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十三月のふたり姫
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「異譚女子」シリーズが始動。“メガテン”の鈴木一也氏と増子津可燦氏,イラストレーターのアオガチョウ氏に,シリーズ第1弾「十三月のふたり姫」について聞いた
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印刷2018/04/03 18:00

インタビュー

「異譚女子」シリーズが始動。“メガテン”の鈴木一也氏と増子津可燦氏,イラストレーターのアオガチョウ氏に,シリーズ第1弾「十三月のふたり姫」について聞いた

十三月のふたり姫
 バンブルマンは2018年4月2日に,ダークファンタジー・ノベルゲーム「十三月のふたり姫」の開発資金の調達をKickstarterで開始した。

 本作は,奇妙な世界で不思議な運命に生きる女子を描くコンテンツ「異譚女子」シリーズの第1弾。シナリオに鈴木一也氏,音楽に増子津可燦氏という,「デジタルデビル物語 女神転生」「真・女神転生」などを手がけた“メガテン”コンビを起用し,アートバトル「LIMITS World Grand Prix」の初代世界王者に輝いたアーティスト/イラストレーターのアオガチョウ氏がイラストを担当する。

 今回4Gamerでは,上記3名のクリエイターと,「十三月のふたり姫」のプロデューサーを務めるバンブルマンの小林正和氏らに,プロジェクト立ち上げの経緯や本作の世界観,クラウドファンディングを使う理由などを聞いてみた。

左から,増子津可燦氏,鈴木一也氏,アオガチョウ氏

「十三月のふたり姫」Kickstarterページ



“メガテン”のコンビと実力派アーティストが

組むことになった理由


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは本プロジェクトの発端について教えてもらえますか。

小林正和氏(以下,小林氏):
 増子さんからデジタル絵本の企画をいただいたのが最初ですね。その企画というのが,“実力はあるが,まだ世間に知られていないアーティスト”や,“名前は知られているけど,自分の描きたいものが描けていないアーティスト”などをフィーチャーし,イラストとサウンドでストーリーを演出するという内容でした。

鈴木一也氏(以下,鈴木氏):
 増子さんはかなり前からこの企画の話をしていたよね。10年以上前?

増子津可燦氏(以下,増子氏):
 いやいや,3年くらいにはなりますが,そこまで昔ではないですよ(笑)。

4Gamer:
 この企画の話を聞いたときはどのように感じたのでしょう。

小林氏:
 とても面白い試みだと思いましたね。そして増子さんと企画を詰めていくうち,うまく広げられたら,メジャーな人から新進気鋭のアーティストまで,有名無名を問わずさまざまな人達を組みあわせて作品を生み出せるプロジェクトにできるんじゃないかという話になりました。
 ただ,いきなり無名のアーティストだけで始めても,誰にも見向きされないまま終わってしまうかもしれない。そこで,まずプロジェクトを知ってもらうため,最初はネームバリューのある人に協力してもらおうと考え,企画者である増子さんと,そして鈴木さんにお願いすることにしました。

4Gamer:
 小林さんは,本企画を立ち上げる前から,増子さんと鈴木さんのどちらとも知り合いだったのでしょうか。

小林氏:
 増子さんは,弊社社長の阿草(※)と以前一緒にお仕事をされていたんです。その縁もあって増子さんが来社された際にお会いして,この企画のお話をいただきました。

※バンブルマン 代表取締役の阿草祐己氏

鈴木氏:
 小林さんと僕は,仕事仲間であり,飲み仲間でもあるんですよ。

小林氏:
 そういった関係もあって,私が鈴木さんに気軽に声を掛けられる立場だったというのも,今回の座組みが実現した理由のひとつです。増子さんにどなたかクリエイターと組んでいただくのであれば,やはり鈴木さんしかいないだろうと。

4Gamer:
 なるほど。それでは,アオガチョウさんの起用についてはどういった経緯があったのでしょう。

小林氏:
 プロジェクト第1弾の「十三月のふたり姫」のコンセプトに,童話モチーフのダークファンタジーというものがあります。この世界観を描くうえで,誰の絵なら世間が「おおっ」となるだろうと考えたんですが,そのとき頭に浮かんだのがアオガチョウさんの絵なんです。

4Gamer:
 アオガチョウさんの作品はいつ知ったのですか。

鈴木氏:
 幻獣神話展(※)ですね。毎年足を運び,小林さんと二人で作品を見ては,「アオガチョウさんはすごい」と言っていたんです。会場でご挨拶したこともありました。

※漫画家やイラストレーターなどさまざまなジャンルのアーティストが“幻獣”をテーマに描いた作品を展示するイベント


小林氏:
 幻獣神話展は,なかなか声を掛けられないような大御所アーティストの方々がたくさん名を連ねているんですが,アオガチョウさんは4年前(2014年)に開かれた第1回から出展されているんですよ。幻獣神話展だけでなく,個展にも足を運んでいます。
 仕事柄,最近のスマートフォンゲームでいわゆる主流といえるようなイラストを描く人達とは付き合いがあるのですが,このようなダークファンタジー調の絵を描くアーティストにはあまり会ったことがないですね。

4Gamer:
 アオガチョウさんは,鈴木さんにどのような印象を持っていたのでしょう。そもそもメガテンシリーズはご存じでしたか。

アオガチョウ氏:
 もちろんゲームは以前から知っていましたし,自分でもシリーズの何タイトルかを遊んだことがあります。とても興味深いビジュアルや世界観なので,実際に影響を受けている部分もあるかなと思います。

鈴木氏:
 そうだと嬉しいな。

アオガチョウ氏:
 本当ですよ。ともあれ鈴木さんはメガテンの世界観を構築した方ですから,「相当なこだわりを持っているクリエイターなんだろうな」というのは,お会いする前から想像していました。

4Gamer:
 アオガチョウさんはTCGのカードイラストを多く手がけていますけれども,もともとゲームに関わる仕事は多かったのでしょうか。

アオガチョウ氏:
 私自身ゲームは好きで,一時期はゲーム業界にいたこともあるんです。私がキャラクターを描いた時点では1枚の静止画なのですが,そこにテキストやパラメータが加わることでプレイヤーさんの頭の中でキャラクターとして動き出す。ゲームに関わる仕事はそういったところが魅力的だなと感じています。

4Gamer:
 今回,小林さんから声を掛けられたときはどう感じましたか。

アオガチョウ氏:
 私ありきで選んでくださったと聞いて,光栄だと思いました。世界観を構築するのにご協力できるのであれば,嬉しいなと。
 絵の仕事をいただけるときって,ある程度は得意分野を考慮したうえで割り振っていただけたりするのですが,それでも基本的にはベースとなる世界観や作風があって,それに絵を担当する人が合わせていくことが多いんです。
 もちろんそれはそれで楽しいのですが,今回は世界観を作り上げる際に私のデザインやタッチを活用したいというお話だったので,すごく嬉しかったです。

小林氏:
 そう言ってもらえるとこちらも嬉しいですね。実は,私がアオガチョウさんにお願いするときに送ったメールって,「メガテンの人達のコンテンツで絵を描いてみない?」くらいの内容だったんですよ(笑)。


ジャンルを問わず展開する「異譚女子」シリーズ

第1弾は“狭間の世界”を描くノベルゲームに


4Gamer:
 それではプロジェクト自体について教えてください。そもそも「異譚女子」シリーズとは,どのようなものなのでしょうか。

小林氏:
 お話してきたとおり,基本的にはさまざまなアーティストやクリエイターをフィーチャーしてスポットを当てましょうというプロジェクトです。
 実は「異譚女子」シリーズというのは後付けで,鈴木さんの最初のアイデアは,「『眠れる森の美女』をモチーフにしたダークファンタジーにしたい」というものだったんです。

4Gamer:
 先ほど少しお話しいただいた,童話モチーフのダークファンタジーというアイデアですね。

小林氏:
 はい。そうして鈴木さんの作ったプロットをもとに,アオガチョウさんに物語に登場する二人の女の子を描いていただき,それを基に世界観が作られていきました。
 そのあと,プロジェクトのコンセプトに立ち返った際,“奇妙な世界で不思議な運命に生きる女の子を描く”ということをテーマにしたシリーズ作品にしたら面白いんじゃないかという考えに至りました。
 “女の子を描く”といってもさまざまな手法がありますよね。今回のゲームのほかにも,演劇,映画,アートなどにも展開していければ,分野を問わず才能のあるアーティストやクリエイターにスポットを当てることもできるだろうと。

4Gamer:
 増子さんはデジタル絵本という形で,何年も前からそういった企画を温めてきたということですが,そもそもなぜ,この企画を考えたのでしょう。

増子氏:
 僕の周囲には,実力もあって独特の世界観も持っているんだけど,1枚の絵を売るのにすごく苦労しているというアーティストがたくさんいるんです。そういう人達は,自腹を切って展示会に参加するんですが,だからといって絵が売れるとは限らないわけですよね。
 そもそも,自宅に絵を飾るという文化が日本に根付いていないという面もあるとは思うんですが,それでも「良い作品を所有したい」「手元に置いておきたい」というコレクターは少なくないんです。そういった人達を結びつけることをできればと考えました。

4Gamer:
 ゲームファンには,気に入ったゲームや好きなイラストレーターの画集を購入する人は多いと思います。絵画となると大きさなどもあって難しいですが,手元に置いておきたいという思う人は少なくなさそうですね。

増子氏:
 はい。もちろんデジタルデータで保管するのも手軽でいいんですが,閲覧する環境によって見え方が変ってしまいますよね。やっぱり僕らからすると,紙を手に取ってほしい。額に入れて飾れるようなものを作りたいという思いがあるんです。

小林氏:
 その意味では,「異譚女子」シリーズの一環として画集や絵の展示会などを展開するのもアリなんですよ。それこそ幻獣神話展は,“幻獣”というくくりが大きいからこそ,面白い展示イベントになっていると思うんです。

アオガチョウ氏:
 展示には編みぐるみのなんかもありますよね。

小林氏:
 漫画家のいしいひさいち先生は4コマ漫画を出展していた(笑)。この何でもアリな感じがいいんですよね。

鈴木氏:
 確かに,幻獣神話展を参考にいろいろ展開していくのは面白いね。

4Gamer:
 そうしたさまざまな打ち出し方があるなか,なぜ「異譚女子」シリーズ第1弾となる「十三月のふたり姫」はノベルゲームに決まったのでしょう。

小林氏:
 繰り返しですが,もともとはアート作品で,絵にシナリオとサウンドが付いたインタラクティブな絵本というイメージなんです。しかし,せっかくこれだけの方々がそろったわけですから,ゲームにしたほうがいいかなと。
 あと,プロジェクトのチームに土屋つかささんが加わったことも大きいですね。ライトノベル作家として有名な土屋さんですが,とても優秀なエンジニアという面もあって,アドベンチャーゲームエンジンを自作しているほどなんです。その彼が参加してくれるのなら,ノベルゲームにしない手はないと。

4Gamer:
 「十三月のふたり姫」には,眠り姫と魔女という二人の女の子が登場するとのことですけれども,鈴木さんはなぜ「眠れる森の美女」をモチーフにしようと考えたのでしょうか。

鈴木氏:
 小林さんに声を掛けていただいたときに,「第1弾だから,完全なオリジナルよりも皆が名前を知っているもののほうがいいだろう」と考えたんです。
 それを,「本当は恐ろしいグリム童話」のようなアプローチで,かつ自分なりのやり方で実現したら面白いだろうと。そういった中で「眠れる森の美女」をモチーフにしようと考えたのは,この物語には世間にあまり知られていない続きがあるからです。

4Gamer:
 どんな話が続いていくのでしょうか。

鈴木氏:
 お姫様を助けた王子様の実母である女王は,すでに亡くなっているんですね。そのため王子様の祖国では,継母が女王になっているのですが,その正体がオーガ(食人鬼)なんですよ。そしてお姫様とともに祖国に戻った王子様は,継母であるオーガを倒すという流れになるんです(※)

※姫が目覚めたあとの物語は,フランスの詩人シャルル・ペロー編纂による童話集に収められた“ペロー版”などで読むことができる

4Gamer:
 「十三月のふたり姫」では,その部分が中心に描かれるのですか。

鈴木氏:
 たしかに最初はそれで行こうかと考えたんですが,もっと妄想を膨らませて,より面白くしようと。

4Gamer:
 気になりますね。差し支えない範囲で内容を教えてもらってもいいでしょうか。

鈴木氏:
 書き手や編纂した人によってその描かれ方に少しずつ違いはあっても,お姫様が眠る前と起きたあとの物語が主となっていますよね。しかし,眠っている間の話はあまり描かれていません。そこを膨らませたら面白いだろうと考えています。

4Gamer:
 そういった鈴木さんの構想を聞いて,増子さんとアオガチョウさんはどう感じましたか。

増子氏:
 「何でもいいよ」と……っていうのは冗談ですが(笑),サウンドの場合は,自分から積極的に何かを作り出すというよりも,提示された世界観や物語にどうやって音を付けていくかという感覚になるんですよ。

鈴木氏:
 受け身になる感じ?

増子氏:
 受け身というか,手を添えるというか……。
 僕はこれまで一度も曲の使い回しをしたことがなくて,必ずそのタイトルの世界観や物語に合わせて作曲してきたんです。自分の中に「コレにはコレ」というものもあるのですが,一つ一つオリジナルで作らないと絶対合わないんですよ。だから今回も,鈴木さんが提示したものに合わせて作っています。
 これが仮に自分でシナリオを書くとなったら,また違った形になるんでしょうね。

 ■増子氏作曲による楽曲「時不知森/トキシラズノモリ(sample)」
SOUND PLAYER:このブラウザは未対応です。PCをご利用ください。

4Gamer:
 アオガチョウさんはいかがですか。

アオガチョウ氏:
  私自身,童話や日本の昔話が好きなんです。それは短くて読みやすく,分かりやすいというのも理由ですが,それこそ「本当は恐ろしいグリム童話」のように,まったく異なるバリエーションがあるのも魅力なんです。おそらく,人から人へと語り継がれるうちに内容が少しずつ変わっていったと思うのですが,その背景には伝えていった人達の事情や思いが積み重なっていると感じるんですよね。
 逆にいえば,そうした童話や昔話を私達がアレンジしてもいいでしょうし,またアレンジしがいのあるモチーフだとも捉えています。今回も童話がモチーフだと聞いたときに,すごく気持ちが高ぶったのを覚えています。

4Gamer:
 ゲームシステムはどのようなものをイメージされているのでしょう。鈴木さんが制作されるゲームとなると,単に会話での選択肢だけではなく,メガテンでいう“LAW”や“CHAOS”のような要素も期待できそうですけど。

鈴木氏:
 うーん,どうでしょうね。今回プレイヤーは主人公ではなく,眠り姫と魔女の二人の物語を,客観的に見ていくことになりますから。

4Gamer:
 魔女,ですか。

鈴木氏:
 といっても,おっかない老婆じゃないですよ。見た目は少女……12,3歳くらいの設定でしたっけ?

アオガチョウ氏:
 はい。そうですね。

鈴木氏:
 また,魔女という呼び方も,それはそれで正確な表現ではないんです。
 今では1年は12か月ですけれども,古代の暦にはおよそ3年に1度,13か月ある年があったんですよ。いわゆる閏月ですが,特別な意味合いを持つ狭間の月である十三月を司る巫女が主人公の一人なんです。
 眠り姫が眠っている長い時間は,境界線上の存在である魔女が司る狭間の世界の一瞬である――これをテーマに“眠り姫が真実の愛を手に入れられるのか”を描いていきます。

十三月のふたり姫

4Gamer:
 なるほど。シナリオの制作は始まっているのでしょうか。

鈴木氏:
 まだプロットの段階ですね。

小林氏:
 Kickstarterを介して資金を募る関係で,まだあまり深くは手を付けられないんですよ。
 今回はまず“作品を世に出す”ということが目標なので,最小予算でもできるものを企画しているのですが,やはり集まった金額によってできることや規模も変わってきますから。

鈴木氏:
 集まった額が少ないと,十三月まで行かずに二月くらいで物語が終わっちゃう。……十三月ってそういう意味じゃないですけど(笑)。

4Gamer:
 (笑)。目標額はいくらになるのでしょう。また,目標最低額で達成した場合,どのような作品になるのですか。

小林氏:
 目標金額は500万円に設定しています。ミニマムとなるこの金額の場合だと,当初の企画にあったデジタル絵本に,物語の分岐,CGアニメーション,音楽などがある,8章仕立ての作品になります。

鈴木氏:
 タッチした絵がアニメーションで動くということはやってみたいですよね。しかもそれがアオガチョウさんの絵なんですから,すごく楽しみです。

小林氏:
 アニメーションは,こちらのブン サダカさんが担当してくれるんです。

この日,取材を受ける3人のクリエイターの模様を撮影していたブン サダカ氏。映像ディレクターや3Dアーティストとして,多くのテレビCMや音楽PV,映画などを手掛けるクリエイターだ
ブン サダカ氏:
 おそらくアニメーションと言ってしまうと,最近だとLive2D的なものを想像される方も多いと思んですが,「十三月のふたり姫」は,アオガチョウさんの絵がそのままきちんと動きます。そういうシステムの開発に取り組んでいますので,仕上がりを楽しみにしていてください。

4Gamer:
 それではもし仮に,予算を全く気にせずに作品を制作できるとしたら,どのような内容になるのでしょうか。

鈴木氏:
 ゲームシステムについては,シンプルなものしか考えていません。スマホの画面をタップしたら何かが起きる,その流れで物語が変わる。それが一番,物語を読み進める人達に面白がってもらえるものだと考えています。

ブン サダカ氏:
 「タップして絵が動く」というというのはシンプルな仕組みですけれども,それがアオガチョウさんの絵で,かつ僕が付けるエフェクトがすごかったら,それだけで「おおっ」と思ってもらえるはずです。今回は,おそらくそういうものに仕上がっていくと思います。

鈴木氏:
 モーフィングみたいなこともできますよね。

ブン サダカ氏:
 もっとすごいことができますよ。

鈴木氏:
 期待が高まりますね。あと,お金がたくさん集まったら,マルチエンドは作り放題だなと思います。

4Gamer:
 そういった,物語の枝分かれについてはすでに構想にあると。

鈴木氏:
 これまで,分岐する物語を何とか予算の枠に収めながらゲームを制作してきました。もしその枠がなくなるなら「いくらでもできるじゃないか」ということになるわけです。

4Gamer:
 ゲーム自体はどのプラットフォームで,どのような販売形態になるのでしょう。

小林氏:
 目標金額をクリアした場合は,WindowsとAndroid向けのソフトを制作し,売り切り型のダウンロード販売を行う予定です。MacやiOSでの展開,そのほかの販売方法などに関しては,予算の集まり方次第ですね。次の目標として検討することになると思います。仮に使い切れないくらい予算が集まったら,3部作とかにしますよ(笑)。
 プロジェクトには,ブン サダカさんや先ほど話ししました土屋つかささんのほかにも,トレイラーで魔女のキャラボイスを担当してくれたςeraさん(※1),タイトルロゴ制作を担当していただいた薄 良美さん(※2)など,お三方以外にも素晴らしいクリエイターが揃っています。予算はもちろんですが,何よりどのような作品になるのか楽しみですね。

※1 ツイキャスやYouTubeなどで活躍する配信者。配信のほかにも,ライブ活動などで十代など若い世代を中心に支持を得ている
※2 数多くの有名雑誌や書籍の装丁,誌面デザインなどを手掛けるエディトリアルデザイナー。美容モデルやコスメコンシェルジュとしての活動でも知られる


海外展開も視野に入れKickstarterでの資金調達に挑戦

さまざまなアーティストが参加し発信できる場所に


4Gamer:
 ここからはクラウドファンディングについてお聞きしたいと思います。開発資金を調達すると考えた際,なぜ数あるクラウドファンディングの中からKickstarterを選んだのでしょう。

小林氏:
 海外で勝負をしたいんです。アオガチョウさんの絵は,海外でも通用するでしょうから。また,これまでのケースから,どのクラウドファンディングを使っても日本の皆さんは欲しいものに対してきちんとお金を出してくださることが分かっています。なので,日本向けではなくグローバルに展開できるクラウドファンディングを使おうと決めました。

「十三月のふたり姫」のKickstarterページでは,本作のイメージムービーも観ることができる(画像は同ページをキャプチャしたもの)

「十三月のふたり姫」Kickstarterページ


4Gamer:
 海外展開も具体的に考えていると。

小林氏:
 そうですね。バンブルマンは海外の知り合いが多いんですよ。例えば,英語版「十三月のふたり姫」プロデューサーを担当するミュージシャンのコーディー・カーペンターですが,彼は映画監督のジョン・カーペンター(※)の息子なんです。
 彼がTwitterにこのプロジェクトについて何か書き込んだとしたら,世界中のジョン・カーペンターのファンの目に留まり,そしてRTしてくれるかもしれない。そういった高い拡散力を誇る人もいるんです。

※「ハロウィン」や「遊星からの物体X」など,多くの名作ホラーやSF作品を手掛ける映画監督。音楽家としても知られ,自身の映画作品の音楽を自ら作曲するほか,ミュージシャンとして音楽CDもリリースしている

4Gamer:
 なるほど心強いですね。

小林氏:
 そういえば,コーディーに「アオガチョウさんの絵について,お父さんの感想を聞かせて」と頼んでおいたんだけど,まだ返事がないな。

アオガチョウ氏:
 そんなお願い事をされてたんですか? ありがとうございます(笑)。

鈴木氏:
 ジョン・カーペンターが評価したら,すごいことになりそうだね。

小林氏:
 ともかく,どうせやるならワールドワイドで。そのくらいの気持ちで取り掛かっています。

4Gamer:
 クリエイターの皆さんにもお聞きしたいと思うのですが,アオガチョウさんはこのクラウドファンディングについてどうお考えですか。

アオガチョウ氏:
 面白い試みだと思います。もちろんプレッシャーもありますが,「お金を出したい」と思っていただけるよう,頑張りたいなと。

増子氏:
 クラウドファンディングは,まず「欲しい!」という人が最初にお金を出すところからスタートして,出来上がったものがその人達に届くという部分がいいですよね。
 そのぶん,お金を出してくださる方の期待に応えるというプレッシャーもありますが,期待に応えるという面でいえば,シリーズ作品を作っているときも同じようなプレッシャーを感じていますし。
 そのあたりを考えると,クラウドファンディングのほうが気が楽だなとも思います(笑)。

4Gamer:
 「クラウドファンディングで,これだけ予算を集めました!」ということだけが話題になり,そこからどうなったのか分からなくなるというプロジェクトも見受けられたりしますが,その点についての不安はありませんか。

鈴木氏:
 そういうことがあるのは知っていたので,僕は最初にクラウドファンディングでやるって聞いたとき「うさんくさいな」と思ったんです(笑)。
 でもよくよく話を聞いてみたら,「十三月のふたり姫」は大規模なプロジェクトではなく,「この予算なら,これができる」という部分がしっかりと考えられた,とても現実的な内容でした。先ほどご本人もおっしゃっていましたが,小林さんは,資金が少なければ少ないなりの作り方も考えていたんです。


小林氏:
 クラウドファンディングで集めたお金は,全部モノづくりに投入できるのがいいんです。どこかの企業に用意していただく場合は,全体のオペレーションにかかる費用も含まれるので,その分モノづくりに使えるお金が減ってしまいますから。

4Gamer:
 なるほど。Kickstarterには,バッカー(支援者)に対してその支援金額に応じたリワードがありますよね。そういったものはすでに用意されているのでしょうか。

小林氏:
 はい。アオガチョウさん直筆のイラストや,「十三月のふたり姫」に使う絵をまとめたアートブック,鈴木さんの念を込めたお守りなどを用意しています。

アオガチョウ氏:
 念を込めるって……何をされるんですか(笑)。

増子氏:
 お守りの一つ一つに何かするの?

小林氏:
 何個になるか分からないから,全部まとめてですね。その場の写真も撮っておきましょう(笑)。

アオガチョウ氏:
 シリアルナンバーもほしいですね。

4Gamer:
 その儀式の模様は興味あります(笑)。
 クラウドファンディング実施のほかに,4月4日から6日にかけて行われるコンテンツビジネスの総合展「コンテンツ東京2018」内の「ライセンシングジャパン」へも出展されますがこちらについても聞かせてください。

第8回 ライセンシング ジャパン 公式サイト

バンブルマンの出展情報ページ


小林氏:
 プロジェクトの第1弾となる今回は,アーティストやクリエイター側から企業さんへ発信する機会とも考えています。ライセンシングジャパンに出展するのも,そういった狙いです。

4Gamer:
 そういうことであれば,例えば鈴木さんや増子さんの知名度なら,最初からどこかのゲームパブリッシャに企画を持ち込むという選択肢もあったかと思いますが,いかがでしょう。

小林氏:
 それをやってしまうと,“参加したアーティストやクリエイターの権利を保つ”という大事な部分がなくなってしまう恐れがあるんですよ。
 しかし,アーティストそれぞれの名前でコピーライトを出した形で展示会に出展すれば,権利を手放さないままほかの展開につなげられます。そうなったら,ここにいる皆さんを含め,関わった人達全員に利益を分配できるわけです。

4Gamer:
 興味を持ってくれた企業から,どのような話があると理想的ですか。

小林氏:
 出来上がったものをプロトタイプとして捉えていただき,「予算を出すから,メジャーコンテンツとしてリメイクしたい」といった提案をいただけるなら大歓迎ですよね。もちろん,参加したアーティストやクリエイターの権利を保っていただきながら。

鈴木氏:
 今回のプロジェクトは,基本的に「完成したものをあげるから,協力してほしい」というスタンスなんですよね。それは従来のビジネスとは異なる,新しいリレーションシップだと捉えています。すごく新鮮ですし,成功したら面白いじゃないですか。

4Gamer:
 それでは最後に,「十三月のふたり姫」の取り組みに注目している人に向けて,クリエイターの皆さんのメッセージをお願いします。

増子氏:
 何はさておき僕は言い出しっぺなので,あとにつながる形で展開できることが一番の理想です。一人でも多くの人に手に取っていただく,見ていただくことを目指しており,可能であれば無料で配って,原画を使った絵本を別途販売するといったような二次的なビジネスができるといいなと思っています。
 個人的には,いろんなところから音屋さんを集めて,イメージアルバムなんかも作ってみたいですね。まずは「十三月のふたり姫」を,いろんなコンテンツの土台になるようなものにしていきたいです。

アオガチョウ氏:
 今回ビジュアルを担当しましたが,今後,鈴木さんのプロットに沿って,どんなキャラクターが登場してくるのかすごく楽しみです。私の勝手な予想ですが,奇怪な生き物とか,異次元の存在,異形の者が出てくるといいなと思っています。

鈴木氏:
 お題が面白いので妄想が膨らんでおり,自分の中で楽しんでいます。
 眠り姫が眠っている間というのは,“彼女の中では何が起きているのか”という時の流れもあります。例えば今人気の「Fate」シリーズのように,偉大な英霊達と出会うことがあるかもしれませんし,あるいはアオガチョウさんがおっしゃったように,異形の世界に入り込むこともあるでしょう。
 この物語が形になるまでにはもう少し時間がかると思いますが,この“十三月”という狭間から一体何が出てくるのか,自分でも楽しみです。ぜひ期待してください。

4Gamer:
 ありがとうございました。


「十三月のふたり姫」Kickstarterページ

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