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痛みこそ救いであり,死は最高の栄誉。カルト教団施設から脱出するホラーアドベンチャー「NAME OF THE WILL: 集団後遺症」[BIC2026]
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印刷2026/08/17 18:47

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痛みこそ救いであり,死は最高の栄誉。カルト教団施設から脱出するホラーアドベンチャー「NAME OF THE WILL: 集団後遺症」[BIC2026]

 痛みは救いであり,死は最高の栄誉。教団「希望」は信徒にそう教える。授業の最中,開いた戸口の向こうで隣人の1人が手すりを越えて身を投げても,周囲の信徒はそれを正しい行いとして受け止める。おかしいと感じるのは,どうやってここへ来たのかも思い出せないまま施設で目を覚ました主人公だけだ。

 釜山のBEXCOで開催されたインディーゲームの祭典BIC2026に,この「NAME OF THE WILL: 集団後遺症」が出展されていた。ブースでデモを動かしながら中身を説明してくれたのは,パブリッシャであるHYPER REALのジャスティン・シン(Justin Shin)氏だ。

HYPER REALのジャスティン・シン氏
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 舞台は,教団が管理する集合住宅型の施設である。住人は全員が同じ笑顔の仮面をかぶり,同じ色の服を着ている。主人公も例外ではなく,名前ではなく「隣人3279」という番号で呼ばれる。館内放送は,ただちに6号教室へ進んで教育を受けるように,と繰り返し告げてくる。

館内放送が繰り返し流れる場面。隣人3279に対し,ただちに6号教室へ進んで教育を受けるようにと告げている
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 ゲームは昼と夜に分かれている。昼のあいだ,主人公は教団の一員として日課をこなす。教育課程に出席し,ほかの住人と言葉を交わし,出される課題に答える。シン氏によれば,教団の生き方を教える授業があり,そこではクイズのような形で質問が飛んでくるという。デモで表示されていた問題は,仮面をかぶった人々が身を寄せ合う絵の中から「H」「O」「P」「E」を探せ,というものだった。教団の名である「希望」の綴りを,信徒たちを描いた絵の中から見つけさせる出題になっている。

 この手の問題には正解がある。一方で,教団の教えにかかわる問いになると,何が正しく何が間違っているのかは非常に曖昧だ,というのがシン氏の説明だった。

教育課程で出される問題。仮面をかぶった人々の絵から「H」「O」「P」「E」を探すよう求められる
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 こうした受け答えは,すべて数値として記録されていく。教団にとって望ましい行いを取ればスコアは上がり,そうでなければ下がる。シン氏は,このスコアの多寡によってゲーム内のさまざまな要素が変わっていくと話していた。授業の答えだけでなく,住人との会話で何を選ぶかも影響するという。

 もっとも,選べる余地が用意されているとは限らない。デモで隣人と向き合った場面では,選択肢の欄に「お許しください」という同じ言葉が7つ並んでいた。どれを選んでも同じである。正しい答えを返すまで先へ進めない場面もあり,そこでは事実上,教団が求める1つの答えしか受け付けない。

「おばちゃん」と呼ばれる住人との会話場面。右側の選択肢には「お許しください」という同じ言葉だけが7つ並んでいる
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 尋問への協力も日課の1つだ。写真を突きつけられ,誰が手を貸したのかを答えるよう迫られる。ここでの答えが,ほかの住人の運命を左右することになる。

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 主人公が本当は何を考えているのかは,画面の下に流れる文字で分かる。食堂で配膳を受けた場面では,食べたくない,という一語が途切れなく繰り返されていた。表向きの振る舞いと内心が別々に提示されるので,従っているあいだも居心地の悪さが消えない。

食堂で出される食事。画面下には,食べたくないという言葉が途切れなく繰り返されている
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 夜になると,ゲームの性質が変わる。住人が寝静まった建物を主人公が歩き回り,部屋や通路を調べていく。ステルスゲームの要素もあるとのことで,見つからないように動く必要がある。なお,夜間は指導者が施設を巡回しており,発見されると生贄に捧げられてしまう。

夜の廊下。部屋番号が振られた扉が並び,住人が走り抜けていく
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 施設は34階層に及ぶ。序盤に乗れるエレベーターでは,行き先が2つしか選べないが,進めていくとさまざまな階へ行けるようになるという。デモに登場するエレベーターの階数表示は,Gから37まで並びながら,4と14だけが欠けている。

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 夜の探索を終えて眠りにつくと,主人公は奇妙な夢を見る。ここでカットシーンが入り,主人公自身の過去が明かされていく,というのがシン氏の説明だ。日記や手に入れた情報から断片を拾い集め,自分がなぜここにいるのかを組み立てていく作りになっている。

 操作は,大まかに言えばポイント&クリックアドベンチャーである。環境からアイテムを見つけ,設定を書いた記録を読み,手がかりをつなげていく。

 ホラーではあるが,襲いかかってくる敵やモンスターが恐怖の担い手になっているわけではない。夜に見つかれば捕まるという緊張は用意されているものの,シン氏が恐怖の中心として挙げたのは,教団の中で全員が自分を見て評価している,という状況そのものだった。ジャンプスケアはほとんどなく,大半は精神的なホラーだという。

 その怖さの根にあるのが,冒頭で触れた教義である。苦しんでいるとき,痛みを感じているときこそ正しい道にいる。そして死は最高の栄誉である。教団はそう教え,信徒はそれに従う。だから教室で誰かが飛び降りても,ほかの信徒はそれを良いことだと考える。もちろん良いことではないが,なぜそうなっているのかを解き明かすのがプレイヤーの役目というわけだ。

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 住人が全員同じ仮面をかぶっているため,誰が誰なのかも判然としない。取材中,「どれが自分なのか分からない」と口にしたところ,シン氏はそのとおりだと応じた。同じ顔が同じ所作で並ぶ画面は,それ自体が均質さの圧力として機能している。

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 ただし,住人が一枚岩というわけでもない。物語を進めるとほかの信徒と関わることになるが,なかには手を貸してくれる者もいれば,教団に従わせようとしてくる者もいる。主人公が最終的に目指すのは,この施設からの脱出だ。教団の裏側で覚える違和感の正体を突き止めることも,そこに含まれる。

仮面が欠け,その下の顔がのぞく場面
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 開発元のZeitgeist Studioは,世界各地に散らばった香港出身者によるスタジオである。シン氏によれば,中心にいるのは夫婦2人で,妻のMandy Wong氏が物語をすべて書き,夫のJerry Chan氏が美術をすべて手描きで担当している。

 絵の舞台にも,その出自が表れている。アジアの都市を思わせる集合住宅の風景は,香港や台北といった都市から影響を受けているという。シュルレアリスムと架空の香港が持つ密度を組み合わせた世界で,手描きのアニメーションが60シーン以上用意されるそうだ。

 分量については,Steamで配信中のデモがチャプター1にあたり,45分から1時間ほどで終わる。完成版は8時間から10時間ほどを見込んでいるが,何章になるかはまだ決まっていない。販売の形は章ごとに区切っていく想定だという。BICのブースに置かれていたのはさらに短い序盤のビルドで,Steam Next Festに合わせて,より新しいデモを配信する計画もあるとのことだった。

 エンディングは複数用意する予定で,数はまだ決めていない。Steamストアページに記載されている発売予定時期は2027年第1四半期で,対応言語には日本語も入っている。


  • 関連タイトル:

    集団後遺症

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