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2026年10月3日,4日に大阪・コングレスクエア グラングリーン大阪で開催されたインディーゲームイベント「OSAKA INDIE GAMES SUMMIT 2026」(以下,OIGS 2026)の会場で,牛を飛ばす奇妙なゲームを見つけた。samirin氏が手がける「時速1000kmの牛」だ。
実はだいぶ前から存在するゲームなのだが,目の前で見たのは初めてなので,ここで紹介しておこう。
画面には「しっておこう」と書かれているが,にわかには信じがたい話である。しかし,理屈はシンプルだ。
飛行機が空を飛べるのは,翼に風が当たって上向きの力(揚力)が生まれるからである。そしてこの揚力は,速さの2乗に比例して大きくなる。速さが2倍になれば4倍,10倍になれば100倍だ。
つまり,風を受けて少しでも上向きの力を生む形でありさえすれば,十分なスピードで何だって浮く。違うのはどれくらいのスピードが必要か」だけで,牛の場合は時速1000kmだった,というわけだ。
では,なぜ牛は時速1000kmなのか。
浮くために必要なスピードは,「重さ」と「形がどれだけ上向きの力を生みやすいか」の2つで決まる。重いほど,そして形が上向きの力を生みにくいほど,必要なスピードは上がっていく。
牛は体重約600kgと重いうえに,体は空を飛ぶためにできた形ではないので,風を受けて生まれる上向きの力はごくわずかだ。そのわずかな力が600kgの体重に追いつくまでスピードを上げていくと,時速1000km前後で釣り合う。これが,牛にとっての“離陸速度”である。
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2000年ごろ,同ソフトで牛のまわりの空気の流れを計算した「Aerodynamics of a Cow(牛の空気力学)」という画像が作られた。工学の世界ではふつう車や飛行機,タービンを解析するところを,わざわざ牛でやってみせたこの画像は,ネットで繰り返しネタにされ,Siemensの公式ブログでは「史上もっとも見られたCFD(数値流体力学)の結果」「CFD界のモナ・リザ」とまで紹介されている。
「時速1000km」の数字が出てきたのは,2015年に同社のエンジニアが公式ブログで連載した「Can Cows Fly?(牛は飛べるのか?)」シリーズだ。
そよ風から暴風,ハリケーンまで,さまざまな風速で牛が受ける揚力と抗力を計算したところ,牛は風を背中側から受けるより,正面から受けたほうがずっと大きな揚力を受けることが分かった。
そして風速と揚力のグラフを延長していくと,揚力が牛の体重を上回るのが時速約1000kmだった。逆に言えば,牛が時速1000kmで走れば離陸する,というわけである。
とはいえ,ブログ自体も「OK, OK, let's gloss over the fact that no cow I've seen can run that fast.(まぁまぁ。そんなに速く走れる牛なんて見たことがない,という点には目をつぶろうじゃないか)」と認めているとおり,時速1000kmで走れる牛はたぶんいない。
しかも,仮に離陸できたとしても,その瞬間に脚が地面から離れて走れなくなり,そのまま落ちるだけだと,ご丁寧に付け加えている。
では,どうすればいいのか。誰かに引っ張ってもらえばいいのだ。
牛を加速させるのはUFO。操作するのはプレイヤーの手
前説が長くなったが,本題に入ろう。
「時速1000kmの牛」は,牛乳好きな宇宙人の小さなUFOに吊られた牛を時速1000kmまで加速させ,宇宙に連れ去るミニゲームだ。牛を引っ張るのはUFOなので,牛を時速1000kmで引っ張るのに必要な馬力の問題は,宇宙人の科学力で解決済み。理にかなった設定である。
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画面には「手が画面中央にくるようにそうさしてください」と表示され,さらに「そでの長い服を着ている方は,手首がみえるまでまくって遊ぶことをおすすめします」という,ハンドトラッキングらしい注意書きもある。
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ゲームが始まると,手の動きで牛を加速させていく。途中で「よけろ!」の表示とともに車や風車の残骸などが飛んでくるので,手を動かして牛を回避させなければならない。時速1000kmで車と正面衝突したら,牛も車もただでは済まないので,ここは慎重にいきたい。
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ブースのモニターの下には送風機が並んでいて,プレイ中は正面から風が吹きつけてくる。もちろん時速1000km相当の風ではないので,押し戻される心配はない。
無事に時速1000kmに到達すると,牛はUFOとともに宇宙へ。「ゲームクリア! 時速1000km達成!」の画面でクリアタイムが表示され,ランキングと比較できる。
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ブースには感想ノートも置かれていて,「牛かわいい」「かんたん操作でもりあがるし」「したことない操作,たのしかった」といった声が並んでいた。「ヤギとんでました?」という書き込みもあったが,計算していないのでヤギについてはコメントを控える。
「時速1000kmの牛」は,BOOTHでフリーゲームとして配布されている。牛が本当に時速1000kmで離陸するのかどうかは,物理学的には議論の余地があるが,ゲームのなかでは確実に離陸する。
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![画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / ホルスタイン600kg,マッハ0.82。“力学的に正しく”牛を飛ばすフリーゲーム「時速1000kmの牛」[OIGS 2026]](/games/047/G104760/20261004009/TN/001.jpg)
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