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予想外と危機感と営業努力と――「拡張少女系トライナリー」の土屋 暁氏に,配信開始からTGSまでの約5か月を振り返ってもらった
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印刷2017/10/05 12:00

インタビュー

予想外と危機感と営業努力と――「拡張少女系トライナリー」の土屋 暁氏に,配信開始からTGSまでの約5か月を振り返ってもらった

 東京ゲームショウ2017の最終日(2017年9月24日),会場の閉館も間近に迫ると,出展側のゲーム会社のスタッフも,我々ゲームメディアの人間も,ようやくイベントが終わることへの喜びと(疲労的な意味で),その一瞬を噛み締める間もなく舞い込む仕事の山に,各々が何とも言えぬ表情を見せはじめる。一般来場者にしても,たった数時間で体力を削がれる盛大なお祭りなのだから,それくらいの甘えは許してほしい。

 そんなアンニュイな時間帯のこと,筆者はコーエーテクモゲームスが配信中のスマホアプリ「拡張少女系トライナリー」iOS / Android。以下,トライナリー)のプロデューサーである,土屋 暁氏と話をする機会を得た。会場の喧騒から少し離れた,幕張メッセ 国際展示場の物静かな一帯で,体の疲労を適度に押し返してくる椅子に身を委ねながら,氏にアプリの配信開始からTGS終了までの約5か月間について振り返ってもらった。

 土屋氏といえば,ガストブランドの「アトリエ」シリーズ,「サージュ・コンチェルト」シリーズなどに携わってきたゲームクリエイターだが,スマホアプリに携わるのは,今回が初めてのことであった。だからかこの5か月間,予想外あり,危機感あり,営業努力ありと,何やらいろいろあったようで――。

コーエーテクモゲームス 「拡張少女系トライナリー」プロデューサー 土屋 暁氏

「拡張少女系トライナリー」公式サイト

「拡張少女系トライナリー」ダウンロードページ

「拡張少女系トライナリー」ダウンロードページ



これまで生きてきた中で,最も怒涛の期間でした


4Gamer:
 5月頭に実施したインタビュー以来ですね。ご無沙汰しております。本日はステージや生配信に出演していらして,さらに閉館ギリギリにお時間をいただきまして,申し訳ありません。短い時間で切り上げますので,どうぞお付き合いいただければと。

土屋 暁氏(以下,土屋氏):
 いえいえ,大丈夫ですよ。よろしくお願いします。

4Gamer:
 さて,トライナリーのアプリが配信されたのは2017年4月12日ですので……数えてみると約5か月が経ちましたね。いかがでしょう,これまでを振り返ってみると。

土屋氏:
 もう,怒涛でした。今まで生きてきた中で,一番忙しい期間だったんじゃないかなと……。今でも現在進行形ですが。

4Gamer:
 そこまでですか。土屋さんはスマホアプリに携わるのは今回が初めてとのことでしたし,やはりこれまで手掛けてきたコンシューマゲームとは勝手が違いましたか。よく言われる,販売したら終わり,配信してから始まり,というように。

土屋氏:
 ですね。コンシューマゲームの場合,制作中に1回は“ものすごい修羅場”が来るんですけど,それって続いても2週間くらいなんですよ。それ以外は「ちょっと巻かないとな」くらいの気持ちでやれていました。でも,この5か月はそれよりもずーっと上のピークが続いているような,家に帰って寝る暇もないような状態でしたね。

4Gamer:
 メディアの仕事に多忙な印象を持っている人は多いと思いますが,やはりというか,メーカーさんに比べると“マシ”というほかないです。「なんでその時間にメールを返信できるの?」っていうのもザラですし……という印象操作は置いときまして。

土屋氏:
 (笑)。スマホアプリはトラブルもそうですが,普段の運営自体が忙しいですね。むしろトラブルがなくても毎回「ああ,今回はダメだ。終わったなー」という気持ちになるようなことがあります。突発イベントが毎週発生している気分です。

4Gamer:
 そのような状況は,配信以前には想像していませんでしたか。

土屋氏:
 いえ,していました。していましたが……。

4Gamer:
 その遥か上をいったと(笑)。

土屋氏:
 そうですね(笑)。目の前をガードしていたら,側面からパンチが飛んできた,みたいなことが当たり前にあります。それをこなして通常業務に戻ると,またイベントが発生して,それに取り掛かってと……休まる暇がありません。

4Gamer:
 でも,感情的にはいかがでしょう? 家に帰る暇もないほどの生活というと,人によってはそれだけで“検討の余地ありな職業”に思われるかもしれませんが,私はこのTGSの4日間,地獄にいながらニタニタと笑っているような……うまく言うのもこっぱずかしい感じで仕事していましたが。

土屋氏:
 トラブル自体は当然嬉しいことではないです。何においても最優先で,潰さなければなりません。そのうえで,こういうのが盛り上がっているから,こういう施策をやろうとか,新規のイベントを考えなければなりません。それも含めて現場はてんやわんやです。ですけど,プレイヤーさんから「面白い」の声が届くと,そんな毎日もいいかなって思えてしまいます。だから,今も全然辛くはないですね。

4Gamer:
 プレイヤーの声があるから,乗り切っていけるんだと。

土屋氏:
 1週間で新しいシナリオを作り,毎週水曜にそれをリリースして,その後にTwitterで「楽しい」といった声をいただけると,なんて言うんでしょう,一番こう……。

4Gamer:
 報われる?

土屋氏:
 いや“盛り上がる”ですね。まあ,そこからの1週間,次のシナリオの締切に向けて,テンションを持続させるのが大変ですけど(笑)。

4Gamer:
 土屋さんの1週間のテンションは,うまい具合に下りの線形を描いていそうです(笑)。

土屋氏:
 木曜や金曜はともかく,次週の月曜や火曜になると,もはやどうにかこうにか押し込んでる感じですからね。

4Gamer:
 つまり,この5か月間はそういったサイクルで楽しく仕事をしていらしたと。

土屋氏:
 やりがいはありました。

4Gamer:
 これまでファンの声を見て,聞いて,施策の方向性を変えることはありましたか。

土屋氏:
 ああ,ありますね。前の反応を見て,次の内容を思索するのは。例えば,本作では水着イベントを2回やったんですよ。

4Gamer:
 ええ,やっていましたね。

土屋氏:
 1回めの水着イベントは評判が良かったには良かったんですが,イベントストーリーは少し不穏というか,不安というか,本編と連動するようなイメージで展開したんです。

4Gamer:
 それにも覚えがあります。

土屋氏:
 それが,ちょっと失敗したかなと思って。せっかくなので女の子たちの水着を新調して,考え事をせずに楽しめるような,2回めの水着イベントを実施しました。

4Gamer:
 内容をあらためた理由はなんでしょう。

土屋氏:
 1回めの水着イベントのときは,まだ本編ストーリーに対するイベントクエストの立ち位置を決めかねていました。イベントクエストのシナリオは,基本的には精神世界というバーチャルな世界で展開されるのですが,そればかりだとプレイヤーさんに「精神世界って言えば,なんでもできるんでしょ」と思わせてしまって,リアリティの無い虚無感を生んでしまうかなと懸念していたんです。だから,本編の時間軸とリンクさせる手法を試しました。でも……。

4Gamer:
 でも?

土屋氏:
 イベントは頭空っぽにして楽しんでいただくのが正解だなと(笑)。だから,そこで割り切ったんですよ。本編とイベントの立ち位置をバッサリと切り分けることを。それからプレイヤーさんには「息抜きできる」「安心できる」といった評価をいただけるようになったので,結果的に良かったなって思っています。



脅威を感じたアプリもそれなりにあるようで


4Gamer:
 今年のTGSは,土屋さんから見てどのような印象でしたか。

土屋氏:
 今年は大盛り上がりでしたね。弊社の試遊台に入場制限が掛かっていたのでビックリしました。

4Gamer:
 コーエーテクモゲームスでは「真・三國無双8」「ファイアーエムブレム無双」と,本命のコンシューマタイトルがズラっと勢揃いしましたもんね。

土屋氏:
 今年は新作ラッシュもあって,弊社も大型タイトルが立ち並んでいました。その中でブースの一部を貸してもらい,トライナリーを出展させてもらえたのはありがたい話です。ただ,当初は「そうは言っても,ね?」みたいな気持ちもあったんですよ。

4Gamer:
 「すでに配信されているスマホゲームだし」,みたいな?

土屋氏:
 ええ,すでに本作をプレイしている人なら,わざわざ並んで遊びになんて来ませんよね。普通は。

4Gamer:
 配信済みのスマホゲームはいくら運営が続いているとしても,新作の祭典に出展するにはインパクトが足りませんよね。「試遊に並ぶより,手持ちの端末でダウンロードしたほうが早い」などの状況もありますし。ですが一般日を拝見したところ,トライナリーに関しては周りとは少々事情が違ったようです。

土屋氏:
 そうなんですよ。コンシューマの大作がたくさんあるから,会場では埋もれちゃうかなと思っていましたが,全然そんなことなくて。

4Gamer:
 理由は私にも分かります。あれですよね。「TGS限定の千羽鶴とのビーチデート」の試遊。

土屋氏:
 そうだと思います。本当はもっと軽く考えていたんですけど。

4Gamer:
 といいますと。

土屋氏:
 裏話としては,アプリをそのまま出展するのでもよかったんです。でもその場合,どの画面をファーストビューにして,来場者に遊んでもらうのかが見当つかなくて。適当にプレイされても,UIを行ったり来たりでスムーズに遊べないだろうし,チュートリアルをそのまま流しても面白くないだろうと思いましたので,「それならいっそのこと,新しく一本道のゲーム紹介デモを作ろうか」と考えました。本当に,ただそれだけのつもりだったんです。

4Gamer:
 「TGS限定のプレミアムなイベントが遊べるよ!」といった考えはなかったと。

土屋氏:
 はい,サラサラなかったです。単純にキャラ同士が面白おかしく掛け合いしながら,初めての人にも女の子達の魅力を紹介できるようにと作っただけなんです。

4Gamer:
 それが思わぬは効果を生んだようです。先ほど広報さんに尋ねたところ,トライナリーの試遊特典である缶バッヂは,一般日の初日は夕方に無くなり,2日めにいたっては昼過ぎに無くなるほどの大盛況であったと言っていました。


土屋氏:
 2日めは午前にステージを行ったので,その後に皆さんが試遊台に流れていったようです。

4Gamer:
 正直,絶対来ますよ,こんなことされたら(笑)。

土屋氏:
 ほかのスタッフに「これならファンの人達,来たがりますよね」と言われて,ようやくその考えに至たりました(笑)。

4Gamer:
 この「千羽鶴のビーチデート」ですが,後日配信は予定されていないんですか。会場に来られなかった人達のことを考えてもそうですし,なによりもったいない。

土屋氏:
 考えています。どういう形で提供するのかはこれから社内で検討しますが,出して損するものじゃないですから。トライナリーは聖地からして東京ですし,リアルイベントを含め,遠方の方々にサービスが行き届いていないのは常々気になっていますので。

4Gamer:
 配信される日を楽しみにしています。話は変わるんですが,今年は各社の出展ブースを見られて,何か気付きましたか?

土屋氏:
 うーん,なんのことでしょう。

4Gamer:
 いや,それが,スマホゲームの新作はあれど,例年に比べるとスマホゲームの出展があまりなかったんですよ。当然,ステージイベントなどはあるにはあるんですが,大手各社の中にはスマホ自体を出展していないブースもありました。

土屋氏:
 ああ,そういえば,なんとなくそんな感じでしたね。一時期に比べると,スマホゲームをメインでやっていらした会社さんのブースも,あまり見当たらなかったかもしれません。

4Gamer:
 全体的に“コンシューマゲームの出展至上主義”と言いますか,いや1人のゲーマーとして他意はないんですけど,出展内容が回帰した印象を受けたんですよね。ゲーム市場の売上比率とは逆行している感じで。あくまで個人的な感想ですけど。だからか,トライナリーの出展方法は余計に鋭く見えたんです。それにトライナリーという作品自体の切り口も,いまだ例が無いようでしたし。

土屋氏:
 ある意味,奇特な作品ですからね。ああ,ただ,そういう競合的な意味では,個人的に気になっている作品はありますよ(笑)。


4Gamer:
 まあ,そのあたりの話は危ない橋の上にあるので話題をズラそうと思いますが……美少女を前面に押し出したコンセプトのゲームも急激に増えましたね。昔からあると言えばそのとおりなんですが,なんて言うんでしょう,イラストだけではないハイクオリティな設計のものがです。例えば,アイドル系ゲームもそうですし。

土屋氏:
 AKB48から始まったアイドルビジネスと,スマホゲームの持ち味を掛け合わせるという案は,そのほとんどが約2〜3年前に考案されたものだと思います。だから,今が旬なんでしょうね。じっくりと開発期間を取った作品が,このタイミングで立て続けに投入されているのは。

4Gamer:
 今年はスマホゲームの開発者にインタビューをしていると,ほとんどが「2年から3年かけて開発してきた大型タイトルです」とおっしゃられます。カジュアルなスマホゲームの時代が終わった昨今では,作品に今のトレンドを反映するのに,年単位の開発期間がかかるようになってきたんでしょうね。

土屋氏:
 そういう意味では,トライナリーも市場に出るまで約3年かかりましたからね。それに3年前って,いわゆる現代物の恋愛シミュレーションを題材にしたスマホゲームで目立っていたものといえば,スクウェア・エニックスさんの「スクールガールストライカーズ」くらいでした。

4Gamer:
 そちらもわりと鮮烈なデビューを飾られていました。

土屋氏:
 だから私は「これからは絶対こっち側にシフトする!」と思っていたんです。そしたらやっぱり,皆こっちに来ていました(笑)。トライナリーの開発が難航しているとき,こういったコンセプトを同じくする作品がリリースされる姿を見るたび,「ヤバいヤバい」って思いながら見ていましたから。

4Gamer:
 そういえば,TGS初日の終了後に同僚達と話していたところ,なぜか「コーエーのmidas(ミダス)ブランドの発表って明日だよね! これもしかしてサージュ・コンチェルトの新作じゃない!?」という話に発展したんです。今となればただの見当違いだったので,記事内では【そのような事実は一切ありません】と明記しておきますが,皆疲れていたんでしょう。私も含めて。

土屋氏:
 そんなことになっていたんですか(笑)。

4Gamer:
 そして当のmidasはなんでも,既存のIPを使わない方針で,スタッフのほとんどが平成生まれの若手で構成されているそうです。

土屋氏:
 へー,そうなんですか。オリジナルIPを生み出す感じなんですね。

4Gamer:
 興味本位ですけど,ガストの開発チームに若手はいるんでしょうか。

土屋氏:
 ……どこまでを若手と言えばいいんでしょうかね(笑)。

4Gamer:
 ああ,すみません。ゲーム業界の若手って“35歳ディレクター”とかですよね(笑)。じゃあ,この場合は「ガストさんに20代はいるのか」でどうでしょう。

土屋氏:
 うちはほとんどが30代以上です。20代もいるにはいますが,全体的にかなりの高年齢化が進んでいます。

4Gamer:
 我々も,思い至る節がある環境です……。


さて,責任は取ってくれるんでしょうか


4Gamer:
 トライナリーの話から遠のきつつあるんですが,もう1つ。今年は「アトリエ」シリーズの20周年記念ということで,土屋さんも生配信に出演されるなど,いろいろと関わっていますよね。この20年という年月について,何か感想がいただきたいなと。

土屋氏:
 率直な感想としては「アトリエも20年経つと変わったなあ」ですかね。

4Gamer:
 その心は。

土屋氏:
 悪い意味はまったく含みませんが,最新作の「リディー&スールのアトリエ 〜不思議な絵画の錬金術士〜」をはじめ,本シリーズはここ10年で,ファンタジーやメルヘンといったイメージが付くようになりました。でも,初代の「マリーのアトリエ」や,僕がBGMなどを担当した「エリーのアトリエ」では,そういう要素はガチで排除していたんですよ。

4Gamer:
 大変申し訳ないものの,その頃のアトリエしかやったことのない私にはよく分かります。

土屋氏:
 「地に足をついた,本物の中世ヨーロッパ時代の世界を作ろう」。当初はそれが黙々と続けられました。ですが,岸田メルさんがキャラクターデザインを担当しはじめた頃から,ゲーム全体の雰囲気もガラッと変わって,より現代に受け入れられやすい作品として生まれ変わりました。

4Gamer:
 服装だけで見ても,昭和と平成の一般市民の服装くらい方向性が変わっていそうです。トトリとか,とても良いと思います。かわいい。

土屋氏:
 この前,20周年映像をラッシュで目にする機会がありましたが,作品の移り変わりをこの目で見て,とても感慨深くなりましたよ。


4Gamer:
 20年ともなると,もはや歴史の変遷ですもんね。そもそも当時は,シリーズをここまで続ける意向があったんですか。

土屋氏:
 いや,ないですよ。なんせ2作品で終わらせる予定のシリーズでしたし。

4Gamer:
 えっ,それは知りませんでした。

土屋氏:
 当時のディレクターは,最初は「2作品で完結させる」と言っていたんです。まあ,なんだかんだで3作めの「リリーのアトリエ」を出して,そこから20周年まで続いたのですが(笑)。

4Gamer:
 結果でしか語れないのは恐縮ですが,これほどシリーズを続けられるというのは,決して偶然ではなかったんでしょう。さてTGSの催しについて語ると,トライナリーは本日ステージイベントを実施していました。

土屋氏:
 はい。

4Gamer:
 ステージ上ではいろいろとコーナーをやっていましたが,まず「ゲームショウ連動大喜利」について聞いてみましょうか。

土屋氏:
 あれ,すごい応募数でしたよ。500近くはあったかと。

4Gamer:
 そんな中でも,領火の作品は反響を呼んでいました。「グッズ化しろ」と。土屋さんもステージ上で「(グッズ化の)責任は取ります」と発言していましたし,これはもう,やらなくてはなりませんね。

土屋氏:
 あの後,Twitterでも何件か「(グッズ化を)期待してます!」というツイートがありましたしね。しかし,何を作ったら喜んでもらえるかが考えどころで。

4Gamer:
 TGSの物販ではトライナリーのグッズを販売されていましたが,「俺の嫁 Tシャツ」はインパクトありました。

土屋氏:
 あれは,ゆるい系のデザインにしたいと考えてのものでした。ガチの萌え系はやはり着づらいと,前回の「ラブラブ Tシャツ」(コミックマーケット92の販売商品)で学んだので。


4Gamer:
 ラブラブ Tシャツを日常生活で着られるのは,猛者の類ですからね。

土屋氏:
 だから,もっとマスコット寄りの可愛らしい感じで,ゆるキャラ Tシャツのようなものであれば,寝間着くらいにはしてもらえるかなと考えたんです。ステージの来場者にも1人,椅子に座っている人が俺の嫁 Tシャツを着てくださっていました。ガブちゃんでした。

4Gamer:
 記事掲載の折には,その人にぜひともTwitterで名乗りを上げていただきたいです(笑)。その一方で,「モバイルバッテリー」に関しては一目で気づきました。これは前回のインタビューでおっしゃられていた“オシャレにデザインナイズした物”ですよね。

土屋氏:
 はい,そのとおりです。前回言っていたものがようやく形にできました。日常生活でも使いやすい,スタイリッシュなデザインになっていると思います。ちなみにアプリ起動時に表示される「デイトラ!」に目をとおしてもらえると,これについて書いている文章がありますので,まだ見ていないよという人は確認してみてください。


4Gamer:
 それにしても,キャスト陣も明朗快活な感じで,非常に仲が良さそうでした。

土屋氏:
 いつも超うるさいですよ。楽屋でもあんな感じです。

4Gamer:
 でも,ゲームのボイス収録は1人でやるものですよね?

土屋氏:
 ええ。でも,トライナリーの場合はアニメを全員で収録してますから。

4Gamer:
 ああー,なるほど。だからあれほど仲睦まじいんですね。

土屋氏:
 皆さん,この作品を頑張って一緒に盛り上げようとしてくれるので,私も非常に感謝しております。

4Gamer:
 ステージではそんなキャスト陣による「ドラマ実習」が行われていましたが,“腹黒神楽”の弄りは大胆でした。それこそ5か月前にしてみれば,神楽がどのようなキャラなのかも不透明でしたから。

土屋氏:
 やっちゃいましたね。今回はステージ自体がプレイされているファンの方々に向けた内容でしたので,そのあたりはファンサービスとして考えていたこともあります。

4Gamer:
 公認の“新たな餌”って感じでいいと思います(笑)。


決め手は,正面突破の営業力


4Gamer:
 トライナリーでは現在,いくつかのコラボ施策が行われています。まずアトラスの「世界樹の迷宮」とのコラボについて教えてほしいんですが,これって,どこに接点があったのでしょうか。

土屋氏:
 接点で言うと,トライナリー側に関しては,日向悠二さんにスペシャルクランを描き下ろしてもらったことがきっかけとなります。

4Gamer:
 ああ,それで。それに日向さんは「世界樹の迷宮」シリーズのキャラクターデザインをしてますものね。

土屋氏:
 最初は,日向さんとクランや世界観の設定のやり取りをしていました。そして我々と日向さんの仲介をしてくれたのが,「世界樹の迷宮」の開発陣とも仲の良い人でした。そこでつながって,「お互いで一緒に何かやりませんか?」となりまして。

4Gamer:
 点と点が線でつながったと。人の縁ですね。

土屋氏:
 まさにご縁でしたね。ですが,ガスト作品のファンの方々に関しては,元から「世界樹の迷宮が好き」という声がよく上がっていたんですよ。

4Gamer:
 お,それはちょっと想像していませんでした。

土屋氏:
 「世界樹の迷宮」も「アトリエ」シリーズもコツコツとやり込むゲームですし,世界観はシビアだけど暖かい雰囲気ですし,キャラクターも可愛らしい感じですしと,両社や両作品には昔からわりと共通点がありました。ファン層が近いようで,SNS上で両方の話題を出す人は結構いるんです。私も「シェルノサージュ」の頃,それに気付きました。

4Gamer:
 そういう背景があると,なるべくしてなったと言えるのかもしれませんね。その一方で“ゆるキャラコラボ”についてはいかがでしょう。こちらはこの発想からして,尋ねたいことが山積みなんですけど。

土屋氏:
 こちらの施策は東映アニメーションさんの発案でした。

4Gamer:
 「ゆるキャラで行きましょう!」と言われたわけですか。

土屋氏:
 そうですね。面白そうだし,いいかなって(笑)。

4Gamer:
 それでいて,ゆるキャラと聞くと大抵の人は“着ぐるみ系のマスコットキャラ”を想像すると思います。ですが,初回コラボのお相手は,自称17歳の腹黒あらさぁ疑惑があるという,仙台の地元アイドル「大森杏子(おおもり あんこ)」さんでした。内角ギリギリを攻めてます。


土屋氏:
 まったくゆるくないですよね。

4Gamer:
 このコラボに至る経緯は,どのような流れだったのでしょう。私は「土屋さんが“CV:加隈亜衣”だからねじ込んだんだろう」くらいに思っていましたが。

土屋氏:
 いえいえ(笑),おそらくそこは選定した理由には入ってないはずですよ。

4Gamer:
 それなら,なぜ大森杏子さんが選ばれたのでしょう。

土屋氏:
 それなんですが,このゆるキャラコラボを発表してからというもの,大森杏子さんがTwitter上で「トライナリーでこういうのやってるんだけど,私も応募してみよっかな……?」みたいな,誘い受け発言をし始めたんですよ。

4Gamer:
 うおお,太い。いろいろと太い。

土屋氏:
 最初は私も「これ,東映アニメさんの仕込みかな?」と疑っていました。

4Gamer:
 当然です。

土屋氏:
 それからも大森杏子さんは「やっちゃおっかな? トライナリーとのコラボ,やっちゃおっかな?」みたいなツイートを続けていたので,手の込んだ仕込みだなーと思いながら見ていました。でも,これがまた,まったくの仕込みなしだったようで。

4Gamer:
 どのタイミングで発覚したのでしょう。

土屋氏:
 東映アニメさんから「コラボ応募が届きましたよ」と言われて,応募書類を見てみたらその中に“大森杏子”があったんです。思わず担当者に「これって,仕込みじゃなかったんですか?」と尋ねたら,そういうのは一切やっていなかったらしく。

4Gamer:
 つまり,大森杏子さんが営業力の合わせ技で勝ち取ったコラボ枠だと。

土屋氏:
 そうなんです。そしてコラボが決まった後,CV担当を見たら加隈さんの名前があって,そこで巡り合わせを感じたというのが,大森杏子さんについての事の顛末です。

4Gamer:
 ゲーム内で「ゲス神」の名を冠しているとは思えないほど,正攻法の真っ向勝負を仕掛けていたんですね,大森杏子さん。もはやカッコいいです。

土屋氏:
 大森杏子さんの事務所(?)は,こういったコラボ施策を積極的に行っているようなので,トライナリーにしても今回協力してもらえたことは,ありがたく思っています。


4Gamer:
 ですが,ゆるキャラコラボの謎はまだ続きます。「アメリけん★ドッグ」とのコラボも,なんていうか,角度が斬新ですよね。私はこのキャラを題材にしたスマホゲームを目にしていたので,コンテンツ自体は知っていましたが。

土屋氏:
 「アメリけん★ドッグ」はフィギュアなどを製作している,ミニチュアファクトリーさんのオリジナルキャラクターです。コラボが決まってからというもの,ミニチュアファクトリーさんもTwitter上でものすごい絡んでくるんですよ(笑)。


4Gamer:
 皆さん,SNS上での攻防(営業)を繰り広げているんですか。すごい現代風。あともう1つは「たれこ」でしたか。申し訳ありませんが,こちらはどのようなキャラクターなのでしょう。

土屋氏:
 「たれこ」は実は,國政綾水役の中恵光城さんが考えたオリジナルキャラクターなんです。“あらゆるものを和ませる”という設定らしいです。彼女はこちらに口添えもせず,わざわざ正式な手続きでコラボ申請を届けてきました。

4Gamer:
 それはまた真摯な。コネというと聞こえは悪いかもしれませんが,人と人とが仕事するうえでは,あって当然のことですし。

土屋氏:
 そういうところをフェアにしたかったんでしょうね。


4Gamer:
 現在発表されているゆるキャラコラボは,いずれも先方が“営業力でもぎとった成果”なんですね。水面下がまったくゆるくない(笑)。しかし,先ほどの水着イベントもしかり,これまでのコラボイベントもしかりですが,“コラボ”のゲーム内展開はどのように考えていましたか。

土屋氏:
 その答えは,「世界樹の迷宮」とのコラボシナリオで1つの答えを出しました。現実世界がここにあるように,トライナリーの世界も何処かにあって,どちらにも「世界樹の迷宮」というゲームはある,というコンセプトです。

4Gamer:
 「こっちから見たあっちの世界」も「あっちから見たこっちの世界」も,どちらも同じように存在しているんですよね。

土屋氏:
 はい。現実も含めて,さまざまな世界が存在する,そういった解釈をトライナリーは内包していますから。

4Gamer:
 一般的なファンタジー系の世界観だと,どうしても「急に異世界とつながった!」といった描写をしなければ,つじつまが合いません。ですが,トライナリーは元の構造からして“異世界がある前提”ですものね。実在感を推すトライナリーが,どのようにコラボを展開させるのか,ずっと気になっていたんです。

土屋氏:
 コラボといえばほかにも,初期の段階ではアパレル関係との施策を考えていました。こちらはうまく進められなかったので,現状は保留となっていますが。

4Gamer:
 企画案の時点で良さそうです,それ。

土屋氏:
 実際にある衣服を彼女たちに着せて,それを現実でも販売してもらうのは,現実代替の分かりやすい例になると思ったんです。

4Gamer:
 引き続き期待したいですね。いや,自分で買いに行くのはちょっとハードルが高いですが……(笑)。



だれのことなのかそうぞうつかない


4Gamer:
 トライナリーと言ったら,ゲームとアニメですので,残りの時間はアニメについて聞かせてください。こちらはこの5か月間,いかがでしたか。

土屋氏:
 前回のインタビューで話したとおり,制作自体は東映アニメさんに任せている形です。ただ,Act.5以降のアニメーションに関しては,私が提出した原案を元に,アニメ制作陣が作品の魅力を独自に考えて,かなりアレンジしてくれています。

4Gamer:
 お,そうなんですか。

土屋氏:
 私が考える原案はどうしてもゲーム的なものなんでしょうね。これは自分の未熟さですが,あまりアニメ映えしないみたいなんですよ。そこを川崎監督(川崎逸朗氏)が動きのある内容に仕上げてくれています。見せ場や盛り上がりといったものは,すべて川崎監督が主導して作ってくれたものです。

4Gamer:
 本日10:25からはBSアニマックスで「Act.1」のアニメ放映が行われるようですが,アニメの1クール分が完成して,放送枠を獲得できれば,最低限のコストで毎週放送も可能になりますよね。

土屋氏:
 要検討ですかね(笑)。

4Gamer:
 そして,2018年1月10日には34話収録のアニメBlu-rayが発売されます。こちらの特典について聞いておきたいです。ガストショップだけ見ていると店舗別特典が確認できなかったので,その紹介も兼ねて。

土屋氏:
 分かりました。ガストショップではアニメBlu-rayなどのトライナリーグッズを購入すると,特典として「防水スマホポーチ」が付属します。また,該当のいくつかの店舗さんで購入されると,「ぴょんこ先生(卯月神楽)ガチ描き下ろしB2タペストリー」などが付属します。これらは東映ビデオさんの特設ページなどで確認してみてください。

4Gamer:
 ありがとうございます。そして,トライナリーの物語は佳境に入り,まもなく一区切りがつくことと思われます。ですが,先ほどのステージでもコメントされていたように,今後もさまざまな施策は予定されているんですよね。

土屋氏:
 もちろんです。アプリ内でも,リアルイベントでも,いろいろと企画を考えているので,どうぞお楽しみに。

4Gamer:
 しかし,作品の中心はこれまで女の子達のメインストーリーにありました。こういったメインに位置するコンテンツについては,今後の予定はないんでしょうか。

土屋氏:
 少し難しく聞こえるかもしれませんが,ある意味メインはこれからも続くんですよ。

4Gamer:
 ある意味,ですか。

土屋氏:
 まず現状からして,明らかに提供していない要素がありますよね。

4Gamer:
 そんなおんなのこがいるんですか。ぜんぜんわからないです。

土屋氏:
 ちなみに「Ever17 -the out of infinity-」(KID)という恋愛アドベンチャーゲームは知っていますか?

4Gamer:
 もちろん存じています。名前だけ……。

土屋氏:
 あの作品は“シナリオの全貌を解き明かしていく”というギミックが,ゲーム内に仕掛けられているんです。私はこの作品が大好きなもので(笑)。

4Gamer:
 そのギミックが投じられる可能性があるかもしれないと。

土屋氏:
 そうかもしれませんし,そうじゃないかもしれません。

4Gamer:
 まあ,そこまできいても,だれのことなのか,ぜんぜんわからないです。

土屋氏:
 新要素をどのタイミングで提供していくかは調整中ですが,プレイヤーさんには期待していてほしいです。

4Gamer:
 唐突ですが,プレイヤー全体の恋人達成率はどれくらいなんでしょうか。

土屋氏:
 うーん,どこからどこまでを数えるのかが難しい部分ではありますが,例えば週1以上プレイされている方々のほとんどは最新話に到達している,そういうデータがあります。恋人になれたプレイヤーさんとなると,その数よりは少ないです。

4Gamer:
 その,あくまで私の感想ですが,女の子達の恋人を目指すとなると“かなり走らなきゃいけない”ですよね?

土屋氏:
 ……ノーコメントで(笑)。

4Gamer:
 はい(笑)。といったところで,ちょうど今年のTGSが終了したようなので,そろそろお開きといたしましょう。取り留めのないことばかりの長話となってしまいましたが,お付き合いいただきまして,ありがとうございます。

土屋氏:
 こちらこそ,ありがとうございました。

4Gamer:
 あっ,最後に1つだけ聞いておきますが,土屋さんはTGS 2017が終了した今現在,「ようやく終わったー」ですか? それとも「よーし,これから」ですか? 私はもちろん後者です。このインタビューの文字起こしもしないといけませんからね……。

土屋氏:
 もちろん,全然終わってないです(笑)。先ほどのステージと生放送の間にも,次のシナリオを執筆していたくらいですから。

4Gamer:
 今週は“側面からパンチが飛んできた(=TGS 2017)”と。

土屋氏:
 まあ,現場のこのリアルタイム感も,きっとスマホゲームの醍醐味なんですよね。

4Gamer:
 年内はそのまま走り抜けていきそうですね。それではあらためて,お忙しいところ時間をいただき,ありがとうございました。引き続き,女の子たちのこれからを期待しております。


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