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[GDC 2016]CrytekとBasemarkが共同開発したVRベンチマーク「VRScore」が実動展示。いったい何を計測できるのか
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印刷2016/03/18 00:00

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[GDC 2016]CrytekとBasemarkが共同開発したVRベンチマーク「VRScore」が実動展示。いったい何を計測できるのか

 Game Developers Conference 2016の会期3日め,予定どおり展示会場(Expo Floor)がオープンした。
 そんな展示会場で目に留まったのは,「VRScore」というVRベンチマークソフトウェアだ。



VR HMDの性能を測定できるVRベンチマーク,VRScore


画像集 No.002のサムネイル画像 / [GDC 2016]CrytekとBasemarkが共同開発したVRベンチマーク「VRScore」が実動展示。いったい何を計測できるのか
 VRScoreを開発したのは,業界でもよく知られたベンチマーク開発会社であるBasemark,そしてCrytek。Basemarkによると,VRScoreは,VR(Virtual Reality,仮想現実)対応コンテンツを,VR対応ヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)で動作させたときにどの程度の性能が得られるかを計測するものとなっている。

 一般的な3Dグラフィックス系ベンチマークソフトは,品質の高い映像,あるいは高負荷な映像を描画し,そのフレームレートを実測して,そのフレームレートを基に独自公式で算出したメタスコアの大小で「あなたのPCは性能が高いですね,低いですね」と診断するものになる。

 VRベンチマークでも,たいていはそのようなテストになるのだが,VRScoreでは,そういったPC側のグラフィックス性能だけでなく,VR HMDそのものの表示性能までを実測して,メタスコアを算出できるのが特徴だ。
 つまり,極端なことを言えば,ウルトラハイエンドのGPUとCPUを搭載した,普通の3Dベンチマークソフトを実行すれば好スコア間違いなしのPCであっても,VR HMDの性能が残念だとVRScoreのスコアは振るわないということが,VRScoreでは起こり得るのである。


VR HMDの表示性能を計測できる秘密兵器「VRScore Trek」


 VR HMDの性能なんてどうやって計測するのかと疑問に思った読者も少なくないだろう。
 計測のためには,Basemarkが開発し,特許出願中だというデバイス「VRScore Trek」と使うことになる。

 ちなみにこのVRScore Trek,たいそうな名前は付いているか,その実体は意外にもシンプルだ。
 枝分かれしたU字形の2つの先端それぞれに光を電気に変換する素子であるフォトトランジスタを実装しており,また,ケーブルの先端には3極の3.5mmミニピン端子がある。そして,2基のフォトトランジスタがそれぞれ光を検出すると,左右の音声ラインに信号音を出力するようになっている。

VRScore Trek。二股の先端に突起が見えるが,これらが光電素子であるフォトトランジスタだ
画像集 No.003のサムネイル画像 / [GDC 2016]CrytekとBasemarkが共同開発したVRベンチマーク「VRScore」が実動展示。いったい何を計測できるのか

VRScore Trek側の接続端子は3.5mmミニピン。これをホストPCのマイク端子に接続して使う
画像集 No.004のサムネイル画像 / [GDC 2016]CrytekとBasemarkが共同開発したVRベンチマーク「VRScore」が実動展示。いったい何を計測できるのか
 使い方は簡単で,2基のフォトトランジスタ部分を,VR HMD――現時点ではOculus VRの「Rift」とHTCの「Vive」,OSVRの「Hacker Dev Kit」に対応している――の接眼レンズにあてがうようだ。そのうえで,3.5mmミニピン端子をホストPC側のマイク入力端子と接続し,ホストPC側でテスト用の映像を出力する。
 すると,表示された映像をVRScore Trekが検知して音声信号に変換し,ホストPCへフィードバックしてくれるというわけである。

VRScore Trekの利用例。HMDの接眼レンズにあてがっている
画像集 No.005のサムネイル画像 / [GDC 2016]CrytekとBasemarkが共同開発したVRベンチマーク「VRScore」が実動展示。いったい何を計測できるのか

 フォトトランジスタはカメラではなく,光量に応じた電気信号の強弱を出力するに過ぎない。なので,大したテストができるようには思えないかもしれないが,いや,実はそれがそうでもないのだ。

 テスト映像にはいくつかのパターンがあるものの,基本となるのは全面白色のテストパターンである。これをシンプルに表示させることで,VRコンテンツ側からVR HMD内に映像が出力されるまでの遅延(Latency)の計測ができる。そして,この映像を明滅させることで,VR HMDの残光具合(Persistency)も計測可能だ。全発光させて消灯させて,残光時間が短ければ短いほど動きの激しい映像を表示したときの残像効果が少ないと見なすことができる。

 また,Basemarkによると,左右の光量の差異を計測することにより,左右の輝度バランスや,左右の映像表示時間差もデータとして取得可能という。さらに,VRScore Trekを用れば,コマ落ちやスタッター(Stutter,カクつき)などもテストできるとのことである。


量産型ロボット兵の大冒険


画像集 No.006のサムネイル画像 / [GDC 2016]CrytekとBasemarkが共同開発したVRベンチマーク「VRScore」が実動展示。いったい何を計測できるのか
 VRScoreには,“普通の”3Dグラフィックス表示性能テストモードも「Skyharbor」として搭載されている。そのティザーが本稿の冒頭で紹介したムービーだったりするわけだが,本テストモードは,いわゆる短編映像作品チックな内容で,実際にVR体験として楽しむことができる。実際に筆者も体験してみたのだが,全編が非常にリッチなグラフィックスで構成されているだけでなく,起承転結のあるストーリー展開もある,立派なものだった。

 内容はこんな感じだ。
 被験者が扮するのは量産型ロボット兵で,戦場に飛空挺で送り出されるのだが,その飛空挺は,戦場に到達する前に撃ち落とされてしまう。助かったのは被験者ともう1台の同型ロボットのみ。ただ,被験者が扮するロボットは足が飛空挺の残骸に挟まれて動けない状態だ。
 被験者ロボットを救おうともう1台のロボットがあちこち駆け回ってくれるのだが,一筋縄ではいかず,被験者の前には次から次へと敵が現れて来てしまう。果たして被験者が扮するロボットは窮地から脱出できるのか……。

Skyharborデモのスクリーンショット
画像集 No.007のサムネイル画像 / [GDC 2016]CrytekとBasemarkが共同開発したVRベンチマーク「VRScore」が実動展示。いったい何を計測できるのか 画像集 No.008のサムネイル画像 / [GDC 2016]CrytekとBasemarkが共同開発したVRベンチマーク「VRScore」が実動展示。いったい何を計測できるのか
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 ティザームービーの最後にCRYENGINEのロゴが出てくることから,採用するエンジンが何かは言わずもがなだが,Skyharborデモ自体,Crytekの手によるものだそうだ。ちなみにこのデモは短編映像作品なので,完成の暁には,VR HMDがなくても,普通の平面視対応ディスプレイでも楽めるという。


VRScoreの提供スタイルは?


 気になる提供時期だが,一般ユーザー向けは2016年6月を予定しているとのこと。一般ユーザー向けは,機能制限が入った無料版と,テスト設定の変更が可能で有料の「Pro」版があり,Pro版は30〜40ドルくらいの価格になる見込みという。
 ただし,一般ユーザー用VRScoreには,有料版であってもVRScore Trekが付属しないため,前述したようなVR HMD実測系のテストは行えないことになる。行えるのは,Skyharborデモを楽しんだり,フレームレートを計測したりすることだけだ。

 VRScore Trekの提供対象となるのは,VR対応PCのメーカーやVR HMDのメーカー,あるいはゲーム系メディアといった企業ユーザーで,価格は現在のところ未定とのことだった。

VRScore公式Webページ(英語)

  • 関連タイトル:

    Basemark

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    CRYENGINE

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