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[TGS 2019]「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター」開発陣にインタビュー。TGSではマルチプレイの試遊台を出展
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印刷2019/09/12 12:00

プレイレポート

[TGS 2019]「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター」開発陣にインタビュー。TGSではマルチプレイの試遊台を出展

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 スクウェア・エニックスは東京ゲームショウ2019に,2020年1月23日に発売を予定しているアクションRPG「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター」PS4/Switch/iOS/Android)をプレイアブル出展する。2003年にゲームキューブで発売された「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」(以下,FFCC)のリマスター版だ。
 今回,出展に先駆けてスクウェア・エニックスでこの試遊台と同じステージをプレイし,さらにプロデューサーの荒木竜馬氏,キャラクターデザイナーの板鼻利幸氏,サウンドの岩﨑英則氏にインタビューを行った。その模様をお伝えしよう。

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「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター」公式サイト



クロスプラットフォームでのマルチプレイが可能に


 本作の舞台は,命を蝕む瘴気に覆われている世界。人々は唯一瘴気の力を払うことができる「クリスタル」に寄り添いながら暮らしている。だがクリスタルは年に一度「ミルラの雫」で清めなければ力を失ってしまう。
 プレイヤーは,クリスタルの力を保ち瘴気から村を守るため,「ミルラの雫」を求めダンジョンを探索することになる。
 シングルプレイだけでなく,最大4人のオンラインマルチプレイに対応しており,TGS版では4人で最初のダンジョンに挑む。本作は,PlayStation 4とNintendo Switch,スマートフォンでのクロスプラットフォームのマルチプレイも可能で,会場でもPS4&Switchによる試遊が体験できる。

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 ダンジョンは,敵を倒してアイテムや魔法を使うための魔石を拾いながら道沿いに進んでいき,最深部にいるボスを倒せばクリアとなる。ここで重要なのが「クリスタルケージ」の存在だ。このケージは,小さなクリスタルが付いた,ミルラの雫を溜めるための器で,キャラバンは常にこれを持って行動している。というか,持っていなければならない。瘴気の影響はダンジョン内にも及んでおり,クリスタルケージの周囲から離れてしまうと,ダメージを受け続けていずれ死んでしまうからだ。
 ただし,ケージを持っているプレイヤーは攻撃ができないので,移動中は持ち運びつつ,戦闘が始まればいったん置いて攻撃に参加したり,敵や味方の動きに合わせて安全圏の位置調整をしたりする必要がある。4人全員で行動するための起点となるものなのだ。

赤い線で囲われた枠の中が瘴気の影響を受けないエリア
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 操作キャラクターは,「たたかう」「まもる」といったコマンドを[L1/R1]ボタンで選択し,[〇]ボタン(PS4の場合)を押せばコマンドに応じたアクションをしてくれる。スマートフォンでもプレイ可能なだけあって,使うボタンは少なく,シンプルな操作だ。
 そのぶん,本作の戦闘では協力が重要となる。コマンドに魔石をセットしておくと,「ファイア」や「ブリザド」といった魔法が使える。魔法は,[〇]ボタンを押しっぱなしにして溜めて,カーソルを敵に合わせてから発動するのだが,このカーソルがほかのプレイヤーの魔法と重なった場合,「マジックパイル」と呼ばれる合体魔法が使えるのだ。
 ファイアとファイアを重ねた場合は「ファイラ」や「ファイガ」に,違う属性を重ねた場合は「グラビデ」や「スロウ」にといった具合で,魔法の組み合わせによってマジックパイルの効果も異なる。合体魔法は強力なので,ほかのプレイヤーと所持する魔石を分け,うまく使っていきたい。

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 オリジナル版では,マジックパイルの発動タイミングによって「〇〇ラ」が「〇〇ガ」の魔法に強化されたため,プレイヤー同士で「せーの」と声を出してタイミングを合わせたものだが,当時はオフラインでのマルチプレイだったからできたのであって,現代のオンラインプレイにおいてはそうもいかない。そのため,本作では合体魔法時に専用のインジケータが表示され,ほかのプレイヤーとマジックパイルが使えるようになっている。うまく「〇〇ガ」系の魔法が発動できると気持ちがいいので,試遊する人はぜひ試してみよう。

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思い入れのあるFFCCをファン目線でリマスター化


4Gamer:
 本作は発売から16年が経ってのリマスターということになりますが,まずは復活の経緯を教えてください。

荒木竜馬氏
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荒木竜馬氏(以下,荒木氏):
 私が以前のプロジェクトを終えた後,過去のIPもののリマスターをやっていこうという話がきたのが始まりです。やりたいタイトルの希望を聞かれたので,私はFFCCがやりたいと答えました。FFCCは思い入れの強いタイトルなんですよ。

4Gamer:
 と言いますと?

荒木氏:
 私自身は,原作FFCCのオリジナルメンバーではなく,もともとは他社で別のゲームキューブタイトルを開発していたんです。FFCCの情報が出るにつれ,「同じハードで作っているのに,なんて技術力の高いことをやっているんだ」と驚かされたのを覚えています。なので今回は,ファン目線でFFCCを現代に蘇らせたいなと考えました。今でもゲームキューブを引っ張り出して遊んでいるような,根強いファンがいるタイトルでもありますし。

4Gamer:
 FFCCは,独特な魅力があるタイトルですよね。FFのシリーズタイトルとしては,キャラクターデザインからして,毛色が違うと思うんです。なんとなく,FFっぽくないと言いますか。

板鼻利幸氏(以下,板鼻氏):
 ああ,分かります。私自身の当時の話をすると,もともと私はハワイで海外スタッフを交えて「ファイナルファンタジーIX」のデザインをしていたんです。そこから日本に帰ってくることになり,「ファイナルファンタジーXII」のスタートを手伝っていました。そうしたら,別企画で「任天堂さんのハードで,マルチプレイのFFを作ろう」というものが立ち上がり,FFCCに合流することになりました。
 「IX」や「XII」などのナンバリングタイトルって,主人公のキャラがきちんと立っていて,その人物の物語が描かれますよね。一方,FFCCはキャラメイクをするマルチプレイタイトルであり,キャラバンのみんなで村を守っていきます。つまり,ヒーローを描く物語ではないんですよ。

4Gamer:
 ああ,だからFFCCのキャラクターからは,モブっぽさみたいものを感じるんですね。

当時描いていた下書きを見せてくれた板鼻利幸氏。この頃は,線画を鉛筆で描いて取り込み,デジタルでカラーリングしていたそうで,リマスター版のパッケージもあえてその手法で描いたという
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板鼻氏:
 そうだと思います。「ここはナントカ村だよ」と言っているかもしれないような,あまり特徴のない村人としてデザインしました。今までやらなかったデザインだったので,楽しかったですね。
 今回FFCCが復活するにあたり,新しくキャラクターを描き直すかどうかも考えたのですが,当時プレイした人に話を聞くと,使っていたキャラクターに愛着があり,同じものを選択したいという声が挙がりました。ですから今回は,当時のキャラクターはそのまま使えるようにしつつ,各種族の男女につき1つずつ,新デザインを追加しています。

荒木氏:
 こうして資料を見ると,FFCCの世界観は板鼻さんの温かみのあるイラストありきだなと改めて感じますね。

板鼻氏:
 FFCCは,ほかのFF作品に比べてキャラクターの等身が低いんですね。そのぶん,ゲーム中でコミカルな演出を入れることができたりするのですが,久しぶりに描くと難しかったですね(笑)。

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好評だった音楽はオリジナル版に加えてリアレンジ版が登場


4Gamer:
 サウンド面では,新しいものは入っているのでしょうか。

岩崎英則氏
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岩﨑英則氏(以下,岩﨑氏):
 新曲に加えて,当時の曲をリアレンジしたものが入っています。

荒木氏:
 もともと,リアレンジ曲を入れる予定はなかったんです。ですが,ある日,岩﨑から呼び出されて「こんなのがあるんだけど」と聞かされ,「ぜひやりましょう!」となりました。結果として急遽の追加となりましたが,原曲とは深みがまったく違っていて良いものだったので,つい(笑)。

4Gamer:
 ファンとして採用しないわけにはいかなかったと(笑)。

岩﨑氏:
 FFCCは,プレイヤーさんからの音楽の評価が高いタイトルなんですが,当時はハード性能の問題で,採用したくてもできなかったトラックがあったんです。それが残っていたので,今回は当時本当にやりたかった曲を,改めて入れてもらいました。

荒木氏:
 とはいえ,当時の曲が聞きたいという方もいらっしゃるでしょうから,オリジナル版にあったダンジョンではオリジナルの曲を,リマスター版で追加される新ダンジョンでは新しい曲を流すという仕様にしています。

岩﨑氏:
 オリジナルの曲のお話もさせていただくと,中世ヨーロッパの古楽器という,今では一部の演奏家しか使っていない珍しい楽器で演奏されています。作曲は谷岡久美さんなのですが,彼女の作るメロディはすごくキャッチーで素朴なんです。当時,谷岡さんに一緒にやりましょうと誘われた私は,古楽器奏者のロバハウスさんなら,谷岡さんの曲の魅力を最大限に生かせるのではないかと考えました。谷岡さんをコンサートに誘ったところ,気に入っていただけて,FFCCの曲が生まれたんです。

4Gamer:
 キャラクターデザインもそうですが,音楽も素朴なのが,FFCCの世界に合っていますよね。

岩﨑氏:
 実はプランナーから開発段階で出た「こんな音楽にしたい」という案に,シューティングゲームっぽいテクノな音楽もあったんですよ。私と谷岡さんは「えー……」と,全力で無視しましたが(笑)。

4Gamer:
 そこで案のとおりに作っていたら,まったく雰囲気の違っていたゲームになっていた可能性もありそうですね。マルチプレイを前提に,「みんなでノって遊びましょう」みたいな方向性だったんでしょうか。

岩﨑氏:
 そうかもしれません。
 ただ,フィールドでバトルするのが分かっているのに,ずっと笛の素朴な曲が流れるというのは,不安だったのも確かです。FFCCの音楽は,シーンを説明するのではなく,世界観に寄り添うものにしたかったので,それがプレイヤーさんに受け入れてもらえて嬉しかったですね。


数々の新要素を搭載したリマスター版に


4Gamer:
 リマスター版では,どういった新要素が入るのか教えてください。

荒木氏:
 最も大きな部分が,当時はアナログのマルチプレイしかできなかったのが,オンラインに対応することです。当時はゲームキューブにゲームボーイアドバンスを複数接続する必要があったため,マルチプレイを体験できなかった人も多いかと思います。リマスター版では,ぜひ気軽に遊んでほしいです。

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4Gamer:
 今考えると,当時のプレイ環境はものすごい状態ですよね。最大4台のゲームボーイアドバンスをつなぐって……。

板鼻氏:
 開発用の筐体みたいですよね(笑)。未だに海外の方が「構築したぜ!」と写真を送ってくださったりします。

4Gamer:
 先ほど体験させていただきましたが,オンラインプレイはクロスプラットフォームに対応しているんですね。

荒木氏:
 はい,お手持ちのハードでワイワイと楽しんでいただければと思います。各プラットフォームで遊びやすいよう,インタフェースも調整しました。ゲーム機とスマートフォンでは,インタフェースも違っています。
 マッチングも手軽になっていて,ロビーでずっと待っている必要はなく,1人で進めている途中でほかの人が合流できる仕組みです。
 また,本作ではプラットフォームをまたいでセーブデータの移行が可能になっています。プラットフォームごとにソフトの購入が必要ですが,例えば家でPS4版を遊んでいて,セーブデータをサーバーにアップロードし,スマートフォンに移して外でプレイしたりできるんです。

4Gamer:
 PS4とSwitch間でも可能なんですか?

荒木氏:
 はい,どのハードでも大丈夫です。技術的には難しいところもあるのですが,データをアップロードして扱うサーバーのシステムを別の部署が扱っていて,それを利用することで実現できました。
 遊びの部分では,「高難易度ダンジョン」を追加します。これまでのダンジョンをベースに雰囲気や敵などを変えた“裏ダンジョン”的な扱いになります。位置付けとしては,オリジナル版のダンジョンを一通りクリアした後に,マルチプレイで楽しめる場所という感じですね。

4Gamer:
 ソロプレイで攻略することはできるんでしょうか。

荒木氏:
 可能ですが,マルチプレイを前提に調整しているので,かなり厳しくなると思います。
 高難易度ダンジョンでは新しい武器のレシピなどが手に入るのですが,そのデザインもいくつか板鼻が描き下ろしていますので,手に入れてみてください。

4Gamer:
 リアレンジの曲は新ダンジョンで流れるというお話でしたよね。新ダンジョンの数によっては,追加の曲数はかなりの量なのでは?

岩﨑氏:
 そうですね,新曲も含めると,10曲以上はあります。

荒木氏:
 あとは,絵本のようなストーリーを,より楽しんでもらいたいと考えて,ボイスも追加しています。当時のように遊びたい方向けに,オプションでオフにすることも可能です。

4Gamer:
 リマスターと言いつつ,ずいぶん新要素に力が入っていますね。

荒木氏:
 そうですね。リメイクという選択肢もありましたが,FFCCはリマスターでないといけないと思ったんです。当時のFFCCが好きだった方々に,ついに復活するんだとお伝えするためには,そうあるべきだと考えました。しかし,現代のゲームとしてしっかり遊べるようにもしなければなりませんから,そこは手を入れました。

岩﨑氏:
 コアなファンの皆さんを裏切れませんからね。

荒木氏:
 私自身がファン目線で復活を望んだ側ですから,ここは変えてほしい,ここは変えてほしくないという部分は分かるんですよ。ですから,FFCCのファンの皆様にも喜んでもらえると自負しています。

4Gamer:
 それでは最後に,発売を楽しみにしている方に向けて,メッセージをお願いします。

板鼻氏:
 ぜひお気に入りのキャラクターを作って遊んでいただきたいです。最初はモブっぽいかもしれませんが,それが自分の中のヒーローになっていくようなお話を体験していただけたらと思います。前にプレイした方は,新しいデザインのキャラクターも使ってみてください。

岩﨑氏:
 当時遊んだ方はもちろん,初めてプレイする方にも,「あれ? 音楽いいね」と思っていただけるかと思います。世界観に寄り添った音楽に浸りながら遊んでいただけると嬉しいです。

荒木氏:
 東京ゲームショウ2019では,マルチプレイが体験できる試遊台を用意していますので,ぜひお友達とご来場ください。ステージでは,谷岡さんの伴奏で,Yaeさんによる主題歌が聞けるほか,新しいゲーム画面もお見せする予定です。
 まだ出していない情報もいくつかあり,発売に向けて徐々に公開していきます。引き続きご注目ください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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