的に関与できるようにもなるという。

ユーザーはRadeon Settingsから,当該バージョンの評価を行ったり,RTGによるアンケートに答えたりできる
Radeon Software

 「そこまでやるんなら,それこそ直接Crew Feedbackでメッセージを送れるようにしたらいいのでは?」とも思ったのだが,Makedon氏は「それをやると,絶対に『ドライバがちゃんと動かねえ。AMD氏ね』とか送ってくる人がいるからね。だからレーティングにしたんだ」と笑っていたことを付け加えておきたい。


Radeon Software関連(5)DX12&Vulkanに対応したフレームレート計測ツール

 原稿執筆時点では「どのような形態で,いつからか」は判明していないのだが,RTGでは,Crimson ReLiveに合わせて,フレームレート計測ツール「OCAT」(オーキャット)を提供予定だ。
 OCATはサードパーティとなるドイツのソフトウェアデベロッパが開発したもので,DirectX 12やVulkanといった,旧来型のフレームレート計測ツールでは対応できないグラフィックスAPIを採用するゲームでもフレームレートを計測できるのが特徴である。Marinkovic氏は「Intelも似たようなツールを出しているが,あれよりもゲーマーが使いやすくしたもので,もちろん,AMD製以外のGPUでも使える」と述べていた。


Radeon Software関連(6)品質と性能の最適化

 Crimson ReLiveでは,ユーザーからのフィードバックを基に,重要性の高い不具合を中心として多数のバグ修正を行っているとのこと。また,性能面でも最適化が入っているという。RX 480が登場した当時のCrimson 16.6.2と比べると,Crimson ReLiveでは全体的に4〜8%程度の性能向上を実現できているそうだ。
 累積の数字なので,直近のCrimsonと比べた場合,そこまでのインパクトはないと思われるが,最適化が進んでいるという実績値としては意味があるだろう。

高優先度で取り組んだバグ修正の一覧(左)と,ここ半年における性能向上率のグラフ(右)
Radeon Software Radeon Software


Radeon Software関連(7)LinuxドライバでFreeSyncに対応

 Linux版のプロプライエタリドライバも機能強化が入り,FreeSync 1.0の対応と対応GPUの追加を果たしたそうだ。

LinuxでもFreeSync 1.0が利用できるようになる
Radeon Software


Radeon Pro向けのドライバもRadeon Softwareベースに


Radeon Software
 ゲーマーへの影響はほとんどないため最後に回したが,Crimson ReLiveからは,Radeon Proシリーズ用のドライバソフトウェア「Radeon Pro Software」もCrimson ReLiveに切り替わるという。

 Radeon ProでもCrimson ReLiveを利用できるようになるメリットは大いにあるというのがRTGの主張で,Makedon氏は,「ReLiveを使えば,スタッフのトレーニング用ビデオを作り配布することができる。ReLiveは企業でも使ってもらえる可能性が高いと考えている「Chillは,RadeonやRadeon Proを大量導入している企業にとって有用な機能」とアピールしていた。

 なお,Radeon Proシリーズは,「Maya」などプロ向けソフトウェアの認定を受けていることが,ゲーマー向け製品たるRadeonとの大きな違いだが,ドライバがCrimson ReLiveで統合したといっても,そのあたりに変化はないそうだ。Matthews氏は,「(プロ用ソフトウェアの認定は)あくまでもドライバとハードウェアのセットで行われる」と述べているので,その点はご注意を。

Radeon Proはプロ向けのアプリケーションの認証を受けているのがコンシューマ向けRadeonとの大きな違いだが,ドライバソフトウェアがRadeon Softwareベースになったからといって無印Radeonでもプロ用ソフトウェアの認証を受けられるわけではない
Radeon Software

Radeon Software
 気になるのは,Radeon用とRadeon Pro用で,どのようにCrimson ReLiveのリリーススケジュールを管理するかだが,Matthews氏によれば,Radeon Pro用Crimson ReLiveは,毎月どこかのタイミングでRadeon用Crimson ReLiveから枝分かれし,毎月第4木曜日にリリースするスケジュールだそうだ。


非常に規模の大きなアップデートとなったCrimson ReLive


 というわけで,2017年を通してRadeonユーザーに利用されることになるCrimson ReLiveの概要をざっくりと紹介してみた。CrimsonにReLive(とChill)を追加した,マイナーアップデート的な名称ながら,RTGとしては「最大のアップデート」と位置づけているわけだが,実際,その名に恥じない規模にはなっているように感じている。

Radeon Software

 ただそれでも,ゲーマーとしてはやはり,ReLiveの効果に注目ということになりそうだ。4Gamerでは別途テストを行っているので,興味のある人はそちらもチェックしてもらえればと思う。

 なお,CrimsonでAMDは,ゲームの発売に合わせて最適化版を公開する,いわゆる「Day-1」リリースを積極的に行っていたわけだが,その点,エンドユーザーからの反応はどうだったのか聞いてみると,「大変好評」とのこと。更新頻度が高すぎるという,ネガティブなフィードバックもとくにないため,今度も積極的にDay-1リリースを行っていくとのことだった。これはRadeon派にとって朗報だろう。

関連記事:Radeon印のゲーム録画機能,そのデキは? 「Radeon ReLive」を使ってみた

4Gamerの最新ドライバリンクページ

AMDのドライバ配布ページ

  • 関連タイトル:

    Radeon Software

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
トピックス
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:11月22日〜11月23日
タイトル評価ランキング
81
KENGOHAZARD2 (PC)
76
鬼ノ哭ク邦 (PC)
75
DEATH STRANDING (PS4)
74
56
Epic Seven (iPhone)
2019年05月〜2019年11月