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印刷2019/03/23 15:57

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「黒川塾 六十七(67)」聴講レポート。「レインボーシックス シージ」の世界大会でベスト4に入った野良連合を取り巻く状況から見た,日本のeスポーツの現状とは

 トークイベント「エンタテインメントの未来を考える会 黒川塾 六十七(67)」が,2019年3月22日に東京都内で開催された。このイベントは,メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏が,ゲストを招いて,ゲームを含むエンターテイメントのあるべき姿をポジティブに考えるというものである。

画像(001)「黒川塾 六十七(67)」聴講レポート。「レインボーシックス シージ」の世界大会でベスト4に入った野良連合を取り巻く状況から見た,日本のeスポーツの現状とは

 今回のテーマは,「eスポーツ2019〜世界で戦うということ」。会場では,プロゲームチーム・野良連合のオーナーであるkizoku氏,eスポーツアナリストの但木一真氏,「レインボーシックス シージ」の公式実況キャスターを務めるともぞう氏をゲストに迎え,世界から見た日本,日本から見た世界のeスポーツの現状が語られた。


画像(002)「黒川塾 六十七(67)」聴講レポート。「レインボーシックス シージ」の世界大会でベスト4に入った野良連合を取り巻く状況から見た,日本のeスポーツの現状とは
黒川文雄氏
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kizoku氏

 トークの最初の話題は,野良連合が2月17日にカナダで開催されたPC版「レインボーシックス シージ」の世界大会「Six Invitational 2019」にて,ベスト4という成績を残したことについて。

 ともぞう氏は「サッカーのワールドカップで,日本代表がベスト4に入ったようなもの」とし,「野良連合は優勝に手が届くところまで行っていた」と評価。同時に,野良連合を含めた日本の「レインボーシックス シージ」プロリーグの水準は世界的に見ても非常に高く,アジア代表枠を日本のチームが独占してもおかしくない状況であることを説明した。
 また但木氏も「シューターの大会で,日本のチームがここまで活躍できる日が来るとは予想していなかった」と話していた。

画像(004)「黒川塾 六十七(67)」聴講レポート。「レインボーシックス シージ」の世界大会でベスト4に入った野良連合を取り巻く状況から見た,日本のeスポーツの現状とは
但木一真氏
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ともぞう氏

 一方,kizoku氏は「最低でも準優勝はできると思っていた」と悔しさをにじませつつも,2016年の野良連合の立ち上げ時に「5年で世界を取る」と決めたことを明かし,「3年でベスト4まで来た。あと2年で世界の頂点に立てるだろう」と強い意気込みを見せた。

 ともぞう氏は野良連合の強さについて,各選手が持つ卓越した技術に加え,メンタル面が大きいと分析。その理由は,野良連合を率いているkizoku氏がもともと総合格闘技やフットサルをやっていたアスリートで,競技におけるメンタル面の重要性を熟知していたからだという。kizoku氏によると「マインドは作れる」とのことで,日々の生活の中で選手達のメンタルを鍛えているそうだ。

 また世界大会でベスト4に入るようなチームともなると,必然的に海外の強豪チームとの交流も増えてくる。kizoku氏によると,その内容はくだらない話やスポンサー料のことから,前の試合で使った戦術についてなど多岐におよぶとのこと。
 ちなみに野良連合では現在,10名のアナリストを使って試合の全データを記録に残しデータ化しているが,これは「レインボーシックス シージ」史上最強と謳われるG2 Esportsのコーチからアドバイスを受けたことに端を発しているという。

 但木氏は,野良連合のように多数のアナリストを抱えるなど組織立てて活動しているプロゲームチームが日本ではまだ少ないことを指摘。その原因は主に資本力にあり,とくに日本では世界各国と比較してeスポーツの歴史が浅いため,まだまだ事業としては成立しにくいとのこと。
 とはいえ,現在は,その流れを公式リーグの側から変えようという動きもある。但木氏は,「リーグ・オブ・レジェンド」や「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)の公式リーグに参加するチームには,基本的に法人化や法人としての実績が求められていることを説明した。

画像(006)「黒川塾 六十七(67)」聴講レポート。「レインボーシックス シージ」の世界大会でベスト4に入った野良連合を取り巻く状況から見た,日本のeスポーツの現状とは

 野良連合は,そうした条件をクリアできる実績を持つプロゲームチームだが,得ているスポンサー料は,同等レベルの海外チームと比較すると1桁,場合によっては2桁少ないとのこと。その理由をkizoku氏は,「企業内で多額の予算を決済できる役員が,eスポーツを知らないから」と説明する。

 また,ともぞう氏も「野良連合が世界でベスト4に入っている状況は,経営レベルでいうと社会人野球のチームがプロ野球チーム相手に健闘しているようなもの」と表現し,「野良連合は,日本でもっと評価されて然るべき」「野良連合の実績を多くの人に伝えるようなアクションを,もっと起こしていかなければならない」と語った。

 但木氏は,野良連合の活躍などがテレビのニュースなど一般のメディアで取り上げられるまでに至っていない一方,ゲームメディアもまた,それらeスポーツの情報を多角的に分析できていない現状を指摘。
 つまり,専門であるはずのゲームメディアであっても「野良連合が世界大会に進出!」「ベスト4に入った!」程度の報告に留まっており,リアルスポーツの専門メディアがやるように,それがどうやって成し遂げられ,どんな意味があり,この先どうなると予想できるのか,あるいは背景にはどんな人間ドラマがあるのかといったところまで掘り下げていないというわけである。そうした掘り下げができないと,なかなかeスポーツは世間に浸透しないのではないか,というのが但木氏の意見だ。
 
 また但木氏は,eスポーツ全体で今何が起きているのか網羅しているメディアがないことにも言及した。例えば「レインボーシックス シージ」のプレイヤーやファンなら,その大会がいつ開催され,どんな試合が行われるのか,どんな選手の活躍が期待できるのかなどをチェックしているが,ほかのタイトルについては情報を得る機会がほとんどない。例えば「クラッシュ・ロワイヤル」や「ハースストーン」で日本代表選手が活躍しても,それらのタイトルのプレイヤーやファンでなければ,事後にSNSのタイムラインで知るくらいだ。そんな状況でeスポーツが世間に浸透するのを期待するのは,確かに無理がある。

画像(007)「黒川塾 六十七(67)」聴講レポート。「レインボーシックス シージ」の世界大会でベスト4に入った野良連合を取り巻く状況から見た,日本のeスポーツの現状とは

 そうした状況に陥っている理由を,但木氏は「志と資本の双方が足りない」と表現した。記事単位では面白い切り口でeスポーツを分析しているものもあるが,あくまでも編集者やライター個人の技量に頼っているケースが多く,書き手不足を実感しているという。

 関連して,ともぞう氏はeスポーツで使われるゲームタイトルが多岐におよんでいることを指摘し,それぞれのタイトルに精通していないと分析や掘り下げができない部分を指摘した。
 例えばゲームキャスターも多くのタイトルをフラットにこなすタイプと,数タイトルを専門的に手がけるタイプに分かれるが,現状eスポーツの記事の書き手は前者が大多数であり,もっと後者を育成していかないとeスポーツを世間に浸透させるのは難しいというわけである。

 但木氏は「ゲームのプレイヤーは,必ずしも表現者ではない」とし,プレイヤーが自身のプレイを言語化するよりも「記事を書ける人がeスポーツを学ぶほうが早い」とする。実際,リアルスポーツの記事で実績のあるライターが,急速に台頭しているeスポーツに注目している状況があるという。

 逆に,メディアに取り上げられる側のkizoku氏は,リアルのゴルフやテニスも日本の選手が優勝したことで改めて世間から注目されたことを例に挙げ,「優勝しないと一般メディアは相手にしてくれない」と,世間に浸透することの難しさを語っていた。
 また実績を上げる以外では,チーム専用デバイスの企画・販売なども検討しているという。

 その一方で,但木氏は野良連合および「レインボーシックス シージ」ファンのエンゲージメントの高さに言及し,「一般メディアに頼らなくともSNSでファンが情報を拡散しているし,きちんとした活動と生活ができるマネタイズができればそれでいいのではないかとも思う」と話す。

 ともぞう氏も,この但木氏の意見に同意し「eスポーツをオリンピック競技にするという話もあるが,僕は1ミリも興味がない。そっちはそっちで勝手にやってほしい」とし,「レインボーシックス シージ」では,格闘ゲームの世界大会「Evolution Championship Series」(EVO)のような経済を回せるコミュニティを目指したいと展望を語った。

 実際,野良連合はファンのエンゲージメントが高いため,kizoku氏によると所属選手達は配信収入を含めた自身の稼ぎだけで生活可能で,活動に必要なデバイスなども十分購入できるという。
 現在,野良連合には「現物を支給するから,ぜひ使ってほしい」という資金援助を伴わない協賛のオファーが増えているそうだが,あまり嬉しくないというのが本音だそうだ。

 そうした状況に関して,但木氏は「決裁者が,インフルエンサーマーケティング,ひいてはデジタルマーケティングを理解していないため,野良連合の価値を正しく評価できていない」と分析。例えば野良連合の選手達が使ったデバイスは,エンゲージメントの高いファンが購入するので高い売上を期待できる。つまり,安定したターゲット層に向けた,確実なプロモーションができているのである。
 一方,その構造を理解していない人は,野良連合の世間的な認知度が低いことを理由に,「テレビによく出ている芸能人に宣伝させたほうがいいのでは」と考えがちだ。しかし,これでは商品の認知は上がっても,購買に結びつくかどうかは不明である。
 但木氏は,以上を「実際の購買に結びつくのは認知ではなく,エンゲージメントの高さ」とまとめていた。

 話題は,日本のeスポーツがどちらかといえば企業主導であるのに対し,海外ではコミュニティ主導であることにもおよんだ。
 ともぞう氏は,企業主導だとその企業の経営が危うくなったときにチームが消滅してしまう可能性があることを理由に,「動画配信サイトなどで個人がチームを支援できる今,コミュニティを作り,その人数を定量的な根拠として企業を説得するほうがいい」とする。
 例えば「Six Invitational 2019」における野良連合の試合の配信では,少数派の日本語圏の同時視聴者数が,多数派である英語圏の同時視聴者数の約半分に迫る勢いだったとのこと。ともぞう氏は「圧倒的な定量的根拠が出ているのに,それを使った営業を誰もやらないから,自分でやろうと決めた」「こうした客観的なデータを見ると,『eスポーツはスポーツなのか』といった議論がいかに低レベルであるかに気づかされる」と話していた。

 またともぞう氏は,自身がゲームメーカーの社員から,ゲームキャスターに転向した経緯について,「これまでの作り方や売り方では,コンシューマゲームに未来はない」と危機感を覚えたからだと明かした。とくにPUBGがヒットしたときは,「こんな企画は,マーケティング主導の日本のゲームメーカーでは絶対に承認されない」と感じたという。

 「もはや内部から日本のゲームメーカーを変えるのは無理だ」と悟ったともぞう氏は,「今後,ゲームを売っていくにはドラマとセットにするしかない」と考え,人間ドラマの生ずるeスポーツに着目し,その中でも自身が好きな「レインボーシックス シージ」に取り組んだとのこと。そして,野良連合を含めたプロゲームチームの活躍とファンのサポートのおかげで,ようや目指した状況に近づきつつあると感じているそうだ。

 そのほか会場では,今後日本にeスポーツを浸透させるためには,タイトルを問わず誰もが簡単な手続きだけで大会を開催できる仕組みや,各地域のコミュニティをサポートする仕組みを整え,プレイヤーや選手が気持ちよく活動できる環境を整えるることが不可欠であるという見解も示された。そうなることにより,全国各地で大小さまざまな大会が開かれるようになり,結果として多くの人がeスポーツに参加し,ひいては浸透につながっていくわけである。

 トークの最後には,kizoku氏から野良連合の「レインボーシックス シージ」部門の活動について語られた。それによると,先日発表されたWokka選手の引退を機に,Wokka選手+ほかの4選手という体制から,司令塔を務めるMerieux選手を中心とした5人1組の体制に移行するという。
 またWokka選手自身は,野良連合のストリーマーの一人として活動を続けるとのことで,kizoku氏は「引き続き,Wokkaと一緒に日本のeスポーツシーンを盛り上げていきたい」と話していた。

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