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印刷2017/06/06 00:00

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[COMPUTEX]なぜ2017年第2四半期に出る「Vega」は「Frontier Edition」だけなのか。「Radeon RX Vegaは7月末リリース」の謎を追う

Ryzen Threadripper(左)とRyzen Mobile(右)のそれぞれプロセッサパッケージ
Radeon RX Vega
 COMPUTEX TAIPEI 2017のAMDは明らかに,Ryzenに力を入れていた。報道関係者向けイベントでは,世界トップ5のPCメーカーすべてからRyzen搭載PCが登場予定であると大々的に発表し,16コア32スレッド対応で今夏発売予定の「Ryzen Threadripper」を披露して,64ものPCI Express Gen.3レーン数を持つと明らかにし(関連記事),さらにモバイル用の次世代APU「Ryzen Mobile」の実物や,搭載するコンバーチブル2-in-1 PCも披露し(関連記事),といった具合だ。

Ryzenのアップデートがまとまったスライド。AcerとASUSTeK Computer,Dell,HP,Lenovoのロゴがさりげなくアルファベット順に並んでいるが,Bulldozer時代にOEMを失い続けていたAMDにとって,ここに5社のロゴが並ぶのは,とても大変なことだ
Radeon RX Vega

 もちろん,GPUに関しても新情報はあった。当初,2017年第2四半期の登場とされていた「Vega」マクロアーキテクチャ採用のGPUのうち,Radeon Proシリーズに属するワークステーション向けの「Radeon Vega Frontier Edition」だけが先行して北米時間6月27日に登場すること,そして,ゲーマーにとっての本命となる「Radeon RX Vega」は,北米時間7月30日に開幕となるSIGGRAPH 2017のタイミングで正式発表予定であることが明らかになっている。

Radeon RX Vegaの正式発表は7月末に正式発表予定というのが新情報だ。COMPUTEX TAIPEI 2017の展示会場に,搭載カードの展示は(少なくとも筆者が確認した限り)なかった
Radeon RX Vega

2017年第2四半期(※AMDの場合4月2日〜7月1日)中に出てくるのは,Radeon Vega Frontier Editionのほうである
Radeon RX Vega
 だが,ここで気になるのは,「第2四半期に堂々登場のはずだったVega世代GPU」が,なぜRadeon Vega Frontier Editionのみとなってしまったのかだ。
 COMPUTEX TAIPEI 2017に合わせて開催となったAMDの報道関係者向けイベントに,Raja Koduri(ラジャ・コドゥリ)氏以下,GPU部門であるRadeon Technologies Group(以下,RTG)のキーパーソンは筆者が確認した限り1人も参加しておらず,当然,GPUに関するインタビューセッションの設定もなかった。そのため,RTGの公式見解を聞くことはできていない。

 しかし今回4Gamerでは,AMD,より正確にはRTGとの関わりが深い,匿名のAIB(Add-In-Board)パートナー(=カードメーカー)関係者数名に「Radeon RX Vegaってどうなってるんですか」と尋ねて回り,一定の情報を得ることはできた。そこで,「RTGの周辺から聞いた話であって,100%正しいとは限らない」とお断りしつつ,その内容をお届けしてみたいと思う。


Radeon RX Vegaは最適化待ち,そしてRadeon Vega Frontier Editionは株価対策!?


Radeon RX Vega
Vegaのサンプルパッケージ
Radeon RX Vega
VegaマクロアーキテクチャではHBM2をHBCとして採用する
Radeon RX Vega
HBCとそれ以外のメモリをHBCCが管理。これがVega世代における新しいメモリアーキテクチャのキモだ
 引っ張ってもしょうがないので,いきなり書いてしまうと,Radeon RX Vegaのリリースが遅れる最大の理由は「最適化」のようだ。言い方こそ異なるものの,「Vegaはメモリ周りの最適化待ち」という意見で,話を聞いた関係者のコメントは一致していた。

 2017年1月初旬の時点で明らかになっていたとおり,Vega世代の単体GPUは,新しいメモリアーキテクチャを採用する。HBM2(High Bandwidth Memory 2)を,従来からあるSRAMに代わるキャッシュ「High-Bandwidth Cache」(以下,HBC)として使うことになるのだ。
 高速性が必要なメモリにはHBM2を割り当て,そうでないものはそれ以外の場所へ置いて,新設のキャッシュ管理機構「High-Bandwidth Cache Controller」(以下,HBCC)が,それらを制御することになるわけだが,そういったメモリアーキテクチャの一点……というよりはむしろ複数の部分で,何らかのボトルネックが発生しているのではないかと考えられる。

 ある関係者は「ベストケースではとても素晴らしい性能を示す一方,そうでないときは,現状,競合の1080より低い性能しか出ないこともある」と述べていた。
 おそらくは,ハードウェアがほぼ完成し,社内ラボでのテストも終えて,実アプリケーションとしてのゲームタイトルを動かしてみたところ,それこそゲームアプリケーション個別の事情によってキャッシュ制御がうまくいかないとか,そういうケースが発生しているのではなかろうか。

COMPUTEX TAIPEI 2017合わせの報道関係者向けイベントでAMDは「Radeon RX Vegaを2枚差ししたシステムで動かす『Prey』のデモ」を披露する一方で,その具体的な性能については一切言及しなかった
Radeon RX Vega

 なら,7月末の時点でその問題が解決しているのかというと,それは神のみぞ知るといったところだ。Ryzenがそうであったように,ことによると,Radeon RX Vegaがフルポテンシャルを発揮するようになるには,正式発表からしばらく経って,マイクロコード(≒ファームウェア)やRadeon Softwareの熟成が進むのを待つ必要があるかもしれない。
 AMDと一緒に,RyzenとRadeon RX Vegaを育てていくことこそ,2017年後半にAMDファンが味わえる醍醐味,という言い方もできそうだが,どうだろうか。

2017 Financial Analyst Dayで披露された,Radeon Vega Frontier Editionの実機
Radeon RX Vega
 ところで,そういう問題があるなら,なぜRadeon Vega Frontier Editionは出荷できるのかだが,これについて関係者は「株価対策だろう」と口を揃えていた。AMDは2016会計年度の決算報告において,Vegaマクロアーキテクチャ採用のGPUを2017年第2四半期,すなわち北米時間7月1日までに出荷すると約束済み(関連記事)なので,この約束を守らないと,株価に負の影響が出てしまうということのようである。
 関係者の一人が,「ゲーマー向けのRadeon RX Vegaとは異なり,(Radeon Vega Frontier Editionは)すぐ世界中のエンドユーザーが飛びつく類いの製品ではない。だから“リリース”できる」と述べていたことも付記しておきたい。

RTG公式Webサイト

COMPUTEX TAIPEI 2017取材記事一覧

  • 関連タイトル:

    Radeon RX Vega

  • 関連タイトル:

    Radeon Pro,Radeon Instinct

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