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バグフィックスの進んだ「Catalyst 10.11」公開。ただしHD 6800は非対応
注意したいのは,先月版となる「Catalyst 10.10」でサポートされていたRadeon HD 6800シリーズが,なぜか対応GPUのリストから外れていること。4Gamerで確認した限り,「Radeon HD 6870」搭載環境にはセットアップできなかった――インストーラ自体は動作し,画面上はセットアップ終了まで遷移するのだが,実際には適用されない――ため,何らかの事情で,意図的に対応が見送られたのだろう。現在AMDに問い合わせているので,何か判明したら追ってお伝えするつもりだ。
※2010年11月19日10:50追記
AMDのCatalyst担当,Terry Makedon(テリー・マケドン)氏から返事が返ってきた。以下がその和訳だ。文意が明快なので,とくに解説は加えないが,対応GPUのユーザーは,これを読んで「どれを使うか」判断してもらえれば幸いだ。
「Catalyst 10.11のプログラムコードは実のところ,Radeon HD 6800シリーズの発表よりも前に完成していたので,(同GPUシリーズには)対応できない。本リリースは,ミドルクラス以下のGPUを使うユーザーに向けた,安定版ドライバという位置づけになる。
『Catalyst 10.10e Hotfix』は,Catalyst 10.11よりも新しいコードを用いているので,コアなPCユーザーやゲーマーにはこちらを勧めたい。仮にRadeon HD 6800シリーズを使っていなかったとしても,だ」
というわけで,Radeon HD 6800シリーズのユーザーはひとまず我慢が必要だが,それ以外の対応GPUを使っていて,すぐに入手したい人は,下に示したリンクを利用してほしい。いろいろ公開されているドライバコンポーネントのうち,どれをダウンロードしたらいいか確認しながら進めたいという人は,4Gamerの最新ドライバリンクページを利用してもらえればと思う。
ドライバのアップデート作業は自己責任になるので,この点はご注意を。
→32bit版Windows 7&Vista用Catalyst 10.11
→64bit版Windows 7&Vista用Catalyst 10.11
→Windows XP用Catalyst 10.11
→32bit版Windows 7&Vista用Catalyst Mobility 10.11
→64bit版Windows 7&Vista用Catalyst Mobility 10.11
→4Gamer最新ドライバリンクページ
「Display Driver」のバージョンは8.791。2010年10月版Catalystだと,順にWindows 7&Vista用が8.782,Windows XP用が8.78だったので,バージョンは0.009(もしくは0.011)上がったことになるが,結論からいうと,今月のアップデートは,Windows 7&Vista環境に向けたバグフィックスがその中心になっている。
Radeon HD 6800シリーズの対応が見送られていることから想像が付いた人も多いとは思うが,Catalyst 10.10 Hotfix版ドライバとして都合5回実施された,主に同シリーズ向けの機能拡張は,下に和訳を示した英文リリースノートを見る限り,今回の月例アップデートにほとんど反映されていない。CrossFireX(以下,CFX)プロファイルの追加だけ,と述べても過言ではない印象だ。
Catalyst 10.10以降のアップデート内容がまとまるのは,“12月号”以降のお楽しみということになりそうである。
●Catalyst 10.11におけるパフォーマンス向上
・BattleForge
- ATI Radeon HD 5800シリーズのシングルカードおよびCFX構成時に,アンチエイリアシングを有効化した状態で最大3%
- ATI Radeon HD 5800シリーズのシングルカードおよびCFX構成時に最大5%
●Catalyst 10.11における新要素
- 「F1 2010」のDirectX 11モード用CFXプロファイルの新規追加(※コマンドラインからのアプリケーション起動がサポートされたという)
- 「Left 4 Dead 2」のDLC「The Sacrifice」用CFXプロファイルのアップデート
●Catalyst 10.11で解決した問題(Windows 7)
- Aeroを有効化して再起動したあと,DirectX 9世代のアプリケーションやゲームプログラムをフルスクリーンで実行すると,システムが唐突に応答しなくなることがある問題
- CFXを有効化したデュアルディスプレイ環境で「World in Conflict: Soviet Assault」のDirectX 10モードを実行すると,プライマリディスプレイに何も表示されなくなることが間欠的に発生する問題
- 一部のグラフィックスカードによるCFX構成時に,DirectX 11世代のデモ「Stone Giant」で,フルスクリーンモードでの実行に失敗することがある問題(※「一部のグラフィックスカード」の具体例は示されていない。原文は「“Stone Giant” DirectX 11 demo no longer intermittently fails in fullscreen mode with CrossFire enabled under Multi-GPU configurations on some cards」)
- CFX構成時にタスク切り替えで「Battlefield: Bad Company 2」から抜けて,その状態から再度ゲームに戻ると,CFX動作が無効化される問題
- 一部のグラフィックスカードを搭載した環境で,ゲーム側に用意されたアンチエイリアシングを有効化し,さらにエッジ検出フィルタを利用すると,標準的なフィルタを用いたアンチエイリアシング適用時と比べて,直線がなまり,テクスチャがぼやける問題(※「一部のグラフィックスカード」の具体例は示されていない。原文は「Enabling in-game Anti-Aliasing and utilizing Edge-Detect filters no longer causes smoother lines but blurry textures when compared to the Standard filter on some cards」)
- 一部のグラフィックスカードを搭載した環境で,HDCP対応のディスプレイとホットプラグすると,デスクトップに線が表示される問題(※「一部のグラフィックスカード」の具体例は示されていない。原文は「Desktop line corruption is no longer observed after hotplugging the HDCP display on some cards)
- シングルディスプレイ接続環境で「Catalyst Control Center」から「OverDrive」を有効化すると,GPUに負荷のかからない状況においてもGPUが高いクロックで動作するようになる問題
●Catalyst 10.11で解決した問題(Windows Vista)
- Aeroを有効化して再起動したあと,DirectX 9世代のアプリケーションやゲームプログラムをフルスクリーンで実行すると,システムが唐突に応答しなくなることがある問題
- DDD製ソフトウェア「TriDef 3D」から3D立体視を利用することにし,かつハードウェアカーソル(※マウスカーソルの移動に画面表示を追従させる機能のこと)を有効化した状態で「World of Warcraft」を実行すると,マウスカーソルが間欠的にちらついたり消えたりする問題
- HDCP非対応のディスプレイとHDCP対応ディスプレイの間でホットスワップすると,Blu-ray Disc再生中にスリープや休止状態へ移行して,その後復帰させたとき,画面に何も表示されなくなる問題
●Catalyst 10.11で解決した問題(Windows XP)
- リリースノートに記載なし
●Catalyst Mobility 10.11の制限事項
- 本バージョンのリリース後に発表されたノートPCは非対応
- Intel製チップセットを搭載し,Switchable Graphicsを採用したノートPCは非対応
- 東芝製ノートPC,ソニー製「VAIO」シリーズのノートPC,パナソニック製ノートPCは非対応(※従来同様,ドライバはPCメーカーから提供される)
- 関連タイトル:
AMD Software
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