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韓国eスポーツの歴史や動向が語られた「2018年 日韓コンテンツビジネスフォーラム」をレポート
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印刷2018/08/02 18:31

イベント

韓国eスポーツの歴史や動向が語られた「2018年 日韓コンテンツビジネスフォーラム」をレポート

 韓国コンテンツ振興院および日韓デジタルコンテンツ協会は2018年8月1日,「2018年 日韓コンテンツビジネスフォーラム」を東京都内で開催した。他国に先駆けて展開された韓国のeスポーツ動向が紹介され,またeスポーツにおける日韓協業モデルの提案がなされた本フォーラムの模様をレポートしよう。

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セッション「韓国eスポーツのヒストリー」


 韓国eスポーツの歴史に関するセッションを行ったのは,東京都市大学 社会メディア学科准教授のリ・ホンチョン氏だ。リ氏はまず,韓国では2010年にeスポーツ振興に関する法律が定められ(※),その中でeスポーツが「ゲームを媒介にし,人との間で記録や勝負を競い合う試合およびその活動」と定義されていることを紹介した。こうした定義は,韓国政府がeスポーツを支援するための根拠として必要だったという。

※2019年10月11日:大韓民国文化体育観光部より,「eスポーツ振興に関する法律」(略称eスポーツ法)の制定は2012年2月17日(施行は8月18日)であることが正しいとの指摘があり,本注釈を追記

東京都市大学 社会メディア学科准教授 リ・ホンチョン氏
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 また韓国でeスポーツという言葉がメディアで使われたのは,1999年のこと。そののち2000年に「21世紀プロゲーム協会」の設立イベントにて,韓国 文化観光部長官がeスポーツという言葉を用いたことにより,一般に定着したそうである。

 韓国ではeスポーツに対する関心が高く,とくに15歳から29歳の年齢層が好むスポーツではサッカー,野球に次いで3番めの人気を誇っている。また小学生が就きたい職業では,プロゲーマーが8位に入っている。
 これらの事実についてリ氏は,「若い人達が好むということは,将来のビジネスにつながると予測できる」との見解を示した。

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 こうしたeスポーツ人気の中,韓国では全国に77前後のeスポーツクラブが存在し,9600人が登録・活動しているという。こうしたeスポーツクラブは,韓国eスポーツ協会の公認を受け,選手の育成をしたり,各種大会の開催・参加などを行ったりしている。

 また韓国では,eスポーツに対する政府の支援も早い段階から行われていた。2004年にはeスポーツ発展中長期ビジョンが発表され,2006年にはゲーム産業振興に関する法律の改正がなされた。そして上記のとおりeスポーツ振興に関する法律が制定され,2016年にはソウル市と文化観光体育部が共同でeスポーツ専用競技場を建設し,オープンしている。

 さらにeスポーツリーグの開催や試合の配信に関する動きも早かった。1999年には,ケーブルテレビのツニバースがeスポーツのリーグを開催し,専門チャンネルを開設。また2000年には「Onゲームネット」(OGN)が開局され,「StarCraft」リーグの運営が始まったほか,サムスンが「World Cyber Games」をスタートした。そして2001年にはeスポーツに関する配信を行うチャンネル「MBC Game」が開局している。

 そうした流れの中,kt Rolsterやサムスンギャラクシープロゲームチーム,SKT T1といったeスポーツチームが,韓国の大手企業のサポートを受けて発足していったという。
 また2004年に行われたSKYプロリーグの決勝戦は10万人の観客動員を記録。同日に行われたプロ野球オールスター戦の動員は1万5000人だったというから,韓国ではeスポーツが極めて早く国全体に浸透し,盛り上がっていった様子がうかがえる。

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 さらに2005年以降も韓国におけるeスポーツの隆盛は継続し,2008年にはGongTVが大会のインターネット中継を初めて行った。リ氏はこの件に関して,「試合をリアルタイム観戦できる環境が世界中に広がったということはビジネスチャンスの拡大を意味する」とコメントしていた。

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2007年には韓国空軍がeスポーツチームを結成したこともあった
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韓国eスポーツの歴史のまとめ

 それでは,韓国ではどのくらいの人がインターネットを介してeスポーツの試合を観戦しているのかというと,2007年後期には中継とタイムシフト合計で1億2180万視聴,1日平均59万視聴となった。これが2008年4月になると合計1074万視聴,1日平均71万視聴となり,さらに2014年に行われた「リーグ・オブ・レジェンド」決勝戦では同時アクセス数が75万人を記録したとのこと。

 韓国でここまでeスポーツが盛んになった背景について,リ氏は1990年代に高速なインターネット回線が国内に普及したこと,そしてIMF金融危機により職を失った人達が,新しいビジネスとしてPCバン(いわゆるインターネットカフェだが,韓国ではeスポーツの練習場のような存在になっているとのこと)の経営を始めたことを挙げた。

 そうした状況を受け,韓国eスポーツは「StarCraft」のプロゲーマーを輩出。彼らの世界における活躍を受けてプロゲーマーの数は年々増加し,また彼らの年俸もリアルスポーツの選手達より高額になっている。さらにはプロゲーマーを育成するためのeスポーツ専門教育機関も増加傾向にあることが紹介された。

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セッション「韓国の『eスポーツのグローバル化戦略』&『プロゲーマーマネジメント』」


 Kongdoo Company 副代表のハン・スンヨン氏は,韓国におけるeスポーツのグローバル化戦略と,同社が行っているプロゲーマーのマネジメントに関するセッションを行った。

Kongdoo Company 副代表 ハン・スンヨン氏
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 ハン氏は最初に,韓国eスポーツ市場の売上規模が毎年35%以上の急成長を遂げていることや,2020年の世界におけるeスポーツファンの規模は6億人近くにまで達するとの予測を披露。
 また「Dota 2」の賞金額がリアルスポーツのそれを超えていることや,「リーグ・オブ・レジェンド」の大会がNFLのスーパーボウルに迫る視聴者数を記録していること,そしてeスポーツが2022年開催のアジア競技大会の正式種目に採用されたことなどを紹介した。

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 そうした中,ハン氏によると韓国eスポーツ業界は「リーグ」「プレイヤー」「インフラ」「コンテンツ」という4つの観点からグローバル戦略を展開しているとのこと。

 まずリーグの観点では,リ氏が紹介したように韓国では10年以上前からeスポーツ専門チャンネルが存在しており,大会の企画や運営などのノウハウを蓄積している。

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 またプレイヤーの観点からは,過去5年間の「リーグ・オブ・レジェンド」の国際大会において,韓国チームがベスト4に進出したのが11回であることや,「Overwatch」リーグの全選手のうち韓国人選手が44%を占めていること,そして賞金ランキング上位500位のうち,賞金総額の30%以上を韓国人選手が獲得していることが紹介された。
 インフラの観点からは,これもリ氏が言及したように韓国国内におけるPCバンやeスポーツ専用競技場の存在が挙げられた。

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 そしてコンテンツの観点からは,世界中のさまざまなプラットフォームに向けてeスポーツコンテンツを配信していることが紹介された。とくに「League of Legends Champions Korea」は全世界150か国以上に生中継され,全視聴者のうち韓国以外の視聴者が70%を占めるという。

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 また韓国では,プロゲーマーのマネジメントとして,現役で活動している選手の管理だけでなく,選手候補の育成や引退した選手のケアも行われている。

 選手候補の育成では,プロチームによる練習生の選抜や入団テストが行われる。またそうしたテストに合格するための,体系的かつ専門的な教育機関も存在する。さらにアマチュア大会で実力を示した選手が,プロデビューすることもある。
 ハン氏は「サッカーなどのリアルスポーツと同じく,幼少期からきちんとマネジメントすることが重要」と話していた。

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 現役選手の管理では,体系的かつ専門的なトレーニングを通じて選手に腕を磨かせるのはもちろんのこと,試合などの配信や広告への出演,グッズ販売などからの収益や,より高収入を得られるチームへの移籍といったことまで手がけることとなる。
 ハン氏は「試合で最高のパフォーマンスを出せるよう,選手の価値を最大限に高め,かつ収益を得られるようにする」とまとめた。

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 引退選手のケアとしては,彼らの価値を維持するべく,継続的にeスポーツイベントを開催している。引退選手がファンの前に顔を見せる場を作り出すというわけである。
 また元選手がプロチームの監督やコーチに就任したり,eスポーツの解説者になったり,タレントやストリーミング配信者として活躍したりする例も示された。

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セッション「日韓における『eスポーツ協業モデルとは』」


 日本eスポーツ連合(JeSU)文化振興委員会委員長を務める筧 誠一郎氏は,日本と韓国のeスポーツにおける協業に関するセッションを行った。

 セッションの前半から中盤にかけては,eスポーツに詳しくない聴講者に向けて,“sports”という言葉はもともと“競技”という意味であり,必ずしもリアルスポーツだけを指すわけではないことや,日本におけるここ数年のeスポーツの盛り上がりなどが紹介された。
 その一方で筧氏は,イベントの動員数などを根拠に「日本のeスポーツは諸外国から世界から7年遅れ,韓国からは15〜16年遅れ」との見解も示していた。

日本eスポーツ連合 文化振興委員会委員長 筧 誠一郎氏
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eスポーツの定義と世界における動向
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国内大会の事例と日本人選手
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企業やメディア,リアルスポーツ業界,行政などがeスポーツに注目していることも紹介された
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筧氏が代表社員を務めるeスポーツコミュニケーションズの活動も紹介された
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 本セッションのテーマである日韓協業に関しては,リ氏やハン氏が示したとおり韓国は“eスポーツ先進国”といえる存在であるものの,そのビジネスモデルをそのまま日本に持ち込むことは難しいと筧氏。とくに韓国のeスポーツ普及で重要な役割を果たしているPCバンは,今の日本で同じことをやろうとすると風営法に引っかかるという課題がある。

 そこで筧氏が提案したのが,韓国企業が培ってきた大会運営および放送コンテンツ制作のノウハウを含めたビジネスモデルを使って,日本企業と協業することである。

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 またPCバンに関しても,法律改正に向けた動きが現在行われているとのこと。筧氏は「問題がクリアになったら,PCバンのノウハウを韓国から輸入するのもいいだろう」とコメントした。

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 さらに,韓国企業からeスポーツ番組のフォーマットを輸入するのも1つの手だという。筧氏は「日本でもいろんなeスポーツ番組が出てきており,今後も増えていくだろうが,韓国のものほど洗練されていない」と,その理由を語っていた。

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