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[インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー
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印刷2023/04/28 12:00

インタビュー

[インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー

画像集 No.001のサムネイル画像 / [インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー
 任天堂とイルミネーションが贈る,スーパーマリオブラザーズの世界を原作としたアニメーション映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」。2023年4月5日に北米での公開がスタートし,世界の興行収入がすでに1000億円を突破(関連記事)している大ヒットムービーが,本日(4月28日)ついに日本でも公開された。

 公開に先駆けて実施されたジャンパンプレミア(関連記事)の翌日(4月19日),マリオの生みの親であり本作の共同プロデューサーを務めている,任天堂代表取締役フェローの宮本 茂氏への合同メディアインタビューが実施された。本稿ではそこで語られた,映画制作の経緯や制作時のエピソード,作品への思いが語られたインタビューの模様をお届けしよう。
 なお,作品の設定やストーリーのネタバレなどに触れる質問や回答があるので,読み進める際は注意してほしい。

任天堂取締役フェロー 宮本 茂氏
画像集 No.005のサムネイル画像 / [インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー

映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」公式サイト


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 2023年4月18日,映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」ジャパンプレミアが開催された。アンバサダーの西野七瀬さん,マリオファン代表のよゐこの2人,共同プロデューサーのクリス・メレダンドリ氏,そして“マリオの生みの親”宮本 茂氏が登壇。公開を待つ日本のファンに向けてメッセージを送った。

[2023/04/18 20:03]

――スーパーマリオブラザーズが登場してから38年,マリオというキャラクターがゲームに登場してからはおよそ40年となった今,任天堂が本格的に関わる形の映画が誕生しました。そのきっかけや経緯について教えてください。

宮本 茂氏(以下,宮本氏):
画像集 No.037のサムネイル画像 / [インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー
 マリオが出て間もない本当に昔,アメリカでミッキーマウスとマリオの人気調査というのがあったんです。そこでマリオの人気が上回ったそうで「どんなお気持ちですか?」ともてはやされたんですが,「いやいや,50年以上歴史のあるミッキーマウスを新参者のマリオと比べるのはおかしい」と。
 ただ,そのときに「ミッキーマウスがアニメーションと一緒に育ってきたように,マリオはこれからデジタル技術と一緒に育てていこう」と,こう思ったんですね。

 過去の歴史を見てもらうと分かるんですが,それがきっかけにもなって,マリオのゲームって「新しいハードに向けて1本作ろう」「CPUが速くなったから1本作ろう」みたいなペースで発売してきているんです。
 そういう(新しい技術に挑戦する)作品だから,「マリオはゲームしかやらない」と。映画や小説などをやって,「マリオの好きな食べ物」とか「どんな家族がいる」とか,ゲームとは別のところで設定ができると,ゲームを制作するときに制限が生まれてしまう。だから,ライセンスを与える形では関わりますが,僕らはデジタルベースのゲームしかやらないと言ってきた。

写真は「スーパーマリオ オデッセイ」(C)2017 Nintendo
画像集 No.007のサムネイル画像 / [インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー 画像集 No.006のサムネイル画像 / [インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー

 とは言え,やっぱりそれではゲーム機を持っていない人にマリオの楽しさを届けられないし,キャラクターもIPとして育っていかない。だから何か違うものもしたほうがいいと考えて,ずいぶん前の話になりますが,モバイルゲームや映画はやってみようとスタートさせました。
 映画を作るにしても,自分たちが作りたいものを,作りたい方向で自由にやりたい。それをするには,僕ら自身が制作するべきだと。そう考えて数年経ったときにクリスさん(イルミネーションのプロデューサーであるクリス・メレダンドリ氏)に出会い,共同制作という形でこの作品が生まれました。

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――宮本さんと任天堂は,具体的にはどのように映画制作に関わっていたのでしょうか。

宮本氏:
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 スタートのときから(イルミネーション)と一緒に作りましょうと。僕だけではなく,任天堂のスタッフを集めた映画制作チームも参加しています。ただ,実際に制作していく際の中心はイルミネーションで,人数も圧倒的に多かったですね。

 任天堂は,主にキャラクター制作やデモシーンを専門に作っているスタッフで,映画好きを集めた少人数の映画プロジェクトのチームを作りました。
 関わり方としては,ゲームを作っている立場から,知っている情報をできるだけ提供しようという形ですね。例えば,マリオはヒップドロップをしてほしいとか,クッパを投げるときは尻尾を掴んで振り回してほしいとか。(イルミネーションと)キャッチボールをしながら,できあがってきたものをチェックすることに徹しようと。
 それ以外の制作については口を出さないというルールを作りました。映画好きって,いろいろと語りたくなるし,こだわりも出るじゃないですか。それを出すのはダメ。禁止と(笑)。相手はアニメを作る本業だから,そこは任せる。こちらは“ゲームをとてもよく知っている観客”として,ゲームにあるものを提案しました。

 時勢的にリモートワークが主流となっていたので,イルミネーションとのやりとりはほぼオンラインでしたね。もともと(イルミネーションの)ロサンゼルスとフランスのオフィスはリモートでやりとりしていて,そこに日本から私たちが参加する形だったので,あまり抵抗はなかったです。脚本から数えると約6年間,とても新鮮で楽しい制作ができました

画像集 No.028のサムネイル画像 / [インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー

――ジャパンプレミアで「8bitで描かれていたマリオが,スーパーマリオ64でパペットになり,40年越しに映画で人間になった感覚」とおっしゃっていました。どういうお気持ちだったのか詳しく聞かせてください。

宮本氏:
 最初から一緒に作ってきたので,完成したものを見てそう感じたのではなく,制作を進めながら「ああ,人間になったなあ」と感じました。

画像集 No.009のサムネイル画像 / [インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー

 (マリオの成長を振り返って)その昔,僕は漫画を描いていたんですが,会社での仕事はゲーム機の本体を作ったり,コインの投入口やコントロールパネルを作ったり,カタログを作ったりと,漫画とは関係ないことをしていました。
 それがゲームの中身の絵を描くようになり,「ドンキーコング」を作るときには,ただのドット絵を描くだけでなく,アニメーションさせてみようとなって。キャラクターを2コマか3コマ動かしたとき,「けっこう動くんだな」と,そう見えたんです。
 そのとき,「漫画をアニメーションにすることを,仕事にできるかも分からんな」と思ったんです。当時は,デザイナーがゲームを作るということがまだありませんでしたから。

 僕は漫画家になりたかった前に,人形劇の「チロリン村とくるみの木」や「ひょっこりひょうたん島」のような人形を作る作家になって,パペットショーをやりたいという夢があったんです。「スーパーマリオ64」でマリオの3Dモデルを作るとき,ほとんどのディテールを自分で決められるようになったんですが,「ついにそのときが来た」と感じました(笑)。

画像は「スーパーマリオ64」(Switch用ソフト「スーパーマリオ 3Dコレクション」に収録されているもの)(C)1996-2020 Nintendo
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 もちろんそこから先,“このパペットショーをどう進化させるか”を考えていたんですが,映画の巨大なスクリーンの中でマリオが動くとなると,ビビってしまったじゃないですが,このディテールでお客さんは一体どう思うのだろうと,ちょっと心配になったこともありました。
 それでクリスさんやアニメーターのみなさんといろいろな話をしながら,登場人物それぞれの動機みたいなものを作り込んでいったんです。例えばピーチ姫なら,ただ気が強くて乱暴なんじゃなくて,キノコ王国を守りたいという気持ちがあるところとか。そうやってできたキャラクターたちを見て,「大丈夫だ,ちゃんと人間になってる」と感じたんです。

画像集 No.029のサムネイル画像 / [インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー

――約1時間半の間,起承転結がある物語に徹底的に楽しさを詰め込んだという印象を受けたのですが,あの作り方は大変ではなかったですか?

宮本氏:
 時間はかかりました(笑)。スタッフみんながマリオや任天堂のことをよく知っているので,「ここにこれを入れてきたか!」みたいなものを,とにかく詰め込んでくるんです。今朝も監督と話していたら,「実はここにアレがあるんです」と,気付かなかったネタが入っているシーンを教えてくれて(笑)。そんな密度で制作できたことはありがたかったですね。

 観に来てくれた大人も子どもも,両方が満足できる内容を目標にしています。それから,今は作品のなかでキャラクターの“陰”の部分を求められることもあると思うんですが,そこはマリオは“根っから明るい”のが大事なところなので,そういう部分はあえて描かない形で楽しんでもらおうと。

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 USJのスーパー・ニンテンドー・ワールドを作るときも,来場した子どもたちが床をゴロゴロ転がって楽しんでいるので,親も仕方なくという感じで付き合ってみたら意外と楽しかった,みたいな場所にしたいなという想いがあったんですが,映画もそういう場所にしたいというのがありました。
 映画館に行くときは,「子どもに付き合って大人が一緒に」とか(保護者が)「子どもに見せたい」とかありますが,子どもにも大人にも観たいと思ってもらって,そして楽しんでほしい。それを目指して制作を進めた結果,うまく仕上がったと思っています。100回以上観た僕も,今も毎回楽しく観られていますからね。

――宮本さんが手掛けた映像作品に,2014年に公開された短編アニメ集「PIKMIN Short Movies」がありましたが,同作品から今回の映画に活かしたことやチャレンジしたことはありますか。

宮本氏:
 とくにないですね。「細かいところまで確認して映像を作り上げることは難しい」と経験をしたこと以外は,今回の映画にはあまり関係はないです(笑)。そもそも長編映像を作ることは,ショートムービーを作るのとは全然違う仕事でしたから。

 ショートムービーという話からは変わりますけど,ここ十数年の経験としては,ドラマから得たものを意識したもの作りをしていたというのがありますね。
 ドラマに興味を持ったのは,NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)ですね。ここ10年以上,毎日朝ドラを観ていて,批評じゃないですけど「ここはよくできていて素晴らしい」とか「ここはなっていない」とか感想を家や会社でよく話すんです。社内では「NHK朝ドラ評論家」と呼ばれたり,家では妻に「私に言わんといて!」と言われたりするくらいで(笑)。

画像集 No.033のサムネイル画像 / [インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー

 僕は,ゲームは「本当のようなウソの話」という考えを大事にしているんです。ゲームの世界は完璧にウソの話ではあるんですが,そこにどこか現実的なことを入れて,本当にあることのように感じられるようにしたいと。リアルに見せる部分がいいかげんな作りだとがっかりしますよね。そういうことが,ドラマを観ていて学べるんですよ。
 そのなかで面白いなと思ってみていたのが,台詞回しでした。なので映画を作るときは,クリスさんとの最初の相談でまず「最初から日本語版を作りたい」と提案しました。日本語の演技や言い回しにはしっかり関わりたいと,収録から編集まで立ち会いました。

――ジャパンプレミアで,「クリスさんともの作りの仕方が似ている」と話していましたが,具体的にどのようなところが似ていると感じたのでしょうか。

宮本氏:
 クリエイター同士の見方もあって説明は難しいんですが,1つ分かりやすいところでいうと反省をすることです。
 僕はゲームが完成して発売されるまでの間に,チームで一緒にご飯を食べたりしながら,そのゲームのマズかったところを話し合うんです。ネガティブに聞こえると思いますが,発売されて“結果”が出る前に考えを固める。そこでの話し合いで,次の方針や考えも固まるんですね。
 クリスさんも,自分が失敗したことを振り返って話されたり,反省されたりする方です。そこは似ていると思います。クリスさんとの関係は本当に良好で,一度も揉めていませんね。

ジャパンプレミアより。左から3番目がクリス・メレダンドリ氏
画像集 No.019のサムネイル画像 / [インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー

――日本公開前に,すでに世界中でヒットを記録しています。率直な感想を聞かせてください。

宮本氏:
 ラッキーそのものです(笑)。「世の中にいいモノはゴマンとあるけど,気がついてもらえるのは一握り」と僕は考えているんですね。ネットでこれだけいろんな情報が流れるようになると,ほとんど埋もれちゃいますから。幸運が手伝わないと,なかなかこうはならないと思ったんです。

 それともう一つ,40〜50代にマリオで育った世代がいて,その子どもたちもマリオを知ってくれていることがあります。海外の入国審査の際はよく「任天堂で働いていて,マリオを作った」と説明するのですが(笑),最近はそれを伝えると「新しいマリオのパークができるね」とか「映画,楽しみにしているよ」って盛り上がってくれるんです。そしてみなさん家族で「一緒に行く」と言ってくれるので。

 映画を見た年配の方が涙を流して感動してくれたという話も聞いて嬉しかったです。泣かせようと狙った部分はないのですが,だからこそ昔を思い出して感動してくれたんだろうと。こういう声をいただけるのは,ありがたい反響でした。

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※以下,設定や物語,作中の具体的な描写などに触れる質問や回答があります

――ニューヨークのブルックリンで暮らすマリオの家族はどのように作られたのでしょう。

宮本氏:
 まずは,できるだけシンプルな脚本にするところから始めました。「面白い脚本を作る」というところから入っていくと,どんどん新しい設定が増えてしまって,収拾がつかなくなりますから。
 それと,映画向けの新キャラクターはできるだけ抑えて作っていく方針にしました。すでにいる(マリオのゲームに関わる)任天堂キャラクターで固めようと。僕は「任天堂タレント事務所」と勝手に呼んでいるのですが,彼らを送り込むような感じですね(笑)。

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 マリオの家族というのは(先ほどの話にもあった通り)昔からの課題でした。例えば「すごくかわいくて小さな妹がいる」みたいな設定をすると,そのあとゲームを作るときの“縛り”になってしまいます。「背の高い妹を出したい」となったとき,それができなくなりますよね。そういった事情はあるにしても,将来に向けやっておくべきこととして,マリオの家族構成は考えたかったんです。

 これは僕のステレオタイプな考えも入っていますが,マリオとルイージはイタリア系の移民で,ブルックリンに住んでいるブルーカラーというイメージなんですよね。そう考えると,兄弟2人だけでニューヨークに住んでいるという設定はどうしても成立しない。一緒に住んでいるファミリーがいて,家族や親せきみんなでご飯を食べている。そんな生活が思い浮かんだんです。
 そこで,家族を出すならお父さん,お母さん,あとはおじいちゃんくらいにしようと。あとは親戚が何人かいるというイメージで,わりと絞り込みました。

 実はあのお父さんとお母さんは,20年ほど前に小田部さんと一緒に描いたスケッチがあって,それを元にして作っています。映画の新しいキャラクターはマリオの家族くらいですね。

※アニメーター/キャラクターデザイナーの小田部羊一氏。スーパーマリオシリーズやゼルダの伝説シリーズといった任天堂タイトルのキャラクターイラストや監修,アートワーク制作などを担当

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――マリオとルイージが,配管工からスーパーマリオブラザーズになる過程が描かれていたことに驚かされました。映画でその部分を描こうと思った理由を聞かせてください。

宮本氏:
 「土管がたくさんあるニューヨークの地下で活躍する配管工の兄弟」という設定は,マリオには以前からあったものですね。昔作られたライセンス作品の実写映画(スーパーマリオ 魔界帝国の女神)もその設定で描かれています。「ドンキーコング」も舞台がニューヨークで,「もしニューヨークに住んでいるのなら,地域はブルックリンだろうな」とイメージしていて。
 ニューヨークから土管をとおり,不思議な世界につながっていくというのは,マリオの制作陣や関係者の共通認識としてありました。

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――マリオのライバルとしてスパイクが出てきましたが,彼の出演の経緯を知りたいです。

宮本氏:
 あらためて感じたんですが,本当に世界中,いろいろな業界にマリオや任天堂のキャラクターを好きな人がいるんですよね。そのなかには,僕が知らないゲームのキャラクターにも詳しい人もいるくらいで(笑)。
 今回の映画チームも,監督や脚本家,それからパリのアニメーターの人たちと,みんな本当に任天堂のゲームやキャラクターが好きで,いろいろな要素をどんどん提案して作中に取り入れてくれるんですよ。そのうちの一つがスパイクでした。

※レッキングクルーなどに登場する任天堂のキャラクター。日本での名称はブラッキーで,映画の公開に合わせて国内での名称もスパイクに変更となった

 僕らは「トリビア」や「イースターエッグ」と呼んでいるのですが,ほかにも「パンチアウト!!」ファンのピザのお店とか,いろいろなシーンにそれらがたくさん詰め込まれていているので探してみてください。収拾がつかなくなるので,いちおう8bitのゲームの範囲にしたんですが,「しゃべる!DSお料理ナビ」のシェフの絵が入ったコショウ入れなんかもあります(笑)。

――ありきたりな質問にはなりますが,宮本さんとお気に入りのキャラクターとシーンを教えてください。

宮本氏:
 ありきたりですけど,全部です(笑)。キャラクターに関しては,マリオだけでなくみんなレベルが一つ上がったと思います。ノコノコのヘルメットとか,スケッチを何十回作り直したかっていうぐらいやりとりをして仕上げていますし,カメックなんかも凄くいいキャラクターになっていて,全員が生き生きと仕上がっていますから。

 僕の中で大きかったのは,ピーチとクッパですね。キノピオたちのために戦うピーチは,エレガントなお姫様でありながら凜々しい姿を見せる,とても生き生きしたキャラクターになりました。マリオに対する絶妙な感情もうまく描けていますね。

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 クッパは当初,「映画のヴィランはとことん悪ではないと観客が作品に没入できない」という一般的な考え方があったんですが,完全な悪役ではない,どこか愛せる部分を持たせました。そうやって作っていったら調子に乗りすぎて,ハの字マユ毛で目が点になったクッパの可愛いシーンがどんどん増えてきて(笑)。ちょっとゆるめすぎかと,終盤は恐いクッパに演出をし直すくらいでしたね。
 2人ともキャラクターとして,とても成長したと感じています。

 (シーンについて)この前も見どころを聞かれて「全部」と答えたんですが,それでは答えにならないので「エンディングです」と伝えています。
 エンドロールが実に楽しくて,映し出されるアニメーションと音楽がまた素晴らしいんですよ。とくにマリオのゲームを知っている人たちには,その2つの組み合わせを見るととても嬉しい気持ちになると思います。

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――ピーチ姫がファイアフラワーに触ると,ドレスが白くなってファイアピーチになる描写が印象的でした。

宮本氏:
 それはよかったです。ちゃんと色が変わっていることが分かってもらえるかなと心配してたんですよ。

――クッパが歌唱するシーンでは思わず声を上げて笑っていました。あのシーンはどのように生まれたんでしょう。

宮本氏:
 イルミネーションからの提案です。エルトン・ジョンとかビリー・ジョエルのようなアーティストのようで面白いうえに意外性もあって,僕も楽しみにしていました。クッパの指で弾けるピアノって,一体どんなものになるんだろうと思っていたんですが,意外と普通のピアノで,指のサイズも気にせずに弾いてましたね(笑)。
 あれは(英語版でクッパの声を担当した)ジャック・ブラックさんがノリノリで,歌まで一緒に作って歌ってくれたんです。とてもライブ感があっていいですよね。ジャックさんはアメリカのプレミアで自前のクッパのコスプレで登場したりもして楽しませてくれました。

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 ほかにもこの映画ではいろいろな発明がありました。例えば,キノコ王国で唯一の人間であるピーチ姫の出自。王国にはピーチ姫1人で王様がいないけど,ゲームでは(スーパーマリオブラザーズ3などで)他の国の王様が出てくるし,キノコ王国だけいないのは設定として難しさがありました。
 そこを脚本家のマシューさん(マシュー・フォーゲル氏)がワンシーンでうまく説明づけてくれたんです。これは僕らもスッキリできる,マシューの発明でしたね。

マシュー・フォーゲル氏(写真はジャパンプレミアのレッドカーペット)
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――映画を観ていて,ゲームを遊んだときの気持ちよさみたいなものを感じました。そういったことを表現するため,宮本さんからアドバイスしたことはありますか。

宮本氏:
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 マリオの映画にお客さんがいったい何を期待しているかというと,やっぱりアクションシーンだと思うんです。なので,ゲーム内にあるようなアクションを見せるシーンをすごく大事にしました。

 大昔に横井さんも話していたんですが,任天堂のゲームって,誰かがプレイしているのを横で見ている人が「代わって」と言いたくなるような楽しさが重要なんですね。そこは今回の映画も一緒なんです。
 最初は妙に力が入っていて,リアルなセットの中を複雑なカメラワークで撮るみたいなアクションシーンを作っていたんですが,どうも画が見えなくて。そこで,冒頭のブルックリンの工事現場を駆け抜けるシーンで,横スクロールアクションのようにしてみたらちゃんと画になった。

※技術者/ゲームクリエイターの横井軍平氏。任天堂を代表するさまざまなゲーム機やソフトの開発に携わり,同社を世界的大企業へと押し上げる原動力となった(関連記事

 ど派手なシーンも中にはいくつかありますけど,ゲームに近い見せ方に割り切ってもちゃんと画になることが分かったことで,楽しいシーンを作ることができましたね。
 それらは2人の監督(アーロン・ホーヴァス氏とマイケル・ジェレニック氏)の力です。あと,音楽監督のブライアンさん(ブライアン・タイラー氏)ですね。この3人の力が素晴らしかったです。

アーロン・ホーヴァス氏とマイケル・ジェレニック氏(写真はジャパンプレミアのレッドカーペット)
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 ただ,(口は出さないというルールで)やったらダメだとチームのメンバーに言いながら,自分自身で監督の領域まで口を挟んでしまうことはありました(笑)。
 例えば工事現場のシーンですが,ルイージがマリオを追いかけて工事現場から出るとき,最初はドアを開けっ放しにして駆け抜けて行ってたんですね。それを見て思わず,「ルイージならあのドアは閉めてほしい」と伝えていました(笑)。秒数が決まっている場面で,今から変更は難しいという時期なのに,いつの間にかその修正は反映されていましたね。

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 ほかにも,(ある水中のシーンで)泡がポコポコ出ているところで,「最後にもう1個(間を開けて)ポコって出してほしい」とか,結局いろいろ言ってました。監督が「(あなたと仕事をするのは)二度とごめんだ」となっていないか不安でしたが,「ずっとこの仕事を続けたい」と言ってくれて,本当に救われましたね。
 これだけ長い時間をかけて作ったのに,スタッフ全員が最後まで仲がいいというのはけっこう珍しいことではないかと思います。

――少し気が早い話かもしれませんが,今後もこういった映画や映像作品は続けられるのでしょうか。

宮本氏:
 そのためにニンテンドーピクチャーズを立ち上げましたし,映像もコンテンツの一つですから,ゲームに限らず今後もやっていきます。ただ今はこの映画に集中していますし,当分次の話は上がってこないと思います。皆さんにもいまはこの映画を楽しんでほしいです。
 あと,これはすごく特殊ですが,今後も制作発表会のような形での披露は絶対しません。任天堂は面白いものができたときが発表のタイミングで,それはゲームも映画も同じです。それを踏まえて,今後も楽しみにしていてください。

――2023年4月19日収録

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