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ポケラボ最新作「ポイッとヒーロー」の開発陣にインタビュー。ポケラボ×セガネットワークスによるリアルタイムマルチプレイ対応のタワーディフェンスとは
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印刷2015/02/02 00:00

インタビュー

ポケラボ最新作「ポイッとヒーロー」の開発陣にインタビュー。ポケラボ×セガネットワークスによるリアルタイムマルチプレイ対応のタワーディフェンスとは

 ポケラボは,新作スマートフォン向けゲーム「ポイッとヒーロー」iOS / Android)の事前登録受付を2015年春に開始する予定だ。同タイトルは,リアルタイムマルチプレイに対応したタワーディフェンスゲームで,ポケラボが企画と運営を担当し,セガの第一研究開発本部と共同開発を行った。

※画面は開発中のものです
(C)Pokelabo / (C)SEGA / (C)SEGA Networks All Rights Reserved.
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 ポケラボと言えばRPG「クロスサマナー」iOS / Android)が代表的な作品として知られており,セガと言えばタワーディフェンスゲーム「チェインクロニクル 〜絆の新大陸〜」iOS / Android)が長きにわたりヒットを続けている。
 またポケラボとセガは「運命のクランバトル」iOS / Android)などでタッグを組んでいる関係だ。そんな2社に加え,ネットワーク環境の構築を得意とするグリーが技術協力を行って開発された「ポイッとヒーロー」は,はたしてどのような内容に仕上がっているのだろうか。
 今回4Gamerでは,ポケラボの麓 俊介氏,セガの新小田裕二氏,グリーの梶原大輔氏の3名に,「ポイッとヒーロー」の概要と狙いなどを聞いてみた。

左から,セガの新小田裕二氏,ポケラボの麓 俊介氏,グリーの梶原大輔氏
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世の中にないゲームを考えたとき,マルチプレイのタワーディフェンスにたどり着いた


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。「ポイッとヒーロー」はポケラボとセガネットワークスによる共同開発タイトルということですが,まずはプロジェクト発足の経緯から教えてください。

画像集 No.006のサムネイル画像 / ポケラボ最新作「ポイッとヒーロー」の開発陣にインタビュー。ポケラボ×セガネットワークスによるリアルタイムマルチプレイ対応のタワーディフェンスとは
麓 俊介氏(以下,麓氏):
 ポケラボとセガは,2012年にリリースした「運命のクランバトル」から,共同開発を重ねており,「ポイッとヒーロー」はその第4弾となります。
 もう少し突っ込んだ話をしますと,「運命のクランバトル」開発時に,セガの第一研究開発本部とポケラボで,お互いのノウハウを共有する情報交換会を行ったことがあり,そのときの縁で,今回も共同開発することになりました。

4Gamer:
 ジョイントベンチャー企業SPG laboを設立したのもその時期ですね。それでは,気になる「ポイッとヒーロー」の内容を教えてください。

麓氏:
 「ポイッとヒーロー」は,3Dグラフィックスで描かれた可愛らしいキャラクターが入り乱れてハチャメチャに戦うタワーディフェンスで,戦略性が重視される内容となっています。
 最大の特徴は,4人のプレイヤーで遊べるマルチプレイに対応していることですね。マルチプレイでは,目の前にいるプレイヤーだけでなく,ネットワークを介して遠くの友達と遊ぶこともできます。

※画面は開発中のものです
(C)Pokelabo / (C)SEGA / (C)SEGA Networks All Rights Reserved.
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4Gamer:
 では,戦略性の高さについて,もう少し詳しく教えてください。

麓氏:
 このゲームの戦闘では,「ヒーロー」(キャラクター)を召喚する際に「マナ」と呼ばれるコストを消費します。マナは時間経過とともに増加していきますが,現状のマナで,どのヒーローを,どこに,どのタイミングで配置するかを考えていくというマネジメント部分が,ゲームの戦略性を高めていますね。

4Gamer:
 ヒーローとマナの管理が重要ということですね。

麓氏:
 また「ポイッとヒーロー」という名称のとおり,このゲームではヒーローを配置するためにポイッと投げ入れるアクションを行うのですが,そのときにヒーロー同士を重ね合わせると,必殺技の「ポイッとスキル」が発動します。これが今までのタワーディフェンスゲームとは異なる部分で,本作の特徴の1つになっています。

4Gamer:
 マルチプレイ時には,「ポイッとスキル」によってプレイヤー間の連携も生まれそうですね。

画像集 No.007のサムネイル画像 / ポケラボ最新作「ポイッとヒーロー」の開発陣にインタビュー。ポケラボ×セガネットワークスによるリアルタイムマルチプレイ対応のタワーディフェンスとは
麓氏:
 そのとおりです。「ポイッとスキル」は,コンボの数に応じて攻撃力がアップするなど,豊富な種類を用意しているので,ステージに合ったスキルを持つヒーローを使うことで,攻略しやすくなります。
 また,ヒーローには戦士,騎士,僧侶,魔法という「兵種」が設定されており,それぞれに特徴があります。例えば,僧侶の場合は魔法で味方を強化したり,スタンさせられた味方を回復したりと,サポート役として活躍します。

4Gamer:
 確かに戦略性は高そうですね。マルチプレイなしでも十分に面白そうな雰囲気なのですが,タワーディフェンスに,リアルタイムの協力プレイを入れようと考えたきっかけはなんだったのでしょうか。

麓氏:
 「運命のクランバトル」を作ったとき,友達と一緒に遊べるとより楽しいことを再認識しました。そこから,どうすればさらに楽しいという感情を引き出せるか考えたとき,休憩時間などに対面でワイワイ遊べるゲームが最適だと思いました。さらに,ジャンルはシミュレーションがいいだろうと判断し,最終的にタワーディフェンスに行き着きました。

4Gamer:
 なるほど。

麓氏:
 またせっかくの新企画ですから,まだ世の中にないものがやりたいという思いもありました。その点においても,リアルタイムマルチプレイとタワーディフェンスの組み合わせならいけるだろうと考えたわけです。


「チェインクロニクル」の「入りやすく,かつやり込みがいがある」部分を再現


4Gamer:
 そうした企画を練っていく中で,セガグループはどういった形で参画してきたのでしょう。

麓氏:
 セガさんには,企画の初期段階から参画してもらいました。こちらにいる新小田さんには,企画のレビューを通じて技術的に可能かどうか(そもそも本当に面白くなるのかなど)という検証をお願いしました。その結果,私自身がセガのオフィスに常駐することになり,開発がスタートしました。

4Gamer:
 スタートの時点でセガさんと動いていたんですね。では,セガ側として「ポイッとヒーロー」開発の際に,気をつけていたことなどがあれば教えてください。

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新小田裕二氏(以下,新小田氏):
 まずセガの第一研究開発本部についてお話しますと,この部署は「戦国大戦」や「WORLD CLUB Champion Football」といったアーケードゲームを作ってきたところです。アーケードゲームは,遊んでもらうためにまず100円を入れてもらう必要があり,その100円で遊べる短い時間で面白さを理解してもらい,そのうえで「もう100円入れたい」と思ってもらうことが重要です。その一方で,何年も遊び続けてもらうために,やり込みや攻略などの濃い部分も同時に考える必要があります。
 実は,こうしたアーケードゲームのノウハウは,コンシューマゲームよりもソーシャルゲームに活かしやすいんですよ。

4Gamer:
 「ポイッとヒーロー」にも,アーケードゲームのノウハウを惜しみなく盛り込んでいるということでしょうか。

新小田氏:
 「ポイッとヒーロー」に関しては,最初に麓さんからリアルタイムマルチプレイのタワーディフェンスにしたいという話を聞いたとき,新しいアイディアだと思いました。私自身が「チェインクロニクル」に関わっているというのもありましたし。

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セガネットワークスの代表作「チェインクロニクル 〜絆の新大陸〜」
(C)SEGA/(C)SEGA Networks
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4Gamer:
 なるほど。確かにどことなく「チェインクロニクル」のような雰囲気を感じ取れます。

新小田氏:
 そのアイディアを実現させるために,先ほどお話したアーケードゲームのノウハウが活かされました。最初はただワイワイやっているだけで楽しく,遊んでいくにつれ,麓さんが説明したような役割分担の重要性を次第に理解していくという,協力型のアーケードゲームに近いプロセスであることに気づいたのです。そして,コアなアーケードゲームを作ってきた開発者達が,ああでもないこうでもないと話し合いながら,本作を設計していきました。

4Gamer:
 いかにして入りやすく,かつやり込みがいのある内容にするかに注力したんですね。

新小田氏:
 そのとおりです。そして,運用や報酬設計といった部分は,数多くのタイトルを運用してきたポケラボさんにお任せしています。つまり,僕達は器を作り,ポケラボさんはそれをうまく使って最大限の効果を発揮するというわけです。

麓氏:
 今回は,開発のフェーズごとにどちらが主導権を握っているのかハッキリしていたので,共同開発自体はスムーズに進みましたね。とくにゲーム部分の開発に関しては,コンシューマゲームなどで多くの実績を残したセガさんがメインで進めており,非常にゲームとしてのクオリティが高まりました。そしてここからは,ポケラボ主導で運用面のシステム設計などを行っていきます。

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新小田氏:
 ゲームの開発ですから,常に意見のやり取りはありますけれども,セガとして,ポケラボとしてではなく,皆が同じ立場で意見を出し合ったという実感があります。

4Gamer:
 4つめの共同開発タイトルということで,うまく連携が取れていたんですね。そんな中,開発中の印象的だったエピソードはありますか。

麓氏:
 そうですね……。そういえば,途中でゲームエンジンをゼロから作り直しましたね(笑)。実は準備作業の段階で,当初思い描いていたゲームとは乖離した内容になってしまいそうなことが分かったんですよ。原因の1つには,当初のコンセプトが弱かったこともあったので,3〜4か月掛けてゼロから作り直すことにしました。

新小田氏:
 役割分担をするとさらに面白くなる,やり込みがいが出ることを,プレイヤーにうまく理解してもらえる作りにするのは大変でした。ユーザーインタフェースを含め,敵の配置やマップの形まで考えないと十分に伝わらないのですが,それまで作っていたゲームエンジンではそれが実現できないことが分かり,やり直しを決めたんです。

麓氏:
 大変な作業でしたが,結果的により優れた内容に仕上がったので良かったです。

画像集 No.021のサムネイル画像 / ポケラボ最新作「ポイッとヒーロー」の開発陣にインタビュー。ポケラボ×セガネットワークスによるリアルタイムマルチプレイ対応のタワーディフェンスとは
新小田氏:
 セガとしては,(最初から本気ではあったものの)そのタイミングでもっと本腰を入れなければならないと判断し,アーケードゲームのトップクラスの開発者をリーダーとして投入しました。新しく参画してくれた開発者の力は大きく,そこから一気にクオリティが上がりましたね。

4Gamer:
 悪意なくお聞きしたいのですが,当初のコンセプトが弱かったという点について,企画の段階では気づかないものなのでしょうか。

新小田氏:
 実際に開発バージョンを遊んで初めて判明した課題が多かったというのが正直なところですね。ただみんなでワイワイ遊ぶというゲームでよければ,当初のゲームエンジンで完成させていたと思います。

4Gamer:
 なるほど。

新小田氏:
 しかし「ポイッとヒーロー」には,「新しいタワーディフェンスを世に問う」というポリシーがあり,みなさんにやり込んでもらって,新しいと感じてもらうことを最重要視していました。それが作り直す一番のキッカケでしたね。
 また「チェインクロニクル」は,「決してコアなゲームではないが,コアなゲーマーを唸らせる」ということを掲げて作ったので,作り直すのであればこうした部分も「ポイッとヒーロー」に継承しようと考えました。

麓氏:
 今振り返ると,あのとき,あのメンバーがそろわなければ,今の完成形には絶対ならなかったと思いますね。
 個人的には,自社にいないタイプの方と一緒に仕事をして,良い影響を受けられることが共同開発における最大のメリットだと考えています。なので今回は,すごく良い刺激になりました。

新小田氏:
 何度か衝突があったので,そういってもらえると嬉しいですね。

4Gamer:
 それはどんなところが問題になったのでしょうか。

麓氏:
 やはり,ずっとソーシャルを手がけてきたポケラボと,アーケードとコンシューマの老舗であるセガさんとでは,ゲーム作りに関する根本的な考え方が違います。
 その思想の食い違いが争点になることが多々ありました。細かいところでは,チーム内の職種の呼び方からして違うんですよ。そんな些細なことから,意思疎通を図るうえで食い違いが生じて,問題に発展することも少なくなかったですね。

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リアルタイムマルチプレイ実現のために,クラウドサーバー環境を導入


4Gamer:
 それでは,リアルタイムマルチプレイを実現するにあたっての,インフラ面でのお話をお願いします。

麓氏:
 グリーは,リアルタイム通信を使ったゲームを数多くリリースしていますので,今回,技術協力を仰ぎました。

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梶原大輔氏(以下,梶原氏):
 僕の所属しているグリーのインフラストラクチャ本部は,自社の事業インフラおよびIT関連全般を主に手がけているのですが,いつかグリーグループ内でテクノロジーベースの貢献をしたいと考えていました。
 そこで今回,グリーグループのポケラボから依頼を受け,「ポイッとヒーロー」のインフラ面で技術協力することになったんです。

4Gamer:
 なるほど。

梶原氏:
 また個人的な話になってしまいますが,僕自身,以前からポケラボのファンでして,今も「戦乱のサムライキングダム」をプレイしているところです(笑)。

麓氏:
 ありがとうございます!

梶原氏:
 それはともかくとして,今回リアルタイムマルチプレイを実現するにあたっては,「アマゾン ウェブ サービス」(AWS)を利用したクラウドサーバー環境を構築しています。僕らとしてもAWSを利用し始めたばかりでしたので,今回の試みは“経験”という非常に大きな収穫がありました。

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4Gamer:
 今回,AWSを利用した理由はなんだったのでしょうか。

梶原氏:
 一番の理由は,これまでの物理サーバーだと急激なプレイヤーの増加に対し,柔軟な対応ができないからです。その点,クラウドサーバーであれば,フレキシブルな対応が可能になります。このほかにも,今後海外に展開することになっても動きやすいこと,加えてコストもこれまでのシステムより安価で済むことなどのメリットがあります。
 またAWSは開発のスピードが速く,どんどん新しい機能が追加されています。今後,どんな機能が出てくるか楽しみではあるものの,僕らエンジニアの仕事がなくなるんじゃないかと心配にもなるくらいです(笑)。

4Gamer:
 それほどまでのスピードで進化しているんですね。AWSを使ったインフラ構築の際は,滞りなく進行したのでしょうか。

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梶原氏:
 実はちょっとした問題がありました。セガさんの作ったシステムを,ポケラボのサーバー環境に乗せようとしたとき,なかなかうまくフィットせず,僕らがチューニングのヘルプに入ったことがありましたね。
 最終的にはチューニングは問題なくできましたし,協力関係もより強固なものになったので良かったんですけどね(笑)。

4Gamer:
 なるほど。それではリアルタイムマルチプレイを実現するにあたって,注意した点などを教えてください。

麓氏:
 やはり頻繁に通信が切断されるようだと,マルチプレイが成立しなくなるので,そこは今も継続して改善を重ねています。開発中のクライアントで発生する通信切断については,1つ1つ原因をチェックして潰していますし,負荷テストも行っています。また社内には通信状況を確認することに特化した専門チームを設けており,毎日ログのチェックも行っています。

4Gamer:
 負荷をチェックするベンチマークなどは使われないのでしょうか。

梶原氏:
 ベンチマークソフトもあるのですが,実際にどうなるかを確認するには,人間がアクセスしてみるのが一番確実なんですよ。そこでサービスインまでには,スタッフの方にも協力してもらい,みんなで負荷テストをやる予定です。

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ピーキーな低レアキャラと「ポイッとスキル」で初心者も活躍できる内容に


4Gamer:
 それでは,リアルタイムマルチプレイ以外の「ポイッとヒーロー」のセールスポイントを教えてください。

麓氏:
 マルチプレイ以外ですと,3Dグラフィックスで描かれるキャラクターのクオリティには注目してほしいですね。2Dのイラストからていねいに3Dモデルを起こしており,勝利ポーズなどのモーションも豊富に用意しました。キャラクターに関しては,他社のスマートフォン向けゲームと比較しても遜色なく,むしろ秀でていると自負しています。

4Gamer:
 キャラクターを見させてもらって思ったのですが,意外と男性キャラや獣人系が多いですね。

麓氏:
 そういったところは,サービスイン後にプレイヤーの動向に合わせて調整する予定です。イケメン好きやケモナーもいるわけで,どこかの属性に偏らないように意識しています。ですので今は,ゲームの世界にさまざまな種族がいて,バリエーションが多いことをアピールしている段階です。
 ……個人的にはイカついおじさんキャラとか「欲しがる人はいるの?」と疑問なのですが,スタッフの1人が「オレは欲しい」と豪語していたので,「それなら……」と入れてみました(笑)。

新小田氏:
 見た目がどうあれ,強ければ自ずと需要が出ますからね。

4Gamer:
 となると,ゲームとしてはレアリティの高い,いわゆる強キャラをそろえたほうが有利になるのでしょうか。

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麓氏:
 最強のパーティ作りというのは,ゲームを進めるうえでモチベーションの1つになるとは思います。そのために多種多様なステージを用意し,いろんなヒーローを育てながら遊べるようにパラメータを設計しています。
 では,レアリティの低いキャラは後々不要になるのかというと,そうでもないんです。と言うのも,低いレアリティのキャラほどピーキーな能力を持たせているので,ある特定のステージで活躍しやすい仕様になっています。ですから始めたばかりの方であっても,ステージにあった編成をすることにより,レアキャラを揃えた上級プレイヤーと肩を並べて遊ぶことも可能です。

4Gamer:
 ピーキーな能力といいますと,どんな感じでしょう。

麓氏:
 特定の種族に対して強かったり,特定のヒーローと組み合わせると強くなったりするなどですね。例えば,敵を沈黙状態にする低レアヒーローと,沈黙状態に対して高い攻撃力を誇る低レアヒーローを組み合わせれば,レアキャラと同じくらい強い攻撃ができるようになる,といった感じです。

4Gamer:
 そうなると,強いヒーローが出るまで何度もデータをリセットする,いわゆるリセマラを繰り返すプレイヤーも少なくなりそうですね。

新小田氏:
 はい。ちなみに「チェインクロニクル」でも同じように,低レアキャラでも状況次第で活躍できる仕様なのですが,無課金のコアプレイヤーが低レアキャラを使って,レアキャラで固めたパーティと遜色ないポテンシャルのパーティを生み出すんですよ。
 開発する側としては,それを見るのがすごく痛快なので,「ポイッとヒーロー」でもぜひ低レアのヒーローでいろいろ試してほしいなと。

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麓氏:
 そのバランスは,常に悩むところですよね。

4Gamer:
 無課金でも十分に遊べるというのは大きいですね。このほかにも,ゲームとして特徴的な部分はありますか?

梶原氏:
 いちプレイヤーとしては,ヒーロー同士を重ね合わせてポイッとスキルを繰り出すところが好きですね。ヒーローを配置する以外の選択肢があるのがいいんです。

4Gamer:
 ここには,随分こだわったとお聞きしました。

新小田氏:
 そうですね。私たちには,コアなプレイヤーにやり込んでほしい一方,やはり新しい方にもどんどん遊んでほしいという思いがあります。
 実はこのゲームのマルチプレイは,自分のターンが順番で回ってくるわけじゃないんです。ヒーローの配置は早い者勝ちという側面が結構強いので,初心者だとどこに置こうか迷っているうちに場所がなくなってしまう,なんてことがしばしば起こります。その状況になった時,初心者が蚊帳の外になってしまっては,まったくもって面白くありません。

4Gamer:
 確かに。

新小田氏:
 そこで配置されている友達のヒーローに自分のヒーローを重ねると,ポイッとスキルが発動するという仕様にしたわけです。ポイッとスキルには強力な攻撃ができるものや,体力回復ができるものなどさまざまな種類がありますから,ヒーローを重ねるだけでも十分に貢献できるはずです。

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4Gamer:
 いずれ,いかに絶妙なタイミングでポイッとスキルを発動できるかにこだわるプレイヤーも出てきそうですね。

新小田氏:
 いいですね。ぜひサポートの鉄人を目指してほしいです。それにこだわった動画とかも見てみたい。

麓氏:
 「ポイッとヒーロー」には動画SDKを実装しているので,ぜひスーパープレイや縛りプレイなどの動画をYouTubeやニコニコ動画にアップしてほしいです。

4Gamer:
 最近は実況系の動画も多くあがっていますからね。そういえば,「ポイッとヒーロー」は,多彩な声優陣を起用されますよね。

麓氏:
 そうです。ヒーローが仲間になったときや,ポイッとスキルを発動するときの掛け声などにボイスを使っています。今回は著名な方も多数起用しました。またヒーローは,サービスイン以降,毎月のように追加していく予定ですので,その都度声優さんの発表も行います。

画像集 No.017のサムネイル画像 / ポケラボ最新作「ポイッとヒーロー」の開発陣にインタビュー。ポケラボ×セガネットワークスによるリアルタイムマルチプレイ対応のタワーディフェンスとは

4Gamer:
 なるほど。事前登録の受付開始は2015年春を予定しているとのことですが,その先の展開で,今お話しいただけることはないでしょうか。

麓氏:
 実はもう,1年先までバージョンアップなどの計画が立っています。またバージョンアップについては,マルチプレイやバトルがさらに面白くなるものを考えていまして,皆さんの飽きが来ないようなスパンで提供していく予定です。
 そして私自身,これから「ポイッとヒーロー」の伝導師として,メディアや動画などに出演し,ゲームの魅力を伝えていきます。

新小田氏:
 繰り返しとなってしまいますが,このタイトルはライトに遊ぶこともできれば,コアにやり込むこともできます。そうした多彩な遊び方に関しては,僕らのほうからどんどん提案していこうと思い,麓さんには伝導師として活動してもらうことになりました。

4Gamer:
 それでは最後に,「ポイッとヒーロー」のリリースに向けてメッセージをお願いします。

新小田氏:
 「ポイッとヒーロー」は,ポケラボさんと一緒に,魂を込めて作った意欲作です。本当に後悔させない仕上がりとなっていますので,ぜひみんなでワイワイ遊んでもらえればと思います。

梶原氏:
 ポケラボとセガネットワークスさんがガッチリ協力して作ったゲームですから,絶対いけると信じています。そして我々グリーとしては,インフラ部分をサポートしたリアルタイムマルチプレイに注目してもらいたいですね。

麓氏:
 アーケードとコンシューマで豊富なノウハウを蓄積してきたセガグループさんと,スマートフォンのネイティブアプリにいち早く着手したポケラボがタッグし,さらに,ソーシャルゲームのプラットフォーマーとしての実績を持つグリーが技術協力したのですから,つまらないゲームができあがるわけがありません。とくに今回は,これまでにない体験を届けるべく開発しました。ぜひ友達と一緒に遊んでもらいたいです。また,今後もこの強力なタッグでさまざまなことに挑戦していきますのでご注目下さい。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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