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「ロックマンエグゼ」20周年記念企画。直撃世代の筆者が,思い出と共に全ナンバリング作品を振り返る
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印刷2021/03/21 00:00

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「ロックマンエグゼ」20周年記念企画。直撃世代の筆者が,思い出と共に全ナンバリング作品を振り返る

 2001年3月21日,ゲームボーイアドバンスと同日に発売された「バトルネットワーク ロックマンエグゼ」(以下,エグゼ)が本日(2021年3月21日)で生誕20周年を迎える。
 「エグゼ」シリーズはカプコンが展開するアクションRPGで,2001年3月から2005年11月にかけて6つのナンバリング作品が展開された。それまでの「ロックマン」とは異なる新たな世界観や独自のゲームシステムが人気を博し,今もなお根強いファンを持つシリーズだ。

画像集#001のサムネイル/「ロックマンエグゼ」20周年記念企画。直撃世代の筆者が,思い出と共に全ナンバリング作品を振り返る

 本稿では,当時子供だった「エグゼ」直撃世代の筆者が,当時を振り返りながら改めてその魅力を考えてみたい。
 また,記事の後半にはシリーズの全ナンバリング作品を,当時印象的だった戦法やバトルチップと共に振り返っているので,目を通してほしい。

「ロックマン」シリーズ公式サイト



ロックマンなのに「ロボット」じゃない。近未来のネットワーク社会を描く世界観


 「エグゼ」シリーズの舞台はインターネットなどのIT産業が非常に発達した社会。人々は「PET(Personal Terminal)」と呼ばれる携帯情報端末と,その中に組み込まれた疑似人格プログラム「ネットナビ」を介して,日常生活におけるさまざまな物事を行い,便利な生活を享受している。
 一方,ネットワークの発展に伴い増加するネット犯罪も深刻な社会問題となっており,組織ぐるみの犯罪が世間を騒がせていた。
 シリーズでは一貫して,主人公の光 熱斗とその相棒ナビ「ロックマン.EXE」が,犯罪組織が巻き起こす事件に巻き込まれ,立ち向かう姿を描いている。

画像集#002のサムネイル/「ロックマンエグゼ」20周年記念企画。直撃世代の筆者が,思い出と共に全ナンバリング作品を振り返る

 世界観を見ても分かるが,「エグゼ」シリーズは「ロックマン」というカテゴリの中では異色の存在だった。
 無印の「ロックマン」といえば,ロボット工学の発達した近未来を描いた作品だし,それは「ロックマンX」シリーズでも変わらない。世界観やシステムがガラリと変わった「ロックマン DASH」でさえも裏設定的にはつながっていることが公式で明言されている(関連リンク)。
 一方「エグゼ」は,それまでのシリーズとはまったく異なる社会を描いており,直接的な歴史のつながりも持たない。キャラクターのビジュアルもガラリと変わっており,小学生だった筆者も当時雑誌で新たなロックマンの姿を見て「え,これが!?」と驚いた記憶がある。

画像集#003のサムネイル/「ロックマンエグゼ」20周年記念企画。直撃世代の筆者が,思い出と共に全ナンバリング作品を振り返る

 ただ,この“異色の世界観”が,受け入れられなかったかと言うとそうではなかった。「エグゼ」シリーズが発売された2001年ごろというのは,インターネットが一般家庭にも普及し始めた時期である。
 しかし,そうは言ってもどの家庭にもネット回線が引かれていたわけではなかったし,街中にWi-Fiが飛んでいることもなかった。多くの子供たちにとって,インターネットへの物理的な距離感は少なくとも今よりずっと遠かったのだ。

画像集#004のサムネイル/「ロックマンエグゼ」20周年記念企画。直撃世代の筆者が,思い出と共に全ナンバリング作品を振り返る

 その点で「エグゼ」は,インターネットの世界を“電脳世界”としてサイバー感あふれるグラフィックスとBGMで表現しつつ近未来を描き,うまくゲームに落とし込んでいたと思う。
 また,電脳世界の浅いところでは,掲示板(BBS)で見知らぬ人たちがゆるく交流している一方,「ウラインターネット」と呼ばれる場所では,ガラの悪そうなナビたちが怪しくディープな会話をする様子が描写されていた。おそらく,普通の掲示板とアングラな雰囲気のあった匿名掲示板などとの対比が表現されていたのだろうが,こういった当時のネット社会をうまくデフォルメした描写も,当時の子供たちにとっては魅力だった。
 「エグゼ」は子供たちが描くインターネットという未知の世界への憧れを満たし,ネット社会の“新たなロックマン”として受け入れられていったのである。

もはや死語となっている“ネチケット”という単語で注意してくる掲示板の住人や,ネットのアングラな側面を表した“ウラインターネット”など,現実のネット社会を想起させるエッセンスがちりばめられていた
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無印ロックマンに登場したボスキャラたちも「エグゼ」風にアレンジされて登場
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「エグゼ2」から「エグゼ6」にかけて,ロックマン恒例の一般公募のボスを登場させる「ボスナビコンテスト」も開催された。採用されたナビはどれもハイレベルなデザインばかり
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カードゲームを遊んでいた子供を夢中にした“データアクション”


 世界観も素晴らしいが,「エグゼ」シリーズのもう1つの魅力は“データアクション”と呼ばれる戦闘システムにあった。

 戦闘は,縦3×横3に分けられた自陣と敵陣が向かい合ったバトルエリアで展開される。面白いのは,通常攻撃の「ロックバスター」以外にも「バトルチップ」と呼ばれる攻撃手段が用意されていることで,プレイヤーはあらかじめ30枚のチップで構成された「フォルダ」を用意して戦闘に挑むことになる。

 戦闘のパートは,「カスタム画面」と「アクション画面」の2つに分かれており,カスタム画面は,ロックマンに送るチップを選ぶフェイズだ。30枚の「フォルダ」から手札となる5枚のチップがランダムに配られるので,プレイヤーは好きなチップを選択する。その後はアクション画面でロックマンを動かし,選択したチップなどを駆使して,敵と戦っていく。
 チップを使い切ってしまった場合でも,時間経過とともに画面上部のカスタムゲージが増えていき,MAXになると再びカスタム画面に移ってチップを再選択できる。カスタム画面でチップを選び,アクション画面で攻撃する……これを繰り返し,最終的に敵の体力をゼロにすれば勝利だ。

画像集#013のサムネイル/「ロックマンエグゼ」20周年記念企画。直撃世代の筆者が,思い出と共に全ナンバリング作品を振り返る

 このカードゲームとアクションゲームを融合させたようなシステムが非常に戦略的で面白かった。単に攻撃力の高いチップを入れれば勝てるというわけでもなく,地形に影響を及ぼすチップや相手のエリアを狭めるチップなどをうまく絡め,戦略を練る必要があった。
 「勝ち筋を決めてフォルダを構築する力」「その勝ち筋を通していくアクションの腕前」という2つが求められ,バトルに奥深さがあったのだ。

1ターンに選べるチップは同じ種類のものか,コード(チップごとに設定されているアルファベット)が同一のものに限られる。ある程度フォルダのコードを統一することも勝つための重要なポイントとなる
画像集#014のサムネイル/「ロックマンエグゼ」20周年記念企画。直撃世代の筆者が,思い出と共に全ナンバリング作品を振り返る

 2001年当時,「エグゼ」のメディアミックス先であった,月刊コロコロコミックでは,すでに「デュエル・マスターズ」(まだ「マジック・ザ・ギャザリング」で戦っていたころ)が連載されていたし,週刊少年ジャンプでも「遊☆戯☆王」が展開されていた。ちょうど子供たちの間でトレーディングカードブームが起きていた時期だ。

 そんな最中に発売された「ロックマンエグゼ」がはやらないわけがなかったし,当時小学生だった筆者のクラスも例外ではなかった。
 毎日クラスでは「今どこまで進んだ?」みたいな話ばかりしていたし,ひとしきりゲームを進め終えた後は,通信対戦に夢中になった。放課後は誰かの家に集まって対戦三昧で,友達に勝つ戦術を編み出すために関連雑誌を読んだり,学校や図書館のインターネットでコッソリ情報を調べたりしたこともあった。
 「エグゼ2」で有名なあの「プリズムコンボ」の情報が発覚したときは「あの戦法は卑怯か否か」という半ばケンカに近い議論を友達と交わした。今となっては笑い話だが,当時はそれくらい皆「エグゼ」に真剣だった。言うなれば,小学生たちのコミュニケーションツールだったのだ。

毎年の次世代ワールドホビーフェアで配られる特別なチップは,プレイヤーなら誰もが欲しがるものだった。地方に住んでいた筆者はどうしても欲しくて,関東在住の親戚に当選ハガキとソフトを送って取りに行ってもらった記憶がある
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特定のチップを組み合わせて選択すると発動するプログラムアドバンス(P.A)もロマンあふれるシステム。チップの合体演出が挟まるため,通信対戦で使うときは音を消さないとばれる,音を消していてもなかなかチップを選び終わらないとP.Aを疑われる。それを逆手にとった心理戦を仕掛ける人もいて,対面での駆け引きも楽しかった
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近未来を鋭く予測した「ロックマンエグゼ」。改めて遊ぶと新たな一面が見えるかも?


 ゲームボーイアドバンスの歴史と共に始まった「エグゼ」シリーズは,毎年のようにナンバリング作品をリリースし,2005年11月に発売された「ロックマンエグゼ6 電脳獣グレイガ/ファルザー」で幕を閉じた。
 2005年といえばすでにニンテンドーDSがリリースされており,ゲームボーイアドバンスは役目を終えつつあったが,その中で「エグゼ6」はゲームボーイアドバンス専用タイトルとして発売された。まさにゲームボーイアドバンスと共に歩んだシリーズだったと言えるだろう。

「エグゼ6」のエンディングでは最後に「ロックマンエグゼ おわり」と表示される。筆者はこれを初めて見たときは「本当に終わってしまう」という現実を突きつけられた気がして,ちょっと言葉にできないような寂しさに襲われた
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 この記事を書くにあたって改めてシリーズをイチからプレイしてみたのだが,ゲームの中で描かれている近未来が,現代社会で実現しつつあることには驚いた。
 「PET」は,多機能な現代のスマートフォンに通ずるものがあるし,インターネットとつながる「IoT家電」の描写が2002年発売の「エグゼ3」で出てきている。「ロックマンエグゼ」は約20年前に,鋭く近未来のビジョンを描いていたのである。

画像集#017のサムネイル/「ロックマンエグゼ」20周年記念企画。直撃世代の筆者が,思い出と共に全ナンバリング作品を振り返る

 確かに発売当時のような近未来に対する期待感やワクワク感を持ってエグゼシリーズを遊ぶことはもうできないだろう。だが,あえて20年経ち現実世界が“近未来”となった今,プレイするからこそ見えてくる新たな一面もあるのかもしれない。

発達した社会なのに交通系のICカードはなく,地下鉄にはきっぷを買って乗る。今遊ぶからこそ感じる“レトロ”な近未来を楽しむのもいいだろう
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シリーズごとに街の描写などを比較してみるのもいいだろう。特にやいとの部屋は雰囲気がガラリと変わるので面白い
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実機で遊ぶ手段以外には,Wii Uのバーチャルコンソールでダウンロード版が配信されている。これを機に改めてプレイしてみるのもいいかも?
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  • 関連タイトル:

    ロックマン エグゼ オペレート シューティングスター

  • 関連タイトル:

    ロックマンエグゼ5 DS ツインリーダーズ

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