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血まみれサッカー「FEAR FA 98」は「サイレントヒル」×「FIFA 98」の“混ぜるな危険”的な怪作[BitSummit]
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印刷2026/05/25 14:17

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血まみれサッカー「FEAR FA 98」は「サイレントヒル」×「FIFA 98」の“混ぜるな危険”的な怪作[BitSummit]

 インディーゲームの祭典「BitSummit」といえば,毎年いろいろな珍品・怪作も発見されるイベントだ。今年の会場でひときわ異彩を放っていたのが,生首をボールに見立てて蹴り合う血まみれのサッカーゲーム「FEAR FA 98」だ。スペインのソロ開発者Jacob Jazz氏が,自身のレーベルCelery Emblemから年末のリリースを目指して開発を進めている一作だ。

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 開発者本人いわく,これは「サイレントヒル」と「FIFA 98」を悪魔合体させたゲームだという。ホラーとサッカー。普通なら交わるはずのない2つのジャンルが,血みどろのまま同居している。本稿では,BitSummit会場でプレイデモに触れ,Jazz氏に話を聞いた内容をレポートする。

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 このゲームが何なのかを一言で言い表すのは難しい。

 「FEAR FA 98」は,大きく分けて2つのモードで構成されている。1つは,1990年代のホラーゲームを思わせる探索型のアドベンチャーモード。もう1つは,その名のとおりサッカーをプレイするサッカーモードだ。この2つが互いに連動しながら進行していくという,前代未聞の2層構造になっている。

 ビジュアルは正直,古くさい。とはいえ手抜きではなく,意図的にPS2時代の質感を再現したものだ。ローポリゴンのキャラクターと,ザラついたテクスチャ。残虐表現の方向性も含め,「Manhunt」あたりを連想させる雰囲気がある。

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 そんな本作を,Jazz氏は端的にこう言い表した。「これは『サイレントヒル』と『FIFA 98』のミックスだ」と。

 ホラーゲームの金字塔と,90年代のサッカーゲーム。言葉だけを聞くと頭が混乱してくるが,実際に見るとそのとおりなのだから困る。
 薄暗い街を探索していたかと思えば,次の瞬間にはピッチの上で血まみれのサッカーが始まる。その落差こそが,このゲームの正体だ。

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 「FEAR FA 98」のもっともユニークな点は,サッカーモードとアドベンチャーモードが切り離されておらず,アイテムを介して相互に連動するところだろう。その仕組みを,Jazz氏は実際のプレイデモを示しながら端的に説明してくれた。

 「試合中に鍵を手に入れて,街でその鍵を使って扉を開け,物語を先に進める」

 つまり,サッカーの試合で特定のアイテムを入手し,それを探索パートに持ち帰って扉を開ける。すると物語が進行し,新たなエリアや次の試合が開放されていく――何を書いているのか分からなくなってきたが,とにかくそういう仕掛けだ。サッカーが単なるミニゲームではなく,探索を前進させるための装置として組み込まれている。

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 肝心のサッカーそのものも,真っ当な競技とは程遠い。Jazz氏はそのゲーム性を「『マリオストライカーズ』みたいなものだけど,ねじれていて血みどろなんだ」と例えた。試合中にはパワーアップアイテムも登場し,たとえば幽霊化してボールを奪うなど,相手に効果を発動するものが用意されている。

 「マリオストライカーズ」のような,カジュアルでポップなパーティーゲームの感触をベースにしながら,そこへホラーと残虐表現を流し込む。明るい皮とおぞましい中身。このちぐはぐさが「FEAR FA 98」の面白さを支えている。。

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 なお,本作のアドベンチャーパートは,「バイオハザード」シリーズや「Rule of Rose」(2006年のホラーゲーム)といった探索型ホラーの影響を感じさせる作りになっている。鍵を探し,扉を開け,じわじわと物語の核心に迫っていく――その構造は,日本のホラーゲームに親しんだ人であればすぐにピンとくるはずだ。

 血まみれの生首をボールにして蹴り合う,と書くと相当に過激なゲームに思えるが,Jazz氏自身は本作をシリアスなホラーとは捉えていない。むしろ,笑える方向のコメディとして作っているそうだ。そのスタンスを象徴するのが,次の発言である。

 「めちゃくちゃ血まみれだから,“あまりに出来が悪くて逆に最高”な映画みたいなものさ(so bad it's good)」

 「so bad it's good」――出来が悪すぎて,かえって愛おしくなってしまうB級映画。その文脈を理解しているかどうかで,このゲームの受け取り方は大きく変わるだろう。過剰な流血もローポリの質感も,すべてはこのB級カルチャーへの愛着の上に成り立っている。

 作品の元ネタとして,Jazz氏が挙げたのは1980年代のスラッシャー映画群だ。「ハロウィン」「スクリーム」「13日の金曜日」――殺人鬼が次々に犠牲者を手にかけていく,あの一連の作品である。ゲームの随所に漂うチープで悪趣味な――そしてどこか憎めない――手触りは,これらの映画からの影響が色濃い。

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 これほど突き抜けた企画が,どうやって生まれたのか。その成り立ちもまた,このゲームらしく人を食っている。

 そもそもの発端は,完全な内輪ネタだったという。友人の名前を冠してナイフを手にサッカーするゲームを作ろう――そんな悪ふざけの企画を思い立ったのが,すべての出発点だ。タイトルすら,当初は今とは違っていた。最初は「Satan's Football Club(サタンのサッカークラブ)」という直球なネーミングだったが,X上で名前のコンテストを実施し,フォロワーから寄せられた「Fear Football」の案を経て,現在の「FEAR FA 98」へと落ち着いたのだという。

 ジョークがXで反響を呼び,Kickstarterでのクラウドファンディングを経て,ついにはBitSummitでの出展にまでたどり着いた。Jazz氏自身,その道のりにいくらか呆れているようでもあった。「ジョークからBitSummitまで来てしまった」と。

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 そして,この作品にはもう1つ,見過ごせない位置づけがある。Jazz氏にとって,「FEAR FA 98」は単なる新作ではないのだ。

 「これは僕の最後のビデオゲームなんだ」

 約15年にわたるゲーム開発のキャリア。その集大成として本作を据えている。引退宣言の意なのか,本作に全力を注ぐという覚悟の表明なのか,その真意までは確かめきれなかったが,少なくとも本人がこのジョーク企画に並々ならぬ思い入れを注いでいることは,会場での口ぶりから十分に伝わってきた。

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ただのジョークでは収まらなかった,まさかの展開


 本作を「友達へのジョーク」と侮ってはいけない。「FEAR FA 98」は,リリース前にしてすでに,そうそうたるブランドとコラボレーションを実現している。

 具体的には,スポーツブランドのNikeと,配信プラットフォームのTwitchだ。Twitch向けには,配信での使用を想定した無血版(流血表現を除いたバージョン)を提供した。これらのコラボを通じて,本作は「数百万人」規模のリーチを獲得したという。

 血まみれのジョークゲームが,世界的なブランドと手を組む。この一点だけ取っても,本作が単なる悪ふざけの域を超えて,きちんと世間の注目を集めていることがうかがえる。

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 「FEAR FA 98」は,1人プレイだけでなく対戦も楽しめる。リリース後の展開についても,構想は意欲的だ。発売後は毎月コンテンツを追加し,オンラインモードも順次実装していく予定だという。ジョークから始まったとは思えない,長期運営を見据えた青写真もある。

 「FEAR FA 98」は,現在ポリッシュ(仕上げ)の段階にあり,2026年Q4(10〜12月)のリリースを目標としている。対応プラットフォームはPC(Steam)。なお対応言語は,Steamページの記載によれば英語のみとなっている。

 日本のホラーゲームの血脈を,スペインのソロ開発者が“血まみれサッカー”という奇天烈な形にまで煮詰めた本作は,少なくとも筆者の記憶には強烈に焼きついた。ジョークから始まり,Nikeと組み,BitSummitに出没した怪作「FEAR FA 98」。年末のリリースに向けて,続報を見守っていきたい。

Jacob Jazz氏。どんな人生を歩んできたら,サッカーとホラーを混ぜようという発想に至るのか
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    FEAR FA 98

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