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ネクソンのオーウェン・マホニー社長にインタビュー。コアゲーマーな一面や,ネクソンが目指すべき「NEXT LEVEL」について語ってもらった
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印刷2017/11/30 00:00

インタビュー

ネクソンのオーウェン・マホニー社長にインタビュー。コアゲーマーな一面や,ネクソンが目指すべき「NEXT LEVEL」について語ってもらった

 2017年11月16〜19日に韓国で開催されたG-Star 2017で,NEXON Koreaは初めてメインスポンサーを務めた。韓国のゲーム業界をリードする存在で,G-Starにも13年連続で参加しており,近年は毎年どこよりも巨大なブースを出展していた同社だけに,納得の流れとは言えよう。
 もちろん今年も会場で最大のブースを展開し,「NEXT LEVEL」というキーワードを掲げ,「EA SPORTS FIFA Online 4」や「Titanfall Online」といった新作タイトルの試遊台をズラりと並べていた。試遊台の数はPCが470台,スマホが118台と,ものすごい規模の出展だ(それでも一瞬で埋まる)。


 毎年のG-StarにおけるNEXON Koreaの存在感は非常に大きく,取材班としては,ブースの出展はもちろん,メディアに向けた新作タイトルのパネルセッションや,開発者へのインタビューなど,同社が何を出してくるかというのは,毎年楽しみなポイントでもある。
 そして,今年の取材のうち,最も大きなものが……ネクソンの代表取締役社長,オーウェン・マホニー氏へのインタビューとなる。ネクソンのさまざまなイベントで姿を見せているマホニー氏だが,4Gamerがインタビューを行うのは今回が初めてのこと。ネクソングループのトップは,一体どのような人物で,現在のオンラインゲーム業界をどのように見ているのだろうか。

ネクソン 代表取締役社長 オーウェン・マホニー氏。日本語も堪能で,今回のインタビューのほとんどは通訳なしで行われた

4Gamer:
 本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。4Gamerでマホニーさんにお話しを聞くのは今回が初めてなので,まずはマホニーさんご自身のことから教えてください。
 もともとネクソンさんは韓国の会社で,現在グループの本社は日本にあります。しかし,そのトップのマホニーさんは,どちらの国の方でもなく,さらにイベントなどで流暢に日本語をお話ししているので,どういった方なんだろうと気になっていたんです。

オーウェン・マホニー氏(以下,マホニー氏):
 変な人ですよ(笑)。
 もともと私はサンフランシスコ出身で,シリコンバレーで育ったんですけど,子供の頃からゲームが好きでした。高校生のときに,半分はアルバイト,半分は趣味で「Apple II」のゲームを売っていたことがあって,初めての仕事もゲームでした。
 そしてUCバークレー(カリフォルニア大学バークレー校)を卒業後,IT業界に入りました。5年間日本に住んでいたこともあります。

4Gamer:
 そのときに日本語も覚えたわけですね。

マホニー氏:
 まだまだ不慣れですけどね。言葉だけでなく,日本の文化や政治経済も勉強しました。それが1990〜1995年のことです。その後は,アップルの子会社を経て,2000年にElectronic Artsに入社し,ここから本格的にゲーム業界に関わっていくことになります。
 ネクソンとの関係が始まったのもここからで,当時の私は,アジアでのビジネス展開の話をするために,NEXONの創業者であるキムさん(金 正宙氏)に連絡を取りました。

4Gamer:
 2000年というと,日本でヒットしたようなMMORPGが生まれるより,さらに前の話ですよね。当時のネクソンはまだそれほど大きな会社ではなかったと思うんですが,なぜキムさんに連絡を取ったのでしょう。

マホニー氏:
 1996年頃だったと思いますが,そもそも一度キムさんにお会いしたことがあったんです。ですから連絡が取りやすかったというのはあります。それと,当時の韓国は,アメリカより圧倒的に早くて安いブロードバンド環境が整っていて,面白いゲーム会社がたくさん生まれていたというのも理由の1つです。
 正直に言いますと,このときネクソンを買収したかったんですけど,断られてしまって,逆に私がネクソンに来ないかと誘われたんです。

4Gamer:
 そんなに前からオファーがあったんですね。

マホニー氏:
 このときは,Electronic Artsの仕事が楽しいので断りましたけどね。
 その5年後,大きく成長したネクソンと再びお会いすることになったんですけど,ここでも買収を打診して,断られて,逆に私が誘われて……というやり取りを繰り返しました。

4Gamer:
 2回目が……。

マホニー氏:
 それが,まだ続くんです。2009年に,3回目の「買収したいです」「だめですけど,来ませんか」というやり取りをして,さらにその後,4回目も同様のことがあって。そのときに,「さすがに4回目だし,そろそろ行こうかな」と(笑)。

4Gamer:
 そこでようやくマホニーさんが折れたんですね(笑)。

マホニー氏:
 2010年当時のネクソンは上場前で,CFOを探していました。ですから私はCFOとして入社して,上場の準備を担当していました。そして2014年には社長に就任し,今に至ります。

4Gamer:
 買収に失敗し続けた結果,相手を率いる立場になってしまったというのは面白いですね。
 ところでマホニーさんは,普段どういったゲームを遊んでいるのでしょう。ネクソンさんのトップですし,やはりオンラインゲームですか?

マホニー氏:
 いろんなゲームをやりますが,シングルプレイよりもマルチプレイのほうが好きです。一番好きなのはオンラインRPGで,もちろんネクソンの「メイプルストーリー」は遊んでいます。オンラインFPSも大好きです。
 ええと,ネクソンのタイトル以外のこともお話して大丈夫ですか?

4Gamer:
 もちろんです。

マホニー氏:
 やり込み具合で言えば,間違いなく「EVE Online」が一番です。13年ぐらい前から遊んでいます。
 RTSも好きで,昔は「StarCraft」にハマっていました。しかし,最近は新作のRTSがあまり登場しないのが悲しいですね。

4Gamer:
 確かにRTSは少なくなりましたね。そこから派生したMOBAは世界的にヒットしましたけど……。

マホニー氏:
 シングルプレイですと,Paradox Interactiveさんの「ヨーロッパ・ユニバーサリス」シリーズがとくに好きです。13歳の息子とよく一緒に遊んでいます。あとは「Civilization」シリーズなんかも大好きです。

4Gamer:
 あの,失礼ながら,予想していたよりはるかにコアなゲーマーでした。お子さんとヨーロッパ・ユニバーサリスというチョイスが渋いですね。

マホニー氏:
 息子のほうが圧倒的に強いのが悔しいですけどね(笑)。次の休みは,一緒に「クルセイダーキングス」を遊ぶ約束をしています。

4Gamer:
 英才教育ですね(笑)。

普段は投資家と話すことが多いので,こうしてゲームの話をできるのが楽しいというマホニー氏。好きなゲームについて聞いてみたら,あれやこれやとタイトルが飛び出してくるのが印象的だった。息子には「テレビを見るよりもゲームをするほうが楽しいよ!」と教えているそうだ


G-Starでの出展内容がほかと大きく異なっていたNEXON Korea


4Gamer:
 今回初めてNEXON KoreaさんがG-Starのメインスポンサーになりました。毎年,会場で一番大きなブースを出していたので,今回が初というのが意外なのですが,どういった意図があってメインスポンサーになったのでしょうか。

マホニー氏:
 「FIFA ONLINE 4」や「OVERHIT」といった大きなタイトルが揃っており,タイミングが合っていたというのが理由です。


4Gamer:
 韓国でのFIFA ONLINEの人気はものすごいですよね。200台以上の試遊台があったにも関わらず,すぐにすべて埋まって2時間待ちの列ができていたのは驚きました。
 近年の韓国のゲーム市場は,スマホ向けタイトルが活発な一方,PC向けの新作はずいぶん少なくなっています。しかし,今年のNEXON Koreaさんのブースは,プレイアブル出展の6タイトル中,5タイトルがPCという,珍しい構成になっていましたね。

マホニー氏:
 そちらも偶然です。今回プレイアブルでお見せできるタイトルに,PCのほうがたまたま多かっただけですね。
 おそらく,多くの人がネクソンに対して抱いているイメージは,「Free to PlayのPCオンラインゲームの会社」だと思うんです。

4Gamer:
 そうですね。近年は,ずいぶんスマホ向けタイトルも増えましたが,やはり昔からMMORPGを中心としたオンラインゲームを展開している会社という認識が強いです。

マホニー氏:
 ですよね。しかし,我々としては,「深みのあるゲームをプラットフォームに関わらず提供する会社」であろうと考えているんです。PCに力を入れよう,モバイルに力を入れようといった方針はとくにありません。

4Gamer:
 今回のG-Starは,e-Sportsを推しているブースが多く見られましたが,NEXON Koreaさんは逆に一切やっていなかったのも印象的でした。

マホニー氏:
 我々としては,e-Sportsに対する施策自体は昔から積極的に行っています。ご存じかもしれませんが,韓国ではソウルに世界初の「Nexon Arena」という自社運営のe-Sports施設も持っています(関連記事)。
 ただ,e-Sportsというのは,開発・運営している側が押しつけるようなものではないと思うんです。ゲーマーは,「これがe-Sportsだ」と勝手に決められても楽しめません。自分達で遊んだ結果,「これがe-Sportsだ」と思えるようなタイトルであれば,全力で取り組み,より楽しんでくれます。

4Gamer:
 開発・運営側の都合でe-Sportsを推すのは,ゲーマーのためにならないと考えているんですね。

マホニー氏:
 そうです。動くとしても,ゲーマーの要望があったうえで動くべきだと思います。
 これはe-Sportsに限った話ではなく,どのゲームが良いか,どのゲームが悪いかというのは,すべてゲーマーが決めることです。我々の仕事は,それを支援していくことでしょう。

4Gamer:
 今回の出展では,ブース内でインフルエンサーが新作タイトルの配信を行うという試みも実施していましたが,ネクソンさんとしてはそういった方への支援などは,積極的に行っているのでしょうか。

マホニー氏:
 ええ。ご存じだと思いますが,近年はインフルエンサーの影響力が大きく,マーケティングの仕方も変わってきました。
 ネクソンはゲームを開発して提供する会社ですが,提供という部分では,ユーザーさんからのフィードバックを得て反映していくということが非常に大切です。インフルエンサーに協力してもらえると,こうした意見を集めやすいという大きなメリットもありますので,インフルエンサーマーケティングは続けていきたいと考えています。


ピクセルベリーをグループに迎え,女性向けコンテンツを拡大


4Gamer:
 先日,ピクセルベリー買収の発表がありましたが,こちらの経緯や意図を教えてください。

マホニー氏:
 ピクセルベリーは,インタラクティブ・ストーリージャンルのゲーム開発を得意としていますが,こうしたタイトルを展開することで,より広い層にゲームを遊んでもらいたいんです。
 世界的に見て,RPGやFPSといったジャンルのゲームが好きな人のほとんどは男性です。プレイヤーだけでなく,ゲーム業界で決定権のある立場にいる人や開発者,あるいは投資家も男性が多い。そうした中で,女性プレイヤーのニーズに応えるタイトルを拡大していくには,ピクセルベリーの力が必要だと判断しました。

4Gamer:
 日本ですと,いわゆる乙女ゲームを筆頭に,女性向けタイトルが出ていますが,世界的にはまだまだ少ないのでしょうか。

マホニー氏:
 少ないですね。だからこそ,展開するチャンスがあるとも言えるので,アメリカやヨーロッパだけでなく,さまざまな国に提供していきたいと思っています。
 ただ,ストーリーを重視したタイトルの場合,ローカライズをしようと思っても文化がまったく違うので,そこは難しいところです。私もたまに日本のドラマを見ますが,文化の違いを実感することがあります。



「NEXT LEVEL」は誰でもコアなゲームを遊ぶ世界


4Gamer:
 近年,もともとPCで展開されていたタイトルのモバイル化が進んでいます。ネクソンさんも,「テイルズウィーバー」や「マビノギ」「Tree of Savior」などのモバイル化を発表していますよね。
 ただ,日本市場を見ると,MMORPGのようなコアなゲームをモバイルでプレイするというのは,それほど浸透していません。モバイルゲーム開発が盛んな韓国では,そうでもないのでしょうか。

マホニー氏:
 韓国でも,まだモバイル向けのコアなMMORPGは多くありません。ただ,来年サービスを予定している「野生の地:Durango」などを筆頭に,今後増えていくと思います。
 と言うのも,モバイル端末の性能は,どんどんPCに近付いていますよね。数年前までは,PCで提供できるゲームとモバイルで提供できるゲームは,まったく異なるものでした。CPUもGPUも,スペックが全然違っていましたから。しかし,今はその差も小さくなって,同じような深さを持つゲームを提供できるようになってきたんです。

4Gamer:
 今後のモバイルゲームは,もっとコアな方向に進んでいくということですか。

マホニー氏:
 そうだと思いますよ。逆にお聞きしたいのですが,どういった方向にいくと思いますか?

4Gamer:
 性能が上がったとしても,モバイル端末でPCと同じような深い体験ができるのかは,疑問に思っている部分があります。その要因の1つが画面サイズで,モバイルではチャットなどのコミュニケーション面で不利ですし,遊びにくいジャンルもありますよね。

マホニー氏:
 それはおっしゃるとおりだと思います。ですが,その問題は端末の性能ではなく,画面の入出力やインタフェースが原因です。いろいろな技術会社さんとお話すると,無線でディスプレイと接続したり,あるいはドッキングステーションのようなものを使ったりと,モバイル端末で簡単に大きな画面やマウス,キーボードを使う仕組みが研究されているんです。将来的には,こうした技術によってPCが不要になり,モバイル端末と自宅のドッキングステーションだけを使うことになるのではないでしょうか。

4Gamer:
 その結果,モバイル端末にインストールしたコアなゲームを持ち歩くことになるので,結果的にモバイルゲームはコア化していくというわけですか。

マホニー氏:
 ええ。「モバイルだから不便」という部分は,決して解決できない問題ではないはずです。コアなゲームを持ち歩くようになれば,プレイの継続性も上昇して,我々にとっても,プレイヤーにとっても良い結果になるでしょう。
 それから,「Siri」のような音声認識も発達していきますし,ARもこれからでしょうから,5年以内には,いろいろな面白い技術を使った新たな体験が出てくると思いますよ。ゲームの中のキャラクターに話しかけられる日が来るのも,そう遠くはないはずです。

4Gamer:
 今回ネクソンさんは「NEXT LEVEL」を掲げていますが,マホニーさんはどこまでいければ,そのレベルに到達するとお考えでしょう。

マホニー氏:
 面白い質問ですね。私は13年ぐらい前からEVE Onlineをプレイしていますが,オンラインゲームを深く,じっくり遊ぶと,それが自分の生活の一部になっていくものです。これは,ゲームが人生の大切な一部分になりうるということでもあります。コアゲーマーであればあるほど,そういった体験の素晴らしさを,すでにご存じではないでしょうか。

4Gamer:
 ええ,よく分かります。

マホニー氏:
 純粋なゲームの面白さはもちろん,社会性や経済,政治,そういったものまで存在していて,ゲームの世界で,第二の人生と呼べるものが体験できますよね。映画を見たり,本を読んだりするだけでは得られない,自分で選択する面白さがそこにあります。
 しかし,これらの素晴らしい,価値のある体験は,コアゲーマーだけのものでしかありません。これを広い層に届けることができたときが「NEXT LEVEL」だと私は考えています。

4Gamer:
 それはつまり,「コアなゲームを遊ぶのが普通」という状態にしたいということですよね。

マホニー氏:
 はい。そして,先ほどからお話しているようなテクノロジーの進歩は,そのための大きな後押しになると思うんです。すでに,PCやゲーム機だけでなく,モバイル端末でも深みのあるゲームが遊べる時代がやってきました。画面の入出力の手段はこれから増えていくでしょうし,音声認識も進化します。GPSとカメラを使ったARゲームとしては初期段階でありながら,世界的にヒットした「Pokémon GO」も生まれています。
 そうして広がった土台を活用して,我々は魅力的なゲームを提供していかなければなりません。これまでのようにPCだけでなく,モバイルやゲーム機向けなど,プラットフォームに関わらず幅広く展開していきたいです。

4Gamer:
 今後の新作にも期待しています。本日はありがとうございました。

マホニー氏:
 こちらこそ,ありがとうございました。普段は投資家と話すことが多いので,こうしてじっくりとゲームの話をすることができて私も楽しかったです。

「ネクソン」公式サイト

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