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NVIDIA,「GeForce 511.23 Driver」でポストエフェクトによるレイトレーシングベースのGI機能を実現
Release 510世代のWHQL(Windows Hardware Quality Labs,ウィクル)通過版となるGeForce 511.23 Driverは,新作タイトルへの対応に加えて,GeForce RTXシリーズ向けにいくつかの新機能が組み込まれたドライバだ。
GeForce 511.23 Driverで対応が謳われているのは以下の6タイトルだ。
これらのうち,「God of War」「Rainbow Six Extraction」「GRIT」は,NVIDIA独自のAIベース超解像&アンチエイリアシング技術「DLSS」(Deep Learning Super Sampling)と,操作遅延低減技術「NVIDIA Reflex」に対応しており,高解像度表示でのフレームレート向上や遅延の低減が謳われている。God of Warに関しては,NVIDIAによる推奨PC構成も公表されているので,参考にするといいだろう。
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最新タイトルへの対応に加えて,GeForce 511.23 Driverでは,2つの新機能が追加された。ひとつめは,「Dynamic Super Resolution」(以下,DSR)に,GeForce RTXシリーズが搭載するTensor Coreによる処理を組み込んだ「Deep Learning Dynamic Super Resolution」(以下,DLDSR)機能の追加だ。
そもそもDSRとは,GeForce GTX 900シリーズ時代に追加された機能で,ゲームにおいてディスプレイの解像度以上にレンダリング解像度を引き上げたうえで,表示時にはディスプレイ解像度まで縮小することで,高画質化を図る技術だ(関連記事)。NVIDIAコントロールパネルで「DSR係数」を設定すると,ゲームがディスプレイ解像度×DSR係数でレンダリングされるので高画質に見える仕組みである(※GPUやPCによっては,DSR係数が表示されないこともある)。
DSRは高画質を実現できるが,当然ながらフレームレートは低下する。その欠点を,AIベースの技術で軽減するのがDLDSRだという。NVIDIAの説明によると,DLSSで使用している超解像技術のニューラルネットワークと類似のもの使うことで,従来より小さなDSR係数でも高画質が得られるようになったようである。
具体的には,DLDSR係数「2.25x」(=ディスプレイ解像度の2.25倍)で,DSR係数「4x」(=ディスプレイ解像度の4倍)と同等の画質が得られると,NVIDIAはアピールしている。従来のDSRでは,ディスプレイ解像度の4倍でレンダリングしていたところ,DLDSRであれば2.25倍で済むため,従来よりもフレームレートの低下が抑えられる理屈だ。
設定方法は従来のDSRと変わらない。GeForce RTX 30/20シリーズではDSR係数の選択肢として「DLスケーリング」が追加されているので,それを選択すればいい。
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DSRは,高いフレームレートで表示できるが,グラフィックス品質はいまひとつというやや古めのタイトルに対して効果的だ。GeForce RTX 30/20シリーズを持っているゲーマーは試してみるといいだろう。
GeForce 511.23 Driverにおけるもう1つの新機能は,GeForceユーザー向け無料ソフト「GeForce Experience」に組み込まれているゲームグラフィックス用ポストエフェクト機能「FreeStyle」に加わったレイトレーシングベースのグローバルイルミネーションフィルタ機能である。
この機能は,汎用のゲームグラフィックス改善ツール「ReShade」向けに提供されている有料(※月額5ドル)のフィルタ機能「RTGI」と同等の機能を,NVIDIAがFreeStyle向けに実装したものだ。
ReShadeは,既存のゲームに対してアンビエントオクルージョンや被写界深度,色補正といったグラフィックス品質を向上させるフィルタを加える「サードパーティ版FreeStyle」的なユーティリティである(関連リンク)。オープンソースソフトウェアで,GeForceシリーズ以外のGPUでも利用できるのが利点だ。
このReShade向けの拡張フィルタに,レイトレーシングベースのグローバルイルミネーションを既存のゲームに追加する「RTGI」というものがある。RTGIは,Pascal Gilcher氏が開発した機能で,レイトレーシングに対応していないタイトルでも,レイトレーシングによるリアルなグラフィックスが楽しめるということで,一部のゲーマーの間で話題になった。
つまり,RTGIとほぼ同等の機能を,NVIDIAがGeForce 511.23 DriverでFreeStyleに追加したわけだ。追加されたフィルタは以下の3種類である。
- SSRTGI(Screen Space Ray Traced Global Illumination):RTGIのFreeStyle版。Gilcher氏が開発に協力しているという
- SSAO(Screen Space Ambient Occlusion):既存のゲームにSSAOを追加するフィルタ。陰影がよりリアルになる
- Dynamic DOF(Depth of Field):動的な被写界深度(DoF)フィルタ
要は,これまでは有料でしか使えなかったRTGIが,GeForce RTXユーザーなら無料で使えるようになったわけだ。NVIDIAは,レイトレーシングに対応していないゲームである「Prey」に,SSRTGIを適用したサンプル画像を公開しているので,チェックしてみるといい。
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使い方は既存のFreeStyleと同じで,ゲーム中に[Alt]+[F3]キー(初期設定時)を押してGeForce Experienceのオーバーレイを呼び出し,SSRTGIなど新しいフィルタを選択するだけである。Preyのように,まるでリマスタ版かのような映像が古いタイトルで実現する可能性があるので,GeForce RTXユーザーなら試してみたい機能ではなかろうか。
そのほかにもGeForce 511.23 Driverでは,G-SYNC Compatible Monitors対応機種の追加や,CUDA 11.6への対応などが組み込まれている。ドライバのアップデートが自己責任となる点は理解してもらったうえで,すぐにでも入手したい人は,以下に示したリンクかGeForce Experienceを利用してほしい。
→Windows 11・64bit版Windows 10用GeForce 511.23 Driver(797.13MB)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/185111/jp
→ノートPC向けのWindows 11・64bit版Windows 10用GeForce 511.23 Driver(797.13MB)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/185129/jp
●GeForce 511.23 Driverの対応製品
- デスクトップPC向けGeForce RTX 30シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce RTX 20シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- NVIDIA TITAN RTX
- NVIDIA TITAN V
- NVIDIA TITAN Xp
- NVIDIA TITAN Xシリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX TITAN X
- デスクトップPC向けGeForce GTX 900〜700シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 30シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 20シリーズ
- ノートPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- ノートPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- ノートPC向けGeForce 900M〜800Mシリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 400シリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 300シリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 200〜110シリーズ
●GeForce 511.23 Driverが統合するソフト(※比較対象はGeForce 497.29 Driver)
- GeForce Experience:3.24.0.123
- HD Audio Driver:1.3.38.94
- PhysX System Software:9.21.0713
- Vulkan RT:記載なし
- NVIDIA RTX Desktop Manager:記載なし(←202.21)
- CUDA:11.6(←11.4)
- NVIDIA Control Panel(DCH):8.1.961.0
●GeForce 511.23 Driverにおけるゲームへの最適化
- 記載なし
●GeForce 511.23 Driverの新要素
- 「God of War」「Rainbow Six Extraction」「HITMAN 3」「The Anacrusis」「GRIT」「モンスターハンターライズ」に対応
- DLDSR機能を追加
- FreeStyleフィルタに「SSRTGI」「SSAO」「Dynamic DOF」を追加
- Windows 11のノートPC向け省電力機能「Dynamic Refresh Rate」(DRR)に対応
- CUDA 11.6に対応
- G-SYNC Compatible Monitorsに8機種を追加(※詳細は公式Webページを参照)
●GeForce 511.23 Driverで解決した問題
- 12bitカラーに設定すると文字がちらついたり消失することのあった問題
- マルチディスプレイにするとランダムに画面が点滅することのあった問題
- 「Detroit Become Human」プレイ中にランダムに画面がカクついたり固まることのあった問題
- NVIDIAコントロールパネルでHDRやG-SYNCの設定を変更すると,マウスポインタが動かなくなることのあった問題
●GeForce 511.23 Driverにおける既知の不具合
- Windows 11で「Far Cry 6」のベンチマークを実行すると,グラフィックスの表示が異常になることがある
- Ampere世代のGPUにHDMI 2.1対応のオーディオ/ビデオレシーバーを接続してDolby Atmos対応コンテンツを再生すると,音声が途切れることがある
- WindowsのHDRを有効化すると,「Deathloop」プレイ時にVIDEO TDRエラーが生じたり,描画が異常になることがある(この問題は,WindowsのHDR設定を変更することで解決できる)
- 「Sonic&SEGA All-Stars Racing: Transformed」の水中コースをプレイすると,ゲームがクラッシュすることがある
- 「NVIDIA Advanced Optimus」対応のノートPCで,NVIDIAコントロールパネルによりディスプレイのマルチプレクサタイプを「dGPU」に設定したあとに再起動やS4スリープからの復帰させると,設定が保存されていないことがある
- 「NVIDIA Image Scaling」をデスクトップに適用すると,電源を入れてPCを起動(コールドブート)したときに,画面が左上に移動してしまうことがある。「動画をアップスケーリングする場合や,デスクトップにImage Scalingの解像度を適用しないと動作しないゲームをプレイする場合を除き,NVIDIA Image Scalingをデスクトップに適用しないでほしい」とのこと
- NVIDIA Image Scalingを有効化してDirectX 11を使用する動画アプリを利用すると,HDRに切り替えわったときに動画の再生が乱れたり,システムがハングアップすることがある。Windowsの設定でHDRに切り替える必要がある場合,必ず異なるスケーリング解像度に切り替えること
- 関連タイトル:
GeForce Driver
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