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[CEDEC 2021]「FF ピクセルリマスター」の楽曲はどのようにアレンジされたか。原作ファンや植松伸夫氏の“思い出”を尊重するスタンスなどが紹介
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印刷2021/08/26 14:39

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[CEDEC 2021]「FF ピクセルリマスター」の楽曲はどのようにアレンジされたか。原作ファンや植松伸夫氏の“思い出”を尊重するスタンスなどが紹介

画像集#001のサムネイル/[CEDEC 2021]「FF ピクセルリマスター」の楽曲はどのようにアレンジされたか。原作ファンや植松伸夫氏の“思い出”を尊重するスタンスなどが紹介
 ゲーム開発者向けのカンファレンス,CEDEC 2021の2日目となる2021年8月25日,スクウェア・エニックスのRPGシリーズ「FINAL FANTASY PIXEL REMASTER」(以下,FF ピクセルリマスター)の楽曲にちなんだ講演が行われた。本稿では,「新しいのに懐かしい - FINAL FANTASY PIXEL REMASTER- 〜『思い出』を色鮮やかに蘇らせる楽曲アレンジ術〜」と題された講演のレポートをお届けしよう。

 あらためて説明するとFF ピクセルリマスターは,ファイナルファンタジーシリーズの各作品(1〜6作)をベースにしたリマスター作品だ。今のところ,初代「ファイナルファンタジー」から「ファイナルファンタジーIII」までの3タイトルが展開中で,9月8日には,「ファイナルファンタジーIV」のリリースが予定されている。

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「CEDEC 2021」公式サイト


 長い歴史を持つゲーム業界では,旧作がリマスター化される機会が増えている。多くのプレイヤーの心に残る名作だからこそリマスターが望まれるわけだが,当時のゲームを遊んだ人の思い入れも強い。そんな熱心なファンの思い出を損なうことなく,FFシリーズの数々の楽曲はどのようにリマスタリングされていったのだろうか。スクウェア・エニックスのサウンド部でサウンドディレクターを務める宮永英典氏と,プロジェクトマネージャーの小林征夢氏,そしてオクタヴィア・レコード 音楽制作事業本部 部長の村松 健氏が語った。

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「FF1」から「FF6」のトータル300曲を全曲アレンジ
原曲を手掛けた植松伸夫氏も監修


 今回のFF ピクセルリマスターは,対象となった「FF1」から「FF6」の新たな決定版として,今後末永く愛される存在となるべく作られている。リマスター版に収録される各楽曲も同様で,制作にあたっては,最初に2つのコンセプトを掲げたという。

画像集#006のサムネイル/[CEDEC 2021]「FF ピクセルリマスター」の楽曲はどのようにアレンジされたか。原作ファンや植松伸夫氏の“思い出”を尊重するスタンスなどが紹介

 まずは,原曲を手掛けた植松伸夫氏“思い”を尊重すること。
 原作となる各タイトルは,ファミリーコンピュータやスーパーファミコン向けに発売されたもので,現在と比べてハードウェアのスペックは低い。植松氏は当時を振り返って,旧作の楽曲制作時は,たとえ新たなアイデアが閃いても,スペックの制約により実現できなかったことも多かったと話している。

 そこで今回,楽曲をアレンジするにあたり,植松氏が当時できなかったことを現代の技術を用いて復元したいという考えがあったという。モノクロで撮影した写真をカラー化したり,あるいは歴史的な壁画を復元したりするような心意気で作業に挑んだそうだ。

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 今回の楽曲アレンジにおけるもう1つのコンセプトは,原作ファンの思い出を大切にすることだ。
 FFは,日本を代表するRPGシリーズの1つであり,それは同時に,熱心なファンの思い入れも,ひときわ強いということでもある。熱心なファンの脳内では,当時の思い出が美化されることも珍しくない。いわゆる思い出補正というやつだ。

 それだけに,リマスター化やアレンジを行う際,方向性を一歩間違えると賛否両論となりかねない。熱心なファンを落胆させず,逆に「そうそう,これだよね!」と喜んでもらえるようなアレンジを目指したという。


緩急のメリハリを付けて“音楽のコース料理”を作り上げる


 続いて,各楽曲のリマスター作業における制作フローが紹介された。
 まず最初に,今回のリマスター対象となる300曲もの楽曲を,耳コピができるくらいまで徹底的に聞き込む。そのうえで,各楽曲に対してどのようなアレンジを行うか,その方針をテキストで明文化した。

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 また,楽曲単体でアレンジを決めるのではなく,実際にゲーム内で使用される状況を確認することも心掛けた。たとえば,イベント用の楽曲が流れるシーンにおいて,オリジナル版ではイベントよりも先に曲が終わることがあった。このような場合は,アレンジで楽曲の尺を延長しているとのことだ。

 また,RPGは長時間プレイすることになるが,分厚いサウンドの楽曲ばかりが続くと,聞く側としても疲れてしまう。ゲームプレイ全体を通じての緩急のメリハリを意識し,まるで「音楽のコース料理」を作るような心境でアレンジ方針を決めていったという。

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 アレンジの方針が決まったあとは,デモ音源の作成,レコーディング,Mix,そして実装という流れとなるが,これらの各作業で植松氏の監修が行われている。300もの楽曲数なので,監修作業も大変だったと思われるが,植松氏は熱心にチェックしてくれたそうだ。

 監修を行った植松氏の感想も,開発チームにとって大いに参考になった。「ファミコン時代は1曲をもっと長くしたかったけど,メモリなどの制限があって実現できなかった。そのため,当時の曲をいま聴くと悔しさがあるんです」「昔の曲ってテンポが早すぎる部分があったかなと思う。若気の至りかな?」といった感想の1つ1つが,作業における指針になったという。

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14名のアレンジャーによる分担作業
コロナ禍を踏まえ複数地域での生音収録も


 プロジェクトに参加したアレンジャーは,総勢14名という大規模なものだった。基本的に「FF愛」が強い人を起用し,それぞれの個性に合わせて担当楽曲を任せている。さすがにFFシリーズということで,アレンジャー側から担当楽曲に立候補されることもあったそうだ。

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 これほどの人数では使用機材などの制作環境がバラバラになるため,楽曲全体としての統一感をもたせることも意識されている。具体的には,レコーディングした楽曲のMix作業は,今回のエンジニアを務める村松 健氏に一任。さらに,楽曲のパラデータの命名規則を設けるなどして,管理を行っている。

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 FF ピクセルリマスターでは,一部の楽曲でオーケストラの生録も行われている。宮永氏によると,これまでの担当作品では東京都内のスタジオミュージシャンに収録を依頼することが多かったそうだ。
 しかしコロナ禍により状況が変化し,制作当時は東京都がロックダウンされる可能性があったことから,一極集中を避けざるを得なかった。東京以外の楽団を探した結果,大阪で活動する日本センチュリー交響楽団にお願いすることになったという。

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 宮永氏によれば,収録を新たに行いたい楽曲はいずれも派手さよりは落ち着いた雰囲気を備えたもので,そのため,オーソドックスなクラシックサウンドが欲しかったとのこと。日本センチュリー交響楽団はその要望に叶い,しかもゲーム愛に溢れている演奏者が多いことが決め手になった。

 日本センチュリー交響楽団による演奏は,柔らかを感じさせるサウンドで,クラシカルで伸びやかな楽曲との親和性が高い。一方,これまで一緒に仕事を行ってきた東京のスタジオミュージシャンはソリッドなサウンドで,バトル曲に適している。これらの点を踏まえたうえで,双方の持ち味を生かした楽曲をアサインしていった。

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最新作「ファイナルファンタジーIV」が9月8日リリース予定


 現状に鑑み,各作業のほとんどがリモートワークで行われており,楽曲データのやりとりにはストリーミングサービスを利用し,担当者同士のコミュニケーションはZoomを使用。こうした経験を経て,サウンド作業におけるリモートワークのメリットやデメリットが浮き彫りになっている。

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 メリットとしては,コロナ対策としては万全であることや,移動の手間が掛からない,スケジュールの融通が利きやすいといった,一般的なリモートワークと同様の恩恵が得られる。その一方で,大きな音を出せない環境での作業が難しいというデメリットもあったが,トータルで見るとメリットのほうが大きかったとのことだ。

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 なお,本講演内でFF ピクセルリマスターのシリーズ最新作となる,「ファイナルファンタジーIV」が9月8日にリリースされることが紹介された。それについては別途記事化しているので,興味のある人はチェックしてほしい(関連記事)。

画像集#026のサムネイル/[CEDEC 2021]「FF ピクセルリマスター」の楽曲はどのようにアレンジされたか。原作ファンや植松伸夫氏の“思い出”を尊重するスタンスなどが紹介
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 「ファイナルファンタジー」の海外公式Twitterで本日,ピクセルリマスター版「ファイナルファンタジーIV」が,PCおよびモバイルに向けて2021年9月8日にリリースとなることが発表された。Steamストアページによれば,リリース日は日本時間9月9日,9月24日までは20%オフの価格で購入可能のようだ。※16:50頃,プレスリリースを追加しました。

[2021/08/25 13:55]

「CEDEC 2021」公式サイト

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