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アナログとデジタルの融合を目指す「マーダーミステリーパラドクス」。安田 均氏と塩川洋介氏がマダミス愛を語るトークイベントをレポート
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印刷2023/07/25 14:27

イベント

アナログとデジタルの融合を目指す「マーダーミステリーパラドクス」。安田 均氏と塩川洋介氏がマダミス愛を語るトークイベントをレポート

 2023年7月16日に開催された「マーダーミステリーフェスティバル2023」の配信ブースで行われたトークイベントから,「マーダーミステリー最前線! 〜安田均×塩川洋介×じゃんきち対談〜」の模様をレポートする。

右から塩川洋介氏,安田 均氏,じゃんきち氏。じゃんきち氏はマーダーミステリー「ランドルフ・ローレンスの追憶」などで知られるクリエイターだ
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 同イベントではPC向けADV「マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年」(以下,マーダーミステリーパラドクス)を2023年内に発売予定のファーレンハイト213から,代表の塩川洋介氏とシナリオ担当のじゃんきち氏が出演し,グループSNE代表の安田 均氏とマーダーミステリーに関するトークを繰り広げた。


「マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年」公式サイト

グループSNE 公式サイト



アナログとデジタルの化学反応を目指した「マーダーミステリーパラドクス」


 今回のトークは,まずグループSNEが自社レーベルで展開中の「MYSTERY PARTY IN THE BOX」シリーズと「マーダーミステリー・ミニ」シリーズ,そしてカドアナから発売されている「MYSTERY&ADVENTURE BOX」シリーズの新作について,安田氏が紹介を行うところからスタートした。

「MYSTERY&ADVENTURE BOX」シリーズの「探偵禁止領域」を手にした塩川氏
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 「MYSTERY PARTY IN THE BOX」シリーズからはしゃみずい氏のSF作品「ゲノムの塔」が,「マーダーミステリー・ミニ」シリーズからは秋口ぎぐる氏「最後のソワレ」が発売となり,どちらも当日の物販コーナーで開始30分ほどで完売する人気ぶりだったそうだ。
 一方,「MYSTERY&ADVENTURE BOX」からは河野 裕氏による「探偵禁止領域」が発売。小説家でもある河野氏が本領を発揮した,本格ミステリーな一作に仕上がっているとのことである。

 さらにグループSNEでは,上記とは別ブランドの協力型ミステリーゲームシリーズ「卓上探偵団」の第3弾「殺人ランドへご招待」についても,この日先行販売を行っていた。小説家・似鳥 鶏氏がデザインを担当した同作は,参加者の中に犯人がいないため厳密にはマーダーミステリーとは呼べないものの,「マダミスは遊びたいが,犯人にはなりたくない」というニーズに応える作品となっている。同シリーズについて安田氏は,そうしたニーズにも応えられるよう今後もチャレンジを続けていきたいと話していた。

「多方面からのチャレンジこそが,ジャンルを充実させる」と語る安田氏
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 続いては,ファーレンハイト213の塩川氏から,開発中の「マーダーミステリーパラドクス」の紹介が行われた。同作はゲームジャンルとして会話選択式のアドベンチャーゲームではあるものの,そのベースにはマーダーミステリーのさまざまな要素が組み込まれている。
 例えば登場人物との会話シーンでも,密談で情報交換したり,それまでに培われた信頼によって得られる情報が変わったりといったことが起こりえる。そうした複雑なシナリオ分岐を実現するために白羽の矢が立てられたのが,マーダーミステリーのベテランゲームマスターであり,「ランドルフ・ローレンスの追憶」「パンドラの人狼」などの制作者でもあるじゃんきち氏というわけで,彼の手によって本作は濃厚な没入感のあるゲーム体験を実現しているとのことだった。

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「マーダーミステリーパラドクス」では,発売に先立ち体験版の配布も予定しているという
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 これ対し,長年アナログゲームのデジタルゲーム化に携わってきた安田氏は,ミステリー要素と物語の結合こそが重要と,同作への期待を述べていた。塩川氏は「2年に及ぶ開発期間によって,アナログとデジタルの化学反応を生み出せたのではないか」とこれに応え,じゃんきち氏も「何しろネタバレ厳禁なので言えないことが多いですが,このゲームがマーダーミステリーの新規層を開拓してくれるものと期待しています」と,同作への自信を覗かせていた。

「マーダーミステリーには文化になってほしい」と語る塩川氏(右)。じゃんきち氏は「マーダーミステリーのハードルを下げるには,ロールプレイしやすい仕組み――演技のカラオケ化が必要」とも話していた
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安田氏が中国の最新作の一つとして挙げた「三体 最終決戦」。中国の人気SF小説を題材としたマーダーミステリーだ
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 最後に安田氏は,今なお広がり続けるマーダーミステリージャンルについての持論を述べ,イベントを締めくくった。
 曰く,マーダーミステリーは最近生まれたゲームのように思われているが,その源流を辿ると,Frances Noyes Hart(フランセス・ノイズ・ハート)氏の推理小説「Hide in the Dark」(1929)にまで遡れるという。一方で,マーダーミステリーの本場である中国では,今や4万ものマーダーミステリー専門店があり,コロナ禍を乗り越えて元気に営業している。現地ではイマーシブシアターなどの流行も取り入れつつ,数多くの新作が生まれているそうだ。100年前の作家が生み出した推理ゲームが,こうして今なお広がり続けていると考えると,感慨深いものあるのではないだろうか。
 安田氏は,この流行がまだ10年は続くだろうと考えているそうで,日本からもより面白い作品が生まれることを願い,マーダーミステリーというジャンルを大事に育てていきたいと語った。また,氏のオリジンがSFにあることに言及しつつ,今は面白いSFゲームを求めて,さらなる放浪の旅に出たいとも話していた。

※Frances Noyes Hart……代表作に「異色探偵小説選集1」(日本出版協同,1953年)収録の「ベラミ裁判」など。

グループSNEからは,入門者向けのボックスセット「マーダーミステリーエントリーガイドBOX」(税込3300円)も7月末に発売される。最新のトレンドまでを含めたガイドブックに,オリジナルの入門用タイトル「嵐とともに魔王は来たれり」が付属している
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「マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年」公式サイト

グループSNE 公式サイト

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    マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年

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