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武者と騎士がガチバトル。「ジャパン・アーマードバトル・リーグ STEEL!」の第2回リーグマッチをレポート
アーマードバトルについては,過去にも3回,取材レポートをお送りしているので,ご存じの読者もいるとおもうが,甲冑を着込んだ選手達が戦うという競技だ。今回も観戦に招かれたので,レポートをお届けしよう。
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さて,今回の対戦カードは,さまざまな武術・武道を取り入れるサングリエと,日本の剣術をベースとする黒鋼衆だ。つまりは西洋甲冑と日本甲冑のぶつかり合い,騎士VS.武者なわけである。ゲームをプレイしていれば,西洋剣を持ったキャラクターと日本刀を持ったキャラクターが戦うシーンはよく見るが,まさか現実でガチバトルを繰り広げる様を観戦できるとは。西洋剣術に対して日本剣術がどう立ち回るのか,興味が湧いてくるというものだ。
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ルールは前回のリーグ戦と同様なので,こちらの記事を参照してもらうとして,リーグ戦初登場となる黒鋼衆を見てみよう。ビジュアルは日本甲冑に身を包んだ武者まんまである。メンバーは田中克実氏,八ヶ代大輔氏,そしてポーランドから助っ人参戦のバサク・ヤコブ氏。いずれも武道経験者だ。装備している日本甲冑はジャパン・アーマードバトル・リーグのレギュレーションに対応する設計になっており,重量は40kgほど。西洋甲冑と比べると鎧のマウント方式がやや異なるそうだ。見た目とイメージよりも重量がある原因は,袖や草摺(くさずり,甲冑の胴の裾に垂れている部分)などにも金属が使用されている。叩き合っても身の安全を確保するべく,従来の日本甲冑とは異なる素材が採用されているのである。
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![]() サングリエ |
![]() 黒鋼衆 |
![]() リングは前回と同じくオクタゴン。奥に見えるのが観客席。手前側にも立ち見席があり,男性6:女性4といった比率だった。プロレス同様に女性からの注目度も高いようだ |
![]() マーシャルはキャッスル・ティンタジェル城主であるジェイ・ノイズ氏。「DARK SOULSII」や「ファイナルファンタジー XII」で剣術指導を行うなど,ゲームとも関わりのある人物だ |
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ソード&シールド
まず行われたのは,片手剣とシールドの構成で戦う個人戦だ。サングリエ側はショートソードとシールド,黒鋼衆側も同様の構成で,シールドはだいぶ無骨な感じだ。2014年に渋谷で開催された「STEEL! ジャパン・アーマードバトル・リーグ」では二刀流で戦う姿が話題だったのだが,防御面で難度が高いようで,選手によって盾か脇差しかを切り替えるとのこと。
黒鋼衆の助っ人選手であるヤコブ氏は,今大会でもっともテクニカルな動きをしていたといってもいいほどのやり手だ。とくに崩しがうまく,サングリエのショーン選手の苦戦が伝わってきた。
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![]() ソード&シールドにおけるシールドは,防御もするが攻撃にも使用される。視界を奪うだけでなく,チャージしつつ相手を崩すという使い方も多い |
![]() ディスアーム(相手の武器を落とす)と2ポイントとなるのだが,写真を見てもわかるようにしっかりと武器を拾えないようにしているところがステキ |
![]() 武器を落としてしまったヤコブ氏だが,そのまま戦闘を続行 |
![]() キレイに壁に追いやって優勢になるだけでなく,そのままスローイングを狙う勢いだった。それにしても崩しの上手い選手である |
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ツーハンドウェポン
続いては,サングリエの佐藤尚樹氏,黒鋼衆の田中克実氏による,日本人同士の対戦だ。武器は両手持ちの剣で,激しい斬り合いは見応え抜群だ。
試合展開は,3ラウンド通して田中氏が圧倒的に優勢だった。田中氏は剣道歴が長く,試合運びもそれに近いもので,佐藤氏の斬撃をラクラクといなしていたのが印象的だ。
![]() 黒鋼衆もガントレットを装備している。小手の部分は作るのが大変なようだ |
![]() 武器の長さは,太刀がやや長め |
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![]() これくらいの距離で打ち合うことが多く,金属の激突音が鳴り響いていた |
![]() 様子見のときは写真のような間合いで,円を描くように動いていた |
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ポールアーム
ポールアームは,長槍やポールアックスなどで戦うジャンルだ。サングリアからは,過去すべての大会で暴れっぷりが印象的だった,身長201cmの阿見靖士氏が出場。一方,相手は身長158cmの八ヶ代大輔氏。体重差もあるため,ポイントハンデが適用されていたが,八ヶ代氏の苦戦するシーンが続いた。下に掲載している動画を見てもわかるが,じわじわと寄っていく巨体の阿見氏と,スピーディーな動きでヒット&アウェイをしかける八ヶ代氏の絵は,武蔵坊弁慶と源義経のような雰囲気だ。
ちなみに,阿見氏側には観客席から野太い声援が飛んだのに対して,八ヶ代氏には女性からの黄色い声が多かった。
![]() 対峙する阿見氏と八ヶ代氏。露骨なまでの身長差である |
![]() 八ヶ代氏は身軽な動きで常に距離を取るよう動いていた。鎧重量は35kgほどらしいのだが,それを感じさせない動きだ |
![]() 阿見氏の攻撃で武器破壊が起きたところ。パワーキャラがスピードキャラを捕まえるために,まずはデカいダメージで脚を止めるといった雰囲気だ |
![]() 武器をポールアックスに切り替えて試合続行となったが,八ヶ代氏のヒット&アウェイは健在。リングをキレイに使いこなす |
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エキシビション
エキシビションは2試合行なわれた。観客が武器を選ぶフリーバトルと,阿見氏とヤコブ氏のポールアーム戦で,それぞれ1ラウンドのみとなる。
フリーバトルに出場したのは,ポールアームを持ったショーン氏と,ツーハンドウェポンを持ったヤコブ氏。ただポールアームは従来よりも短いものになっており,ツーハンドウェポンのように使っていた。
![]() リーチはほぼ同じ |
![]() 壁際での鍔迫り合いという渋いシーンが見られた |
![]() お互いに得意とする武器なのか,ギリギリの距離でも悠々とかわすことが多く,端から見ると煽りプレイのようだった |
![]() 壁際ではやはりヤコブ氏がうまく,キレイに形勢を逆転するといった展開も |
阿見氏とヤコブ氏のポールアーム戦は,体格差があるため,一方的に阿見氏が押し切るかと思われたが,どうもヤコブ氏はポールアームが得意なのか,細かいテクニックで巨漢と渡り合うというナイスファイトを見せた。テクニカルな展開もあったので連続写真で見てみよう。
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メーレー戦
最後のメーレー戦は,3対3の団体戦だ。1ラウンドの時間は1分で,今回は5ラウンド行われた。個人戦とは異なり,ポイント制ではなく,最後に立っている側の勝利となる。メーレー戦前の休憩時,黒鋼衆はボードを使って試合運びを相談していた。最初に一人でも倒せば,数で有利に立てるため,初手の展開を重点的に話し合っていた模様だ。
![]() 打ち合わせをしている様子 |
![]() メーレー戦前,ヤコブ氏はサングリエの面々を軽く挑発 |
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![]() まずは1対1に持ち込む |
![]() ダウンした選手はその場でラウンドの終了を待つ感じ |
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![]() だれか一人をフリーにすると,後ろからやられてしまう |
![]() 阿見氏はフリーになっているときに,フルスイングで斬り下ろしを連発していた |
![]() メーレー戦途中に柄が曲がった太刀と鎧のパーツ |
![]() 草摺の先端も外れそうになっていた |
狭い試合会場ながらもシートも立ち見も満員状態だった本大会。次戦は3月28日,より広い会場で開催されるそうだ。ゲームのようななシチュエーションで行われるガチバトルは,ゲーマーとして心躍るものがある。興味のある人は,観戦にいってみてもいいし,キャッスル・ティンタジェルの門を叩いてみるのもいいだろう。
最後に,例によっていっぱい写真を撮ってきたので趣味寄りのカットを掲載しておこう。
![]() キャッスル・ティンタジェルがある敷地内には撮影スタジオもあり,収録していたと思われるビジュアル系アーティストさんが「何やってんだろう……」と見ていた |
![]() シート席からの様子。安全性を確保するために柵を多重に配置していた |
![]() 違和感がよく仕事をしている絵である |
![]() ヒール路線になってきた阿見氏。よくよく見るとヘルメットも悪役っぽい |
![]() 休憩中の様子。道場規模が少し大きくなったことで,今回は大和レンタルボックスに討ち入り直前のような状態にはならず |
![]() 鎧の不具合を応急処置しているところ |
![]() 日本甲冑にポールアックスの構成はなかなかアリ |
![]() チェーンメイルのアップ。大変かっこいい |
![]() 日本甲冑を着たポーランド人と西洋甲冑を着た日本人 |
![]() メーレー戦後のヤコブ氏。兜がだいぶへこんでいる |
キャッスル・ティンタジェル公式サイト
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