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[レビュー]「GeForce RTX 4080 Founders Edition」で,Ada世代ハイエンドGPUの実力を検証。RTX 3090をしのぐ性能で消費電力は低い
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印刷2022/11/15 23:00

レビュー

Ada世代ハイエンドGPUは,RTX 3090をしのぐ性能で消費電力は低い

NVIDIA GeForce RTX 4080 Founders Edition

Text by 宮崎真一


 NVIDIAのAda Lovelace(以下,Ada)世代の幕切れとなった新型GPU「GeForce RTX 4090」(以下,RTX 4090)は,搭載カードの価格が実売で30万円以上と高価であるにも関わらず,PCパーツショップでは発売初日に完売となるところも多く,好調な滑り出しを見せた。

 だが,やはりその高い価格がハードルなのは確かで,SNSなどではRTX 4090を高嶺の花と諦めていた人も多いようだ。そういった人たちにとって,「GeForce RTX 4080」(以下,RTX 4080)に期待していたのではないだろうか。
 そんなRTX 4080搭載のリファレンス製品である「GeForce RTX 4080 Founders Edition」のベンチマーク情報が解禁となった。

GeForce RTX 4080 Founders Edition
メーカー:NVIDIA
価格:1199ドル(約16万8300円,税別,国内発売予定なし)
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 RTX 4080のゲーム性能はどれほどなのか,RTX 4090や従来モデルとの差はどの程度なのか,詳しく見ていきたい。

RTX 4080 Founders Editionの製品ボックス(左)と,それを空けたところ(右)。カードに周囲に集中線が描かれているのがおもしろい
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GPUコアにはAD103を採用,CUDA Coreの総数は9728基


 まずは,RTX 4080のスペックから紹介していこう。
 RTX 4080は,RTX 4090と同じAda Lovelace世代のGPUで,TSMCのNVIDIA向けにカスタマイズされた4Nプロセスで製造されている。GPUコアには「AD103」を採用しており,約379mm2のダイサイズに約459億個のトランジスタを内包する。RTX 4090に比べると,ダイサイズとトランジスタ数は,ともに6割強の規模になっている(関連記事)。

 なお,当初,RTX 4080にはグラフィックスメモリ16GB版と12GB版が用意されるという話だったが,実際に登場するのは16GB版だけだ。NVIDIAによると,12GB版は命名が適切ではなく混乱を招いたとして,発売をとりやめてしまった。おそらく12GB版は,いずれはほかのモデルナンバーを付けて登場するのだろう。

 Adaアーキテクチャでは,シェーダプロセッサである「CUDA Core」を128基と,L1キャッシュメモリやテクスチャユニット,そしてレイトレーシングにおける光線の生成と衝突判定を行う「RT Core」を1基と,行列積和算に特化した「Tensor Core」を4基まとめたものが,「Streaming Multiprocessor」(以下,SM)となっている。そのSMを12基集めた単位がGPUクラスタ「Graphics Processor Cluster」(以下,GPC)で,AD103は,GPCを7基備える。

 なお,NVIDIAが公開したAD103のブロックダイアグラムを見ると,7基のGPCのうち1基はSMが8基構成になっているので,AD103のフルスペックは,SMの総数が80基となり,CUDA Coreの総数は128×80で10240基となる。それがRTX 4080では,歩留まり向上のためか,残り6基のGPCのうち,2基のGPCで,SMが2基無効化された10基となっているので,SMの総数は

  • 12×4+10×2+8=76基

という計算になる。それゆえ,RTX 4080におけるCUDA Coreの総数は,76×128で9728基となるわけだ。CUDA Core数は,RTX 4090比で約59%の規模にあたり,前世代の「GeForce RTX 3080」(以下,RTX 3080)から,18%ほど増えた計算になる。

AD103(上)とRTX 4080(下)のブロック図。SMの数や「NVDEC」(ビデオデコーダ)の数が異なる
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NVIDIAコントロールパネルで,RTX 4080 Founders EditionにおけるGeForce RTX 4080のシステム情報を確認したところ
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CUDAの開発キットに付属している「devicequerydrv.exe」の実行結果。L2キャッシュ容量は67108864bytes(=64MB)だ
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 RTX 4090と同様に,RTX 4080のRT Coreは第3世代に,Tensor Coreは第4世代にそれぞれ進化した。RTX 4080では,76基のRT Coreと304基のTensor Coreを有しており,ここもRTX 4090比で60%弱の規模となっている。
 そのほかにもRTX 4090では,L2キャッシュが大幅に増量されているが,RTX 4080も同様で,64MBもの容量を誇っている。RTX 3080のL2キャッシュ容量が5MBだったのに比べると,実に13倍近くも増えたわけだ。

GPU-Z(Version 2.50.0)でRTX 4080のスペックを確認したところ
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 動作クロック設定は,ベースクロックが2210MHzで,ブーストクロックが2505MHzと,RTX 3080よりも大幅に引き上げられている。RTX 3090やRTX 3080のブーストクロックと比較すると,2GHzを大きく超えるブーストクロックはRTX 40世代の特徴と言っていい。ただ,ブーストクロックが2520MHzに達するRTX 4090よりは控えめだ。
 後述するテスト環境において,負荷をかけた状態のコアクロックを「GPU-Z」(Version 2.50.0)で追ってみたところ,2775MHzまで上昇しているのを確認した。同様のテストで,RTX 4090は2715MHzまでしか上がらなかったのと比べると,RTX 4080は回路規模が小さい分,動作クロックを上げやすい印象だ。

 メモリ周りに目を移すと,RTX 4080は,容量16GBのGDDRXメモリを組み合わせている。注目したいのは,そのメモリクロックで,RTX 4080は22.4GHz相当と,RTX 4090の21GHzを上回る速度で動作となっている点だ。RTX 4080のメモリインタフェースは256bitしかなく,これはRTX 3080の320bitより狭いので,その分,メモリクロックを高速化してメモリバス帯域幅を稼ごうということなのだろう。
 RTX 4080のメモリバス帯域幅は716.8GB/sを誇り,RTX 4090比で71%の幅広いものだ。しかし,RTX 3080の760GB/sは下回っているので,そのあたりを大容量L2キャッシュで補完しようという考えなのかもしれない。

 RTX 4080のTGP(Total Graphics Power)は320Wで,RTX 4090の450Wより170Wも減っている。ただ,RTX 3080と数値上は変わらないものの,付属するPCI Express(以下,PCIe)補助電源変換コネクタの変換ケーブルは,RTX 3080が2系統の8ピンを1本の16ピンに束ねるものであったのに対して,RTX 4080は3系統の8ピンを1本の16ピンに束ねるものとなっている。これだけを見ると,同じTGPとはいえ,RTX 4080のほうがRTX 3080より消費電力が大きいのではないだろうか。

製品ボックスには,8ピン3本を1本の16ピンに束ねる変換コネクタが付属している
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 そんなRTX 4080の主なスペックを,RTX 4090とRTX 3080,それに「GeForce RTX 3090」(以下,RTX 3090)のスペックとともにまとめたものが表1となる。

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RTX 4090 Founders Editionと瓜二つ。でかくて重い点も変わらず


 それでは,RTX 4080 Founder Editionのカードそのものについて見ていこう。

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 RTX 4080 Founder Editionのカードサイズは,実測で約305mm(※突起部含まず)だ。RTX 4090 Founders Editionも約306mmほどだったので,サイズはほぼ同じと言っていい。

カード長は実測で約305mm。ハイエンド向けグラフィックスカードとしては一般的な長さだが,厚さがあるので,外観はかなり大きな印象を受ける
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 形状やサイズ,カード後方の裏面側に120mm径のファンを搭載しており,エアーが表面から裏面に抜ける構造を採用している点など,RTX 4080 Founders Editionの外観は,RTX 4090 Founders Editionと瓜二つだ。
 なお,重量は実測で約2126gで,約2189gだったRTX 4090 Founders Editionとほぼ同じだ。つまり,簡単にまとめるとRTX 4080 Founders Editionも,でかくて重い点は変わらないということになる。

RTX 4090 Founders Editionから若干軽いものの,その重量は実測で約2126gと重いことには変わりはない
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カードの厚さは60mmほどで,3スロットを占有する
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 GPUクーラーは,3スロット占有タイプで,カード表面と裏面に120mm径相当のファンを1基ずつ搭載する。これらのファンは,外郭のバリアリングとブレードが一体成型されたタイプだ。GPUへの負荷が低い,いわゆるアイドル時にはファンの回転を停止する機能も備える。

カードに寄って見ると,基板自体は黒いヒートシンクの右端あたりまでしかない(左)。カード後方は,表面から裏面へエアーが抜ける構造なのか見て取れる(右)
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RTX 4090 Founders Editionも,厚さはかなりインパクトがあったが,RTX 4080 Founders Editionでもそれは同じだ
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 NVIDIAが用意した基板の写真を見てみると,RTX 4090 Founders Editionがそうであったように,RTX 4080 Founders Editionもカード長に比べて3分の2程度の長さしかない。電源部は16+2フェーズ構成のようで,GPUを取り囲むように配置されている。
 なお,RTX 4080 Founders Editionでは,電源部に空きパターンが目立つので,RTX 4090 Founders Editionと基板自体は同じものだが,RTX 4080の規模に合わせて電源部をいくらか省略しているようだ。

RTX 4080 Founders Editionの基板
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PCIe補助電源コネクタは,「12VHPWR」に対応した16ピンが1基用意されている
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 PCIe補助電源コネクタは,カード中ほどに16ピンタイプを1基備えており,先述したとおり,製品には3系統の8ピンを1本の16ピンに束ねる変換ケーブルが付属している。
 8ピンの数は異なるものの,変換ケーブルのコネクタはRTX 4090 Founders Editionに付属しているものとほぼ同じで,コネクタの根元が比較的固い。そのため,カード上方側には,相応の余裕が必要になる点も,RTX 4090 Founders Editionと同じだ。

 映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4出力を3つと,HDMI 2.1をひとつ備えており,RTX 4090 Founders Editionと変わらない。

映像出力インタフェースはDisplayPort×3,HDMi×1という一般的な構成。ブラケットには,かなり大き目の通気孔が設けられている
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Cyberpunk 2077でDLSS 3の性能をテスト,CoD MW2も新たに追加


 それでは,RTX 4080のテスト環境について話を移そう。今回,比較対象には上位モデルとなるRTX 4090と,前世代のRTX 3080,その上位モデルとなるRTX 3090を用意した。上位モデルとどの程度の差があるか確認しつつ,前世代からの性能向上具合を見てみようというわけだ。

 使用したグラフィックスドライバは,「GeForce 526.72 Driver」で,これはNVIDIAが全世界のRTX 4080のレビュワーに対して配布したものだ。原稿執筆時(2022年11月14日時点)におけるドライバの最新バージョンは526.86なので,RTX 4080に対応したそれよりは若干古いものとなるようだ。

 また,DLSS3のテストでWindows側の「ハードウェア アクセラレータによる GPUスケジューリング」が必要となるため,今回もRTX 4090 Founders Editionのレビュー記事と同様に,評価機のOSにはWindows 11を採用している。そのほかのテスト環境は表2のとおり。

表2 テスト環境
CPU Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz,最大クロック4.9GHz,共有L3キャッシュ容量64MB)
マザーボード MSI MEG X570 ACE(AMD X570,BIOS 7C35v1D2)
メインメモリ G.Skill F4-3200C16D-16GIS PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2(DDR4-3200の16-16-16-36設定で利用)
グラフィックスカード GeForce RTX 4080 Founders Edition(グラフィックスメモリ容量16GB)
GeForce RTX 4090 Founders Edition(グラフィックスメモリ容量24GB)
Palit Microsystems GeForce RTX 3090 GamingPro OC(GeForce RTX 3090,グラフィックスメモリ容量24GB)
GeForce RTX 3080 Founders Edition(グラフィックスメモリ容量10GB)
ストレージ Samsung Electronics SSD 850 EVO(MZ-75E500,500GB)
電源ユニット Corsair CMPSU-1200AX(定格1200W)
OS 64bit版Windows 11 Pro(22H2,Build 22621.819)
チップセットドライバ AMD Chipset Drivers 4.09.23.507
グラフィックスドライバ GeForce:GeForce 526.72 Driver

 テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション25.0に準拠。テスト解像度は,3840×2160ドットに加えて,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3つを選んだ。

 また,レギュレーション26を先取りする形で,「3DMark」(Version 2.25.8043)の新DirectX 12テスト「Speed Way」を追加した。さらに,RTX 4080のリアルタイムレイトレーシング性能を見るべく,「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」のテストも実施している。
 それに加えて,DLSS 3の性能も確認すべく,「NVIDIA DLSS feature test」もテストしているが,RTX 4090とRTX 4080はDLSS 3を,RTX 3090とRTX 3080はDLSS 2を用いている点は注意してほしい。なお,いずれのGPUでも,解像度は3840×2160ドットと2560×1440ドットを選択し,DLSS modeはQualityに設定している。

 さらに,DLSSの性能をゲームにおいても確認するため,「Cyberpunk 2077」でのテストも行った。今回はレビュワー向けに配布されたDLSS 3対応のβ版を使用しており,RTX 4080とRTX 4080は,DLSS 3の補間フレーム生成機能「Frame Generation」(フレーム生成)を「オン」に,RTX 3090とRTX 3080はオフのまま,ゲーム付属のベンチマークモードを実行している。ただ,このベンチマーク機能は,DLSS 3が生成した補間フレームを正確にカウントできないので,ベンチマーク中に「CapFrameX」(Version 1.7.0)で平均フレームレートと1パーセンタイルフレームレートを取得するという手順を,2回行った。その平均値を結果として採用している。
 なお,グラフィックス設定のプリセットには「レイトレーシング:ウルトラ」を採用している。

 ほかにも,レギュレーション26を見据えて,「Call of Duty: Warzone」に代えて「Call of Duty: Modern Warfare II」(以下,CoD MW2)をテストに加えた。CoD MW2では,「極限プリセット」でゲーム付属のベンチマークモードを実行し,平均フレームレートと最小フレームレートを取得している。なお,テストは2回行い,平均をそれぞれ求めている。


高負荷時はRTX 4090の70〜80%程度の性能でRTX 3080に大差を付ける


 それでは,3DMarkの結果から順に見ていこう。Fire Strikeの総合スコアをまとめたものがグラフ1となる。

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 RTX 4080はRTX 4090と比べて72〜96%程度のスコアを発揮しているが,Fire Strike“無印”では,RTX 4090がCPUのボトルネックによりスコアを伸ばしきれていない。それぞれの差が縮まっているのだろう。それが,GPU負荷が高まるにつれて,差が広がっていくという傾向が見て取れる。
 また,RTX 4080はRTX 3080の1.2〜1.5倍という高いスコアを発揮した。Fire Strike“無印”では,CPU性能の影響が大きくなることを踏まえると,RTX 4080はRTX 3080の1.5倍の性能と言っていい。

 続いてグラフ2は,Fire Strikeの総合スコアから「Graphics score」を抜き出したものだ。

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 このテストでは,そのCPU性能の影響がなくなるが,それでもFire Strike“無印”では,RTX 4080とRTX 4090の差は縮まっている。NVIDIAが言うには,Fire Strike自体がもう古いテストで,その中でもFire Strike“無印”は負荷が軽く,RTX 4090が性能を生かせないという。そのため,それぞれの差が縮まっているが,それ以外を見るとRTX 4080はRTX 4090の70〜75%程度という位置に収まっている。RTX 3080比で見ると,RTX 4080は1.4〜1.6倍程度の性能を発揮しており,世代の差をハッキリと感じられる内容だ。

 Fire Strikeからソフトウェアベースの物理演算テスト結果を「CPU score」として抜き出したのがグラフ3だ。すべてのテストにおいてCPUを統一しているため,スコアもきれいに横並びとなっている。

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 グラフ4は,GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果をまとめたものだ。

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 RTX 4090のテストでは,Fire Strike“無印”でスコアが奮わない現象が起きたが,RTX 4080もRTX 3080の後塵を拝してしまっている。NVIDIAによると,RTX 4090のテストでは,CPU性能によって処理速度が制限される「CPUバウンド」が発生しているそうだが,それはRTX 4080でも起きるようだ。なお,Fire Strike Extremeは,まだCPU性能の影響が大きいためか,RTX 4080とRTX 4090の差は縮まったままだが,Fire Strike Ultraになると,RTX 4080はRTX 4090と比べて約68%の性能に収まっている。

 次に,DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の結果を見てみよう。グラフ5は総合スコアをまとめたものだ。

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 Time Spyの総合スコアは,CPU性能の割合も大きいため,それゆえRTX 4080とRTX 4090の差は縮まり気味で,Time Spy“無印”では約90%まで迫っている。しかし,Time Spy Extremeになると,GPUの描画負荷が大きくなるため,RTX 4080はRTX 4090の約80%まで差が開いている。一方,RTX 3080比では,RTX 4080は1.4〜1.5倍程度の性能を発揮しており,RTX 3090に対しても34〜38%程度の差を付けている点は立派だ。

 続くグラフ6は,Time SpyのGPUテスト結果,グラフ7はCPUテストの結果となる。

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 まず,GPUテストからだが,CPU性能の影響がなくなるため,RTX 4080はRTX 4090の73〜85%程度と差が開いている。一方,RTX 3080に対しては,1.6倍前後のスコアを記録しており,RTX 3090に対しても49〜50%程度もの大差を付けているなど圧巻だ。
 一方のCPUテストの結果は,Fire Strikeと同様に,CPUが同一なのでスコアも並んでいる。

 もうひとつのDirectX 12のテストであるSpeed Wayの結果をグラフ8に示す。

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 Speed Wayは,DirectX 12 Ultimateに対応しており,グローバルイルミネーションやレイトレーシングによる反射の描画なども行うなど,相応に負荷が大きいテストとなっている。それゆえRTX 4080は,RTX 4090比で約73%のスコアとなり,それなりの差を付けられた。
 一方で,RTX 3080には57〜61%程度,RTX 3090には42〜50%程度の差を付けるなど,圧倒している。

 リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果が,グラフ9だ。

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 RTX 4080のRT Core数は,RTX 4090の6割程度。性能を示すスループットも113 RT-TFLOPSで,RTX 4090の191 RT-TFLOPSに比べると,やはり59%程度となっている。それにも関わらず,Port RoyalではRTX 4080がRTX 4090の約70%というスコアを記録している。Port Royalでは,RT Core以外の要因でRTX 4090がスコアを伸ばし切れずに,結果として差が若干縮まったのだろう。

 もうひとつのレイトレーシングテストであるDirectX Raytracing Feature testの結果が,グラフ10となる。

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 ここでは,RTX 4080がRTX 4090の約62%と,スループットの差に近い位置に収まった。また,RTX 3080に対しては約77%,RTX 4090に対して約57%と,それぞれ大差を付けており,レイトレーシング性能でも格の違いを見せつけている。

 続いて,DLSSの性能を見るNVIDIA DLSS feature testの結果がグラフ11となる。

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 DLSS on時だけのフレームレートを見ると,RTX 4080はRTX 4090の約73%ほど,RTX 3080の2.3〜2.4倍程度と優秀だ。しかし,DLSS onとDLSS offの差をそれぞれ見ていくと,RTX 4090が119〜169%程度であるのに対して,RTX 4080は147〜188%程度と,DLSSを有効にしたときの伸びはRTX 4080に軍配が挙がる。RTX 3090とRTX 3080が,ともにDLSSを有効にしてもフレームレートの伸びは2倍に満たない点を見ると,Tensor Coreの世代差を感じられるだろう。

 ちなみに,Tensor Coreのスループットは,RTX 4080が780 Tensor-TFLOPSで,RTX 4090が1.3 Tensor-PFLOPS(Peta FLOPS)と大きな開きがある。それにも関わらずRTX 4080のほうが伸びているのは,NVIDIA DLSS feature testがRTX 4090の性能を活用できておらず,フレームレートを伸ばしきれていないのではないだろうか。

 それでは実際のゲームで,DLSS 3によってRTX 4080の性能が伸びるのかを,Cyberpunk 2077で見てみよう。その結果がグラフ12〜14だ。

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 ここでは,RTX 4080とRTX 4080がDLSS 3を,RTX 3090とRTX 3080がDLSS 2を用いている点を注意してほしい。1920×1080ドットだとCPU性能が足かせとなるためか,RTX 4080は平均フレームレートでRTX 4090の約98%と,ほぼ差がない状況となっている。
 そこで,それ以外の解像度を見ていくと,平均フレームレートでRTX 4080はRTX 4090の81〜88%程度,1パーセンタイルフレームレートで89〜90%程度と,良好な結果を残している。前世代と比べると,平均フレームレートでRTX 3080の2倍以上,1パーセンタイルフレームレートでもRTX 3080に62〜79%程度もの差を付けており,RTX 4080においてDLSS 3が大きな武器になっていることが垣間見える。

 グラフ15〜17は,「Far Cry 6」の結果となる。

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 ここでのRTX 4080とRTX 4090との差は,平均フレームレートで2〜8%程度しかない。RTX 3080に対しても,2560×1440ドット以下では2〜3%程度しか引き離せず,3840×2160ドットで,ようやく約22%の差を付ける形となった。Far Cry 6のテストではレイトレーシングを有効にしているにも関わらず,RTX 4090やRTX 4080にとっては負荷が軽いようで,CPU性能の影響も大きく受けてしまって性能を発揮しきれていないということなのだろう。

 続いて,「バイオハザード ヴィレッジ」の結果がグラフ18〜20となる。

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 ここでも2560×1440ドット以下の解像度は,RTX 4080やRTX 4090にとっては負荷が軽く,平均フレームレートでは約5%しか差が付いていない。3840×2160ドットでは,RTX 4080はRTX 4090の約70%の位置に収まっており,1パーセンタイルフレームレートでも同じ傾向だ。
 ただ,RTX 3080に対しては,平均フレームレートにおいて2560×1440ドットで約40%と明確な差を付け,3840×2160ドットではその差を約55%まで広げている。とくに1パーセンタイルフレームレートでは,RTX 3080が3840×2160ドットで100fpsを大きく割ってしまうのに対して,RTX 4080は140fpsに迫る勢いを見せている点は,インパクトが大きい。

 さて,初お目見えとなるCoD MW2の結果がグラフ21〜23だ。

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 RTX 4080は,平均フレームレートでRTX 4090の74〜86%程度,最小フレームレートで69〜80%程度の位置にある。さすがに3840×2160ドットになると,RTX 4080は最小フレームレートが60fpsを割ってしまっているものの,それでもRTX 3080と比べて1.7倍のフレームレートを発揮している。とくに,2560×1440ドットに着目すると,RTX 3080は最小フレームレートが60fpsを切っているのに対して,RTX 4080は100fpsに近い結果を残した。RTX 4080の性能は,RTX 3080とは段違いと言っても過言ではない。

 「Fortnite」の結果をグラフ24〜26に示す。

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 1920×1080ドットでは,再びCPUがボトルネックとなり,平均フレームレートでRTX 4080とRTX 4090の差がほとんどなくなってしまっている。ほかの解像度を見ていくと,RTX 4080は平均フレームレートでRTX 4090の79〜87%程度という結果を残しており,最小フレームレートでも78〜88%程度の性能を発揮している。
 RTX 3080比で最小フレームレートを見ると,RTX 3080は,2560×1440ドットで100fpsに届かず,3840×2160ドットで60fpsを切っているが,RTX 4080は2560×1440ドットで120fpsを超え,3840×2160ドットでは60fpsを大きく上回っているなど,RTX 4080におけるゲームの快適性は申し分のない内容だ。

 グラフ27〜29が「Borderlands 3」の結果だ。

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 ここでも平均フレームレートにおいて,RTX 4080とRTX 4090との差が明確になるのは3840×2160ドットで,その差は約22%だ。それはRTX 3080に対しても同じで,3840×2160ドットの平均フレームレートでRTX 4080は,RTX 3080に約41%もの差を付けている。1パーセンタイルフレームレートでも,RTX 4080は,3840×2160ドットでRTX 3080に約29%の差を付けている点は評価できよう。

 グラフ30は,「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(以下,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。

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 1920×1080ドットではCPUが足を引っ張って,RTX 4080とRTX 4090は横並びだ。2560×1440ドット以上になるとRTX 4080はRTX 4090の84〜88%程度のスコアに落ち着いている。
 RTX 3080に対しては,RTX 4080は21〜34%程度の差を付けた。とくに3840×2160ドットでは,スクウェア・エニックスが指標で最高評価とするスコア1万5000にRTX 3080が届いていないのに対して,RTX 4080は優に上回っている点は注目すべきポイントだ。

 そんなFFXIV暁月のフィナーレ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ31〜33だ。

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 平均フレームレートは,総合スコアを踏襲した形となっており,やはり1920×1080ドットではCPUがボトルネックとなり,RTX 4080とRTX 4090は肩を並べている。しかし,それ以外の解像度では,RTX 4080はRTX 4090の81〜87%程度に収まっている。また,最小フレームレートはCPU性能影響が色濃くなるため,横並びになる場面が多くなるもの,3840×2160ドットに注目すると,RTX 3080は60fpsを切ってしまうが,RTX 4080は60fpsを上回る結果を残している。

 グラフ34〜36には,「Project CARS 3」の結果をまとめている。

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 1920×1080ドットではCPUがネックとなり,平均フレームレートではRTX 4080とRTX 4090との差が詰まってしまう。それ以外の解像度を見ると,RTX 4080の平均フレームレートは,RTX 4090の70〜77%程度の結果となった。RTX 3080やRTX 3090の結果からも分かるとおり,レギュレーションではかなり描画負荷を高く設定しているのだが,RTX 4080は,1920×1080ドットで平均フレームレートが100fpsに迫り,2560×1440ドットでも60fpsを上回っている点は称賛してよいだろう。


RTX 4080の消費電力は300W前後で,RTX 3080よりも低い


 さて,RTX 4090のTGPは450Wと,非常に消費電力が高かったが,RTX 4080はどうなのだろうか。RTX 4080のTGPは320Wで,これはRTX 3080と変わらない値だが,はたして実際の消費電力がどの程度なのかは気になるところだ。

 そこで,今回はNVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。ただしPCATは,8ピン×3系統のPCIe補助電源コネクタまでしか対応していないため,4系統が必要となるRTX 4090はテストしていない。
 なお,今回の計測も,3DMarkのTime Spyにおいて,消費電力が高くなる傾向がでたGraphics test 2実行中に行った。その結果をグラフ37に示そう。

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 この結果を見ると,RTX 4080の消費電力は300W前後を推移しており,RTX 4090はもちろんのこと,RTX 3080よりも消費電力が低いようだ。
 そこで,グラフ37の測定結果から,分かりやすくなるように中央値を求め,最大値と合わせてまとめたものがグラフ38となる。

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 RTX 4080の中央値は300Wと,TGPの320Wを下回り,RTX 3080に約30Wの差を付けた。この件についてNVIDIAは,「RTX 4080のTGPは,GPU Boost適用時の電力上限値である」と説明している。多くの動作環境下では,CPUが足かせとなりRTX 4080がフル稼働とならず,消費電力も少なくなるそうだ。
 実際,RTX 4080の最大値は320Wほどで,NVIDIAの主張も頷ける。ただ,同じ320WのRTX 3080は,中央値が320W近いことを踏まえると,RTX 40世代とRTX 30世代で,TGPの解釈が異なっているのかもしれない。
 いずれにしても,RTX 4080の消費電力が抑えめな点は評価できる。

 ちなみにRTX 3080は,PCIe補助電源コネクタが8ピン×2で動作するため,RTX 4080もコネクタを2つつなげるだけで動作するかと思ったが,ファンすら回転せず動作はしなかった。いずれ,グラフィックスカードメーカーの独自モデルとして,8ピンが2基しかしない製品が登場するのではないだろうか。

 ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力を計測した結果も見てみよう。
 テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。
 その結果がグラフ39だ。

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 ここではピーク値を結果として採用するため,どうしても差が開く傾向が出てしまう。それでもRTX 4080は,各アプリケーション実行時においてRTX 4090から104〜159W程度低い値となっているのは立派だ。RTX 3080に対しても9〜54W程度も低い結果を残しており,RTX 4080は,少なくともRTX 3080より消費電力は低いと言ってよさそうだ。

 最後に,GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
 GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっていることは想像に難くなく,またそれぞれファンの制御方法が違うため,同列に並べての評価にあまり意味はない。
 それを踏まえた結果はグラフ40のとおり。

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 RTX 4090と同じ大きなクーラーを搭載しているのだから,冷えて当然という見方もできるが,RTX 4080は高負荷時でも70℃を切っており,GPUクーラーの冷却性能は優秀だ。なお,アイドル時は30℃台後半と若干高めだが,これはアイドル時にはファンの回転が停止するためだ。それでも,RTX 3090やRTX 3080より温度が低い点は,やはりGPUクーラーの冷却性能が高いことを物語っている。

 最後に筆者の主観であることを踏まえたうえで,RTX 4080の動作音について述べておくと,静かな印象を受けた。当たり前の話だが,RTX 4090と同レベルだが,少なくともRTX 3080より静かなことは間違いない。


ゲーム性能が良好で消費電力も抑えめだが,価格は20万円以上と高価


 以上のテスト結果から分かるとおり,RTX 4080はRTX 3080から性能が飛躍的に進化している。次元が違うと評しても問題がないほど,RTX 40世代とRTX 30世代ではゲーム性能に大きな隔たりがある。
 しかも,RTX 4080について言えば消費電力が低めで,RTX 3080より低い点は称賛したい。RTX 4090のレビュー記事で,筆者はテスト中,「部屋が暖かくなった」と論じたが,RTX 4080ではそういうことがなかったのも評価できよう。

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 ただ,RTX 4080にも問題点はある。ひとつはRTX 4090がそうであったように,CPUが足かせになる場面が多くなる点だ。RTX 4080を使用するのであれば,やはりそれに見合った高性能なCPUを用意したいところだ。
 もうひとつは価格の高さだ。NVIDIAの日本語公式Webサイトには,RTX 4080搭載カードの想定売価が「21万9800円より」と書かれており,RTX 4090ほどではないとはいえ,十分すぎるほど高価だ。RTX 2080が12〜14万円程度,RTX 3080は10〜12万円程度でそれぞれ発売されたのに比べると,RTX 4080は,80番台モデルとしては高過ぎる印象を受ける。為替相場や半導体の世界的な供給難など,取り巻く環境が異なるものの,もう少し手の届く価格にしてほしかったと嘆く人も多いのではないだろうか。

 とはいえ,約30万円のRTX 4090が人気を博したことを考えると,RTX 4080も注目の製品になることを間違いない。しかも,消費電力が低めであることを考慮すると,各メーカーから,カードサイズを小さくしたり,より高いクロックアップを設定したりと,多種多様なオリジナルモデルの登場が期待できる。RTX 4080は,今後の市場動向が楽しみなGPUであるとまとめておきたい。

NVIDIA公式WebサイトのGeForce RTX 4080情報ページ

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    GeForce RTX 40

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