企画記事
PlayStation 2が今日で20周年! 史上最も売れたゲーム機と,ここから生まれた名作タイトルを振り返る
ファイナルファンタジーX 2001年7月19日発売
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「ファイナルファンタジーX」(以下,FFX)は2001年にスクウェア(現,スクウェア・エニックス)が発売した,ファイナルファンタジーシリーズ(以下,FF)における10作目のナンバリングタイトルだ。
初代PS向け最後のシリーズ作品となる「IX」や,現在も続くMMORPG「XI」と同時期に制作が発表された本作は,当初はオンライン対応作品となる予定だったが,最終的にはスタンドアロン型の作品としてリリースされることになった。
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発売までに紆余曲折はあったものの,ハードウェアがPS2に移ったことで,キャラクターの表情を自然に動かせるほどの細緻な3Dグラフィックス表現が可能になり,大容量化に合わせてシリーズ初のキャラクターボイスが取り入れられるなど,ゲームとしては記念すべき区切りの10作目にふさわしい進化を遂げていた。
システム面においても,長年シリーズの代名詞として使用されてきたATB(アクティブタイムバトル)を,キャラクターのステータスと選択したコマンドに応じて次の行動順が変動するCTB(カウントタイムバトル)に置き換えるなど,挑戦的な仕様が多数組み込まれることとなった。
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中でも特に印象深いシステムといえば,やはり「II」以来となる“レベル概念の撤廃”に挑戦した成長システム「スフィア盤」だろう。スフィア盤はすごろくのような巨大ボードで,スフィアと呼ばれるアイテムをボード上に配置することでキャラクターの成長とアビリティ習得を行えるシステムだ。
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こういった挑戦的なシステムには抜け穴が生まれがちなのだが,スフィアの配置にコストを設けたり,一部の分岐解放にキーアイテムを要求することで,うまくプレイヤーの自由な選択とゲームとしての楽しみを両立させていた。
ここからは筆者の思い出話を語らせてもらおう。筆者が最も多感なゲーム少年だった時代。具体的には1990年からの18年間はゲームのグラフィックス表現が大幅に進化した時代でもあり,進化し続ける表現力の広がりに注目が集まっていた。そして,そうした進化の先頭には常に「ファイナルファンタジー」があった。
当時,筆者は「FFを追いかけてさえいれば,必ず新しいワクワクに出会うことができる」という確信を持っており,FFシリーズはそれに応え続けてくれた。ゲーセンもない田舎住まいでコンシューマゲームしか知らない筆者にとって,FFは輝かしいゲームの未来そのものだった。
その中でも,特に大きな衝撃を受けたのが「FFX」だった。当時の筆者はネット情報やらゲーム雑誌やらを読むようになり「ゲームはビジュアルだけじゃないンすわ(笑)」とか言うようになっていた(今思うとPS2をなかなか買えなかった事から来るやっかみだった気がする)が,「FFX」を起動してオープニング演出を見た段階で「ないンすわ(笑)」は吹っ飛んだ。
ゲームを開始するとなんやかんやあって主人公のティーダが登場するのだが,まず体を構成するパーツが多い。「オイオイ大丈夫かよこんな細かいアクセサリーとかジャラジャラ付けちゃってよ!」などと心配していると,続いて彼が住むザナルカンドの街並みが画面に映り,ラジオの音声,環境音やざわめきが聞こえてくる。
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おそるおそるコントローラーに触れると,画面内に存在しているだけでスゴい世界を(ゲームだから当たり前なのだが)歩き回れるではないか。この中にはもうひとつの世界がある! ……と,小学生高学年の筆者が錯覚するには十分な情報量が「FFX」にはあった。
当時から3Dグラフィックスは“リアル”と言われていたが,あくまで「コンピューター上でこんな立体的な処理ができて,こうやって工夫すればそれっぽく見えるよね」的な基準でのリアルだった。その尺度で「FFX」の世界を見てしまったせいで脳が完全にバグったのだ。
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どれくらいバグっていたかというと,何の疑問も持たず雷平原の雷を200回避けるまで画面に向かい続けられるくらいバグっていた。おかげで,徹夜が続くと視界に緑色とか黄色とか愉快な色が混ざって楽しい,という新たな知見も得ることができた。
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それから十数年の時を経て,最近はまた「ゲームはビジュアルだけじゃないンすわ(笑)」と言うことが増えてきた筆者だが,美しく没入できる世界に接した瞬間に発生する“バグ脳”の感覚が忘れられず,最新のVR技術を用いた作品などにはつい飛びついてしまう。「FFX」は,技術の進化が娯楽に与える力を筆者の体に刻みつけてくれた作品なのだ。
エースコンバット04 シャッタードスカイ
2001年9月13日発売
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ドラマ「北の国から」で知られる脚本家・倉本 聰氏は,脚本の原則として「大きな嘘はついても,小さな嘘はつくな」と述べた。例えば,「感染するとゾンビになるウイルス兵器の漏出災害が起こった!」や「2077年に全世界的な核戦争が勃発した!」という突飛な大前提は許容されるが,ストーリーを回すために偶然が都合よく重なったり,「サブキャラクター達が主人公の知らないところで話し合ってストーリーを回す」などと大前提を覆したりする演出は,リアリティの欠損としか受け取られない。
1990年代のゲームは,何を表現しようと基本的には“嘘”にしかならなかったが,PS2時代のゲームでは“嘘とリアリティのさじ加減”が可能となり,それゆえの表現的な難しさを呼んだ。とくに戦闘機モノなどの機械を操るゲームにおいて,嘘を大きくするか/小さくするかは難題となってくる。エンターテインメントとしての突飛さに寄ればリアルな戦闘機としての魅力は失われるし,シミュレーションとしてのリアルさに寄ればエンターテイメントらしいケレン味が損なわれる。1992年に登場したアーケード機の2Dシューティングゲーム「F/A」あたりならリアリティなど大して問われなかったが,2001年にリリースされたPS2時代のエースコンバット――「エースコンバット04 シャッタードスカイ」(以下,AC04)は,この難題に直面していたはずだ。
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「エースコンバット」シリーズは,アーケードゲーム「エアーコンバット」に端を発することもあり,エンターテイメント性に特化したフライトシューティングだった。しかし,細かいリアリティに目をつぶったゲームをPS2時代のクオリティに落とし込むと,“嘘”にしかならなかった部分が小さな“嘘”として顕在化し,戦闘機モノとしての魅力が損なわれてしまうことになる。戦闘機がこんな動きをするはずがない,こんな作戦があるわけない,こんな部隊編成があるわけない,こんなの全然リアリティが無い,面白くない……と。
ナムコ特有のSFテイスト(直営ゲームセンターのミライアや受付小町などにも見られた未来志向)と「エースコンバット」シリーズの合流によって生まれた「エースコンバット3 エレクトロ・スフィア」からの連続性保持と差別化のため,「AC04」はアーケードライクなプレイ感やゲームらしいケレン味こそ踏襲しつつも,表現的な部分ではリアリティが重視された。リアリティ重視の志向は,シリーズで初めてロッキード・マーティンからライセンスを得たことや,航空自衛隊の協力を得て,実際のエンジン音をサンプリングしたことなどからもうかがえる。
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「AC04」のシナリオは主人公の活躍こそヒロイックだが,幕間で描かれる物語では,墜落した戦闘機で殺傷される民間人,誹(そし)りの言葉を浴びながら占領軍相手に営業する酒場,ハーモニカとギターの協奏で穏やかな時間を過ごす現地の少年と占領軍の兵士など,ヒロイックとは程遠いシーンが続く。クライマックス付近ですら,少年が占領軍の兵士に向けた拳銃と罵声は兵士の心を“普通に”傷つけるのみで,激しい絶望や悲嘆は無く,その兵士が戦死しても少年の心には“普通に”侘(わび)しさが訪れるばかりだ。フィクションに使われがちなリアリティに欠ける小さな“嘘”,すなわち現実をカリカチュアライズしたステロタイプな善悪や苦楽の描写は避けられており,プレイヤーの表層的な興奮だけでなく,リアルな感情を励起させる。
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「AC04」の構造は,「現実とは異なる大陸配置の地球で,ゲームらしい挙動をするもリアリティあるビジュアル&エンジン音の実在戦闘機を操り,スペキュレイティブ・フィクションのシナリオを体験してリアルな感情を揺さぶる」という,リアリティとフィクション性が複雑に絡み合ったスタイルとなっている。この捩れぶりは,ほぼ嘘(=エンターテイメント)だけで作られた原点,また別の嘘(=フィクション)を描いてみせた前作,ある種の嘘(=チープな表現)を許さなくさせる新時代のゲーム機,この3面に対して,ベストな“新しい嘘”を見せようとしたからこそ生まれたものだろう。
PS2時代,フライトシューティングのちょっとした流行が起こり,複数社から戦闘機モノのゲームがリリースされたが,当時から現在までシリーズが継続しているタイトルは「エースコンバット」ぐらいのものだ。それが成し遂げられたのは,ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)が「AC04」という絶妙な“嘘”を知っていたからこそだと筆者は考えている。
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ファイナルファンタジーXI 2002年5月16日発売
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2002年5月16日にサービスが開始された「ファイナルファンタジーXI」(以下,FF11)は,コンシューマ機としては初であろう本格的MMORPGだった。
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FF11はスクウェア・エニックス(サービス開始当時はスクウェア)の看板シリーズ「ファイナルファンタジー」のナンバリングタイトルということもあり,発表時から大きな話題となっていたが,ハードディスクとネットワークアダプタを兼ねた「BBユニット」の購入やインターネットへの接続が必須というハードルの高さに,サービス開始当初はプレイを断念するシリーズファンも多かった。
2000年から,フレッツ・ADSLやイー・アクセスがサービスを開始し,翌年の2001年からはYahoo!BBもスタート,FF11サービスの前年は「ブロードバンド元年」などとも呼ばれていたのだが,一般家庭にとってインターネット環境は,まだまだ縁遠いものだったのである。
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当時の筆者だが,すでにインターネット環境はPCやドリームキャストで構築済であったため,それほど苦労することなく「FF11」をプレイする準備を進めることができた。しかし,ナローバンドの“テレホーダイ”を,フレッツ・ADSLに変更することになった。
この時に契約したフレッツ・ADSLを(タイプの変更はしたものの)昨年まで利用していたのだが,2023年にサービスが終了するようなので,泣く泣く光にすることになった……のはどうでもいい話である。
そんなこんなでプレイを始めた「FF11」だが,翌年の2003年4月17日には1本目の拡張データディスクである「ジラートの幻影」 が発売された。
さらに2004年9月16日には,拡張データディスク「プロマシアの呪縛」が発売。この頃にはインターネットの普及もかなり進んでおり,翌年の6月には本作における同時接続者数の最高記録を打ち立てているようだ。
2006年4月20日には「アトルガンの秘宝」が発売されXbox 360版のサービスも開始。ゲーム内は大きな盛り上がりを見せていた。
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「FF11」ゲーム内の思い出として忘れられないのは,やはり苦労して進めたミッションだろう。初のバトルフィールド戦(以下,BF)である「ドラゴンミッション」や,頂上までの道中と,BFに入るまでの待ち時間が長かった「デルクフミッション」。ダボイとベドー,オズトロヤ城でNMの恐ろしさを知る「魔晶石ミッション」(フィーーーーーック!)。そして物語の区切りとなる「闇王ミッション」は,いまでも,その苦労と攻略の楽しさを覚えている。
三国ミッション以外では断然「プロマシアミッション」の印象が強いのだが,新エリア「プロミヴォン」でのあまりよくない思い出なので,できれば忘れておきたい。
簡単に説明すると,かなり突き詰めたパーティ構成でないとクリアできない難度であったため,同じリンクシェルに所属する仲間であっても,誘われないメンバーが発生することが多かったのだ。そのため,残された人はミッションを攻略中であろう人達の会話から,たまに漏れ出るリンクシェルチャットに涙しながら,街中で1人,競売を眺めるなどしていた。
筆者も“誘われない側”としてジュノでぼーっとしていることが多かった。同じく誘われなかった(リアル)嫁も所属リンクシェルのメンバーに呆れ,ふたりしてリンクシェルから離れていくことになる。
彼らとは,ドリームキャストの「ファンタシースターオンライン」からともに遊んできた仲間であったが,まあなんというか,寂しいものである。「絆ブレイカー」とも言われた同ミッションだが,のちにレベル制限は撤廃された。
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悲しい記憶は忘れよう……。さて,「FF11」はゲーム外でも,イベントや関連商品の販売などが活発であった。2005年には日本青年館で「サマーカーニバル2005」が開催。記憶が曖昧だが,たぶん行った。同イベント内では,PvPイベント「バリスタロワイヤル」の決勝大会も実施されたようだ(関連記事)。
また,交流や攻略を目的としたファンサイトも多く立ち上がっていた。とくに情報サイトのeLeMeNは,知らないユーザーがいないほど有名になった。
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この当時,筆者は某出版社に所属しており,ムック「ヴァナディール通信」の製作に勤しんでいた。ファミ通WaveDVD編集部の編集長であったルパン小島氏の下で,今はもう散り散りとなってしまった仲間とともに徹夜した日々は,「FF11」の楽しさとともに忘れられない思い出だ。
蛇足気味に書き加えておくと,金曜“発売”なのに,その週の日曜日に原稿を書いていたルパン氏の姿も忘れられない。これにより多大なご迷惑をおかけした大日本印刷のN氏には,謝罪の言葉しか浮かばない。定期誌はともかく,不定期のムック本ではちょっとあり得ないスケジュールだったが,このあたりから旧来のパッケージ発売日合わせの情報を紙に落とす編集の基準も変化してきていたのではないか。
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多くのファンを獲得した「FF11」だが,2013年3月27日に発売された「アドゥリンの魔境」を最後に拡張ディスクの販売,実装が終了。2015年3月19日には「メジャーバージョンアップの実施を終了」することが発表され,翌年の2016年3月31日には,PS2版とXbox 360版のサービスが終了した。
約14年といった長きにわたりサービスを続けてきたPS2版の歴史はここで幕を閉じることとなったが,PC版は現在もサービス中で,2020年2月12日には召喚獣「セイレーン」の追加を伴うバージョンアップも実施している。
すでにアカウントの解約をしている筆者だが,本稿を執筆するにあたり,PC版のフリートライアルをプレイしてみた。街中には見慣れぬNPCが立ち,知らないコンテンツの説明をしてくれるので浦島太郎の気分を味わうことになったのだが,懐かしい音楽と見慣れた風景は,あの頃と変わらなかった。
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ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
2004年11月27日発売
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PS2初となるドラゴンクエストシリーズの本編新作タイトル「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」(以下,DQ8)が発売されたのは,PS2本体の発売から約4年後の2004年11月のことだった。
前作から約4年。満を持して発売された本作がシリーズの中で成した最大の変革といえば,何といっても,グラフィックスの表現がそれまでのシリーズから一新され,アニメ調の3DCGとして描かれたことだろう。本作は,開発をレベルファイブが手掛けたことでも知られる。DQ7やPS版のDQ4,2か月ほど先に登場しているPS2版DQ5でも3Dポリゴンは採用されているが,DQ8では,表現方法が一新され,鳥山 明氏が描くドラゴンクエストの世界がより鮮明に描かれていた。
これまで平面で描かれていた世界やキャラクターが3Dになる,というのはシリーズの中でも大きな挑戦と言えるだろう。今までプレイヤーが想像で補完していた部分を細部まで描かなければならないわけだし,そこで「コレジャナイ感」を抱かれたら総スカン……ということにもなりかねない。かくいう筆者も発売前はグラフィックス表現が大きく変わることに対して,「大丈夫なの?」と,少なからず不安を持っていた側だ。
しかし,その不安はゲームをプレイして一気に吹き飛んだ。鳥山 明氏の描くキャラクターが表情豊かに動き回る様子など,温かみのある“ドラクエらしさ”がしっかり感じられるグラフィックス。皆が頭の中で思い描いていたはずのドラクエの世界が見事に描かれ,正統進化を遂げていたのだ。当時初めてプレイしたときは「ドラクエだ……」と思わず声が漏れたのを覚えている。
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世界観の表現だけでなく,戦闘の描写も大きくパワーアップを遂げていた。コマンド選択画面は,従来のモンスターが横一列にずらりと並ぶフロントビューを踏襲しているが,バトルシーンは一変し,味方キャラクターとモンスターが入り乱れる3Dアニメーションでの攻防が見られた。
特に味方キャラクターの動きはこれまで,攻撃時にエフェクトが表示されるだけだったこともあり,特技や攻撃呪文はよりド派手にカッコよくなっていた。また,武器や盾も固有のグラフィックスが用意されたほか,主人公とゼシカには特殊な着せ替え装備も存在し,ドラクエの進化を実感させられたものだ。
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また,DQ8はシステム周りでも新しい挑戦がなされていた。特に複数のアイテムを合成して新しいアイテムを生み出す「錬金釜」,テンションをため,次に繰り出す攻撃の威力や回復の効果を上げる「テンションシステム」,「スキルマスターシステム」の3つは,後のナンバリングタイトルやスピンオフタイトルにも継承されている。
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3DCGで描かれたドラゴンクエストの世界というのは,今でこそ当たり前に存在しているが,振り返ってみるとその下地にはDQ8の存在を強く感じる要素が多いことに気づく。ギザギザな吹き出しで表現されるダメージエフェクトは,最新作の「ドラゴンクエストXI」でも使用されているし,とくぎのモーションもDQ8がベースになっていると思えるものが随所に見られた。
表現方法を大きく変えつつ,それまでの“ドラクエらしさ”を損なわない。そんなハイレベルな難題をクリアし,以降のシリーズの“当たり前”を作った偉大なタイトル……それこそがDQ8なのではないかと思っている。
遙かなる時空の中で3 2004年12月22日発売
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乙女ゲームは数多く遊べど,「主人公,めちゃくちゃかっこいい」と思ったのは,後にも先にも「遙かなる時空の中で3」だけだ。ふつうに「かっこいい」と思う主人公は,ほかの乙女ゲームにも存在しているが,この作品の主人公はほかのどのキャラクターよりも強く勇ましく,最初に書いた通り“めちゃくちゃ”にかっこいいのだ。
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主人公・春日望美(CV:川上とも子/※名字,名前ともに変更可能)は,元々は普通の女子高生だったが,不思議な少年・白龍(CV:大谷育江[成長前])に出会ったことで,2人の幼馴染とともに,源平合戦の時代に似た異世界へと飛ばされてしまう。
突然の出来事に困惑しつつも,目の前に現れた怨霊といきなり戦うことに。ということで,乙女ゲームなのに開始早々いきなり怨霊とのバトルが始まる。
最初の戦いから凛々しく怨霊に立ち向かっていくその姿に,思わず「頼もしい……」と感じてしまうのだが,これは彼女のかっこよさの入り口でしかなかった。
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見知らぬ世界から元の世界に戻るため,主人公はさまざまな場所へと赴き,その道中で「八葉」と呼ばれる仲間達と出会う。彼らは,特別な力を持つ「白龍の神子」である主人公を守る存在だが,物語が進み,源氏との戦いが佳境へと向かっていくと,悲劇に見舞われ,やがて散り散りとなってしまう。
そんな悲劇をとおし,主人公は「時空を越える力」を手に入れ,1度は元の世界へと戻る。元の世界に戻りたいと願ってはいたものの,結局仲間達は散り散りに,なかには命さえ危うい者もいる……彼らを置いて1人で平和な世界へと戻った主人公は,ある決意をする。
それは時空を越える力を使い,悲劇的な運命を上書きするというものだったのだが,ちょっと前まで普通の女子高生だった主人公が,再び戦いの世界へ戻ることを自ら決意する,その姿はもう,ヤバイくらいかっこいい。
これから起きる出来事を1人だけ知っているという状況は,ある種の孤独だろう。それでも最善の道へと進もうと努力する主人公の姿は,この作品のなかで1番かっこいい。
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こういう感じで精神面も強い主人公だが,システム的にも“最強の主人公”だ。
本作は戦闘システムゆえに,戦闘に参加すればするほど強くなるチャンスがあるのだが,主人公は必ず戦闘に参加することになっている。なので,必然的に1番早く強くできるのだ。
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こうしたさまざまな要因から,主人公は一部のファンから「望美様」とまで呼ばれている。筆者ももちろん,そう呼んでいる。
以上,「遙かなる時空の中で3」というか,望美様のかっこよさをお伝えしてきたが,彼女には,もう一つ,語らずにはいられない話があるので紹介しておこう。それは2017年に東京・池袋のナンジャタウンで行われた「チョコレートをあげたいキャラクター」をテーマにした投票イベントのこと。数多のイケメンをさしおいて,なんと望美様が1位に輝いたのだ。バレンタインにちなんだ乙女ゲームの投票イベントとしては,異例の結果だったかもしれないが,かっこいいんだから仕方がないよね。当然,筆者も望美様に投票している。
お待たせしました!チョコレートをあげたいのは誰!?「遙かなる時空の中で3&6 合同総選挙 in ナンジャタウン」結果発表です。見事1位になったキャラクターの等身大パネルが2/24よりナンジャタウン園内に登場しますのでお楽しみに!https://t.co/PRjXoK92fX pic.twitter.com/u0sRmV03vn
— ナンジャタウン (@namjatown765) February 21, 2017
本作の発売後,追加要素を収録した「遙かなる時空の中で3 十六夜記」,現代を舞台にした「遙かなる時空の中で3 運命の迷宮」の2作が発売され,これらの2作品でも望美様のかっこよさは健在である。
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2017年には,本作と十六夜記の内容を収録し,リメイクしたPS Vita用ソフト「遙かなる時空の中で3 Ultimate」(プレイレポート)が発売され,スマホ版も配信中だ。こちらはフルボイス化され,新たなイベントCGも収録されている。つまり,今から望美様のかっこよさに溺れることも可能だ。
さまざまな困難に自ら立ち向かっていく姿が凛々しく,美しい――そんな主人公の物語をぜひいまからでも体験してほしい。
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