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「LJL 2024 Spring Split」開幕直前特集。新しくなったマップや環境,ガラっと変わったチーム事情などをまとめて紹介
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印刷2024/01/20 00:00

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「LJL 2024 Spring Split」開幕直前特集。新しくなったマップや環境,ガラっと変わったチーム事情などをまとめて紹介

 LJLの春――LoLことPCオンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」(League of Legends)の国内プロリーグ「LJL 2024 Spring Split」が,本日2024年1月20日17:00より開幕する。

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 本大会は春夏の年2回で開催される,LoLの国内大会だ。大会上位チームはトーナメント戦などを経て,国際大会に出場できる。

 今季は大会フォーマットが一新され,サモナーズリフト(マップ)やアイテムにも大規模な変更があった。
 ぶっちゃけ変わりすぎていて「もうなにをチェックすりゃいいのか分かんない!」なんて人もいることだろう。

 そこで本稿では,Spring Splitでの変更点を一挙におさらい。試合を揺るがす“ヴォイドグラブ”や注目のチャンピオン,出場チームの気になる点などを紹介していく。開幕から事情通になるなら今だ!


「LoLざっくり用語解説」


■文中の「レーン」と「ロール」の表記:
・レーンを指すときは,カナ表記(トップ,ジャングル)
・ロールを指すときは,英語表記(top,jg)

■チャンピオン:LoLのプレイアブルキャラクター

■パッチ:ゲームバージョン。LoLでは2週間ごとにパッチが提供され,短期間で環境(メタ)が変わる

■top:マップ上のトップレーンを守る役。前線を張りやすいチャンピオンが選出され,シビアな1vs.1の戦いを要求される

■jg:マップ内のジャングル地帯を動き回る役。各レーンに干渉する司令塔で,jgが介入するレーンでは戦闘が起こやすい

■mid:マップ中央のミッドレーンを守る役。範囲攻撃のメイジや,敵後衛を刺すアサシン系のチャンピオンが選ばれやすい

■bot:マップ下のボットレーンを守る「adc」「sup」の2プレイヤーのことを指す。とくに戦局の行方を握りやすい激戦区

■adc:アタックダメージキャリー。チームの火力役。単身だと耐久面が心もとないため,相棒のsupに守られながら成長

■sup:サポート。adcをはじめ,チームの守護役。bot以外を動き回ることも多く,jgと同じく戦いの火蓋を切ることも



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 ライアットゲームズは,「リーグ・オブ・レジェンド」の国内プロリーグ“LJL 2024 Spring Split”を,2024年1月20日17:00から開催する。これに伴い,大会形式の変更もあった開催概要および全日程スケジュールが発表された。

[2024/01/19 18:56]

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今季の大会フォーマット編


 まずは先日発表があった「今季の大会フォーマット」から見ていこう。大きな流れをざっくりと箇条書きでお伝えすると

〇LJL レギュラーシーズン
・リーグ戦。総当たり戦を2回行う“ダブルラウンドロビン”
・試合形式はBO2(2本先取で勝利。1-1は引き分け)
・上位4チームは決勝トーナメント「LJL プレイオフ」に進出
・順位はシーズンポイント(勝ち点)で決まる
 ※勝利:3点
 ※敗北:0点
 ※引き分け:両チーム1点ずつ

〇LJL プレイオフ
・トーナメント戦の“シングルイリミネーション”
・試合形式はBO5(3本先取で勝利。最大5ゲーム)
・3位決定戦あり
・上位3チームが国際大会「PCS プレイオフ」に進出。PCS(台湾,香港,マカオ)地域とLCO(オセアニア)地域の代表チームと激突

〇PCS プレイオフ
・PCSは上位6チーム,LCOは上位2チーム,LJLは上位3チームが出場
・勝利チームは「Mid-Season Invitational」(MSI)の出場権を得る

〇Mid-Season Invitational(MSI)
・全地域の代表選手が集まる春季国際大会

こちらが日程。1日にBO2を3試合。計6戦を観戦可能
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 というのがざっくりな説明となる。

 PCS プレイオフ以下は“国際大会”となる。LJLの観戦未経験者は「なんかそういうのがある」と覚えておくだけでいい。
 LJLの観戦経験者であれば「デカい国際戦の前に,ひとつ小さな国際戦がはさまるようになった」と覚えておこう。

 形式の賛否は置いといて,個人的には“多くのチームが国際大会に出られるようになった”のがとてもうれしい。頂上の世界戦で華々しく戦うための道のりはより険しくなったものの,各チームが幅広に経験を積めるようになったことが,リーグ全体の成長につながると信じている。

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 話題が国外に高飛びしてしまったが,国内に戻ろう。

 気になるのはBO2となった試合形式だ。昨年までのBO3(2本先取の最大3ゲーム)のように,「1本目は勝ったから,2本目は様子を見つつ……」といった戦略を試すのが難しくなった。
 2本連続で勝ちきる自力はもちろん,1ゲームで相手チームを研究・対策しきる“コーチ&アナリスト陣の分析力”がより重要になる。

互いのチャンピオンを取る&消す“バン&ピック”フェーズは今までどおりの見どころ
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 ただ,観戦側としてBO2形式は非常にありがたい。BO2だと最大ゲーム数が変わらないため“アーカイブ視聴時にネタバレされない”のだ。

 以前のBO3の場合,試合をアーカイブで視聴しているとき,動画の残り時間からして「あ,この試合は落とすんだな」「あ,これはストレート勝ちね」と察したことが何度もあった……。

35分時点,かつ両者拮抗した試合展開でも「残り時間の尺的に,あともう1試合あるからV3が勝つんだろうな」と予測できてしまう。まさにアーカイブ視聴者の悲しみだ。今季はそんなネタバレとはおさらばっ
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 BO2にはネタバレがない。絶対に2ゲームやるので,試合を最後まで見ないとどちらが勝つのか分からない。もちろん外部情報をシャットアウトする必要はあるが,急用や仕事により,好きなチームの活躍をリアルタイムで追えない日も,純粋な心で試合の行く末を楽しめる。

 逆に「負けたチームが取り返して1-1に! どっちがこの試合を制するんだ!?」みたいな熱さはなくなってしまったが,“2勝は必須”という部分を残しつつ,適度にカジュアルなBO2は個人的に好印象だ。

 懸念としては(ケネンの持論ではない),「サイドの選択権を持つチームが強く,結果的に1-1ばかりになってしまう」なんて事態になること。そのうえで新形式が紡ぎ出すドラマが今から楽しみでならない。


今季のサモナーズリフト(メタ)編


 続けて,今季のメタ(環境)についておさらいしよう。

 ……とは言ったものの,今年はLoL自体がめっちゃくちゃ変更されたため,細かく触れていくとキリがない。なので,とりあえずは「大きそうなポイント」と感じたところを重点的に説明していく。

 詳しいことは,スクロールバーの長さを見ると読む気をなくすかもしれない「14.1のパッチノート」を確認してもらいたい。

※記事執筆時点,パッチノートには多数の誤表記などがあり,大まかな変更の確認には問題ないものの,細かい数値に関しては注意されたし


■マップ:壁が増えたり減ったり分厚くなったり

 最大の変更点として,マップが大規模改修された。これに関しては画像を見てもらったほうが早いので,図からどうぞ。

ざーっくり言うと,レッドサイドのトップはガンクルートが減り,ボットはガンクルートが増えた。ミッドは広くなって,どちらのサイドもガンクしづらくなっている。それとドレイクへの道も複雑化した
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 内容としては,レッドサイド(マップ右上の拠点側)ブルーサイド(左下の拠点側)有利不利を均等化するといった方向性だ。

 この影響もあってか,現在までのプロシーンでは“レッドサイドの勝率がかなり高く”なっている。基本的にブルーサイド有利と言われてきたプロシーン。サンプル数が少ないので断言はできないが,この改修がメタに大きな影響をもたらすことは確かだろう。


■ヴォイドグラブ:トップ/ミッドの序盤戦が重要に?

 マップ改修に伴い,バロンピット(トップ/ミッドレーン間にある円形のくぼみ)に新たなモンスター“ヴォイドグラブ”が出現するようになった。ゲーム開始5分で3体,倒した4分後にもう3体が出現する。

見た目は不気味,というかぶっちゃけキモい。筆者的には好きですけどね。キモいの
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 彼らを倒して得られるバフは“かなーり強い”。その効果は,オブジェクトに対して継続的な確定ダメージを与えられるようになるといったもので,討伐数に応じて効果値もどんどん強力になっていく。

 古くからのLoLプレイヤーには“昔のマウンテンドレイクバフ”と言えば,その凶悪さがなんとなく伝わるかもしれない。

近接系チャンピオンが6体倒せば“タワーに4秒かけて確定ダメージ36”を与えられるように。タワープレートもはがしやすくなり,結果としてゴールド差を生み出しやすくなる
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 ヴォイドグラブを5体以上倒すと,さらに“ヴォイドマイト”を召喚できるようになる。こちらはタワーをたたくときに自動で召喚され,オブジェクト破壊を手伝ってくれるヴォイドミニオンだ。

 彼らは「ペット」という特殊ミニオンの立場であり,タワーからの攻撃優先順位(アグロ)が高い。単純に,相手からのスキルを防ぐ壁としても機能するため,ヴォイドマイトを出せるかどうかでタワーシージ(タワーを破壊するための攻め)のしやすさが上下する。

 なので,ペットを召喚できるようになる“5体討伐”。これが重要。試合の有利に深く関わるため,序盤戦が今まで以上に手に汗握る。

2024年1月17日のLCK(韓国リーグ)での一幕。ヴォイドグラブを6体取ったT1(ブルーサイド)が,ミッドタワーをバッキバキに破壊していった
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 とはいえ,ヴォイドマイトを抑えたチームでも普通に負けたりはする。まだドレイクバフのほうが強かったりするのだろうか? SoloQ(一般シーンの戦いの意)だと,かなり強く感じるのだが……。

 まあ,まだ実装されて間もないので,どこまでリソースを割いて取りにいくか,取ったあとはどのような動きが強いのかなど,これから最適化されていくのかもしれない。ひとまず,ヴォイドグラブにどうアプローチするのかの動きに注目すると,観戦がより楽しくなるはずだ。

ほかにもヘラルドに乗れるようになり,バロンの種類も増えた(バフ内容は変化なし)
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■チャンピオン:顔ぶれは意外と変わらないかも?

 戦いの趨勢を決める「アイテム」も大幅に変化した。ミシックアイテムが消え,多数のアイテムが追加・変更・削除されている。
 各アイテムについて触れると説明が長くなりすぎるので,ここでは“チャンピオンへの影響主体”で話を進めていこう。

 まず注目したいのがシン・ジャオだ。LEC(EMEA地域のリーグ)では勝率7割超をマークし,強力なjgの一角に君臨している。

 主な理由は“タイタン・ハイドラの調整”にある。AA(通常攻撃)を素早く2回出せるようになり,Q-「三槍撃」で相手をノックアップしやすくなった。ティアマットによるファーム速度上昇もかみ合っている。

タイタン・ハイドラは昔の仕様に戻っただけ,という話ではある。当時はシン・ジャオが積むイメージはあまりなかったが,メタってのはどうなるか分からないものだ
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 カ=サンテ,アジール,アフェリオス,ヴァルス,レナータ=グラスクといった「お前らプロシーン出すぎやろ」な常連の顔ぶれもまだまだ強い。とくにアフェリオスは,LECでいきなりペンタキルをたたき出すなど,ノリにノッているadc筆頭である。

 アフェリオスとヴァルスに関しては“脅威(※)の調整”が大きい。物理防御貫通の値が大きくなったことで,アフェリオスはレベルアップ時のステータス上昇が純粋に強くなり,ヴァルスは脅威アイテムを複数積むポーク(遠距離から相手ヘルスを削る行為)が強化された。

※脅威:ステータスの一種。攻撃した相手の物理防御力を無視する効果。防具を積まない対象へのダメージも大幅に増加する

 彼ら以外のadcはまだパッとした戦績を残していないが,それもこれからの動向次第。ボットレーンはそれ自体が引き続き注目だ。

「もうペンタキル出たのぉ!?」とめちゃめちゃ驚いた一幕。LEC開幕からわずか3日目
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 それはそれとして,今パッチでは“やべぇチャンピオン”がいた。

 そう,ルブランである。またか。

 しかも,あろうことかAPではない。

 AD(攻撃力)ビルドのルブランだ。なんで?

「またかよ」という顔になってしまうのもやむなしの超人気ド定番チャンピオン
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 ADルブランについて簡単に説明すると「移動時にチャージされ,次の通常攻撃が強化されるアイテムたち(スタティック・シヴ,ストームレイザー,ヴォルテイク・サイクロソード)を持ち,W-ディストーションで長距離移動後に,チャージ攻撃をどー――ーん!」である。

 新アイテム「ヴォルテイク・サイクロソード」は,移動スキルでチャージがたまりやすくなるという効果を備えている。これがせんぱn……ゴホゴホ。これらが高まり合って生まれたビルドである。

問題の効果。ルシアンなどが積み,ボットレーンでミリオと一緒に敵をしばきまくる
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 ただし,ADルブランはすでにミッドパッチアップデート(※)でナーフ(下方修正)済みだ。「じゃあもうルブランは出ないんですね! やったあ!」と言いたいところだが,補填としてAPルブランにバフ(上方修正)が入った。トントンではないがノーカンでもない。

※緊急パッチの類い。アフェリオスも軽いナーフを受けた

 現環境は強力なAPアイテムもかなり多いため,APビルドのルブランが普通に出てくる可能性は大いにある,と考えている。

APはAPで,アイテム「ストームサージ」がめちゃめちゃに強い。相手ヘルスを3割削ると2秒後に追加ダメージを与え,効果発動までに相手を倒すと周囲の敵に大ダメージを与える。アホみたいに強い
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 ほかに気になるチャンピオンは,supアッシュ,jgノクターン,topランブルあたりだろうか。いずれも彼女らと相性のいいアイテムが増えて,強力なピックとして各地域で警戒されている。

 同じく,SoloQで猛威を振るうジャックスやエイトロックスは,プロシーンでは思いのほか苦戦している模様。ただ,強力なチャンピオンであることに違いはないので,どこかで活躍する機会もあるかも?

エイトロックスはもうちょっと大人しくしてくれててもいいのよ……?
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 個人的にはtopシンジドもひそかに期待している。実際,2017年くらいは強力だったし,2020年には国際大会でピックされていたので,アイテム選びを考えれば今もいけるのではないだろうか?

 毒をまき散らしながら後続の敵をシナシナのゲボゲボにする最悪なヤツ(すべて褒め言葉である)だが,サモナーズリフトを楽しそうに走り回る姿を心待ちにしつつ,今季のピックを楽しみに見ていきたい。

DFMのYutapon選手が得意ピックであった。にこやかに敵陣に突撃し,毒をまき散らす
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新生チームはどこまでやれるか? 各チームの講評


 ここまで試合形式やメタを説明してきたが,大会の主役は選手たち。春は多くのチームが新体制で臨むことになる。出場チームは以下だ。

〇出場チーム

・AXIZ CREST(AXC)
・Burning Core Toyama(BCT)
・DetonatioN FocusMe(DFM)
・Fukuoka SoftBank HAWKS gaming(SHG)
・Sengoku Gaming(SG)
・V3 Esports(V3)


 春の出場チームは全6組。AXIZ(AXZ)とCrest Gaming Act(CGA)が合流し,「AXIZ CREST」として再編。FENNEL(旧Rascal Jester)はチームを解散し,LJL 2024には参加しないとしている。

 続けて,各チームを講評していこう。


■AXIZ CREST(AXC)


TOP:Washidai(元V3)
JG:Cassin(元CGA)
MID:Eugeo(元CGA)
ADC:Ssol(元FL)
SUP:Ino(元AXZ)


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 AXZとCGAで再編された新チーム。AXZからはIno選手,CGAからはEugeo選手とCassin選手が参加している。一番若手のWashidai選手でも今年でLJL 3年目。全体的に脂のノった中堅層で固められた印象だ。

 気になるのはコミュニケーション面か。Cassin選手とEugeo選手以外は同じチームになるのが初めて,あるいは久方ぶりな選手ばかりである。けれど,韓国出身のCassin選手とSsol選手は日本在住歴が長く,言語の壁についてはクリアしているものと考えてよさそう。

 CGAの強みであった集団戦には,円滑なコミュニケーションが欠かせない。一方,シーズン中の不安を跳ねのけてきたのが“骨太”たるAXZ。2チームが合流したAXCは,きっと見事な勝利を飾るに違いない。

【注目するなら】top/Washidai選手
 古巣のV3を離れ,AXC入りしたWashidai選手。昨年のV3で取れたゲーム数はわずか4本,勝利数は0本という苦しい結果に終わったが,メキメキと実力を伸ばし続け,何度もすばらしいプレイを見せつけてくれた。
 実力をつけつつも,未勝利で終わった若手の移籍――AXCで最も“勝ちに飢えている”のは彼で間違いないはず。その飢えが新興のAXCを引っ張っていくのではないかと,大いに期待している。


■Burning Core Toyama(BCT)


TOP:tol2(元DFM)
JG:EL
MID:Jool(LJL初)
ADC:HowLa(LJL初)
SUP:Charley(LJL初)


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 BCT(旧名:BC)は昨年から大半の顔ぶれを変えての再始動。LJL初出場の選手が過半数を占める,フレッシュなチームとなった。
 韓国出身のJool選手は,経歴を見るに半年ぶりの復帰。以前はトルコのチーム“Dark Passage”でプレイしていたという。得意とするのはサイラスらしいが,今季のメタからは少し外れてしまっている。

 HowLa選手とCharley選手は「LJL 2023 Academy League」を優勝したSHGのアカデミーチーム出身だ。両者は2021年からのコンビであり,連携面では問題なし。あとは技術と精神が通用するかどうかだが,動きを見た限り敢闘できるだけの実力は十分あるように思えた。

 新人勢のかたわら,tol2選手とEL選手も同じチームで一緒に戦ったことはない。そういったことも考慮すると,春は調整の時期と言えそうだが,後半までにどこまでチームが仕上がっていくのか見届けたい。

【注目するなら】jg/EL選手
 BCTで唯一,「LJL 2023 Summer Split」にフル出場していたEL選手。彼がこのチームの大黒柱になことは間違いなさそうだ。
 BCTは全選手がポテンシャルを秘めているものの,チームの立ち上がり時期は不安定になりがち。得意のヴァイが強力なピックである今,EL選手がチームをしっかりと支えられるかが重要となるだろう。


■DetonatioN FocusMe(DFM)


TOP:RayFarky(元BCT)
JG:Steal
MID:Aria
ADC:Yutapon
SUP:Harp


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 昨年の王座も勝ち取り,6連覇を果たした“LJLの王者”DFM。topレーナーのapaMEN選手が引退を表明し,次のtopが誰になるのか関心を寄せられていたが……なんとRayFarky選手を獲得してみせた。

 RayFarky選手はジェイスも得意なので,Aria選手とのフレックス相性もバッチリ。かつてトップの要だったEvi選手のような活躍を見せれば,今季は“どのレーンからでも試合を形成できる”チームになるはず。

 ほかの選手については……まあ,今さら解説は不要だろう。仮に今季がLJL初観戦だという人も,DFMのプレイを見れば,全選手が紛れもなく“強い”とハッキリ分かるはず。前人未踏の7連覇に向けて邁進するDFMは,この春も1試合も見逃せないチームと言える。

【注目するなら】top/RayFarky選手
 注目はやはりこの男,RayFarky選手。ダリウスという強力なポケットピック(メタに左右されない得意ピック)を持ちながら,グラガスなどのタンク系も器用にこなす柔軟性の高さがすばらしい。
 出せる戦術,手札の多さもDFMの強みのひとつ。RayFarky選手がどのチャンピオンでなじんでいくのか,ピックからして待ち遠しい。


■Fukuoka SoftBank HAWKS gaming(SHG)


TOP:Evi(元Team Heretics)
JG:Forest(LJL初)
MID:DasheR
ADC:Marble
SUP:Vsta


※コーチ陣なども含む
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 昨年惜しくも2位に終わったSHGは今年,jg/topに新たな戦力を迎えた。jg/Forest選手はLJL初出場であり,T1のアカデミーチーム出身。実力は未知数だが,データを軽く見た感じ,ヴィエゴ,ヴァイ,マオカイなどが得意な様子。これらがピックされたときの真価を見届けたい。

 そしてtopには,昨年海外チームへ移籍していたEvi選手がまさかのSHG入り。DFM在籍時代には名実ともに“日本最強のtopレーナー”とされ,SHGを散々苦しめてきた存在だ。mid/DasheR選手,adc/Marble選手は変わらずで,SHGも全レーンで戦える形を整えてきたと言える。

 懸念点としては,どの選手も1人でゲームを打開できるがゆえに,誰がキャリーするのかで盤面のリソースを混線させないことか。トップ側にリソースを割いた場合,当然ながらボット側は苦しくなる。強者ばかりであるがゆえに,作戦段階の打ち合わせが課題となりそうだ。

【注目するなら】top/Evi選手
 「あのEviが帰ってきた!」。日本人選手としては唯一の海外チーム(LEC:Team Heretics)経験者のあのEviが! ……と盛り上がりすぎたが許してほしい。それくらいものすごい選手なのである。

 Evi選手の持ち味は,なんといっても抜群のキャリー力にある。キルの嗅覚が鋭く,LJL 2022でのソロキル数はなんと46回(昨年のtopレーナー強者であったTaNa選手は20回)。LECでも何度となくソロキルをしてみせて,会場の観客たちを大いに沸かせていた。

 得意チャンピオンのカ=サンテがtopメタに台頭している今,SHGのトップレーンは勝利が確定しているようなもの。カメラの向いてない瞬間,気付かぬうちに起こるEvi選手のソロキルがまた見られるのであれば,いち観戦者としてこれほど喜ばしいことはない。


■Sengoku Gaming(SG)


TOP:Kinatu(元SHG)
JG:Ellim(LJL初)
MID 1:Jett
MID 2:Kakkun(LJL初 ※1
ADC:Yuhi(元BCT)
SUP:Gaeng(元DFM ※2


※1:LJL 2022で代役出場あり。正式出場は今回が初

※2:兵役直前のWorlds 2021までDFMで活躍。昨年はラテンアメリカのチーム“Estral Esports”でポジションコーチとして活躍


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 SGはmid/Jett選手だけを残して総入れ替え。adcとして獲得したYuhi選手については「昨年はチームのために犠牲になるプレイが多かったが,本来は試合をキャリーできる選手」と見据えているという。supにもDFMが過去に国際大会を勝ち上がったときのメンバー,Geang選手を起用していることから,ボットレーンにかける熱意は相当である。

 jg/Ellim選手は,LCK(韓国リーグ)出場経験がある。相手ジャングルに侵入し,相手を釣る動き(当人いわく“ドリブル”)を得意とする選手らしく,試合での動きを見るのが今から楽しみだ。

 個人的には,midの計2選手をどう運用していくのかが気になるところ。“LJL最強mid”として名高いJett選手を擁しながらも,期待のホープであるKakkun選手を獲得したSGの意図や,これいかに?

【注目するなら】sup/Geang選手
 兵役期間のブランクがあるGeang選手。昔はキレのあるエンゲージに定評があったが,その感覚が鈍っていないかどうか。
 といっても,昨年末には自身のX(旧Twitter)でKRサーバーの最高ランク,チャレンジャーに到達していることを報告しており,選手としての肩は十二分に温まっている。魅惑のエンゲージにご期待あれ。

 ちなみに,SGのコーチ陣が選手たちを紹介するこちらの動画もおすすめだ。気になった人はぜひ見てほしい。


■V3 Esports(V3)


TOP:TaNa(元FL)
JG:HRK
MID:Acee
ADC:Bini(LJL初)
SUP:Hetel


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 昨年は未勝利のまま終わってしまったV3。今年は韓国人選手を2人獲得し,勝てるチームへの明確な一歩を踏み出したように思える。

 気になるのはtop/TaNa選手だ。昨年LJLデビューを果たして以来,topキャリーを体現するかのようなプレイをFLで見せてくれたため,V3もまた“勝てるレーン”を手に入れた。前期のV3の負けパターンとして多かった「全レーン負けからの敗北」に陥ることもまたなくなるはず。

 同じく韓国出身のadc/Bini選手は,BCTのmid/Jool選手と同じくトルコのDark Passage出身であり,元チームメイトの間柄。両者がぶつかり合うDay5(2月3日)の戦いには背景を感じる。

 今季のV3からは「今までと同じだと思ってると痛い目みるぜ」という確かな雰囲気が漂っている。明確な勝負レーンをどう生かし,試合作りをしていくのか。復活ののろしはすでに炊き上がった。

【注目するなら】mid/Acee選手
 Acee選手はこれまで,ベテランとして“チームのために勝つ”動きが求められてきた。その結果,ルブランやアカリなどのキャリー系ピックが優先されていた。しかし,今季はtop/adcに韓国人選手が起用されたこともあり,その重責から解放されるのかもしれない。

 今後はガリオやオリアナといった,行動妨害でチームに貢献するユーティリティ系のピックが増えるのではないかと予想している。

 なお,mid自体がLoLにおける最大の重責には違いないので,上下のレーンがイキイキと動くためにはmidが勝つ,または相手を抑える動きが要となる。自らがキャリーする必要は減っても,チームリーダーとして,仲間を引っ張るベテランとして,ぜひとも前期の悔しさのぶんまで,相手チームたちに痛い目を見せてやってほしい。

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 「LJL 2024 Spring Split」注目の第1試合は,本日17時より開幕する。今季の栄冠は果たしてどのチームが手にするのか?

 なお,2024年は各所でLoL熱が高まっており,かつてないほどの注目を集めていることだろう。最近になってLoLをはじめた人こそ,LoLのプロシーンとはいかなるものなのか。ぜひとも目にしよう。
 そして「こう動けばいいのか!」「この動きをマネしよう!」となり,SoloQではまるで成立せず,「やっぱLoLのプロって,チームってスゴいんだ」と痛感するまでがLoLプレイヤーのお約束。
 まず間違いなく,絶対に,確実に,プレイの衝撃がこれでもかと味わえるので,今日からの怒涛の2か月を見逃さないでほしい。

 最後に,本稿のデータ類のために参考としたサイトも載せておく。いつものプレイのお役立ちに,観戦がより楽しくエッセンスに参考にしてもらえれば幸いだ。もうまもなくのLJLに向けて,気持ちを高めよう!

「Games of Legends」(チャンピオンのピック数・勝率,選手データ)

「Lolalytics」(チャンピオンごとのマッチアップ,アイテムビルド)

「Leaguepedia」(選手の在籍・移籍情報)


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