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MMORPG「黒い砂漠」の運営プロデューサーはどんな人なのか。オープンサービスから約1か月が経過した現状と今後の展望をゲームオン麥谷氏に聞いてみた
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印刷2015/06/02 21:00

インタビュー

MMORPG「黒い砂漠」の運営プロデューサーはどんな人なのか。オープンサービスから約1か月が経過した現状と今後の展望をゲームオン麥谷氏に聞いてみた

 2015年5月8日にオープンサービスが始まったMMORPG「黒い砂漠」。本作はモンスターとの戦闘はもちろんのこと,料理や錬金といった生活系,貿易,馬の捕獲から交配に至るまで,個性豊かなさまざまなコンテンツが充実した,昨今では珍しいサンドボックスタイプのMMORPGだ。
 オープンサービス開始直後から多くのプレイヤーが詰めかけ,2つあるサーバーのどのチャンネルのステータスも混雑が続いていた。いまではある程度落ち着いた感じではあるが,ログインしてみると多くのキャラクターが大陸でおのおのの生活を送っている姿が見られる。

画像集 No.011のサムネイル画像 / MMORPG「黒い砂漠」の運営プロデューサーはどんな人なのか。オープンサービスから約1か月が経過した現状と今後の展望をゲームオン麥谷氏に聞いてみた

 2015年6月6日には,待望のGvGコンテンツ「占領戦」もスタートし,新たな遊びが増える本作だが,オープンサービスを開始してから約1か月が経ち,プレイヤーからどんな反響が出ているのか,また今後の展望などについて気になっている人も多いだろう。

 そこで今回,「黒い砂漠」日本運営プロデューサーを務めるゲームオンの麥谷(むぎたに)将人氏にジャパンプレミアからオープンサービスまでに何があったのか,またオープンサービスから約1か月が経過したゲーム内の動向や,今後の展望についてのインタビューを行った。さらに,そもそも麥谷氏とはどんなプロデューサーなのか。氏のMMORPG遍歴やゲーム観といった話も聞いているので,その人柄などを確認してほしい。

「黒い砂漠」公式サイト



MMORPG黎明期の「通過儀礼」も経験した麥谷氏

そこから得られたMMORPG観とは?


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。「黒い砂漠」のジャパンプレミアやニコニコ超会議 2015などで麥谷さんがプレイヤーの前に出る機会が増えましたよね。しかし,「黒い砂漠」のプロデューサーは,そもそもどんな人なのだろうか? と思っているプレイヤーも多いのではないでしょうか。そこで,ゲームの話には入る前に麥谷さん自身について教えてください。

麥谷将人氏(以下,麥谷氏):
 分かりました。プロフィールよりも,僕のゲーム歴を話したほうが,どういった人間なのか分かりやすいかもしれません。

「黒い砂漠」日本運営プロデューサー麥谷将人氏。ゲームオン 執行役員兼第二事業部 部長も務める
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4Gamer:
 と言うと,けっこう長くオンラインゲームを遊ばれているとか?

麥谷氏:
 そうなんですよ。学生時代に「Diablo」に初めて触れて,海外のゲームの凄さや面白さを目の当たりにしました。そして,「Ultima Online」にも海外サーバーのころからハマりまくって,多くのプレイヤーが辿った道と同じく,開始早々にPKされました(笑)。

4Gamer:
 それは,もう通過儀礼ですよね(笑)。

麥谷氏:
 ともかく,あの体験はショックでした。でも,助けてくれる方もいて,オンラインゲームの世界の凄さというか,広さを知ることができました。これがきっかけで数年にわたって,UOだけではなく「PHANTASY STAR ONLINE」「Dark Age of Camelot」,弊社の「ミュー 奇蹟の大地」(以下,ミュー)など,そのほかにもいろいろなオンラインゲームを遊びました。

4Gamer:
 ミューも遊んでいたわけですか。では,それがきっかけでゲームオンに入社されたのでしょうか。

麥谷氏:
 いえ,実は大学を卒業してから広告代理店にいました。でも,やっぱりゲームに関わる仕事がしたいと思い,募集しているところを探してゲームオンに入社することになりました。

4Gamer:
 入社後はやはりミューの担当を?

麥谷氏:
 最初は「新・天上碑」のチームに配属されて,その1年後に「新・天上碑」の運営プロデューサーを任されました。ここでオンラインゲームの運営についていろいろ学びましたね。

4Gamer:
 それから,ずっと「新・天上碑」に関わっていたのでしょうか。

麥谷氏:
 「新・天上碑」もそうですが,2008年に「Soul of the Ultimate Nation」の選定と立ち上げ,2011年に「C9 (Continent of the Ninth)」の立ち上げに関わったり,最近だと「TERA The Exiled Realm of Arborea」の運営移管に携わったり……。いまではさまざまなタイトルに携わっています。

4Gamer:
 結局,ミューは担当されなかったんですか。

麥谷氏:
 ええ。でも,いまのスタッフと話をするとき「なんでそんな古いこと知ってるんですか?」と言われることもあります(笑)。

4Gamer:
 昔取った杵柄というやつですね。しかし,麥谷さんはそうした立場でありながら,「黒い砂漠」の日本運営プロデューサーも務めているわけで,負担は大きそうです。

麥谷氏:
 例外的な状況ですね。それだけ弊社が「黒い砂漠」に力を入れているということでもあります。そもそも僕は,運営するタイトルを選定するときに「黒い砂漠」をずっと遊んでいたので,社内で一番詳しくなってしまって。だから,運営プロデューサーになったというのが真相なんですよ。

4Gamer:
 なるほど。たしかに,ちょっと触っただけでは,奥が見えない作品ですし,MMORPGをこれまで遊んできた経験と合わせて,まさにうってつけの人材だったわけですね。ちなみに,学生時代からいろいろなMMORPGを遊んで,そして仕事としても見てきた麥谷さんにとって,MMORPGとはどのようなものですか?

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麥谷氏:
 うーん,一言では言い表せないですね。運営という立場からすると,多くの裏方が必死で地盤を準備しているものですし,プレイヤーの立場からすると,日々の一期一会,喜怒哀楽がリアルに体験できる限りなく大きな世界……でしょうか。この世界では,瞬間的に味わえる達成感や爽快感,出会いから生まれる協力や競争関係,市場が形成されて生み出される経済を,プレイヤーのひとりひとりが違った形で体験していますから。

4Gamer:
 体験というと,「でも,ネット上だけのものだろ?」と揶揄されることもありますが,それでも人と人とのつながりは間違いなくありますからね。

麥谷氏:
 そうなんです。実際にオンラインゲームがきっかけで結婚された方もいますし,いまは肯定的に理解する人も多くなっていると思いますよ。

4Gamer:
 ところで,プレオープンテストで遊んでいたプレイヤーからは,「『黒い砂漠』は『UO』みたいなところがある」と話しているのを聞いたことがあります。どちらも遊んでいる麥谷さんから見て,「黒い砂漠」の第一印象はどんなゲームだったのでしょう。

麥谷氏:
 実は最初に「黒い砂漠」を見たときは,「UO」っぽさは全然感じませんでした。

4Gamer:
 そうなんですか。

麥谷氏:
 と言うのも,最初にPearlAbyss(「黒い砂漠」の開発元)から届いたPVを見たときは,アクション性の高いバトルや,ドリフトする馬などの印象が強かったので,「C9」のようなアクション性の強いゲームに見えたんですよ。

4Gamer:
 ああ,たしかにドリフトする馬のインパクトは強かったです。

麥谷氏:
 その後,「黒い砂漠」を実際にプレイするようになって,アクション以外のところにも目がいき,いろいろなコンテンツが積み重なっているゲームなんだと理解できました。ただ,何をやって良いのか分からないところはありましたね。

4Gamer:
 いきなり世界に放り込まれるサンドボックスタイプのMMORPGでは,ありがちの状況ですね。

麥谷氏:
 ええ。放り出されるという点は,私個人,これはこれでありだと思ったのですが,そのまま日本に持ってきても,おそらく多くのプレイヤーさんが最初で投げてしまうだろうと感じました。

4Gamer:
 目的が分からないというか,見つけられなくて挫折しそうです。

麥谷氏:
 ですから,チュートリアルなど序盤の導線をもう少ししっかりしてほしいと要望を出しましたが,それは開発元のPearlAbyssも認識していたみたいです。

4Gamer:
 それでもプレオープンテストのときに,何をすればいいのか分からないというプレイヤーの声がそこそこありましたね。もし,チュートリアル導入前のバージョンが使われていたらと思うと……大変だったかもしれません。

麥谷氏:
 ええ,大変なことになっていたと思います(笑)


プレオープンテスト後に実装が決まったリトルサマナー


4Gamer:
 では,あらためて「黒い砂漠」について聞かせてください。3月19日のジャパンプレミアでプレオープンテストが発表され,そのときに応募も始まりました。そうして4月1日からテストが始まったわけですが,応募開始時からネット上でかなり話題になっていたと思います。

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麥谷氏:
 はい。応募数も予想をはるかに超えた数が集まり,当初は1万人を予定していたのですが,サーバーの確保が間に合ったので,枠を3万人まで増やしました。プレオープンテストの実施に向けて,多くのプレイヤーさんに楽しんでいただけるように全力でつくしてきたので,反響も,このタイトルを日本でスタートできることにも,ものすごく感動しました。

4Gamer:
 一方でプレオープンテスト当日は,公式サイトにつながらず,ログインできないといったトラブルもありました。

麥谷氏:
 これは,多くのプレイヤーの方々にご迷惑をかけてしまう形となり,本当に申しわけなかったです。対策はしていたのですが,想定を超える人数が同時に集まってしまい,ログインサーバーがパンクしました。また,ゲームクライアントが強制終了してしまう問題も発生しました。

4Gamer:
 その修正は,意外と早かったように思うのですが。

麥谷氏:
 PearlAbyssとともに,昼夜を徹して原因究明や修正パッチのやり取りを何度も重ねて,日曜日の朝にみなさんに修正されたパッチが提供できました。これに関しては,早い対応ができて本当によかったと思っています。

4Gamer:
 そんな10日間のプレオープンテストが終了し,ニコニコ超会議 2015での発表を経て,5月8日にオープンサービスが始まりました。現在の心境はいかがでしょうか。

麥谷氏:
 オープンサービス開始にあたっては,プレオープンテストよりも,トラブル回避策や,皆さんのご意見を考慮して急遽検討して決定したリトルサマナーの実装準備なども含めて,テストの実施後からほとんど休まずに準備していました。

4Gamer:
 ゴールデンウィークを挟んでいたので,「しっかり休みは取るんだ?」なんて声もありましたが(笑)。実際のところ,プレオープンのためのテストを考えると……。

麥谷氏:
 ええ,ゴールデンウィーク中がヤマだったので,けっこう大変でした(笑)。そうして,オープンとなりましたが,最初の20分前後にアクセスの集中があったものの,それ以降は安定して楽しんでいただけました。それを見て,安堵と共にこれからももっと頑張らなくてはならないという思いがこみ上げました。

4Gamer:
 ところで,プレオープンテストからオープンサービスまで,約1か月の期間がありました。このあいだにどのような変更があったのでしょうか。

麥谷氏:
 一番大きいのはリトルサマナーの実装ですね。実はプレオープンテスト中には,リトルサマナーの実装は予定に入っていませんでしたので。

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4Gamer:
 え,最初からスケジュールが組まれていたわけじゃなかったんですか?

麥谷氏:
 はい。プレオープンテストを終えたあと,プレイヤーの皆さんに期待されていることもあり,「これは実装するしかない!」となりまして……。

4Gamer:
 ということは,韓国では実装されているとはいえ,わずか1か月で,新キャラクター1体を実装することになったわけですよね。ローカライズも大変だったのでは。

麥谷氏:
 大変でしたね……。ともあれ,PearlAbyssに頑張ってもらい,なんとか実装にこぎ着けました。
 その後は,先行して実施したキャラメイククライアントのダウンロードも順調に伸びて,また先日募集が終わった「キャラメイク選手権」にも多くのご応募をいただけました。僕自身も応募作品をチェックしたのですが,最終的には約1500件もの作品が届きました。

4Gamer:
 「俺の嫁選手権」とも呼ばれてますが,ジャイアントやウォーリアが最優秀作品に選ばれた場合,その等身大フィギュアを作るんですよね……?

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麥谷氏:
 まあ,そういうルールですから,そうなったらきっとゴツい男性の等身大フィギュアが届くことになると思います(苦笑)。

4Gamer:
 それは……ちょっと見てみたい気もしますが(笑)。ところで,先行キャラメイクについて伺いたいことがあったのですが,なぜオープンサービスの一週間前で,期間が終了となっていたのでしょうか。

麥谷氏:
 それは,サービス開始前にサーバーの最終テストなどを行う必要があったからです。また,直前にサーバーを止めてしまった場合,バックアップのタイミングで巻き戻りが発生して,プレイヤーさんが作ったデータが消えてしまう可能性もありますので。

4Gamer:
 なるほど。テスト前のデータバックアップと,サーバーのテストを考えると,数日の余裕が必要だったわけですね。変更点に話を戻して,そのほかに何か変わった部分はあったのでしょうか。

麥谷氏:
 見えないところではいろいろ変わっています。たとえば,序盤はチュートリアルムービーが画面左下に表示されますが,プレオープンテストのとき,この機能はありませんでした。

4Gamer:
 言われてみればそうです。ムービーが表示されるようになって,分かりやすくなりましたよね。あれは,日本からの要望だったのでしょうか。

麥谷氏:
 PearlAbyssが自主的に追加したものです。仕事が早いこともそうですが,フットワークも軽くて,気が付いたらいろいろなものが実装されているんですよ。音声も最初はついていなかったので,「軽く音声があると良いですね」と話していたところ,すぐに音声入りのものが用意されて……。分かりやすくなったことは非常にありがたいのですが「あ,これの音声も録らなきゃ……」と,大慌てでした。

4Gamer:
 ああ,声優さんのスケジュールを押さえるのも大変ですよね(笑)。

麥谷氏:
 ええ。ほかにも……,実は僕自身もすべてを把握できているわけではないのですが,サーバー容量が大きく増えていたり,プレイの必須環境が下がっていたりします。

4Gamer:
 サーバーの容量というと?

麥谷氏:
 ひとつのサーバーにつき,入れるチャンネル数はプレオープンテスト時と同じ4つですが,そのチャンネル内に入れる人数がかなり増えているんです。たとえばプレオープンテスト時には「混雑」だった人数でも,オープンサービスでは「快適」になります。

4Gamer:
 どこも余裕があるのに,中に入って遊んでいると結構人が多いと感じるのはそのせいだったんですね。収容人数に余裕ができたとはいえ,まだ人が増える可能性もあります。今後,サーバーを増やす予定はありますか?

麥谷氏:
 現在の状態なら,まだ余裕があるのでなんとも言えません。今後の状況次第では,ありえるかもしれません。

4Gamer:
 もうひとつの,プレイに必要なマシンスペックが下がったというのは,クライアントのプログラムが最適化されたといったことですか?

麥谷氏:
 公式サイトでお伝えしている必須環境に届かないPCをお持ちだった方でも,遊べるようになっているかもしれないということです。「黒い砂漠」は必要なマシンスペックがちょっと高めですが,PearlAbyssが秘かにグラフィックス周りの調整を行い,動作は軽くなっています。ですから,プレオープンテスト時に比べて,実際の必須環境は公開しているものより若干下がっているはずです。

4Gamer:
 PCスペックで遊ぶのを諦めたプレイヤーにとっては朗報ですね。一度,動作を試してみたほうが良さそうです。では,コンテンツ部分の変更は何がありますか?

麥谷氏:
 ニコニコ超会議 2015で発表した中に「占領戦」がありましたが,オープンサービスの時点で実装はしていたものの実施を少し見送りました。

4Gamer:
 なぜですか?

麥谷氏:
 順を追って説明しますと,日本ではレベルに関係なくギルドやクランを作ることができます。低レベルでも作ることができるのですが,その状態ですと必要な資材がまるで足りず,そもそもまともに占領戦が遊べません。

4Gamer:
 システム的に可能でも,プレイヤーの地力がそこに届いていないわけですか。

麥谷氏:
 はい。ですので,プレイヤーさんのギルドが力を蓄えるまでは実施を見送ろうということになりました。ただ,そろそろ皆さんの準備も整ってきたようなので,最初の占領戦を6月6日に実施する予定になっています。

画像集 No.010のサムネイル画像 / MMORPG「黒い砂漠」の運営プロデューサーはどんな人なのか。オープンサービスから約1か月が経過した現状と今後の展望をゲームオン麥谷氏に聞いてみた

4Gamer:
 占領戦に勝利するとマーケットなどの税を変更できるとのことですが,たとえば無茶な税率を設定したりといったこともありそうでしょうか?

麥谷氏:
 以前は,それが可能になっていたのですが,現時点では一律5%になります。マーケットではなくカルフェオンがバレノスやセレンディアに課す税率は設定できますね。

4Gamer:
 なるほど。ところで運営側から見て,プレイヤーは黒い砂漠をどのように遊んでいるように見えますか。

麥谷氏:
 そうですね,いろいろな遊び方ができるゲームですが,概ね想定の範囲内に収まっていると思います。想定外とまでは言いませんが,「登山部」と称して,高いところに登ることを楽しんでいるプレイヤーさんもいるようですね。

4Gamer:
 高い場所によじ登れますし,クライミング的な面白さもありますね(笑)。あとは,イカダに大砲が搭載できることを確認して,海賊の可能性を探っているプレイヤーさんもチャットで見ました。予想以上に自由に遊んでいる感じがします。

麥谷氏:
 チャットと言えば,全体チャットに不満を持たれる方もいらっしゃいますが,ある程度は許される空気になっています。それが嬉しいですね。ゲームによっては,全体チャットはマナー違反みたいな空気もあるじゃないですか。

4Gamer:
 あります。「黒い砂漠」は,全体チャットで発言しようと思うと行動力を消費しますから,その分だけ「ログが流れるから会話が邪魔」ということが少ないのかもしれません。自身に有益な情報が流れているときもありますし。

麥谷氏:
 攻略のアドバイスや,(プレイする上での)知識のやりとりなど,プレイヤーさんたち同士が交流してくださっているのは嬉しいですね。

4Gamer:
 プレイヤー同士の交流といえば,「黒い砂漠」はギルドなどを除けば,割とソロ指向のMMORPGですよね。今後,プレイヤー同士がパーティを組んで攻略する,いわゆるレイドボス的なものを実装する予定はあるのでしょうか。

麥谷氏:
 いまでも闇の精霊のクエストで,ボスクラスの敵を召喚して倒すものがあります。低レベル帯こそ,ソロで倒せるのですが,高レベル帯のクエストになるとソロで倒すのが難しいので,必然的にパーティを組むことになると思います。それとは別に,レイドボスではありませんが,通常のモンスターとは違う強いモンスターを実装しています。

4Gamer:
 どう違うのでしょうか。

麥谷氏:
 モンスター名は同系統のモンスターと同じですが,モンスター名の前に称号というか「二つ名」のようなものが付いたモンスターがいます。これは通常の同系統モンスターよりもはるかに強く,ソロで倒すのは非常に難しいです。倒すなら,パーティを組むか,ある程度のキャラクターの強さとプレイヤースキルが必要になります。

4Gamer:
 実装済みということは,現在もフィールドのどこかを歩き回ってるんですか。

麥谷氏:
 ええ。良いアイテムを落とすので,それを狙ってみるのもいいと思いますよ。


全員が幸せになれるサービスを目指していきたい


4Gamer:
 今後の「黒い砂漠」の展開やアップデートについても教えてください。韓国で実装されているブレイダーや,動画が公開されたヴァルキリーなどの新キャラクターが気になるところですが……。

画像集 No.008のサムネイル画像 / MMORPG「黒い砂漠」の運営プロデューサーはどんな人なのか。オープンサービスから約1か月が経過した現状と今後の展望をゲームオン麥谷氏に聞いてみた
麥谷氏:
 新キャラクターについては,今のところお話しできることがありません。アップデートについてもまだ詳しく話せませんが,次のエリアは西のカルフェオンと東のヴァレンシアの間にある「メディア」を開放することになると思います。

4Gamer:
 待望の……というか,タイトルにもなっている「砂漠」のエリアはまだなのでしょうか。

麥谷氏:
 やっぱり気になりますよね(笑)。メディア開放のときか,その次ぐらいに砂漠を楽しんでいただけるようになると思います。

4Gamer:
 キャラクターと言えば,現在実装されているキャラクターとは別の性別,たとえば「女性ウォーリア」や「男性レンジャー」を作りたいという声はなかったのでしょうか。

麥谷氏:
 プレオープンテスト後のアンケートで結構届いています。我々としても,日本のプレイヤーはキャラクターの性別とクラスの多彩な組み合わせを好むと伝えていて,それぞれ作成可能になるようお願いしたのですが,開発にもこだわりがあるようで,それは実現しませんでした。「男性のヴァルキリーとか,ありえないでしょう」と言われたこともあります。

4Gamer:
 それは,まあ,たしかに。

麥谷氏:
 ブレイダーやヴァルキリーのほかにも,女性のブレイダーや男性のウィザードなどの予定もあるようですが,それぞれ単純に男性ブレイダーを女性にしたものか,ソーサレスを男性にしたものなのか,それともまるで別のクラスなのかは,まだ我々も詳細を把握していないので,お伝えできないんですよ。

4Gamer:
 分かりました。続報を待つことにします。ところで先日,便利アイテムの販売も始まりましたが,今後の予定はいかがでしょうか。

麥谷氏:
 ご好評をいただけているようで一安心ですが,値段を決めるのに一苦労があったんですよ。

4Gamer:
 韓国で発表されているものと比べて,やや低い価格設定ですよね?

麥谷氏:
 ええ。ただ,その価格を決めるために,かなり気を遣いました。どのあたりに金額を設定するかで,社内でもだいぶ議論しましたが,なんとかうまい具合に落ち着いたのではないかと思います。それとこの機会に便利アイテムについて,ひとつプレイヤーの皆さんにお伝えしたいことがあるのですが,よろしいですか。

4Gamer:
 はい,どういったことでしょうか。

麥谷氏:
 韓国の情報を仕入れているプレイヤーさんから,「最大所持重量増加(50LT)」や「最大所持重量増加(100LT)」が便利アイテムのラインナップに入っているのに, 韓国で実装済みの「最大所持重量増加(150LT)」が入らないのかと質問を受けたことがあります。
 たしかにラインナップに入れることは可能ですが,ゲーム全体のバランスを見たうえで入れるか入れないかを決めていて,「最大所持重量増加(150LT)」は“まだ入れるべきではない”と判断しています。

4Gamer:
 なるほど。現状の進行度ではバランスを崩しかねないというわけですね。

麥谷氏:
 ええ。ほかにも韓国で実装済みの便利アイテムはたくさんありますが,韓国でも当初から導入されておらず,時期やバランスを考慮したうえで実装されたという理由があるので,その点はご了承ください。

4Gamer:
 参考までにお伺いしたいのですが,韓国では現在,レベルキャップはいくつなのでしょうか。

麥谷氏:
 日本のレベルキャップはレベル50ですが,韓国ではレベル55が実質のキャップになります。この差も「最大所持重量増加(150LT)」を導入していない理由のひとつですね。アップデートなど順を追って実装していきます。

4Gamer:
 分かりました。ただ,プレイヤーとしては,最大所持量が上げづらい,そもそも上げる方法が分からないという人が多いので……,早めの導入を望む声はあるでしょうね。そういった攻略要素を探すのも楽しみではありますが,もう少し公式でのフォローが必要ではないでしょうか。

麥谷氏:
 基本的なことについては公式サイトのゲームガイドで紹介していますが,伝えきれていないこともたしかです。先日,ニコニコ生放送で第1回めの公式生放送を行い,馬の捕まえ方などを紹介しましたが,そういう機会も利用していろいろと情報を伝えられればと思います。

4Gamer:
 そういったことも含めて,麥谷さんは今後「黒い砂漠」をどのように運営していきたいとお考えですか。

麥谷氏:
 開発元であるPearlAbyssへの意見ももちろんですが,我々の本分はパブリッシャとして,日本の皆さんにいかに楽しんでいただけるかを考えることです。自らプレイして開発者という観点から見て,プレイヤーの皆さんの意見に理解・共感し,開発元と運営,そしてプレイヤーの皆さんすべての人がご満足行く状況をつくり上げていく――のは難しいかもしれませんが,より多くの方々に愛される,楽しまれる「黒い砂漠」を運営していきたいです。
 いずれは,オフラインイベントなども開催し,プレイヤーさんと直接交流して要望を拾い上げていけたらと思います。

画像集 No.006のサムネイル画像 / MMORPG「黒い砂漠」の運営プロデューサーはどんな人なのか。オープンサービスから約1か月が経過した現状と今後の展望をゲームオン麥谷氏に聞いてみた

4Gamer:
 分かりました。では最後に「黒い砂漠」を楽しんでいるプレイヤーに向けてコメントをお願いします。

麥谷氏:
 まだ始まったばかりで,運営に至らない部分も多くあるかもしれません。ですが,より多くの方々に楽しまれて,認められ,喜ばれるような作品になれるように,これからも頑張っていきますので,今後も「黒い砂漠」をお楽しみいただければと思います。

4Gamer:
 本日は,ありがとうございました。


 実際に「黒い砂漠」プレイしてみると,システム的にやれることの多さもさることながら,そこから自分が好きなものを選んで遊べる自由さ,そしてストーリーに強制されず世界を気ままに歩き回れる開放感が新鮮だ。あくまで筆者の感じたことではあるが,似たような気持ちで自由を満喫しているプレイヤーも多いのではないだろうか。

 サービスはまだ始まったばかりで,まだまだ思いも寄らぬ楽しみ方が秘められていそうな「黒い砂漠」。今後のアップデートで,その楽しみ方はさらに広がっていくだろう。序盤がやや複雑に感じられ,またプレイするためのPCスペックも若干高めな本作だが,そこで触らないというのはもったいない。ぜひこの世界そのものを体験してもらいたいと思える作品だ。

「黒い砂漠」公式サイト

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