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AMD,「X399」プラットフォームでOSブート可能なRAIDアレイを実現するソフトウェアを無償で公開
AMDによると,利用にはドライバソフトウェア「NVMe RAID driver」とRAID管理ソフトウェア「RAIDXpert2 RAID Management Utility」(以下,RAIDXpert2)の最新版が必要だ。いずれも下に示したリンクボタンの先から入手できるようになっている。
NVMe RAID Support for the AMD Ryzen Threadripper platform(英語)
ものすごく簡単に説明すると,これは,Intelのストレージ技術である「Intel VROC」(以下,VROC)のAMD版にして,対抗版と呼べるものだ(関連記事)。
そもそもNVMe接続型SSDには,CPU側のPCI Expressレーンと直接接続してRAIDアレイ化すると,UEFI(≒BIOS)から認識されなくなり,結果としてOSのブートドライブとしては利用できなくなるという問題があった。それを解決するものが「Virtual RAID On CPU」の略称であるVROCで,IntelはCore XシリーズCPUの対応チップセット「Intel X299」(以下,X299)で導入済みなのだが,実のところVROCには,以下のとおり制限がある。
- 対応するSSDはIntel製品のみ
- RAID 0アレイは無料だが,RAID 1またはRAID 5アレイを構築するには,有料のハードウェアキーを別途購入する必要がある
それに対して,AMDが今回公開した仮想RAID技術は,上で紹介したドライバと管理ツールを導入すれば,無償で利用できる。しかも,SSDのメーカーも問われない。
構築可能なRAIDアレイは,RAID 0/1/10の3種類。対応CPUは,Ryzen Threadripperシリーズのみで,対応OSは64bit版Windows 10(build 1703以降)となっている。
AMDが公開したベンチマークテスト結果によると,Samsung Electronics製のNVMe対応SSD「SSD 960 Pro」を単独で使うのに比べて,2枚差しのRAID 0アレイでは逐次読み出しおよび逐次書き込み性能が約2倍を記録したそうだ。また,6枚使ったRAID 0アレイでは,逐次読み出し性能が約21.2GB/sに達したという。
ただし,すでにX399プラットフォーム上で,Serial ATA(以下,SATA)対応ストレージを使ってRAIDアレイを構築している場合は,いくつか注意すべき事柄があるようだ。
RAIDXpert2とドライバソフトのダウンロードページにある注意書きによると,既存のSATA RAIDアレイが存在する環境に,新しくNVMe対応SSDによるRAIDアレイを構築する場合,SATA RAIDアレイに保存してあるデータをバックアップしたうえで,SATA RAIDアレイを解除する必要があるとなっている。また,SATA RAIDアレイからOSをブートする構成である場合,Windows 10を新規インストールしなおす必要もあるとのことだ。
PCIeレーン数の豊富なRyzen Threadripperの利点を生かせる機能なだけに,すでにX399プラットフォームを運用している人はもちろん,Ryzen ThreadripperとX399プラットフォームの導入を検討していた人にとっても,なかなか興味深い話題ではないだろうか。
AMDによる当該blogポスト(英語)
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