連載
「そうだ アニメ,見よう」第56回は野田サトル氏原作の「ゴールデンカムイ」。アイヌから奪われた金塊をめぐる冒険活劇
明治時代の北海道を舞台に,アイヌから奪われた金塊を巡る,ひと癖もふた癖もある男達のサバイバルアクションを描いた,野田サトル氏のコミック「ゴールデンカムイ」(集英社刊 既刊13巻)。異色の設定と,かなり濃い目の登場人物達の魅力で人気に火がつき,第22回手塚治虫文化賞「マンガ大賞」を受賞した話題作だ。
「そうだ アニメ,見よう」第56回のタイトルとなる本作「ゴールデンカムイ」は,野田氏の原作コミックをTVアニメ化したもので,アニメーション制作はジェノスタジオ,シリーズ構成は高木 登氏が担当。監督は「Fate/Grand Order -First Order-」を手がけた難波日登志氏が務めている。
「ゴールデンカムイ」
ある日,杉元は現地で出会った男から,アイヌが秘蔵していた八万円(現代の価値にして約8億円)相当の金塊の噂を聞かされる。金塊はアイヌから奪われ,網走監獄に収監中の男・のっぺら坊によって隠匿されたという。のっぺら坊は,収監された獄中で囚人達24人の体に金塊の隠し場所を示す刺青を彫り,脱獄させた。
刺青は全員合わせてひとつとなる暗号であり,脱獄囚達はいまだ誰も捕まっていない。ヒグマの餌食となったその男の死体に彫られた奇妙な刺青を目の当たりにし,噂が真実であることを確信した杉元は金塊探しを決意する。
その直後に杉元もヒグマに襲われ,アイヌの少女・アシリパ(CV:白石晴香)に命を救われる。奪われた金塊に彼女の父親が関わっていたことを知った杉元は,アシリパに金塊探しへの協力を求め,暗号となる「刺青人皮」の持ち主を探し始める。
“莫大な埋蔵金”に“暗号となる刺青”,さらに“アイヌの文化”といった男のロマンあふれるワードをひとつの鍋にまとめて放り込み,グツグツ煮立てたような作品が本作「ゴールデンカムイ」だ。
登場人物も異常なタフネスぶりを発揮する主人公をはじめ,脱獄の達人やクーデターを目論む陸軍将校,不敗の柔道家など濃いメンツが勢ぞろい。そこへ,箱館戦争で戦死したとされていた元新撰組の副長・土方歳三(CV:中田譲治)までもが加わり,舞台となる北海道は,欲望渦巻くワンダーランドと化してしまっているのだ。
死んだはずの元新撰組の副長・土方歳三。さらに永倉新八など歴史上の著名な人物が登場 |
このカオスな物語のキーとなるのは,やはり埋蔵金の行方。手がかりとなる刺青の脱獄囚をめぐって,杉元一行と鶴見中尉(CV:大塚芳忠)率いる帝国陸軍第七師団,そして土方一派が繰り広げる3つ巴の戦いがストーリーの軸となっている。
そんな血で血を洗う激しい金塊争奪戦に,アイヌの風習や狩猟料理など,当時の文化が盛り込まれ,独特のテンポで物語が展開していく。なんというか「(いろいろな意味で)すごいアニメが始まったなー」というのが,第一話を観たときの正直な感想だ。
軍事政権の発足を狙う鶴見中尉。かなりぶっとんだ人物だ |
不死身の男とアイヌの少女
必要以上にエネルギッシュなキャラクターが多数登場する本作。その中でも注目したいのが,やはり杉元とアシリパの主人公コンビだ。鬼神のような戦いぶりから「不死身の杉元」と呼ばれる杉元。ヒグマに殴られようと,頬を竹串で貫かれようと顔色ひとつ変えない彼を不死たらしめるのは,死地に活路を見出すことができる並外れた度胸と驚異的な回復力だという。
そんな彼も狩猟の知識を認め,相棒と任じているアシリパには頭が上がらない。アシリパがいなければ杉元といえども北海道の山中で死んでいたはずなので,仕方がないともいえるが,彼女が絡むと,杉元がいつもの冷静さを失ってしまうのが面白い。若いって,いいなあ。
金塊争奪戦が激化する中,2人の関係がどうなっていくか,今後の見どころのひとつとなりそうだ。
本作の紅一点ともいえるアシリパ。彼女がいなかったら男臭いことこのうえない |
リスをチタタ(プ)してヒンナヒンナ
杉元達のサバイバルバトルのいっぽうで,アイヌ料理や狩猟料理など“食文化”について語られているのも本作の魅力のひとつ。冒険するとお腹が減るということだ。
毎回,ウサギやリス,エゾシカなど,聞き慣れない食材が登場。グルメ番組のようにアシリパが調理し,それを杉元に振舞うのだ。リスのチタタ(プ)(肉や魚を刃物で叩いてひき肉にしたもの)を入れた鍋や,エゾシカ肉を汁物にした「ユ(ク)オハウ」など,アイヌ料理の調理シーンは非常に興味深い。
食文化だけでなく,当時のアイヌの風習や言葉,考え方などもしっかりとした考証の元,語られている。作品中でアシリパらが何度も口にする「ヒンナヒンナ(感謝を表すアイヌ語)」を覚えてしまった人も多いのではないだろうか。
さまざまな魅力が詰め込まれた本作だが,気になるのは金塊の在り処。現在,第九話まで放送されているが,刺青の脱獄犯は24人中7人しか発見されていない。金塊争奪レースは混戦の団子状態というところ。杉元とアシリパがこの状態から抜け出ることができるのか,今後の展開から目が離せない。
なお,本作のショートアニメ「ゴールデン動画劇場」がYouTubeで公開されている。これは,連載時の扉絵やコミックスのおまけをアニメ化したもので,毎週放送の翌日に1週間限定で配信され,登場人物達のコミカルな一面を垣間見ることのできるアニメだ。本作をより楽しみたい人はこちらも合わせてチェックしておこう。
「ゴールデンカムイ」公式サイト
放映データ |
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2018年4月〜 |
キャスト | |
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杉元佐一:小林親弘 | アシ(リ)パ:白石晴香 |
白石由竹:伊藤健太郎 | 鶴見中尉:大塚芳忠 |
土方歳三:中田譲治 | 尾形百之助:津田健次郎 |
谷垣源次郎:細谷佳正 | 牛山辰馬:乃村健次 |
永倉新八:菅生隆之 |
スタッフ |
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原作:野田サトル(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載) |
監督:難波日登志 |
助監督:川越崇弘 |
シリーズ構成:高木 登 |
キャラクターデザイン:大貫健一 |
メインアニメーター:羽山淳一 |
銃火器設定:渡辺浩二 |
プロップ設定:浅沼信也 |
動物設定:墨佳 遼 |
美術監督:森川 篤 |
色彩設計:茂木孝浩 |
撮影監督:戸澤雄一朗 |
CGディレクター:奥村優子/濱田康平 |
編集:定松 剛 |
音響監督:明田川 仁 |
音響制作:マジックカプセル |
アイヌ語監修:中川 裕 |
音楽:末廣健一郎 |
オープニングテーマ:MAN WITH A MISSION「Winding Road」 |
エンディングテーマ:THE SIXTH LIE「Hibana」 |
アニメーション制作:ジェノスタジオ |
製作:ゴールデンカムイ製作委員会 |
■Blu-ray/DVD情報
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[DVD]<初回限定版> ¥8,800+税GNBA-2721
発売日: 7月27日(金)
収録話:第一話〜第四話
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(C)野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
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