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[CEDEC 2011]Unreal Engine採用の国産ゲームが量産される日も近い?「今からアンリアル・エンジンで始めてリスクを最小限に進める為の心得」レポート
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印刷2011/09/08 20:06

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[CEDEC 2011]Unreal Engine採用の国産ゲームが量産される日も近い?「今からアンリアル・エンジンで始めてリスクを最小限に進める為の心得」レポート

エピック・ゲームズ・ジャパン サポート・マネージャー 下田純也氏
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 「CEDEC 2011」の2日目(2011年9月7日),エピック・ゲームズ・ジャパンの下田純也氏を講師に迎えたセッション「今からアンリアル・エンジンで始めてリスクを最小限に進める為の心得」が行われた。

 Unreal Engineは,「Unreal Tournament」シリーズや「Gears of War」シリーズをはじめ,数多くのタイトルに採用されているゲームエンジンである。主にFPS/TPS向けに開発されたものだが,昨今では韓国の「TERA」や「Blade&Soul」といったMMORPGなどにも採用されており,大きな成功を収めている。


セッション冒頭で行われたプレイアブルデモの様子。サードパーソンビューの画面は,UDK(Unreal Development Kit)というゲーム開発ツールキットを用いて,数時間で制作したものだという
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なぜ今Unreal Engineなのか


Unreal Engineにはテンプレートが用意されており,それらを選択することで,ゲームの土台が簡単に作れる。また,Kismetというツールを使うと,ビジュアル化されたノードを繋ぐだけでゲームのロジックを組むことができる
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 Unreal Engineは制作環境やツール類が充実しており,大規模プロジェクトでも活用しやすい仕組みが確立されているのが特徴。制作スタッフが増加しても,使用ライセンス料が変わらないという点も,大規模プロジェクトに適している理由の一つである。
 ちなみにUnreal Engineは,無償で評価試用ができる仕組みになっている。もちろん,タイトルを公式発表する際には正式ライセンスに移行しなければならないが,プロトタイプの制作期間中ならば,無償でサポートも行ってくれるらしい。

 制作の初期から最終段階,つまりプロトタイプの制作から,DVDやBlu-rayといったメディアにデータを焼くまでの工程をサポートしてくれるのも,Unreal Engineの特徴で,これにより制作スタッフは,よりクリエイティブな部分に注力できるというわけだ。なお,プロトタイプ制作の話題については,下田氏により事細かに説明されたが,重要なのは,大規模プロジェクトを想定していたとしても,少人数でプロトタイピングすることだという。やはり「最初から大人数で当たるのはリスクが高すぎる」とのこと。

 Unreal Engineを利用すれば,シリーズ化が容易になることも特徴として挙げられた。下田氏は「Gears of War」シリーズや「MassEffect」シリーズを例に挙げ,ソースが流用しやすいため作業効率が格段にアップすることをアピールした。
 また,マルチプラットフォームへの対応も容易で,ビルドのターゲットを変えるだけでプラットフォームを変更できる。ちなみにUnreal Engineは,PCやコンシューマだけでなく,iOSやAndroidにも対応しているが,エンジン側でラッピングするため,Objective-CやJavaを使わず,C++やUnreal Engine内のスクリプトのみでも制作可能だという。


クオリティを高めるためのアプローチ


クオリティを高めるためのツールの一例として,Game Profilerが紹介された。このツールは,ゲームの進行に従ってどれだけパフォーマンスが落ちたか,といったことを調べられるものだ
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 Unreal Engineでのゲーム制作では,レベル(下地)エディタ上で,デザイナーが制作したマテリアルを貼ったり,効果的なライティング/シャドウイングを施したりすることで,ゲームのクオリティを高めていく。アセットを複数人で共有することで,工数を抑えつつ,高クオリティなゲームが制作できる。


Unreal Engineの導入とリスク


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 「プロトタイピング段階ではネガティブな要素やリスクはない」とアピールする下田氏だが,「大人数でのプロトタイプ制作はリスキーである」という点については繰り返し強調した。Unreal Engineは大規模プロジェクトに向いてはいるが,突然の仕様変更などに対応するためにも,少なくとも初期段階では,少人数でプロトタイピング・パイプラインの検証と構築を行ったほうが良さそうだ。
 Unreal Engineを実際に導入するとしても,「使いこなすのが大変では?」という疑問もあるだろう。それに対し下田氏は,「弊社で講習会を実施しています」と答える。また「エンジンの根幹に関わる技術レベルが,人や会社に残らないのでは?」という疑問もある。これについては,「会社にとって何が大事なことかを見極めるのが大事」であると語る。会社の目的は,技術を蓄えることなのか,面白いゲームを生み出して利益を得ることか。後者であれば社内エンジンにこだわる必要はないし,グローバルスタンダードであるUnreal Engineの扱いに習熟することは,ゲーム制作を続けるうえで大きなメリットとなる。「ゲームを構築するノウハウよりも,ゲームの“面白さ”を構築するノウハウのほうが重要かもしれません」と,下田氏は最後にそう語った。

 ゲームエンジンは数あれど,これまでの実績や人的サポートのことを考えると,Unreal Engineの総合評価は確実に突出している。今回の講演は,Unreal Engine未導入のゲーム開発会社をターゲットとしたものであり,さほど込み入った内容ではなかったのだが,会場は立ち見が出るほどの盛況ぶりで,日本のゲーム関係者からも大きな注目を集めていることがうかがえた。日本において,Unreal Engineを採用したハイクオリティな新作タイトルが続々と発表される日も,そう遠くないのかもしれない。

  • 関連タイトル:

    Unreal Engine

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