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AIキャラクターの独自性や雑談機能を強化。法人向けAIソリューション「Rinna Character Platform」の新版が発表された説明会をレポート
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印刷2021/01/25 17:13

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AIキャラクターの独自性や雑談機能を強化。法人向けAIソリューション「Rinna Character Platform」の新版が発表された説明会をレポート

 AIチャットボットの研究開発を手がけるrinnaは2021年1月25日,オンライン記者説明会「法人向けAI新製品の発表とAI研究最新動向」を開催した。本稿では,今春提供開始予定となる同社の企業向けAIマーケティングソリューション「Rinna Character Platform」(以下,RCP)の新版の発表を中心に,説明会の模様をレポートする。

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 rinnaの手がけるAIチャットボット「AIりんな」は,ユーザーと長くチャットすることを目的とし,人間があらかじめシナリオを用意するのではなく,AIが返答内容を決定するという特徴を持つ。2015年のデビュー以来,チャットモデルは2回変更されており,2015年から2016年にかけては従来の検索エンジンの仕組みを応用し,巨大なインデックスから応答文を検索する「Retrival Model」が用いられた。
 続く2016年から2017年にかけては,インデックスを持たずに,AIからリアルタイムに多彩な文章を生成する「Generation Model」に変更。これにより,AIりんなだけでなくさまざまなキャラクターを展開することが可能になった。
 そして2018年から2020年にかけては相づち,質問,肯定,話題転換,あいさつという5つの戦略のコンテキスト情報を含む文章を生成する「Empathy Chat Model」となった。

 RCPは,AIりんなの開発・運用で培ったノウハウを応用した企業向けAIマーケティングソリューションである。その特徴は,「キャラクターの口調での雑談会話」「雑談会話によるインタラクティブマーケティング」「キャラクターの機能を使ってユーザーに新商品や新イベントを告知」となっている。
 RCPはローソンのマスコットキャラ・あきこちゃんやソフトバンクのロボット・Pepperなどにも採用されており,2016年の提供開始以来,計9社,約4000万ユーザーに利用されているとのことだ。

 今回発表された新版RCPは,外部サービスとより柔軟な連携が可能となっている。RCPでは,LINEやTwitter,あるいはパートナー独自のアプリなどから入力されたメッセージが,内部の各コネクタを経てメッセージ処理のパイプラインに送られる。このパイプラインでは,口調などキャラクター独自の機能をはじめ,さまざまな処理を施して応答文が作成される。
 また最初に入力されたメッセージが雑談であると判断した場合には,新たに開発されたチャットエンジン「Style Transfer Chat」(以下,STC)に送られ,雑談用の応答文が作成される。

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 STCのチャットモデルは,最初に大量の対話データを用いて事前学習を行う。その事前学習済みのチャットモデルに,口調などのキャラクターごとの少量データを使った追加学習を施して,それぞれのSTCモデルを構築していく。

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 そうしたSTCモデルの追加学習に必要な対話データ量を検証するべく,データ量100ペアから2000ペアの5種類で比較したところ,キャラクターの再現性は200ペアで人為的に作った学習データとほぼ同等になり,以降はデータ量を増やしてもほぼ横ばいという結果になったとのこと。つまり,少量のデータでキャラクターの個性を表現できるわけである。

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STCによるチャット例も示された。いずれもキャラクターに沿った応答文が示されている。また質問の言葉数が少なくとも,文脈に沿った応答がなされていることが読み取れる
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 RCPの活用方法も紹介された。これまでのマーケティングは,企業からユーザーに向けて一方通行になりがちで,ユーザーの詳細な反応を知ることが難しいという課題を抱えていた。
 しかし雑談ができるAIキャラクターを使ったマーケティングでは,双方向的なコミュニケーションを期待できる。例えばキャラクターが雑談口調で情報を発信すると,ユーザーが同じく雑談口調で応答してくれることを期待できるというわけだ。企業はそれらの応答を蓄えて分析することで,ユーザーの声に応える行動を展開できるのである。

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AIキャラクターの不適切発言防止などを,AIを用いてサポートする機能も紹介された
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RCPパートナープログラムも用意されている

 また説明会の冒頭では,rinna 代表取締役社長 ジャン“クリフ”チェン氏が,同社の2021年度経営戦略を公開した。まずクリフ氏は,これまでの歴史上,新しいインタラクションの形が新たな価値を生み出してきたと説明。例えば「言葉」は,個人の考えることを他人と共有可能にした。また「文字」は,4000年前の人々の考えたことなどを現在にも伝えられる,つまり時間を越えることを可能にした。「本」や「インターネット」は,さまざまな国や地域にいる人達の考えを世界中に伝えられる,つまり場所を越えることを可能にした。
 同じように「AIキャラクター」は,人々の関係性を超えるものであるとrinnaは捉えているため,同社では「すべての人と組織にAIキャラクターを」という経営ミッションを掲げているという。

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 そうしたAI開発は,「公平性」「信頼性&安全性」「包括性」「プライバシー&セキュリティ」「透明性」「説明責任」を原則としているとのこと。またrinna自体も,この原則を備えた組織でありたいと考えているそうだ。それらに沿って同社では,積極的な人材採用を行い,2021年内に社員を90名規模に拡大する計画とのことである。

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