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本物の変態だね。ああ,間違いない。「放課後ライトノベル」第14回は,超ドM級ラブコメ『えむえむっ!10』で美少女に足蹴にしてもらおう!
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印刷2010/10/16 10:30

連載

本物の変態だね。ああ,間違いない。「放課後ライトノベル」第14回は,超ドM級ラブコメ『えむえむっ!10』で美少女に足蹴にしてもらおう!



 いきなりだが,最近,いわゆる“Nice Boat. 事件”で有名なとある美少女ゲームをプレイしている。

 数年前,アニメ版の最終回がさまざま事情により放映中止となり,代替番組として本編とまったく関係のない船などの環境映像(実写)が流され,それを見た多くの人々が混乱し泣き叫ぶ中,一人の視聴者が“Nice Boat.”と,シュールかつ当を得たコメントを残したことで知られるこのゲーム。そのリニューアル版が先日発売されたので,いい機会とやってみることにしたのだ。

 アニメの内容が内容だったということもあって,主人公のM . I君(仮名)がひどい目にあうのを期待しつつプレイしたのだが,あるヒロインに肩入れした結果,普通にハッピーエンドを迎えてしまった。ええい,そうじゃないだろう。何やってるんだ,自分! なんかプレイの方向性が間違ってる気がしないでもないが,次回は慎重に選択肢を選んで,今度こそM . I君(仮名)を不幸のどん底に落としてやりたいと思う。

 それにしても,主人公(≒自分)がひどい目に遭うのを期待してゲームをやるなんて,もしかして自分はお天道様の下を歩いちゃいけないM(マゾ)野郎なのでは……と思ったが,やっぱりすぐに思いなおした。むしろ,この程度でMを名乗ってはいけない。ライトノベル界には,これまでのMの概念を覆すような,とてつもなくMな男が存在するのだ。

 その男の名は砂戸太郎(さどたろう)。今回の「放課後ライトノベル」で紹介する『えむえむっ!』の主人公だ。

 「サドなのにM?」と突っ込んではいけない。奴こそはMの中のM。筆者のごとき生半可なM属性ではとても太刀打ちできない,見ると思わず「キモい……」とつぶやいてしまう,真正のドMなのである。
 そんな奴が主人公な話であるにもかかわらず,なんとこの秋からTVアニメの放映が始まってしまった。大丈夫か日本。ここは危険だから,録画予約は筆者にまかせてみんなは先に避難するんだ!

本物の変態だね。ああ,間違いない。「放課後ライトノベル」第14回は,超ドM級ラブコメ『えむえむっ!10』で美少女に足蹴にしてもらおう!
『えむえむっ!10』

著者:松野秋鳴
イラストレーター:QP:flapper
出版社/レーベル:メディアファクトリー/MF文庫J
価格:609円(税込)
ISBN:978-4-8401-3510-8

→この書籍をAmazon.co.jpで購入する


●前代未聞,究極絶対ドM体質の主人公


 中学時代,ある事件をきっかけにMに目覚めてしまった太郎。それ以降,女の子(身内除く)から暴力や冷たい視線,罵詈雑言を浴びせられると,苦痛ではなく快感を感じるようになってしまう。そのせいで,同級生たちから距離を置かれるようになった彼は,知り合いの少ない私立高校に進学,M体質を隠して日々を送っていた。

 そんな太郎に,あるとき気になる女の子ができた。何とか思いを伝えたいのだが,M体質を直さなければ拒絶されるのは必至。そこで彼はワラにもすがる思いで,「生徒の願いを叶えてくれる」という第二ボランティア部を訪れ,先輩の石動美緒(いするぎみお)たちと共に,ドM体質を治すべく奮闘することになる――

 ……のだが,美緒が提案するドM治療法はどれも妙ちきりんなものばかり。彼女の治療法を試すたび,太郎はひどい目にあってはMを発動させ,「え,えへ,えへへ,きもちいいいでしゅおんぴゃ〜」だの「あびゃあああああああああああんりょらんぺっろろおんぴいいい――っっ!」だの叫んで快感にのた打ち回るのである。

 ね? キモいでしょ?
 しかも恐ろしいことに,砂戸家の男には代々M体質が受け継がれていた。つまり,太郎のドMは先天的な,筋金入りのもの。生まれながらにしてドMの烙印を刻まれてしまった太郎の因果,宿業を思うと……いくらなんでも変態すぎるだろう!


●朱に交わればなんとやら? 問題だらけのキャラクターたち


 とまあ,思わず本気で突っ込みたくなる太郎の変態っぷりを軸に話が進む『えむえむっ!』だが,実は周囲の面々もそれに負けないくらいの変態(もしくは問題児)ばかり。

 太郎を「ブタロウ」と呼ぶ美緒は女王様気質のドSで,第二ボランティア入部後,太郎がドMを発動させるもっぱらの原因となっている。太郎がM体質に目覚めるきっかけを作った張本人である結野嵐子(ゆうのあらしこ)は,極度の男性恐怖症であり,男に触れると反射的に殴り飛ばしてしまう。第二ボランティア部の顧問にして保健医の鬼瓦(おにがわら)みちるは,教師でありながら美緒たちにコスプレさせて写真を撮るのが趣味という,やっぱりどこか間違ったお方だ。

 ほかにも,女装が趣味で女装すると人格が変わってしまう太郎の友人・葉山辰吉(はやまたつきち),弟LOVEな太郎の姉・静香(しずか),息子LOVEな太郎の母・智子(ともこ)など,いずれも太郎に引けを取らない変態的な性癖の持ち主が揃っている。こうした連中に囲まれて,太郎のドMが治ると思うほうが間違いなのかもしれない……。

 もっとも,太郎が自分の性癖に悩んでいるように,美緒や嵐子にも秘めた悩みがあり,ときに太郎はそれを解決するために男気を見せる(ドMなのに)。そしてそんな太郎の姿に,少女たちもいつしか淡い思いを抱くようになる(ドMなのに)。いいのかそれで!? 思いとどまるなら今だぞ!


●太郎よ,ドMの希望の星となれ!


 最新10巻で,太郎たちは2年生へ進級。心機一転,脱ドMを目指してがんばる……かと思いきや,やっていることは割といつもどおり。

 遅々として進まないドM治療に新たな風を吹き込むべく,第二ボランティア部の面々が新入部員獲得を目指す「新入部員獲得物語!」,ゲームの中に入ってしまった先輩を助けるべく,太郎が「ラ○プラス」っぽい恋愛ゲームに挑戦する「愛情ポイントをアップアップです!」,短編1話分を丸々使って行われる「えむえむっ!人気投票結果発表」,そしてなぜか太郎が大食い対決に挑むことになる番外編「限界突破の大食い対決!」と,いろいろなイベントはあるものの,美緒の唯我独尊っぷりや,嵐子の男性恐怖症,そしてもちろん太郎のドMっぷりは相変わらず。こんなんで本当にM体質が治るのか? と,思わず(何度目かの)疑問を抱いてしまう。

 が,ブタだのキモいだの罵られながら日々を送る太郎が,(罵られることによる快感を抜きにして)どこか充実しているようにも見えるのは筆者だけだろうか。
 美緒や嵐子も,多少(?)の問題に目をつむれば,可愛いところもある女の子たち。そんな彼女たちに囲まれ,ときに頼られる生活は,ドMであっても悪い気はしないものだ。そもそも太郎がM体質でなければ,彼女たちとこうして深く関わることもなかったのだから。

 M体質である自分に悩みつつも,それをきっかけに出会った人々との関係を大切にし,日々を楽しく生きている太郎。そんな彼の姿はきっと,人知れず自分の性癖に悩む読者たちに希望を与えてくれるに違いない……とか言ってみたりして。いやいや,自己紹介じゃありませんから。

■ドMでもすぐ分かる,松野秋鳴作品

『青葉くんとウチュウ・ジン』(著者:松野秋鳴,イラスト:超肉/MF文庫J)
→Amazon.co.jpで購入する
本物の変態だね。ああ,間違いない。「放課後ライトノベル」第14回は,超ドM級ラブコメ『えむえむっ!10』で美少女に足蹴にしてもらおう!
 著者・松野秋鳴は兵庫県川西市出身,同市在住。『自己中戦艦2年3組』で栄えある第1回MF文庫Jライトノベル新人賞の優秀賞を受賞,同作を改稿した『青葉くんとウチュウ・ジン』で2005年にデビュー。2007年からスタートした『えむえむっ!』が人気作となり,コミック化,ドラマCD化に続いて,この秋にTVアニメ化を果たした。
 『青葉くん〜』は突如教室が宇宙戦艦になってしまい,元の地球に戻るべく少年たちが奮闘するSFバトル&コメディ,『えむえむっ!』はドMの少年を主人公としたラブコメディと,作品の方向性はまったく異なるが,平易な文体でテンポよく進む作風はどちらにも共通するところ。デビュー当時,のちに本屋大賞受賞・直木賞候補作家となる冲方丁をして「僕はこの方の自称後見人」と言わしめた地力の高さで,今後どんな作品を送り出してくるのか楽しみだ。

■■宇佐見尚也(ライター)■■
『このライトノベルがすごい!』(宝島社)などで活動中のライター。先日,PlayStation Storeのゲームアーカイブスにて,長らくやりたいゲームの上位に入っていた「ガンパレード・マーチ」が配信され,さっそく購入した宇佐見氏。「この時をどれだけ待ちわびたことか! 1日も早くプレイするためにもさっさとM.I君(仮名)を不幸にせねば……フハハハハ!」と意気込む姿を見ていると,実はMじゃなくてSなんじゃなかろうかと思えてくるのだが,どっちにしてもアレなので深くは追及しないでおきます。
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