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Qualcomm,GPU性能が従来比3割増しの新型ミドルクラスSoC「Snapdragon 660」「Snapdragon 630」を発表
Snapdragon 660は,既存のミドルクラスSoCである「Snapdragon 653」の後継,同様にSnapdragon 630は,「Snapdragon 625」の後継製品という位置づけで,いずれもGPU性能が最大30%向上しているとのこと。また,統合型モデムは従来製品だと下り最大300Mbpsの「Snapdragon X9 LTE」だったのが,新世代モデルでは同600Mbpsの「Snapdragon X12 LTE」となっているのも大きなポイントとなる。そのほか主なスペックは表のとおりだ。
発表によると,Snapdragon 660の機器メーカーへ向けた出荷はすでに始まっているとのこと。Snapdragon 630は,2017年5月末までに出荷が始まる予定となっているので,いずれも2017年後半には搭載製品が市場に登場するのではないだろうか。
Snapdragon 660 | Snapdragon 653 | Snapdragon 630 | Snapdragon 625 | |
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型番 | 未公開 | 8976Pro | 未公開 | 8953 |
製造プロセス | 14nm | 28nm | 14nm | 14nm |
CPUコア | Kryo 260 | Cortex-A72 |
Cortex-A53 | Cortex-A53 |
物理コア数 | 8 | 8 | 8 | 8 |
最大動作クロック | 2.2GHz | 1.95GHz | 2.2GHz | 2.0GHz |
GPUコア | Adreno 512 | Adreno 510 | Adreno 508 | Adreno 506 |
メモリコントローラ | LPDDR4 1866MHz | LPDDR3 933MHz | LPDDR4 1333MHz | LPDDR3 933MHz |
統合型モデム | Snapdragon X12 LTE | Snapdragon X9 LTE | Snapdragon X12 LTE | Snapdragon X9 LTE |
前世代に当たるSnapdragon 650シリーズは,今となってはやや古めの28nmプロセス技術を用いて製造されていた。また統合するCPUもARM製のCortex-A72×4基とCortex-A53×4の組み合わせだったが,そうした古い要素を一掃したのが,Snapdragon 660の大きなポイントである。
製造プロセスは14nm FinFETとなり,CPUコアは,ハイエンドSoCである「Snapdragon 835」と同じく,Qualcomm独自の「Kryo 260」を8基統合する形となった。CPUコアの動作クロックも,Snapdragon 653の最大1.95GHzから,最大2.2GHzへと向上している。
GPUコアは,Snapdragon 653の「Adreno 510」から,「Adreno 512」に変わっているが,DirectX 12やVulkan,OpenGL ES 3.2,OpenCL 2.0といったAPIに対応する点に違いはない。恐らくは,内部のシェーダプロセッサ数を増やしたり,動作クロックを上げたりといったことで性能向上を実現しているのではないかと思われる。
また,メモリコントローラが従来のLPDDR3 933MHz対応からLPDDR4 1866MHz対応へと大幅に進化を果たした点もめを惹くところだ。この強化はシステム全体の性能向上に寄与してくれるはずである。
基本的にはマイナーチェンジモデルと考えて良さそうだが,Snapdragon 625がゲーム用途でも良好な性能を発揮した実績があるだけに(関連記事),その性能向上版として,ゲーム用途でも期待が持てるのではないだろうか。
Qualcommによる当該プレスリリース(英語)
QualcommのSnapdragon 660 製品情報ページ(英語)
QualcommのSnapdragon 630 製品情報ページ(英語)
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