イベント
VR空間でドラゴン・スピリットを召喚!「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展」メディア向け体験会レポート
このアート展は,2月18日に発売される,和風+サイバーパンクの新セット「『神河:輝ける世界』」を記念したもので,PCやVR機器を通して,収録されたカードのアートなどを,オンラインで閲覧できる。
開催に先駆け,メディア向けの体験会が実施されたので,その様子をお届けする。
「マジック:ザ・ギャザリング」公式サイト
2004年に登場した次元「神河(かみがわ)」ブロック。その1200年後の世界を舞台にした「『神河:輝ける世界』」は,寺院のような屋根を持つ高層ビルをネオンの輝きが彩り,空には龍が舞う,和風+サイバーパンクの世界観が特徴だ。
日本人アーティストによるコラボアートも実施しており,「北斗の拳」で知られる漫画家の原哲夫氏や,コジマプロダクションの新川洋司氏,ゲームや特撮など,幅広いジャンルで活躍している寺田克也氏が,ショーケース版カードを描き下ろしている(関連記事(1)/関連記事(2))。
原哲夫氏インタビュー。「マジック:ザ・ギャザリング」のコラボアートを手がけた漫画界の巨匠は,“厨二”の心を忘れずに“かっこいい人 ”への憧れを込めて絵を描く
「北斗の拳」「花の慶次-雲のかなたに-」などの漫画で知られる原哲夫氏が,「マジック:ザ・ギャザリング」の新セット『神河:輝ける世界』のコラボアートに参加する。原哲夫氏は今回,伝説のプレインズウォーカー「漆月魁渡(しづきかいと)」をアシスタントなしでを描き下ろした。今年で画業40年を迎えた漫画界の巨匠に,制作秘話や創作への姿勢などを聞いた。
《漆月魁渡》(原哲夫氏) |
《梅澤悟》(新川洋司氏) |
《完成化した賢者、タミヨウ》(寺田克也氏) |
「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展」では,原氏,新川氏,寺田氏を含む,総勢83名のアーティストが描いたカードイラストや,134のカードアートなどを,オンラインで鑑賞できる。
閲覧には,PCやOculus Quest2,Oculus Rift/Rift S,HTC Viveなどが必要で,料金は無料。PCのみでも閲覧可能だ。
なお,本稿で使われているスクリーンショットは,PC版及び開発中のもの。画質はPC版が最も高くなるとのことなので,没入感と画質にこだわる人は,PCにVR機器をつなぐのがいいだろう。
会場にはOculus Quest2が用意され,PCに接続した形での体験ができた |
メディア向け体験会には,「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展」に携わった,ウィザーズ・オブ・ザ・コースト日本法人 eスポーツコミュニティマネージャーの西岡英智氏と,ambrのCEOである西村拓也氏,同CXOの番匠カンナ氏が登場し,コンセプトを説明した。
ウィザーズ・オブ・ザ・コースト日本法人 eスポーツコミュニティマネージャーの西岡英智氏 |
ambrのCEOである西村拓也氏 |
番匠カンナ氏 |
今回のアート展を立ち上げた理由のひとつとして,新型コロナウイルスの影響があげられた。巣ごもり需要により,トレーディングカードゲームが盛り上がるものの,カードショップなどを会場にしたイベントを実施しにくいため,リアルなコミュニティが分断されているとのこと。
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは,このようなコミュニティを重視しているため,現在の状況下での取り組みとして,VR技術を使ったメタバース時代のアート展を企画したそうだ。
開発を担当したのは,東京ゲームショウ2021のVR会場「TOKYO GAME SHOW VR 2021」も手がけたambr。「MTG」のアートにフォーカスし,ファンはもちろん,ゲームを遊んだことのない人でも楽しめる,VRならではの体験をしてもらうことをテーマにしたと,話していた。
アートが飾られた会場は,『神河:輝ける世界』の舞台である「都和市」を再現したもの。また,単に歩き回りながら観賞するだけでなく,カード収集やドラゴン召喚といった,インタラクティブ性のある展示を目指して,開発を進めてきたのだという。
メディア向け体験会では,実際に「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展」のVR会場を歩き回ることができた。
アート展の参加者は,最大で12人がログインできるVR空間の都和市に,折り紙と忍者をモチーフとしたアバターの姿で降り立つ。
この都和市は,アートが展示された6つのブロックと,コミュニティスポット「八角堂」から構成されていて,設定にある巨大な「母聖樹」を見上げつつ,ビルの間に走る道を歩くことが可能だ。
現代的な高層ビルは,古風なデザインの屋根を持ち,煌めくネオンがこれを彩る様は美しくもエキゾチック。そのあちこちに幻想的なアートが展示されており,まさにサイバー都市といった趣になっている。
展示されているのは,「『神河:輝ける世界』」の各種カードのアートと,ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの未公開資料,2022年2月16日に公開予定となっているアニメトレイラー(関連記事)の設定資料だ。
アートは,手で“掴む”ことができ,クリエイター自身の解説や,カードになった様といった関連資料とともに閲覧できる。中には下描きを見られるものもあり,絵を描く人にとっては,大いに刺激となることだろう。
なお,各種アートを閲覧することで,バーチャルカードを集められる。バーチャルカードを集めた枚数に応じて自分のアバターが進化して姿が変わるため,コレクション欲もそそられる。
鳥居が並ぶエントランスには,歴代のアートが展示されている |
折り紙と忍者をモチーフとした,参加者のアバター。アートを見てバーチャルカードを集めると,進化していく |
ほかの参加者のアバターがアートを閲覧している姿も見られる |
巨大な「母聖樹」が都和市を睥睨する。“人間がどんなに高いビルを建てても,それを追い越して成長,神の力を見せつける……”という設定そのままの巨大さだ |
都和市のあちこちにはアートが展示されている |
《漆月魁渡》のアートを閲覧。右側に浮かぶのは下描き。なかなか見る機会がない,アート展ならではの品 |
ウィザーズ・オブ・ザ・コースト秘蔵の,「『神河:輝ける世界』」未公開資料 |
展示の中で,特に印象的だったのが,ドラゴン・スピリットの召喚だ。母聖樹の傍らにあるテーブルには,《真夜中の空,殉至》のカードが置かれており,これに触れると,夜空に青いドラゴン・スピリットが召喚される。
巨大なドラゴン・スピリットが祭壇の周囲をぐるぐると巡り,目の前にやってくる様は迫力の一語に尽きる。「MTG」のプレイヤーが頭の中に描いていた光景が,VR空間で体験できるというわけで,VR機器を持っているのであれば,ぜひ接続して参加してみてほしい。
一通りの閲覧が終了したら,八角亭で一休み。ボイスチャットやスタンプ,文字チャットを使って,ほかの参加者とコミュニケーションが取れるので,アート展の感想や「MTG」への思いを語り合うのも楽しいだろう。
なお,アバターには「自分が好きなマナ」「MTGのプレイ年数」「MTG アリーナのID」といった情報を登録できる。他人から見ることが可能で,会話のきっかけにも活用できそうなので,入力しておくことを推奨したい。
閲覧を終え,コミュニティスペース「八角亭」で一休み |
アバターには,「自分が好きなマナ」「マジックのプレイ年数」「マジック:ザ・ギャザリング アリーナのID」といった情報を登録できる |
「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展」は,2022年2月18日10:00〜2月24日21:00にオンライン開催される。
PCがあれば閲覧可能で,Oculus Quest 2をはじめとしたVR機器を用いればVR空間でも楽しめる。環境さえあれば,無料で体験できるので,マジックファンはもちろん,そうでない人もぜひチェックしてみてほしい。
「マジック:ザ・ギャザリング」公式サイト
総勢83名のアーティストが参加した「マジック:ザ・ギャザリングバーチャル・アート展」
原哲夫氏、新川洋司氏、寺田克也氏ら20名のコメントを公開
原哲夫氏「覚悟を決めて取り組んだ。僕の絵で楽しんでくれたら嬉しい。」
「マジック:ザ・ギャザリング(以下、マジック)」の新製品『神河:輝ける世界』の販売開始に合わせ、『神河:輝ける世界』のアートや世界観をオンラインで体験できるバーチャル・アート展「マジック:ザ・ギャザリング バーチャル・アート展」を2月18日(金)より開催。
今回、同アート展に参加した豪華アーティスト陣、『北斗の拳』の漫画家である原哲夫氏や、コジマプロダクションのアートディレクター新川洋司氏、『仮面ライダーW』のキャラクターデザインを担当した寺田克也氏を始めとする20名の方から、マジックへの参加に関するコメントをいただきました。
アーティスト・漫画家情報
■原哲夫/Tetsuo Hara
プロフィール
東京都出身。『北斗の拳』『花の慶次-雲のかなたに-』『蒼天の拳』などの濃密・重厚なる傑作を続々と発表。現在「月刊コミックゼノン」誌上で、織田信長の若き日を描く『いくさの子− 織田三郎信長伝−』を執筆。『前田慶次かぶき旅』の原作にも携わる。また、絵本『森の戦士ボノロン』のプロデュースも務めている。
コメント
覚悟を決めて取り組みました。いつも、できるだけ手がかかる画にチャレンジすることを意識していますが、迫る〆切に『北斗の拳』の連載を思い出しました(笑)。バーチャルアート展に、また展示してもらえることを励みに、新しい作品を描いていきたいと思います。この領域が発展することを望んでいます。
■新川洋司/Yoji Shinkawa
プロフィール
1994年にKONAMIに入社。『メタルギアソリッド』シリーズのキャラクターや背景、メカニカルデザインなど、アート全体を統括。2015年に同社を退社し、現在は小島秀夫氏が設立した新スタジオ、コジマプロダクションに所属。同スタジオの最新作「デス・ストランディング」においてアートディレクションを手掛けている。
コメント
MTGは発売当初に職場の仲間と楽しんでいました。カード用のイラストを描くのは今回が初めてなのですが、とても新鮮な気持ちで描くことが出来ました。ファンの方に気に入ってもらえると嬉しいです。
■寺田克也/Katsuya Terada
プロフィール
北斎とMoebiusに影響を受け、線画を主体に活動し国内外で支持を集める。代表作にマンガ「西遊奇伝・大猿王」、画集「寺田克也原寸」などがある。個展を中心にした展示活動も活発。
コメント
まるで宇宙のような広がりをみせるMTGの世界に足を踏み入れることができてうれしい。そしてバーチャルでのアートエキシビジョンにはこれからの未来のカタチがあると思っている。
■アズール/ Azur
プロフィール
代表作各種TCGなど
・ゲーム会社勤務後、2015年に退職しフリーイラストレーターに。
・2017年からイラストレーターとして活動中。
コメント
日本アーティストのコラボレーションということで従来のMTGのイメージと異なりリアル系というよりは日本特有絵柄を意識しながら製作しました。今回はアニメ塗や和風を取り入れた製作で普段とは違う楽しい製作が出来ました。自分の作品がVRという形でいろんな方にみて頂けるという奇抜で素敵な企画に参加出来ることですごく楽しみです!
■安達洋介/YOSUKE ADACHI
プロフィール
イラストレーター・株式会社スタジオエンカウント代表
代表作 各種TCGやパズドラほか
コメント
高校生のときにMTGに出会い、アートやゲーム性に魅せられました、そのころ愛用してたカードはYotian Soldier。壮大なMTG世界の一端に関われて、この上ない喜びです。
■あんべよしろう/YOSHIRO AMBE
プロフィール
2011年からイラストレーターとして活動中。
主な参加作品 聖剣伝説3 TRIALS of MANA/ファイアーエムブレムヒーローズ等
コメント
完成アートだけでなく、ラフ等の制作過程を観るのが大好きです。VR空間上で偉大なアーティストの皆様の作品をどう鑑賞できるのか、非常に楽しみです!MTGファンの皆さんにも楽しんでいただけたら嬉しいです。
■海鵜げそ/UMIU GESO
プロフィール
フリーランスイラストレーター。各種TCGや、多数ソーシャルゲームでイラストを担当。
コメント
MTGは10代の頃に美しいアートに衝撃を受け、参加させていただいた事を今でも夢のように感じています。今回、VR空間でMTGのアートを鑑賞できると聞きなんて良い時代なんだと思いました。楽しみです!
■えすてぃお/ESUTHIO
プロフィール
「CHUNITHM」キャラクターデザイン、イラスト。「SFマガジン2020年8月号」表紙イラスト。など
コメント
約10年ほどMTGプレイヤーとしてずっとMTGに触れてきた私が、アーティストとして参加できたことはとても嬉しく思っております。今回新しくなった神河の世界を楽しんでいただけたら幸いです。
■黒井ススム/SUSUMU KUROI
プロフィール
「人間不信の冒険者たちが世界を救うようです」、「聖剣王殺」、「アークナイツ」関連、「白夜極光」関連等
コメント
まさか自分がMTGのイラストを描けるとは思っていなかったので、参加させていただき大変光栄です!VRアート展ではどのような展示になるのか、とてもわくわくしております!
■gozz
プロフィール
代表作:各種TCGイラスト、書籍無人島漂着100日日記
TCGで厚塗りのクリーチャーイラスト描く傍ら書籍などで箱庭スタイルの可愛いイラストを描き、様々なタッチで活動しています。
コメント
MTGは子供のころから好きでよくショップで眺めていました。当時はリアルなクリーチャーのイラストが好きでいつかそんな絵でMTGに参加できたらと思ていましたがまさか叶うことが出来てとても光栄です。コロナ禍でVR企画という事でワクワクしていますが少し寂しくもあります。またいつか機会があれば参加させてほしいです。
■ゾウノセ/ZOUNOSE
プロフィール
ゲーム会社での背景アートの業務を経てフリーランスのイラストレーターに。
カードイラスト、ゲームイラスト、ノベルイラスト、イラスト技法書執筆、専門学校講師など幅広く活動中。
コメント
MTGに参加できるなど、未だに夢なのではと疑っています。昔から海外ウケしそうな(要は国内ウケしない)絵柄だと批評されてきましたがこんな形で報われるとは思いませんでした。ありがとうございました!
■タカヤマトシアキ/toshiaki takayama
プロフィール
日本のイラストレーター、キャラクターデザイナー。
多くのカードゲームでクリーチャー、メカなどを描いています。
コメント
今回はVR企画展に参加出来て嬉しいです!是非世界中のMTGファンの皆さんにMTGの素晴らしいアートを楽しんでもらいたいです。
■TAPI岡/ TAPIOCA
プロフィール
代表作各種TCG、FGO概念礼装、ライトノベル、JAMproject20周年アルバムジャケット等
経歴2020年4月からフリーランスのイラストレーターとして活動を開始しました。
もともとは一般企業に勤めていました。
コメント
VRでの展示、とても前衛的で素晴らしいと思います。こういったところからVRを取り入れた活動が波及していき、将来的にはVR上でプレイできたりもするのかなと思うと胸が熱いです。
■中村エイト/NAKAMURA8
プロフィール
「デュエル・マスターズ」「パズル&ドラゴンズ」など、主に日本のホビー、ゲーム向けイラストで活動中。
コメント
TCGの始まりであり、「デュエル・マスターズ」の親とも言える「マジック:ザ・ギャザリング」への参加、とてつもなく嬉しいです!MTGはルールの卓越さも去ることながら、イラストのクオリティも素晴らしいのは言わずもがなで、それを新たな手法で閲覧するVR企画は斬新で興味深く思います。どのような展示になるのか、私も非常に楽しみです!
■七原しえ/Shie Nanahara
プロフィール
FGO概念礼装・戦国無双5・第五人格等ゲームイラスト、TRPG・書籍装画等中心に活動中
コメント
初VRアート展おめでとうございます。MTGイラストの今までにない新しい鑑賞の仕方ですね。特に今回の神河、VRにとてもマッチしているのではと思っておりまして、どのような展示になるのかとても楽しみです。
■西木あれく/ Areku Nishiki
プロフィール
2019年よりフリーランスのイラストレーターとして活動。TCGやソーシャルゲームなどを中心にキャラクター、クリーチャーのイラストを手掛ける。
コメント
MTGのアートは私のファンタジーの原点のひとつであり、幼少の頃に出会ったその衝撃は今も忘れられません。そんな強く影響を受けた作品に自分が関われたことを、あの日の幼い私に届けたいです。
■にじまあるく/NIJIMAARC
プロフィール
各種TCG、書籍、ゲーム内キャラクターデザイン、アークナイツEN版イベントイラスト…等でイラストレーターとして活動中。
コメント
この度は「神河:輝ける世界」発売、VR展開催おめでとうございます!長い歴史のあるMTGに、駆け出しの身の自分も参加させて頂き恐縮ですが、全力で制作させて頂きました!是非、神河の世界を楽しんでください!
■藤ちょこ/FUZICHOCO
プロフィール
ライトノベルやソーシャルゲーム、キャラクターデザインなど様々なジャンルで活動している。最近の主な仕事に「根羽清ココロ」「リゼ・ヘルエスタ」「Omegaα」キャラクターデザインなど。1st画集「極彩少女世界」がBNN新社より、2nd画集「彩幻境」が玄光社より発売中。
コメント
今回の「神河:輝ける世界」は、伝統的な日本文化と近未来が融合したような世界観が素晴らしく、わくわくするアートばかりです。VRという最先端の鑑賞方法で、その世界にじっくり浸ってもらえたら嬉しいです!
■村山竜大/RYOTA MURAYAMA
プロフィール
参加作品:天穂のサクナヒメ、Fate/Grand Order、FINAL FANTASY XVなど
コメント
VR空間での展示ということで、どのような体験が待っているのか楽しみです!
■lack
プロフィール
イラストレーター(キャラクターデザイン、コンセプトアート、VTuberなど)
コメント
VR企画というものが初めてですので、とても楽しみにしております。外出することがなかなか難しい時期ですが、バーチャルな空間でわくわくしてもらえたら嬉しいです。
- 関連タイトル:
マジック:ザ・ギャザリング
- この記事のURL: