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[SPIEL’17]邪悪な教授が時の果てから盗み出した秘宝を奪還せよ。協力型ボードゲーム「Professor Evil and The Citadel of Time」プレイレポート
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印刷2017/10/28 18:54

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[SPIEL’17]邪悪な教授が時の果てから盗み出した秘宝を奪還せよ。協力型ボードゲーム「Professor Evil and The Citadel of Time」プレイレポート

 協力型のボードゲームには「Pandemic」など数々の名作があるが,SPIEL’17では「協力型ゲームコーナー」が作られるなど,あらめてCo-opスタイルのゲームが増加している傾向が感じられる。
 またゲームシステムにもさまざまな工夫が凝らされており,「Magic Maze」に至っては「もっともイノベーティブなゲーム」に与えられるアワードであるInnoSPIELを獲得するほどだ。
 この激戦区とも言える協力型ゲームというジャンルに参戦したのが,本稿で紹介する「Professor Evil and The Citadel of Time」(以下,CoT)だ。邪悪な教授の家から秘宝を盗み出す……もとい「救出する」任務を帯びたプレイヤー達は,どのような活躍が可能なのだろうか。

Funforgeからリリースされる予定の「Professor Evil and The Citadel of Time」。デザイナーはMatthew Dunstan氏とBrett J. Gilbert氏。価格は30ドル前後になるようだ
画像集 No.001のサムネイル画像 / [SPIEL’17]邪悪な教授が時の果てから盗み出した秘宝を奪還せよ。協力型ボードゲーム「Professor Evil and The Citadel of Time」プレイレポート

「Professor Evil and The Citadel of Time」公式サイト(英語)



邪悪博士の館から秘宝を奪い取れ!


 前述のとおり,CoTにおいてプレイヤーは秘宝奪還チームの一員となり,タイムマシンを使って歴史的なお宝をかき集めているProfessor Evil(以下,邪悪博士)から秘宝を奪還することを目指す。邪悪博士は自分の館の中に秘宝を展示しているので,それを盗み出せばいいというわけだ。

 秘宝は10個以上存在するが,屋敷に同時に存在するのは3つまで。一定時間が経過すると邪悪博士が秘宝を秘密の隠し場所にしまってしまう(そして次の秘宝が館の中に展示される)ので,プレイヤーは時間内に秘宝を確保しなくてはならない。さもなくば,いくつかの秘宝は諦め,盗みやすい状況にある秘宝を狙い直してもいい。
 いずれにしても秘宝が4つ隠されてしまえばプレイヤーの負けとなる。一方で,それより先に秘宝を4つ盗み出せればプレイヤーの勝利となる。

 各プレイヤーは1キャラクターを担当する。キャラクターには特殊能力が設定されているが,その能力はいずれも非常に強力だ。
 しかしながら邪悪博士も手強く,何よりプレイヤー達には時間が足りない。強力すぎるくらいの能力を駆使しつつ,全員でうまく協力することなしには,秘宝奪還は(下手するとたった1つすら)おぼつかないのである。

用意されているキャラクターは5人。それぞれに能力が異なる
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鉄壁の防御,その名は「時間」


 さて,キャラクターの能力について語る前に,まずは屋敷の防御システムについて紹介しよう。
 もっとも基本的な防御システムは「扉の鍵」だ。邪悪博士の屋敷の扉にはすべて鍵がかかっているが,潜入捜査のエキスパートであるキャラクター達は1アクションを消費するだけで鍵を開けることができる(逆に言えば,鍵を開けるには1アクションが必要)。一度鍵を開ければ,原則としてそれ以降は鍵を開けなくてもドアを通過できる。

部屋と部屋の間に置かれた黒いバーは,「そこは鍵がかかっている」というマーカー。BallroomとLaboratoryをつなぐ扉には鍵がかかっている
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 続いてより直接的な防御システムとして,5種類のトラップがある。内訳は以下のとおりだ。

  • データパッド
  • 監視カメラ
  • レーザースイッチ
  • 丸ノコギリ
  • ロック

 これらのトラップは秘宝を守っており,起動している限り,秘宝を盗み出すことはできない(トラップの種類は,それぞれの秘宝に示されている)。
 トラップをオフにするためのスイッチは屋敷のあちこちに存在するが,トラップを完全に無効化にするためには,そのトラップを制御するすべてのスイッチをオフにしなくてはならない。例えば監視カメラであれば2か所,丸ノコギリであれば3か所にスイッチが分散されているといった具合である。

中くらいの大きさのタイル(この写真だと,中央にある赤いレーザースイッチがわかりやすい)が,トラップを解除するためのスイッチだ。数字が書いてあるのは,「同じタイプのスイッチの数」を示している。また,この写真だと中央やや下にある「The Ark of the Covenant」が秘宝だ。この秘宝を奪取するには,緑の鍵アイコンで示されたトラップ(ロック)のスイッチをすべてオフにしなくてはならない
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 最大の脅威は,邪悪博士その人だ。邪悪博士はサイコロの出目に従って行動するが,鍵が開けられたドアを通過したときは鍵をかけ直すし,トラップのスイッチがオフになっていればオンにする。またキャラクターがいる部屋に邪悪博士が入ってきた場合は,キャラクター達は邪悪博士の目を逃れるため,屋敷の外にまで逃げ出さなくてはならない。

 そしてもう1つ,邪悪博士と同じくらいに厄介なのが「時間」である。キャラクターが行動する(手番を終える)たびに,時計は最低でも5分進む(あくまでゲーム内の時間)。こうして時間が進んでいくと,ある段階を超えたところで邪悪博士は秘宝を片付けてしまうのだ(お片付けタイムがいつになるかは,秘宝によって異なる)。
 実際にゲームをプレイすると,この時間制限はかなり厳しく感じられる。タイムリミットがもっとも近い秘宝は最初から諦め,2番目にタイムリミットが近い秘宝の奪取を目指して計画を練るべきだとすら思えたほどだ。

右上に見えるのが「時計」。黒いコマが長針を示す。このコマが,時計に置かれた色のついたトークンを追い越すと,対応する色のトークンが置かれた秘宝が「お片付け」されてしまう。また色付きのトークンが反時計回りに移動する(タイムリミットが短くなる)ことも
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アクションカードを駆使せよ!


 これらの困難に立ち向かうヒーロー達(全部で5人)だが,こうした無理難題と戦えるだけの能力をちゃんと備えている。なによりヒーローをヒーローたらしめているのは,キャラクターごとに用意された6枚のアクションカードだ。手番が来たプレイヤーは,アクションカードデッキから2枚をオープンし,好きな方を選んで「アクション」として実行できる。手番プレイヤーはこれ以外にも一般アクション(移動する,鍵を開ける,トラップのスイッチをオフにする,秘宝を盗む)が3回できるので,都合手番ごとに4アクションできるということになる。

 そしてもちろん,アクションカードの効果はたいへんに強い。例えばヒーローの1人Destiny Bradshowであれば,「邪悪博士はこのターン移動できない」といった,「あっそれ強いですね」と言うしかない能力を持ったカードがあったりする。
 しかもこの6枚のカードは,全部使い切ったらシャッフルしてまた使えるようになるので,心置きなく使っていける。

アクションカードは2枚引いて,1枚をプレイする
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 これに加えて,ゲーム内時間で30分ごとに訪れる「ひらめき」も重要だ。時計の針が15分ないし45分に到達すると,「ひらめき」が舞い降りる。「ひらめいた」キャラクター(誰が「ひらめく」かは話し合いで決める)はキャラクターカードを裏返し,これまた強力な能力を2つ得ることになる。

 例えば先程のDestiny Bradshowは,ひらめきを得ることで「邪悪博士の行動を決定するサイコロ(詳細は後述)を1個,1回だけ振り直せる」能力のほか,「このカードを再び表に戻すことで,サイコロの結果1つを無視できる」という能力まで使えるようになる。後者は発揮するとキャラクターカードが元に戻ってしまう(ひらめきを忘れてしまう)ので諸刃の剣ではあるが,うまいタイミングで使えば戦局を大きく変えることができるだろう。

左上に見える青いカードが,「ひらめいた状態のDestiny Bradshow」
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ひと振りのサイコロから生まれるドラマ


 さて,最後に邪悪博士の行動がどのように制御されるかを簡単に紹介しよう。各プレイヤーは,4アクションを終えたところで手番を終了する。そしてその段階で,サイコロを3つ振る。このうち,白い2個のサイコロが邪悪博士の動きを制御する。残る1つの黒いサイコロは,時計の進行を決定する。

 白いサイコロのうち1つは,邪悪博士がどんな行動をするのか決めるものだ。小さな矢印がついた黒丸は,邪悪博士が「移動する」ことを示す出目だ。黒丸の数は,移動する歩数を決める。大きな矢印が描かれた面が出ると,邪悪博士は隠し扉を使って移動する。時計の中に数字が書かれた面が出ると,邪悪博士は特定の秘宝を「もっと早い段階で片付けよう」と決意する。

左から順に「博士の移動」「隠し扉の使用」「秘宝を片付けるまでの時間短縮」
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 もう1つの白いサイコロには,赤・青・緑のマーカーが均等に配置されていて,これによって邪悪博士の向かう先を制御する。邪悪博士が移動する場合に「博士がどのドアを通ろうとするか」は,この色で決まるのだ。すべての部屋には3方向にドアがあり,それぞれ赤・青・緑のカラーが配されている(地図上では足マットの色で示される)ので,邪悪博士がどのように移動するかで迷う心配はない。

例えばBallroomに邪悪教授がいて,「2歩移動・緑」の結果が出た場合,まず教授はLaboratoryに移動し,それからWorkshopに移動する
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 また邪悪博士が隠し扉を使う場合,この色のマーカーに対応した秘宝のある部屋に博士が突如姿を現すことになる。館の中では常時3つの秘宝が展示されており,それぞれの秘宝は赤・青・緑のマーカーで管理されているので,博士がどこにワープするかはひと目で分かる。
 秘宝のお片付けタイムが早まる場合も,隠し扉と同じ要領で「ダイスで示された色のマーカーが置かれた秘宝」のお片付けタイムが早まる。

 そのうえでもう1つ,黒いサイコロがある。黒いサイコロは,5つの面に1が,1つの面に2が刻まれていて,出た目×5分だけ,ゲーム内時間が進行する。当然ながら,これによって博士が秘宝を「お片付け」してしまうこともあり得る(というかよく起こる)。

最大の敵は中央に置かれた大時計で間違いない。Citadel of Time(時間の城)とはよく言ったものである
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挑戦するのが楽しい難度


 CoTは,ヒーローのキャラクター性がうまく表現されているだけでなく,敵の移動や状況変化を最小限の手数で決定する,とても洗練されたメカニズムを有している。サイコロ2個を振るだけで,敵が屋敷の中を移動したり,あるいは目標達成までのタイムリミットが減少したりといったことが発生し,しかもプレイヤーはその間まったく図表を参照しなくていい(文字が書かれた何かを読むことすら不要)のは,完成度が高いと言うほかないだろう。

 もっとも本作は,協力型ゲームとしては比較的勝ちにくいバランスになっているように感じられた。前述したとおり,最低でも「もっともタイムリミットが短い(=一番最初にお片付けされてしまう)秘宝は見捨てる」のは,ほとんど定石にしても構わないように思えるほどだ。

3つの秘宝を獲得するも,4つめを先に教授がお片付けしてしまってゲームセット。くやしい
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 とはいえ,それでも道中では予期せぬ事件が多発する。一番困るのは「あと1つ,トラップのスイッチをオフにすれば秘宝を回収できるのに,そのスイッチがある部屋から邪悪教授が動こうとしない」というパターンだ。ダイス目の都合上,邪悪教授は2/3の確率でしか移動しないので,思いがけぬ「居座り」は十分に合理的な確率で発生する。そして,こういう状況に対応できるアクションカードを持ったキャラクターもいるのも,また面白い。

教授! そこどいてください! その部屋にあるロックの制御スイッチがオフにできれば,まだ間に合うんです!(なお教授がいる部屋に「踏み込む」ことはできない)
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 こういった予期せぬトラブルに対処しつつ,やもすればオーバーパワーとしか言いようのない特殊能力を駆使しながらの秘宝奪取は,とても楽しい。アクションカードやキャラクターカードに英語が多用されているため言語依存度が高いという問題はあるが,そのあたりが問題にならないなら(ないし和訳を用意できるなら),機会があればぜひ試してもらいたいタイトルだ。

「Professor Evil and The Citadel of Time」公式サイト(英語)

  • 関連タイトル:

    Professor Evil and The Citadel of Time

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