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魔眼のヒキニート,ついに就職。「放課後ライトノベル」第15回は,『レイセン File 2:アタックフォース』で見える……僕にも妖精さんが見えるぞ!
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印刷2010/10/23 10:30

連載

魔眼のヒキニート,ついに就職。「放課後ライトノベル」第15回は,『レイセン File 2:アタックフォース』で見える……僕にも妖精さんが見えるぞ!



 この「放課後ライトノベル」も今回で15回め。自分で言うのも何だが,よくもまあ,ここまで続いたものである。キリもいいことだし,このあたりですっぱり最終回ということにしてもいいのではなかろうか。

 ……いや,だってね,締め切りを一つクリアしたと思ったらすぐ次がくるんですよ。グッとくるネタなんてそうそう当たるもんでもないし。「エルシャダイ」とか「Nice boat.」とか,正直,苦し紛れなんですよ。もう,ゴールしてもいいよね?

 このままでは丘の上の小さな家できれいな奥さんと二人の子供,白い犬とのんびりした生活を送るという夢が遠ざかる一方なので,試しに担当編集様に「もうわたし,実家に帰らせてもらいますっ!」と可愛くすねて見せたところ,「何ですか,それは? バカなことばっかり言ってると,何かが目覚めるまで延々と『マインドシーカー』をやらせますよ」と,身も凍るような脅しを受けてしまった。あんまりじゃなイカ。

 こうなったら本当にスプーン曲げに目覚めて,その力でノストラダムスの予言を阻止してやろうじゃないのさ(編注:過ぎてます)。そして人類の未来を救って,幸せな結婚をしてやる。本当だぞ。歴史が変わるのはここからだ! とは面と向かって言えないので,かくして木っ端ライターである筆者は,今日も血の涙を流しながらキーボードに向かうのであります。

 全国の学生やニート諸君。労働とは,かくも大変なものなのです。世の大人はこうやって,自分や家族の食い扶持を稼いでいるのです。働いたら負けかなと思ってる? そんなこと言ってる奴は,今回紹介する『レイセン』でも読んで労働のつらさ厳しさに涙するがよいです。
 あ,ちなみにこのコラムは今後も続いていくみたいですよ。残念ながら。

魔眼のヒキニート,ついに就職。「放課後ライトノベル」第15回は,『レイセン File 2:アタックフォース』で見える……僕にも妖精さんが見えるぞ!
『レイセン File 2:アタックフォース』

著者:林トモアキ
イラストレーター:上田夢人
出版社/レーベル:角川書店/角川スニーカー文庫
価格:650円(税込)
ISBN:978-4-04-426625-7-C0193

→この書籍をAmazon.co.jpで購入する


●ヒキニート,就職す! 社会の荒波に揉まれろ!


 これは,かつて引きこもりだった,一人の青年の物語である。
 人間たちが日々を営む裏で,魔人や神,精霊といったものたちが確かに存在し,互いに関わり合いながら生きている世界。10社連続で採用試験に落ちた引きこもりの青年・川村(かわむら)ヒデオは,知人の紹介でどうにか宮内庁神霊班に就職する。職務の特殊性ゆえに公にはされない存在だが,悪霊を祓い,人知れず社会の平穏を守るれっきとした公務員だ。

 だが,念願の就職を果たしたと喜んだのもつかの間,いつも巫女姿で同年代の上司・名護屋河睡蓮(なごやかわすいれん)に初対面でいきなり殴られるわ,唐突に悪霊退治に連れて行かれるわ,自称「ゴスロリの妖精」こと闇の守護精霊・闇理(あんり)ノアレにとり憑かれるわと,配属初日から散々な目にあってしまう。その後も謎の武装集団に襲われたり,酔っ払った上司に絡まれた挙句,収納の奥に大事にしまってあった秘蔵のエ○ゲを発掘されたりと,日々心の休まる暇がない。

 かつてヒデオが何よりも望んだ,念願の「就職」。だが,それを手にしたらしたで,その先に待っていたのは危険と理不尽と不条理とが毎日のように肩を並べて襲いかかってくる日々。これが働くということか。これが職を得るということなのか。無職時代には決して知りえなかった苦難に振り回されつつも,今日も職場に足を運ぶヒデオ。

 果たしてヒデオは,度重なる難局を乗り越え,立派な社会人となることができるのか? これはそんな,一人のサラリーマンの成長譚なのである……多分。


●武器は目つきと口八丁!? 前代未聞の主人公


 とまあ,そんな感じで日々苦労を重ねるヒデオに,10月に刊行されたこの最新2巻では,さらなるトラブルが襲いかかる。

 独自に霊を祓う謎の少年少女たちの集団,「フォース」との邂逅があったかと思えば,新たに神霊班にやってきたインストラクターにビシバシとしごかれ,最後には1巻に続いて登場する,謎の武装集団との戦闘に突入。いくら上司から日々鍛えられているとはいっても,貧弱な引きこもりだったヒデオには荷が重い事件の数々だ。

 だが,そんなときに生きてくるのが彼の目つきの悪さと,ここぞというときの機転。ただごとではない邪悪な目つきに相手はヒデオを過大評価し,そこにヒデオのハッタリが加わることで,勝手にどつぼにはまっていくのだ。ライトノベルでもほかに類を見ない,目つきの悪さとハッタリで戦う主人公の雄姿に刮目せよ! ……書いてて遠い目をしたくなってきた。

 終盤では新たな敵の存在が明らかになるなど,物語は緊迫感を増しているが,その一方で独自の“世界観”に浸りきった言動が香ばしくて目が離せない新キャラクター(上述のフォースの一人)の登場や,ヒデオの「目からビィィ――――――――ムッ!!」(詳細はぜひ本編をどうぞ)などのユーモアも忘れてはいない。全体的にはヒデオの受難ぶりに同情しつつ,軽い気持ちで読んで楽しめるエンターテイメント作品である。


●『レイセン』をより楽しむために


 実はこの『レイセン』は,著者が過去に手がけた『戦闘城塞マスラヲ』の直接の続編にあたる。

 かつてヒデオは,就活に失敗し続けたことで食うに困った挙句,死のうとしたことがある。そんなときに彼が出会ったのが,電子の精霊・ウィル子。彼女の導きによって,ヒデオは神器「聖魔杯」をめぐる戦いに参加することになる。単なる人の身でありながら,聖と魔が入り乱れる世界で敢然と戦い続けたヒデオは,紆余曲折を経て,誰も成し得なかった偉業を成し遂げるのだった――と,ここまでが『マスラヲ』の話。

 そんな彼が再び就職に失敗し,引きこもりとなるに至った経緯とは。ヒデオが成した「偉業」とはどんなものなのか。それらが気になった人は,ぜひ『マスラヲ』も手に取っていただきたい。「あのヒデオにこんな過去が……!?」と驚愕すること請け合いだ。

 また『レイセン』には,ヒデオやウィル子をはじめ,『マスラヲ』で活躍したおなじみの人物や,その関係者が多数登場してくる。その意味でも,『マスラヲ』を読んでいると『レイセン』がより楽しめるだろう。
 そもそも『マスラヲ』自体,前々作である『お・り・が・み』のその後の物語という位置づけになっている。大きな広がりを持つ林トモアキワールドの導入として,まずは1冊どうぞ。

■ヒキニートでも分かる,林トモアキ作品

『ミスマルカ興国物語 I』(著者:林トモアキ,イラスト:ともぞ/角川スニーカー文庫)
→Amazon.co.jpで購入する
魔眼のヒキニート,ついに就職。「放課後ライトノベル」第15回は,『レイセン File 2:アタックフォース』で見える……僕にも妖精さんが見えるぞ!
 著者・林トモアキは1979年9月17日生まれ。『九重第二の魔法少女』で第5回角川学園小説大賞優秀賞を受賞,同作を改題した『ばいおれんす☆まじかる!』で2001年にデビュー。ちなみに同期の受賞者には『NHKへようこそ!』の滝本竜彦がいる。デビュー後は『お・り・が・み』『戦闘城塞マスラヲ』『ミスマルカ興国物語』『レイセン』と精力的に活動。なお,著作は一貫して角川スニーカー文庫から刊行されており,同レーベルを代表する作家の一人といえる。
 結末がまったく読めないほどの風呂敷の広げ方,ファンタジー世界に麻雀を持ち込むなどの発想力,キャラクターの性格や作中の価値観が次々に変わるめまぐるしい展開などなど,ともすれば暴走とも思える大胆な物語作りに定評がある。
 なお本文では『お・り・が・み』『マスラヲ』『レイセン』の関連性について触れたが,実のところ著作のすべてが同一の世界観上にあり,丹念に作品を追いかけているファンならニヤリとできる場面もしばしば。一つでも気に入った作品があったなら,ぜひほかの作品までコンプリートしてほしいところだ。

■■宇佐見尚也(ライター)■■
『このライトノベルがすごい!』(宝島社)などで活動中の夢見るライター。今回の原稿を送ってきたあと,「恐れながら申し上げますが,今回の導入部分はまったくのフィクションでございます。それはもう,日々楽しく原稿を書かせていただいておりますとも。……やだなあ,ウソナンテツイテマセンヨ?」と,すかさずフォローを入れることも忘れない,空気が読める社会人の宇佐見氏。もちろん,そのような事実は一切ありませんよね(ニコッ)。
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