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ソニー初のゲーマー向けディスプレイ「INZONE M9」をチェック。PS5でもPCでもいけるゲーマー向け製品第1弾はとてもしっかりした製品だ
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印刷2022/08/31 18:00

レビュー

PS5でもPCでもいけるゲーマー向け製品第1弾はとてもしっかりした製品だ

ソニー INZONE M9
(SDM-U27M90)

Text by 林 佑樹


 新ブランド「INZONE」を立ち上げて,ソニーがPCゲーマー向けデバイスに参入した。PlayStationシリーズを展開してきたソニーなので,違和感なく受け入れた読者も多いと思う。そのブランド第1弾となったのが,ヘッドセットの「INZONE H」シリーズと,ディスプレイの「INZONE M」シリーズというのは,AV製品で名高いソニーらしいラインアップとも言えよう。
 ヘッドセット最上位モデルの「INZONE H9」は,すでにレビューを掲載済みだが,本稿では,ディスプレイの「INZONE M9」を評価してみたい。

INZONE M9(SDM-U27M90)
メーカー:ソニー
問い合わせ先:総合サポート・お問い合わせ
税込直販価格:15万4000円(※2020年8月31日現在)
画像集 No.002のサムネイル画像 / ソニー初のゲーマー向けディスプレイ「INZONE M9」をチェック。PS5でもPCでもいけるゲーマー向け製品第1弾はとてもしっかりした製品だ

 ゲーマー向け周辺機器参入メーカーとしては最後発でもあり,「ゲーマー向け製品に,ソニー独自の技術やノウハウをうまくまとめているのではないか」と期待する考える人も多いだろうが,実際,そのとおりだ。INZONE M9は,ゲームをプレイするなら,ソツなく扱えるナイスなゲーマー向けディスプレイといえる。早速,見ていこう。


PS5を思わせるシンプルな白と黒の外観


 ところで,INZONE M9の製品名を見て,「何インチサイズなのかな?」と思った読者もいるだろう。筆者も初めは気付かなかったのだが,実は本製品,「SDM-U27M90」という型番があり,きちんと「27」と書かれていた。ちなみに,「SDM」とは,ソニー製のPC向けディスプレイで長年使われている接頭語であり,その意味ではINZONE M9も,同社製ディスプレイの系譜に連なるものだ。

 そんなINZONE M9は,27インチサイズで,解像度3840×2160ドットの4Kゲーマー向けディスプレイである。IPS方式の液晶パネルを採用しており,垂直最大リフレッシュレートは144Hz,中間調(Gray to Gray)応答速度は最小1msという具合で,今どきのゲーマー向けディスプレイで求められる仕様は,しっかりと押さえているといった具合だ。

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 また,詳しくは後述するが,VESAのディスプレイ同期技術「Adaptive-Sync」や,NVIDIA独自のディスプレイ同期技術「G-SYNC Compatible Monitors」の認証を取得していたり,PlayStation 5(以下,PS5)でも利用できるHDMIのディスプレイ同期技術「Variable Refresh Rate」や,HDR映像規格「DisplayHDR 600」にも対応するなど,ミドルクラス〜ハイエンドのゲーマー向けディスプレイでなければ搭載していないような機能も備えている。

製品ボックスの同梱物。スタンドとアーム,電源のACアダプター,ケーブルオーガナイザー,ネジが入っていた
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ディスプレイ本体の背面。中央の凹みにスタンドを填め込む。なお,VESA 100(100mm×100mm)準拠のモニターアームにも対応する
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スタンドの組み立てには,プラスドライバーが必要(左)。右はスタンドを取り付けた状態だ
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 外観から見ていくと,前面は黒基調のよくあるゲーマー向けディスプレイなのだが,背面やスタンドは,PS5のような白基調になっている。ゲーマー向けディスプレイを俯瞰してみると,そのほとんどが黒基調なので,たとえば,eスポーツシーンでINZONE M9が使用されていれば,ソニーの製品と即分かるのではなかろうか。このデザインには,戦略的な意味合いもあるのだろうが,「黒いディスプレイ」ばかりでちょっと敬遠していたのであれば,ビジュアル面でもINZONE M9は選択肢に入ってくるだろう。
 なお,背面にあるLEDイルミネーションの光り具合も控えめで,OSDメニューや後段で説明するソフトウェアの「INZONE HUB」で消灯もできる。

前面。スタンドの自己主張が強いかと思ったが,意外にも気にならない
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左右の視野角は,178度と平均的。表面処理はノングレアである
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前面右上を拡大したところ。ナローベゼル仕様だ
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背面から見ると,PS5感が強めだ。写真左側に見えるのがジョイスティックと電源ボタンだ
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背面の排気口内にLEDイルミネーションがあり,任意の発光色を設定できる
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 INZONE M9のスタンドは,床面を3点で保持するもので,華奢そうな見た目に反して安定感がある。設置や位置の調整時にも安定しており,不安を感じることはなかった。

見た目に反して安定感のあるスタンド。設置や位置調整時に不安を感じることはなかった
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 スタンドの可動範囲だが,まず上下回転(チルト)が可能で,角度は0〜20度の範囲で動かせる。高さ調整も可能で,最大70mmの範囲で上下の位置を調整可能だ。左右回転(スイベル)はできないのが気になるところだが,本体を少し持ち上げて,中央手前の支柱を中心に回すように動かすと,すんなり調整できた。設置時点でしっかり位置や向きを決めておけばいい,という意図なのだろう。

スタンドの高さは,上下70mmの範囲で調整できる
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下向きには動かないが(左),上方向には20度(右)傾けられる
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 映像入力インタフェースとしては,DisplayPort 1.4が1ポートとHDMI 2.1が2ポートに加えて,USB Type-C x1 (DisplayPort Alt Mode対応,Upstream)を備える。これらに加えて,USB Type-B×1(Upstream)とUSB Type-A×3 (Downstream),3.5mmミニピンヘッドフォン出力も備える。USBポートにつないだマウスやキーボードを2台のPCで共有して使う「KVM」機能にも対応しているなど,INZONE M9は,インタフェースの数や機能が充実していると言えよう。
 さらに,HDMI入力は,HDMIのディスプレイ同期技術「Variable Refresh Rate」に対応しているので,PS5ユーザーがINZONE M9を選ぶのもありだろう。

背面下向きに並ぶインタフェース部分。端子の種類や向きを示す印刷もあるため,コネクタの差し込む向きを把握しやすい
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付属のACアダプターは,控えめに言ってもデカい。妙に熱を持たないところは良い感じだ
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素性が良く,キャリブレーション済みの液晶パネル


 細かいことを気にせず,「きれいな画面で遊べるディスプレイが欲しい」というときに,ひとつの指標となるのがVESAのHDR関連規格「DisplayHDR」だ。
 今のところ,DisplayHDR 400/500/600/1000/1400が規格化されており,それらに対応する液晶ディスプレイが市場に流通している。HDR映像の表現力に期待したいなら,DisplayHDR 600以上を選びたいところだ。DisplayHDR 600は,HDR映像のゲームや映像コンテンツを楽しむだけでなく,Windows 11でゲームを遊ぶときに,OS側の「オートHDR」機能をオンにしておくと,ゲームの映像がSDRであっても,自動でHDR相当の輝度やコントラストに引き上げてくれるので,HDR対応ゲームのような映像でプレイできる。

 さらに,INZONE M9は,液晶パネルの裏側に複数のバックライトを並べた「直下型LED部分駆動」(※未公開だが96分割という話だ)を採用しており,HDR映像で,さらにメリハリの効いた絵を楽しめる。ここもINZONE M9において,ソニーが重視したい部分だったようだ。

テストパターンを表示した状態で,左から正面,30度,60度と角度を変えて撮影した様子。左右の視野角は178度があるため,見る位置を変えても映像に破綻はない。また,黒が浮いた感じがほとんどしないのも分かるはず
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同梱のキャリブレーションレポート。グレースケールとガンマを確認できる。なお,チェックは画面中央でのみ行っていると思われる
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 なお,INZONE M9は,工場出荷時点でキャリブレーションがほどこされており,その情報を記載した「キャリブレーションレポート」が製品ボックスに入っていた。そこで,キャリブレーションツール「i1 Display Pro」と,専用アプリケーション「i1Profiler」で,輝度や発色の実態を調べてみた。

 まず,カタログスペックでのピーク輝度は600cd/m2とあるが,これはHDR時の話で,SDR時では実測で443cd/m2を確認できた。一方,どれくらい画面を暗く(黒く)できるのかが気になる読者も多いと思うが,最低輝度は実測8cd/m2まで下げられた。室内の照明を落としてゲームを楽しみたい場合にも都合がいい性能と言えよう。また輝度の調整幅は細かく,写真向けキャリブレーションにおける輝度の基準値である120cd/m2にも合わせやすい。
 以下に掲載したスクリーンショットでも分かるかと思うが,パネルの素性の良さがうかがえるだけでなく,初期状態でもしっかりとキャリブレーションされているのが確認できた。

SDR時の最低輝度(左)と最高輝度(右)を計測している様子。計測ポイントは画面の中央だ。なお最低輝度は,輝度のパラメータを「0」にしてしばらく放置しておくと,バックライトが消えてさらに下がるが,今回は0にした直後の値として8cd/m2を採用している
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計測結果。基準値に対して,気持ち誤差範囲の結果になった。やはり,液晶パネルの素性はいい
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色差を表すΔE(デルタイー)の公称値は非公開だが,申し分のない結果だ
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ΔEの計測結果。パネルの個体差があるため,すべてのINZONE M9がこのとおりではないが,テストに使用した個体は,画面を9分割したときの下側,3つにムラがあった
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 ディスプレイというものは,キャリブレーションをしても経年変化で微妙に色がズレていくものだ。とはいえ,色にシビアな人でも,INZONE M9の品質なら,まず気にならないし,そもそも人間の目が優秀すぎて,たとえズレしても,すぐ分からなくなる。ゲーマー向けディスプレイとして見た場合,初期値がしっかりしているということは,色表現力について気になる点はないと言えよう。

INZONE M9のチェック中,コミックマーケット100の新刊入稿と被っていたので,プリセットモード「標準」で最終調整に使用してみた。左が入稿データで,右が太陽光下で見た物理的な出力だ。大きな差はなかったというか,狙いどおりだった。色域的にいえば,写真に緑系が少なく,DCI-P3 95%でも不都合がなかったというところか。ちなみに,微妙な雰囲気の違いは使用した紙の特性によるもの。よくあるコート紙であれば,ほぼ画面のまま出力されていたはずだ
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OSDではなく,INZONE HUBでの設定が前提


 INZONE M9は,ディスプレイ内蔵のOSDメニューと,PC用の統合設定ソフト「INZONE HUB」の両方から設定を操作できる。

 ざっくり言えば,INZONE M9のOSDメニューはゲームのことしか考えていない作りで,たとえばリモコンでOSDメニューを操作できるソニーのテレビ「BRAVIA」と比べると,本体背面のジョイスティックで各種設定を操作するのは,とても手間がかかった。それを補うというか,より使い勝手に優れた設定手段として,INZONE HUBを用意しているのだろう。

INZONE HUB。主な設定は1画面にまとまっており,オン/オフも分かりやすい。OSDメニューもこうしてほしかった
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 実際,他社のディスプレイ向け設定ソフトと同様に,設定全体の把握は格段に楽になるので,INZONE M9を購入したら,ファームウェアのアップデートがてら,INZONE HUBをPCにインストールすることをお勧めする。なお,INZONE HUB自体はディスプレイ専用ではなく,INZONEブランドのヘッドセットでも使用するものだ。

 INZONE HUBでのディスプレイ設定は,主に「画質モード」,「画質調整」,「ゲームアシスト」の3項目に分かれている。
 画質モードには,「標準」「FPS」や「シネマ」などのプリセットと,ユーザーがカスタマイズできる「ゲーム1」「ゲーム2」がある。まずはFPSモードで様子を見て,画質調整で好みに合うよう調整していくといいだろう。
 ゲームのプレイ用としては,ジャンルを問わずFPSモードが適する感じだ。「BRABIA的な調整」という印象も受けた。

HDR有効時,もしくはEcoモード時に設定できない項目はグレーアウトする
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 画質調整は,明るさ(輝度)やコントラスト,シャープネスや色合いなどのほか,ガンマ(ガンマ値)やアスペクト比,色温度,ローカルディミングの項目がある。ゲーム用途を考えた場合,ローカルディミングを好みで調整するくらいになるだろう。個人的には,ガンマ値でmacOS標準の「1.8」を選べる点がうれしい。

 ゲームアシスト機能は,「フレームレートカウンター」と「Adaptive-Sync/VRR」のオン/オフ,応答速度,ブラックイコライザー,クロスヘア,タイマー機能がある。
 フレームレートカウンターは,読んで字のごとく,可変リフレッシュレート設定時に何Hz表示で駆動しているか分かるというもの。Adaptive-Sync/VRRは,単純に機能のオン/オフしかない。応答速度は「標準」「高速」「超高速」の3段階があり,「超高速」を選ぶとカタログスペックにある中間調応答速度1msでの動作になる。ただ,ゲームタイトルによっては違和感が出ることもあったため,「高速」程度で様子を見るのがいいだろう。

「アプリ連動設定」は,指定したアプリケーションの起動に合わせて,INZONE M9の設定を読み込み適用するというもの。ゲーム以外のアプリケーションもセットできるので,ゲーム用,動画観賞用,写真編集用といった設定をしてもいいだろう
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 ブラックイコライザーは,暗所を明るくして,物陰の敵やアイテムを発見しやすくするものだ。ゲーマー向けディスプレイではよくある機能だが,暗所以外も明るくなるので,どんな映像でも効果的というわけではない。HDR時にも使用できるため,極端に暗い場所での戦闘向きといえよう。
 クロスヘアは,ディスプレイの中央にクロスヘア(照準)を表示して,エイムを補助するものだ。これまたゲーマー向けディスプレイではおなじみなので,細かい説明不要だろう。タイマーも同様に,ディスプレイ自体にタイマーを表示するものだが,あまり有効活用している事例を見たことがない。

クロスヘアは8種類用意されている
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INZONE HUBの「本体設定」では,背面LEDの発光色を選べるほか,設定のインポートやエクスポート,映像入力切替などができる(左)。本体設定からは本体のファームウェアアップデートも可能だ(右)。実行から完了まで30分ほどを要したため,アップデートを確認したら寝る前にセットしておくといいだろう
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ハイエンド相応の価格はネックだが,満足度は高いINZONE M9


 ひととおりINZONE M9の見どころを見てきたわけだが,ゲーマー向けディスプレイの中でもトップクラスのハイエンド製品だけに,価格の高さはハードルだ。本稿執筆時点におけるソニーストアでの直販価格は15万4000円(税込)である。キャンペーンやクーポンでもう少し安く購入できるタイミングがあるにしても,似たサイズの競合製品と比べてみると,割高な印象は強い。
 とはいえ,ここまでチェックしてきたように,最大リフレッシュレート144HzでHDMIのVRR対応,良好な発色の傾向といった具合に,ゲームを楽しむ環境としては良好な仕上がりだ。PS5と親和性のあるデザインも込みで選ぶなら,価格の高さを許せる人もいるだろう。

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 また,あまりハードウェアに明るくない友人から,ゲーマー向けディスプレイ選びを相談されたときの候補としてもよさそうだ。今どきのゲーマー向けディスプレイに求められる機能は,ほぼ全部入っているので,なにかと説明の手間が省ける。
 ソニーストアや大手量販店で実機がチェックができるので,興味のある人はINZONE M9を実際に見てほしい。PS5にもPCにもマッチするゲーマー向けディスプレイであると,強く実感できるだろう。

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ソニーのINZONE M9製品情報ページ

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