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武器もなければ鎧もない。あるのは三つの扉だけで,一つは宝,一つは罠,一つはモンスター。
何度死んでも塔のてっぺんに戻される。そうしてまた,滑って転んで死ぬ朝が始まる。
本日は,ドイツのStudio Seufzが手掛けた「Lucky Tower Ultimate」を紹介しよう。
本作はランダム生成される謎の塔を舞台にしたスラップスティックコメディ風のローグライトアクションだ。
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プレイヤーは髪をピカピカに輝かせるナルシスト騎士フォン・ワンストを操作し,邪悪な魔術師エヴェリウスが支配するこの塔からの脱出を目指していく。
原作は2010年前後にブラウザで数百万回クリックされた往年のFlashゲームシリーズで,その続編としてローグライトの仕組みを取り込み,2026年4月に正式版としてリリースされた。
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このゲームの特徴は,とにかくギャグに全振りしているところだ。塔の各階には三つの扉があり,一つは安全,一つは罠,一つはモンスターといった選択を繰り返しながら下層を目指していくのだが,当たり前のように理不尽な初見殺しで何度も死ぬ。
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それでもなぜか腹が立たないから不思議だ。手描きのカートゥーン調グラフィックと,フルボイスで叫び散らかすフォン・ワンストの掛け合いが,失敗さえも一本のコント動画のように仕立て上げてしまう。
理不尽なのに笑えて死ねる
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本作はとにかく初見殺しが多い。扉を開けた先が底なしの穴だったり,天井が降ってきて圧死したり,ダイナマイト樽の横にいきなり蜂の巣が落ちてきて大騒ぎになったり。
普通ならコントローラを投げ出したくなる場面の連続なのだが,不思議とそんなにイライラしない。フォン・ワンストが間抜けな悲鳴を上げて転がっていくのを見ていると,どうしても笑ってしまう。
そしてすぐに「もう一回」とリトライボタンを押してしまうのだ。この,理不尽な死に方なのに腹が立たないという感覚はなかなか新鮮だった。
見た目とフィーリングで戦う
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戦闘はとにかく拾ったものを振り回すのが基本。床に転がるブロッコリー,壊れた椅子,はては敵の死体まで,手に取れるものはほぼすべて武器になる。
面白いのが,武器にステータス表記がほとんどないことだ。ダメージ数値もレアリティ表示もない。
だから「なんとなく強そう」「これは弱そう」と,見た目とフィーリングで判断しながら戦うしかない。
金色に輝く大剣なら信じられる,ブロッコリーはまあダメだろう,ぐらいの感覚だ。このアナログな選び方が,かえってゲームをおもちゃ箱のように面白くしている。
魔女の怪しい薬,つい飲んじゃう
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塔の中では魔女アルヴァが怪しいポーションを差し出してくる場面に何度も出くわす。色も成分も得体の知れない液体なのだが,プレイしていると筆者もフォン・ワンストもつい飲んでしまう。
実際に操作が反転する酩酊ポーションだったり,毒でみるみる体力が減っていったりと,だいたいロクなことにならない。
飲まなきゃいいのにね,と自分でもツッコミを入れながら,それでも次の機会にはまた飲む。そうやって遊んだほうが楽しい作品なのかもしれない。
Lucky Tower Ultimateは,理不尽と笑いを紙一重で同居させてみせるドタバタローグライトだ。扉を選び,罠にハマり,変な薬を飲み,また塔のてっぺんに戻される。その間抜けなループを,気づけば筆者も何時間も続けていた。
ガチガチの攻略やきっちりした数値で最適化を詰めたい人には合わない。だが,ゲームにふざける余白を求める人,肩の力を抜いて笑いたい人には,強くおすすめできる一本だ。





















