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あんスタ公式Webショップを開設した「アプリペイ」。業界にスマホ新法の風が吹いて約1年,アプリ外課金の今を聞く
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印刷2026/10/08 07:00

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あんスタ公式Webショップを開設した「アプリペイ」。業界にスマホ新法の風が吹いて約1年,アプリ外課金の今を聞く

 東京ゲームショウ2026(TGS 2026)で,昨年に続きデジタルガレージのアプリ外課金サービス「アプリペイ」について取材した。

 今年の目玉は,Happy Elementsのアイドルプロデュースゲーム「あんさんぶるスターズ!!」の公式Webショップを押し出したことだ。

画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / あんスタ公式Webショップを開設した「アプリペイ」。業界にスマホ新法の風が吹いて約1年,アプリ外課金の今を聞く

 まずはお決まりのおさらいといこう。

 2025年12月18日に全面施行された“スマホ新法”の影響で,スマホゲームではアプリストア以外での課金方法「アプリ外課金」が増加中だ。

 アプリ外課金とは,ゲーム会社がApp StoreやGoogle Playを通さず,自社ストアもしくは第三者サービスを経由して有償通貨を販売する仕組みであり,これが価格競争を促す。端的に以下のようなものだ。

・アプリストアだと,1万円で10000ダイヤ+α
・アプリ外課金だと,1万円で10000ダイヤ+800ダイヤ


 こうした競争が起きないと,宅配シェアを握り,手数料を引き上げていったUber Eatsのように,誰もが苦しみだす。そこにロケットナウが「店舗と同価格!」で切り込まなければ,ユーザーは空腹を抱えていたかもしれない。そのうえでこの2ブランドが,そのうち市場の寡占を確信し,なあなあになりだしたなら,お国に引っぱたかれる可能性がある。その結果が二大ストアを締め上げた新たな風,スマホ新法である。

 そしてゲーム業界に吹いた南風は,このアプリ外課金を芽吹かせた。

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[2025/09/29 17:57]
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[2025/11/01 09:00]
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 最近,スマホゲームではアプリストア以外での課金方法「アプリ外課金」が徐々に浸透しだしている。とはいえ,大爆発しているかというとそうでもない感覚。今回は同種サービス「アプリペイ」がまとめた現状の課題から,今を見た。

[2026/08/21 08:00]

 アプリペイでは現在,さまざまなスマホゲームの有償通貨が,アプリ内課金と同価格で「だけどダイヤ増量中!」的に販売されている。

 そして今年のTGSでは,「あんさんぶるスターズ!!Basic/Music」との協業を記念し,ブース内で同作のMVが流されていた。

 言い換えるなら,アプリペイの存在感を分かりやすく高める,広告塔となり得る人気ゲームの獲得に成功したわけだ。
 大々的にアプリ外課金を推進できるようになってから約9か月。こうしたことも含めて,現在の所感をブース担当者に聞いてみた。

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 最初に,この1年の分かりやすい成果を聞いた。するとアプリペイは,導入タイトル数が40から「71」に増加し,IRで発表された業績も約600%上昇しており,圧倒的な成長を記録したという。

 企業側の導入意図も複合的だ。目的はアプリ外課金だけでなく,「プレゼントを配りたいけど,自社開発だと大変だから,アプリペイに乗っかった」など,ソリューションとしても期待されたらしい。

 といった聞こえのいいことだけを知っても薬にはならないため,先に届いた同社プレスリリースに書かれていた課題についても触れていった。

 まず「アプリ外課金を導入したけど,入れただけでは効果がなかった」という企業側の声についてだ。
 こちらは「効果が1%に満たないみたいなケースも,5か月で50%を計上したケースも混在している」と返答してくれた。ただし,導入したアプリ外課金=アプリペイではなく,自社ストアの開設を含む業界全体の話も交じっていたことから,同社に限った問題ではない。

 アプリごとに命運が分かれた理由は,当のゲームが“ユーザーにアプリ外課金を認知させられていたか”にあるという。
 しかし,ユーザーに納得してもらえるインセンティブ(増量したダイヤの量など)の設計や,昨今の推し活に代表される顧客層の性格・傾向も大いに関わることから,一概に言える答えはないようである。

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 ユーザーにアプリ外課金を認知させられていたか。これに関しては非常に分かりやすい例え話を聞かせてもらった。

 一昔前のことだ。ネットの普及により,あらゆる企業が「物が勝手に売れるらしいから,とりあえずECサイトを作ろう!」と考えた。そのあと,誰もが「黙ってても売れるもんじゃなかった……」と気付いた。

 これと同じ話で,アプリペイを導入すれば,あとは勝手に売り上げアップ,なんてウマい話にはならないわけだ。
 といっても幸か不幸か,このレベルの話については,どのメーカーの現場要員も肌感で理解しているという。そこはゲーム業界のリテラシーの高さを評価すべきだろう。

 少なくとも,「アプリ外課金やっとけば勝手に売れるんじゃなかったのアプリペイ!」などのクレームが起きないのだから。臆測だが。

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 アプリペイや自社ストアなどの存在は,それ自体がプラットフォームであり,そこにあるだけで一種の広告として機能することは確かだ。それこそ,Amazon.comなども同じである。
 まあ,Amazonを比較対象にしてしまうと,無数の付随サービスまで目に入るため,あくまでECサイトとしての機能にだけ着目してほしい。

 肝心のアプリ外課金ストア自体の広告力だが,強いかというとそんなわけはない。たとえばAmazonやSteam,各種ゲーム機のDL販売ストアはさまざまな物品を売っている。暇な時間にウィンドウショッピングできるくらいには,陳列されている品々が興味をそそってくる。

 対するアプリ外課金ストアの場合,アプリペイなら71アプリも並べられるわけだが,自分が遊んでいない残り70アプリのお得アイテムを提示されたところで,購入はおろか,興味すらそそられない。単独アプリの自社ストアなら,それはもう商店どころか卸売りだ。関係者しか来ない。

 もちろん,アプリペイ自体のファンとして,同サイトを巡回するのが楽しい人の存在は否定しない。遊んでいないけど攻略本や攻略wikiを眺めているだけで楽しい人もゼロではないだろうし,共感もできる。

 とはいえ,ゲームストア界隈のなかでも,アプリ外課金ストアはそもそもの構造からして間口がせまい。性質的には,バイク用のエンジンオイルやリフォーム用の壁紙“だけ”を売る専門店ほどに間口がせまい。
 ゆえにプラットフォームとしては,出しておけば勝手に売れる新たな販路などと考えるべきではない。むしろ「ファンサイト」。ファングッズ専門店くらいの見方を持ち,その存在を関係各位で押し出す。このカラクリを踏まえていないと,効果が1%に満たない現実と遭遇する。

 逆に「アプリ外課金をはじめたら勝手に売れた」などというブランドストーリーを体現したのは,すでに成功者の証たる豪奢なドレスで着飾った,最初からシンデレラだったアプリだけだろう。
 それらを参考にすると,もはやアプリ外課金がどうこうより,勝負するアプリから作り直したほうが早い。身も蓋も情もない話である。

 つまるところ,アプリ外課金ストアをECサイトや広義のネットメディアとして数えても,ファンに捧げるファンのための店構えにしかならないわけなのだ……という話を,ゲーム業界の者なら誰でも当たり前に知っている,ようである。そういうことにしておこう。

 私は自分で書いてて,いま気付いたくらいだが。

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 995文字ぶりに話を前に進める。

 大多数のユーザーがアプリ外課金を利用するのは,“ゲーム側が気になる商品を売るとき”だ。これにほかならない。定期的に有償通貨を補充しておかないと呼吸ができないユーザー層でも抱えていなければ,基本はセール時期にしか注目されづらい店に近いものがある。

 たとえば,1周年記念ガチャが実装されたとしよう。そこで対峙するのが,アプリ外課金の最大の壁,App StoreとGoogle Playだ。
 これまで当たり前にあり続けた,お手軽な購入の儀式であるアプリ内課金に対して,アプリ外課金はメガホン片手に「ウチはお得ですよ! 店の外に出てから別の店舗で購入してもらうことになりますが。あと購入の手続きもまた別で――」と謳って戦うことになる。

 このとき武器となるのが,「ダイヤ増量中!」などのインセンティブである。肝心のボーナス内容の設計については,アプリペイの場合,同社が提供先アプリに対してコンサルティングするのが主流らしい。
 増量する個数はどれくらいがいいか。どれくらいだと前例に沿った効果を見込みやすいか。今までに培ってきたノウハウで,顧客の意識を調整してくれるサービスまで込みというわけである。

 なお,実際の購入判断では,以前の記事で煩悶した「アプリストアの優待か。アプリ外課金のお得石か」が悩ましくなる。

 現状の個人的な結論としては,App Storeは特定時期のセールが強力。Google Playはメンバーシップが強力。そのうえでお得石だけ見るとアプリ外課金が分かりやすくお得。けれどタイトルにもよる。
 といったものであった。事実,今はGoogle Playの会員ランクとポイントを換算しても,アプリ外課金が頭一つ抜けてお得だ。明らかに“浮いた手数料の還元”を感じられる。それが今だけの餌まきだとしても。

 それでもなお,個人的には「Google Playの育てるメンバーシップが心情的に優勢である」との結論に落ち着いている。
 この感情はアプリペイの担当者にも直球で伝えた。するとどうだ。

「ありがとうございます。弊社でも新サービス“アプリペイポイント”を9月から提供しています。ポイント付与の対象タイトルは順次調整となりますが,以降は利用者に購入金額の2%をポイント還元し,それを1ポイント=1円相当で使ってもらえます」との絶好球が返ってきた。

 こちらはまだ検証中のような形で,承諾を得たタイトルでのみ適用されるようだが,こういうのがあるともう,悩みの天秤が水平になっていく。日本人のポイント信仰をよく分かったムーブである。

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 続けて,「あんさんぶるスターズ!!」(以下,あんスタ)との協業についても聞かせてもらった。

 すでに協業中のアプリたちには申し訳ないが,あんスタともなると“遊んでいなくても人気だと分かるタイトル”であり,端的に「あんスタがあるなら見てみよう,使ってみよう」の効果も想像しやすい。それこそ,同アプリはドレスで着飾ったシンデレラ,ならぬ王子さまなのだ。

 まずは前提として,大手の人気アプリは昨今,だいたい自社ストアを構築済みだ。そのため,アプリペイなどの第三者サービスを導入する必要がない。この考えに対しては「二大ストアも,自社ストアも,第三者ストアもあることでの展望」があるそうだが,これは売り場が増えれば売る機会も増えるという単純な図式のため,今回は深掘りせずにおく。

 そのうえで,あんスタという強力なパートナーを得たアプリペイは,TGSではあんスタを目玉の展示物にした一方,サービスの御旗にするのではなく,「我々はあくまでお手伝いさせていただくというスタンスです」とした。アプリペイ自体,先述したようにプラットフォームとしての店構えに課題があると認識しており,問い合わせがあった他社にも。

「お問い合わせいただいた会社さんのなかには,アプリペイを経由することで,ユーザーに他社のアプリを目にさせ,誘導するなどで人を回遊させるのではないか,といったご懸念を持たれる担当者さんもおりました。けれど,その点については懸念する必要はありません。僕らとしては,あるタイトルから他社のタイトルに流すといった導線は考えていませんし,あくまでそのタイトルのお手伝いに終始しています」

 とのこと。これについては現実問題,先述した「71アプリ中,遊んでない70アプリのお得アイテムを提示されても買うわけない」の理論があるため,構造的に疑うだけ無駄だろう。
 加えて,ユーザーを回遊させて横流しする施策は考えない,という姿勢も分かった。そもそもゲーマーは手が早いが,節操があるし,好き嫌いも激しい子だ。(4Gamerのような)宣伝目的ではなく,購買目的が先立つ場所では,そうやすやすと財布のヒモを緩めない。そこを軽く見た企業の前例と施策の残骸には事欠かない。ときには私も共犯だったが。

※なお,ゲーム攻略の企業wikiが,攻略情報だけでなく「紹介記事」を取り入れたように,アプリペイ自体が我々のように宣伝用記事・動画コンテンツを発信するメディア特性を獲得したなら,この限りではない。そのときはまあ,「ようこそ! こっちはこっちで抱えてる苦しみを味わえる戦場へ!」と歓迎するだろう。これまたECサイトの件と同じ話だが,単にオウンドメディアを作ったところで誰も見に来ないのである……


 アプリペイが考えるお手伝いについては,「そのアプリの売り上げを増やしていくために,今まで“アプリ内だけでは提供できなかった価値”をどうやって生み出し,皆さんに届けるか。そこにあります」とした。

 具体的には,これまで二大ストアのアプリ内課金では「ダイヤ購入者に巨大ぬいぐるみもプレゼント!」なんてことはできなかった。それはさらに別のチャンネル,SNSを用いなければ成立しなかった。
 一方,アプリペイをはじめとするアプリ外課金では,(新たに生じる手間や問題から目をそらせば)そういうこともできる。ダイヤにグッズをつけたところで爆発的に売れるかは分からない。だけど,今までやっていなかったことで,収益を伸ばせる可能性がある,かもしれない。

 最大の壁であるアプリ内課金は,文字どおりアプリのなかだけで完結する。対してアプリ外課金は,外でダイヤをお得に量り売りするだけが能じゃない。“外で売るからこそできることがある”。今までできなかったやり方を,自由で広大なWebの世界で実現する。

 アプリペイの最初のお手伝いは,手数料だの利率だののセールス文句を伝えることではない。はじめに気付いてもらうべきは。

「自由な外に出ましょう! そういうことを伝えたいんですよね」

 外だからこそできることを,個々の事情に沿って提案する。アプリペイは「他社さんがアプリの売り上げをさらに伸ばしていくための,一つのツールという見られ方でもかまいません」とした。
 なるほど。ツールか。そういう言われ方をすると不思議なもので,お金を取り巻く生臭さがいい意味で薄らいだ。

 課金課金課金と金の字が並ぶと,第三者の視点ですら色眼鏡をかけがちである。けれど,最初に伝えるべきことが架空で無形のお金の話ではなく,爽快なビジョンであるなら,なかなかどうして気持ちいい。

 ちなみに,アプリペイは「今はまだ言えないこと」も準備中とのことで,次なる隠し玉があるようだった。

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 店でも興行でもゲームでもなんでも,分かりやすい勝ち筋というのがある。それは「バズれば勝てる」「有名人や人気者が生まれれば跳ねる」などだ。世間で注目されていなかったスポーツが,世界戦の活躍で一躍人気になるのと同じ。スターの存在は事業の成否を分ける。

 とだけ考えていると,これまた得てして敗色が濃くなる。こうした“スター待ち”は宝くじと同じだ。それだけに賭けていると,私たちの日々の生活が立ちゆかなくなるように,いつしか運否天賦と他力本願をベースに一発逆転の手を探すだけ,なんてスタンスに陥りかねない。

 その点,アプリペイはあんスタに,おんぶにだっこをせがむつもりはないらしい。この先,ほかのセールスランキング常連アプリと協業できたとしても,それらはあくまで攻め手の半分。我々メディアと同様,あんスタもあるよ」という旗を振りつつ,持ちつ持たれつでいくだけ。

 攻め手の残り半分は,アプリペイ自体の機能や魅力,提携に際してのノウハウの提案。それも言うは易しだろうが,スター待ちの一本足打法に頼るのではない,二本足で立つポリシーが見えただけで,長期的な付き合いになり得るプラットフォームとしては信頼性が高まる。
 基礎の向上をおろそかにして,見栄えのいいことだけに傾倒したサービスが崩壊していくさまは,誰しも人生で一度は目にするからだ。

 もちろん,スター待ちで一発逆転を否定するつもりはない。この夢は誰もが布団のなかで抱くべき理想だ。私もそうだ。
 その一方,サービスの成否にかかわらず,堅実さを忘れずに一歩ずつ進もうとするあり方はすばらしい。しかもこの考えは最終的に一挙両得だ。なんてったって日本人は,そういう姿を好ましく思うのだから。

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