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本作は,ゲームデベロッパのC#4R4CT3Rが手がけるアドベンチャーゲームだ。現代から1998年へとタイムスリップしてしまった主人公は,マンションの一室で危うい魅力を放つ謎の少女「雨原玲奈」と出会う。主人公は彼女と共に世界を滅亡させるべく,奇妙な儀式を進めていく。
今回のBitSummitで遊べたデモ版は,WePlay Expo 2025などの海外イベントで出展されていたものになっており,日本国内では初めての出展となる。
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昨年は,ディレクターのショーン・T氏に本作の開発経緯やテーマを聞くインタビューをお届けしたが,今回は国内初出展となる最新バージョンでこだわったポイントや今後の展開について話を聞いてきた。
なお,試遊の内容については過去に掲載したWePlay Expo 2025でのプレイレポートに詳しく記載しているので,そちらを見てほしい。
危うい魅力を放つ少女と世紀末の1998年に世界滅亡へ。刺さる人には抜け出せなくなる「Rain98」の魅力とは何か[WePlay2025]
1990年代後半の空気を色濃くまとったサイコホラーADV「Rain98」が,WePlay Expo 2025の会場に出展されていた。平成レトロの残り香が漂うアパートを舞台に,不穏でありながらどこか目を離せない謎の少女・雨原玲奈と奇妙な共同生活を送り,破滅へ向かう物語を体験する作品だ。
90年代後半を舞台にしたADV「Rain98」開発者インタビュー。世界滅亡を願う少女とプレイヤーを通じて描くテーマとは……[BitSummit]
京都市勧業館みやこめっせにて,2025年7月18日から20日まで開催された「BitSummit the 13th Summer of Yokai」。そのUkiyo Studioブースに新作アドベンチャーゲーム「Rain98」がプレイアブル出展されていた。今回4Gamerでは,本作のディレクターを務めるショーン・T氏にインタビューを実施し,ゲームをとおして表現したいテーマなどを聞いた。
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目玉は玲奈にルーズソックスを履かせるシーン。
フェチズムとシナリオ的な意味が込められたインタラクション
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。日本初出展となる今回のバージョンは,昨年から大きな変化を遂げていて驚きました。
特に昨年のインタビューでおっしゃっていた,1990年代後半のカルチャーを体験できるシーンの描写が非常に細かくこだわりを感じました。
ショーン・T氏:
ありがとうございます。1990年代後半にあった体験をプレイヤーの皆さんにしてもらいたいという思いで,ちょっとしたミニゲームのような仕掛けを用意しました。
今回のバージョンで目玉になっているのは,主人公が玲奈にルーズソックスを履かせるシーンなんですが,あれはルーズソックスの履き方を調べて,それをそのままゲームに落とし込んでいます。
4Gamer:
ただ履かせるだけでなく,細かく調整して最後にソックタッチを塗る工程まであるのは,びっくりしました。
ショーン・T氏:
私も調べるまでは,ルーズソックスを履くのにあんな細かい工程があるなんて知らなかったんですけどね(笑)。少しマニアックな描写なんですが,プレイヤーに体験してほしいと思って入れています。
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4Gamer:
1990年代後半を感じられる体験というのは,今後どのようなものが出てくるのでしょうか。
ショーン・T氏:
詳しくはお伝えできないんですが,いろいろなものを仕込んでいます。
本作は全7章で構成されていて,試遊版で体験できるのは第1章の一部分になります。物語が進んで,2章になると渋谷の街に繰り出せるようになり,もっと自由に街を探索できるようになります。そこで当時を感じられる体験がたくさん出てくるという感じになりますね。
4Gamer:
1990年代後半といっても,いろいろなカルチャーがあると思います。登場させる体験の基本的な方向性というものは存在するのでしょうか。
ショーン・T氏:
これは前回のインタビューでもお話したと思いますが,第一に玲奈と一緒に過ごす日常を感じられるものを登場させています。
あとは,現代だとあまり見ない,あの当時にしかなかったものを多く登場させたいという思いもありますね。
4Gamer:
ルーズソックスのインタラクションはまさにその象徴と言えそうです。
ショーン・T氏:
そうですね。ルーズソックスを履かせるという体験もそうですが,フェチズムを感じられるというか,あまりほかのゲームでは触ったことがないようなインタラクションが結構多いと思います。
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4Gamer:
全体的に彼女とのコミュニケーションはなんというか湿度を感じます。会話シーン1つ見てもジメッとしているというか。
ショーン・T氏:
はい。まさにそこは狙って表現している部分ですね。
4Gamer:
試遊では,ミニゲームやインタラクションをこなしていくと,「エンジェルパスポート」と呼ばれる手帳に玲奈がシールを貼ってくれました。
これを100枚集めることがゲームの目標になると思うのですが,途中でダレてしまう危険性もあるのではないかと感じました。シール集めを飽きさせない工夫というのは考えておられるのでしょうか。
ショーン・T氏:
おっしゃる通りで,私自身もミニゲームのようなものが多すぎると飽きてしまうタイプなので,そこはチームの中で今どういうものを組み込むか調整をしている段階です。
今考えているのはミニゲームだけでなく,玲奈と映画を見に行くとか,一緒にデートして洋服を買うといった,お話を進めていくだけのノベルパートにシールを獲得するシーンを入れていこうと考えています。
ただ,シールを集める工程はすべて玲奈というキャラクターに紐づけるようにしています。ミニゲームを進めていくなかで玲奈のことがより深く分かるようになったり,一緒に過ごす時間が増えたりするという軸はブレずに,テンポ良く進められるようなものを目指しています。
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4Gamer:
ゲーム内で,「玲奈が特別だと思った体験をしないと,シールがもらえない」と言及されていました。映画を見に行くといった何気ない行動も彼女にとっては特別なのですか。
ショーン・T氏:
その辺りは,ゲームを遊ぶと見えてくると思います。本作では,「玲奈が一体何を考えているのか」「彼女はいったい何者なのか」というところが大きな謎になっています。
もしかしたら,彼女がなぜルーズソックスを履かせたのかも,シナリオをすべて読み終えたときに分かるかもしれませんので,ご期待いただければと。
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用意された雨音は30種類。
絵と音で見せるキャラクターの感情
4Gamer:
アニメーションの部分も独特の雰囲気がありますね。「Rain98」というタイトル通り,雨の描写や水が滴る玲奈の表情など,湿度を感じる表現に目を惹かれました。
ショーン・T氏:
ありがとうございます。アニメーションについては,1990年代のアニメの独特な空気感や美しさを取り入れようという思いが根幹にあります。
ただ,そうした表現を取り入れつつ,今の人が見てもちょっと新鮮で新しいものになるように現代的なアニメとミックスさせたような画作りをしています。
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4Gamer:
BitSummitや海外のイベントで出展した際のプレイヤーの反応はいかがですか。ビジュアルが褒められることが多いのでしょうか,ゲーム内容の部分に注目されることが多いのでしょうか。
ショーン・T氏:
国によって違いますね。例えば,アメリカのイベントに行くと,ミニゲームの内容よりも,音とビジュアルがすごくいいと言われることが多いです。
中国ですと,ミニゲームの部分やゲーム自体のコンセプトや思想が刺さったと言ってくださる方が多いです。中国はほかに比べて女性のプレイヤーの比率も多く,男女共に刺さるゲームなのかなと感じています。
今回のBitsummitでは,まだ試遊の感想は具体的に聞けてないんですが,手ごたえは感じています。
4Gamer:
音に関しては,私も昨年に比べて印象がまったく違いました。玲奈のボイスも絶妙な距離感になっているといいますか。
ショーン・T氏:
音に関しては,正式にサウンドチームをつけてブラッシュアップしたので,かなりクオリティが上がっています。
このゲームはすごく音にこだわっていて,雨の音だけでも30種類,ほかの環境音も一般的なノベルゲームの何倍も用意しています。
4Gamer:
30種類! そんなに大量の雨音をどのように使い分けているのでしょうか。
ショーン・T氏:
そのときのシチュエーションだったり,キャラクターが抱いている感情だったりで使い分けています。
例えば激しい雨音だと,何かが訪れる予兆だったり,変化が想起されるシーンだったりに採用しています。逆に細かい雨音は,何か心に抱えた大事なことを話すシーンに使っています。
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4Gamer:
なるほど。本作はイベントでの出展に留まっていますが,体験版などを出す予定はあるのでしょうか。改めてそうしたこだわりを頭に入れたうえで,家でじっくりプレイしたいという思いがあるのですが。
ショーン・T氏:
体験版をリリースしたいという思いは私たちも持っています。第1章がまるまる遊べるようなものが出せたら……と考えてはいるんですが,体験版を出すなら製品版と変わらないぐらいのクオリティにする必要があると思っています。
4Gamer:
今後「Rain98」の完成に向けての開発の課題だったり,追求していきたいものを聞かせてください。
ショーン・T氏:
先ほども少し触れましたが,ゲームの基本的な遊びであるミニゲームやインタラクションの入れ方やリズム感のブラッシュアップが1つ課題としてあります。
また,現在好評いただいているノベルパートのテンポや演出も改善できる部分があると思っているので,そこもさらに磨いていきたいと思っています。
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4Gamer:
現状に満足せず,自分たちが納得できるものを追求していきたいということですね。
ショーン・T氏:
少し話が逸れますが,アメリカで「Rain98」を出展したときに「こういうゲームを味わったことがない」と言ってもらうことがすごく多かったんです。
本作は,侘び寂びのあるテンポ感や表現,美しさをすごく大事にしていて,そこが刺さる人が多かったのではないかと思うんです。そういう日本的な美学をゲームに入れるというのは,意外と目が向けられていない部分だと思っています。
そういう言語化しづらいクリエイティブの部分にがっつりエネルギーを使って作るのは,大規模な開発ではなかなかできない部分だと思っています。
我々も最初は3名で開発をしていたのが,20名くらいの規模になっているので,もう小規模なデベロッパとは言えなくなってきているのかもしれません。
それでも,「Rain98」のようなクリエイティブが好きな人が集まっているので,言葉にしづらい価値観というか,雰囲気みたいなものを磨ける体制はあると思っています。今後もその部分を大切に開発を続けていきたいですね。
4Gamer:
今後に期待しています。ちなみにその「Rain98」が大切にしている言語化しづらい価値観というのは,あえて言葉にするとしたらどのようなものになるのでしょう。
ショーン・T氏:
うーん,そうですね……。あえて言語化するなら「都市の花鳥風月」でしょうか。
4Gamer:
……すみません,もう少し詳しく聞かせてもらえますか。
ショーン・T氏:
ゲームが完成したら,詳しくお伝えするので楽しみにしていてください(笑)。
4Gamer:
分かりました(笑)。本日はありがとうございました。
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