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  • 発表日:2008/03/03
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Atomの製造プロセス移行を急ぐIntel。タブレットや携帯電話にこだわる理由とは
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印刷2011/05/30 00:00

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Atomの製造プロセス移行を急ぐIntel。タブレットや携帯電話にこだわる理由とは

 北米時間の2011年5月17日にIntelが開催した投資家向け会議「Investor Meeting 2011」。この会議で公開されたAtomの新ロードマップや,モバイルプラットフォーム向けのCPU情報など大きなポイントは5月18日の記事でお伝えしているが,今回はこれらをもう少し掘り下げつつ,Intelの目指している方向について,あらためて考察してみよう。


携帯電話やタブレット市場に注力するIntel

今後3年はムーアの法則の2倍ペースで進化させる


携帯電話やタブレット市場向け製品の展開を語るPaul Otellini氏(President and Chief Executive Officer, Intel)
Atom
氏は,携帯電話やタブレット,スマートTV,そして組み込み向けが今後の成長市場だという
 Investor Meeting 2011に登壇したIntelのPaul Otellini(ポール・オッテリーニ)社長兼CEOは,今後同社が携帯電話やタブレット市場へ積極的に製品展開を図っていくことを投資家に向けてアピールした。

 Otellini氏はまた,携帯電話やタブレット市場向けとなるAtomベースのSoC(System on Chip)製品の消費電力レンジをミリワットクラスまで抑える計画を公表。AtomベースのSoC製品に関し,向こう3年以内に,32nmから22nmを経て14nmまで一気に製造プロセスを微細化させ,省電力性と性能を大幅に引き上げる計画も明らかにしている。18日の記事でもお伝えしているように,ムーアの法則比2倍のペースで製造プロセスの微細化を進行させるというわけだ。

Atom
Intelは,今後3年間でSoCのAtomプロセッサを,32nmプロセスから14nmプロセスまで進化させる計画だ。これはムーアの法則比で2倍の速さとなる
Atom
Otellini氏は,「クラス最高のソリューションを携帯電話やタブレット市場にも提供する」と述べ,IntelがPC市場で築き上げてきたユーザー体験を広げていくとした

 IntelがAtomに関して強気なロードマップを示してきた背景には,北米時間5月4日に発表された「3次元トライゲート・トランジスタ」技術が大きく関わっている。Intelは,22nmプロセスから同技術を採用するわけだが,これがAtomプロセッサにも適応され,おそらく,22nmプロセス以降でも半導体の高密度化と省電力化,高性能化のペースが保てると判断したのだろう。

Medfieldベースの携帯電話を手にするDadi Perlmutter氏(Executive Vice President,Intel Architecture Group, Intel)
Atom
2015年までにタブレット向け製品のCPU性能とグラフィックス性能とをそれぞれ10倍以上にするという
 3次元トライゲート・トランジスタ技術の採用で得られるメリットを,Intel Architecture Groupを率いるDavid“Dadi”Perlmutter(ダディ・パルムッター)上級副社長は,「動作電力を大幅に低減できる」と述べている。また,「最先端プロセスへと移行を進めることは,省電力性だけでなく,性能やコスト面でも競合ベンダーに対して優位になる」(Perlmutter氏)という。

 またPerlmutter氏は,「2015年までにタブレット向けCPUの性能とグラフィックス性能とをそれぞれ10倍以上に高める計画だ」とも予告する,それに関連して,Intelに近いOEM関係者の間からは,「Intelは22nmプロセス世代で大幅なアーキテクチャ変更を施す計画だ」という話も聞こえてきている。

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32nmプロセスから22nm,14nmへ1年ごとに進化を進めるという,Atomプロセッサのロードマップ
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最先端プロセスへの移行は,トランジスタ密度を2倍にし,コスト削減にもなるという

 なお今回の会議では,32nmプロセス技術を採用した携帯電話向けSoCプロセッサ「Medfield」と,TSMCの40nmプロセス技術で製造された一般的なARMベースのSoCプロセッサとで消費電力の比較が行われている。
 この比較はMedfieldの省電力性を見せるものだったが,Investor Meeting 2011では,投資家の1人から「2012年には,競合からも32nmや28nmプロセス技術を採用したクアッドコア製品が登場する予定になっている。それでも優位性があると考えるのか」と質問が投げかけられたりしていた。いまこの時点で,Intelが携帯電話やタブレットの市場で競争力を持っていると考えている人は少ないことの証左といえ,だからこそ,Intelはアグレッシブなロードマップを示してきたのだと思われる。

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32nmプロセス技術を採用したMedfieldの消費電力は現行の携帯電話向けARMベースSoCよりも低く抑えられているとPerlmutter氏は説明する
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プロセス移行を進めることで省電力性が高まるため,22nmプロセス世代では小型の携帯電話にIntelアーキテクチャを浸透させられるという

携帯電話やタブレット市場で後れを取っているIntelだが,32nmプロセス世代で携帯電話向けSoCを提供するという計画自体は,2009年のIntel Developer Forum 2009 San Franciscoで公開されたものから変わっていない
Atom Atom Atom


Ivy Bridge&Haswell世代で超薄型ノートPCを投入

システム全体の消費電力は10〜20Wに


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Ottelini氏は,新しいノートPCのターゲットとして消費電力が10〜20Wレンジの製品を目指すと表明
 Intelは,携帯電話やタブレット市場だけでなく,ノートPC市場そのものの拡大も推し進める。
 5月18日の記事でもお伝えしているように,Otellini氏は新しいノートPCの消費電力ターゲットを10〜20Wレンジとしていた。現行のSandy Bridge世代だと,超低電圧版CPUでもTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は17Wなので,周辺デバイスも含めると,相当な低消費電力化が図られるわけだ。
 Otellini氏はまた,3次元トライゲート・トランジスタの実現により,「プロセスの進化ごとに消費電力を半分にもできる」とも述べているので,22nm,そして14nmプロセス世代では,CPUの大幅な省電力化を期待できそうである。

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3次元トライゲート・トランジスタの採用で,世代ごとに50%以上の省電力化も可能という
 さらにこれを受ける形で,Perlmutter氏が,22nm世代の「Ivy Bridge」(アイヴィーブリッジ,開発コードネーム)および14nm世代の「Haswell」(ハスウェル,同)を搭載した超薄型ノートPCを実現する計画であると述べていた点にも注目しておきたい。両氏の発言内容からするに,次世代や次次世代プロセッサで,性能をある程度犠牲にしつつ,消費電力を引き下げる方向性の製品ラインナップを用意してくるなら,周辺デバイスの消費電力次第ながら,確かに不可能ではないように思える。
 課題となる周辺デバイスの消費電力がどうなるのか,という疑問はあるのだが,このあたりはIntelのことだから,何か道筋が見えているのかもしれない。

 なお,Intelの最新ロードマップによれば,Ivy Bridgeの登場スケジュールは,当初の2012年第1四半期から,2012年3〜4月頃へと,若干後退している。

22nmプロセスを採用するIvy Bridge/Haswell世代では,超薄型ノートPCを実現すると表明。ただし,Otellini氏と違い,Perlmutter氏は,その消費電力レンジに関する言及を行っていない
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Intelが市場拡大を進める理由は

ムーアの法則を堅持するため


 以上,IntelはAtomベースのSoCに積極的な姿勢を示したり,ノートPC市場のさらなる拡大を目指したりしているわけだが,実のところ,これには明確な理由がある。

 それは,ムーアの法則だ。
 「半導体チップに集積されるトランジスタの数は約2年ごとに倍増する」という同法則を今後も堅持するためには,Fab(ファブ,製造工場)への投資が必要であり,その資金を得るため,そして,Fabの強化で増える製造キャパシティを支えるためには,それこそ携帯電話やタブレットや,新しい消費電力レンジのノートPCなどといった市場の拡大が必須なのである。

Fabへの投資について説明するAndy Bryant氏(Executive Vice President of Manufacturing & Enterprise Services, Chief Administrative Officer, Intel)
 実のところ,今回の会議では製品に関する基調講演以上に,プロセス技術やFabへの投資に関する説明に多くの時間が割かれていた。
 同社のAndy Bryant(アンディ・ブライアント)最高総務責任者は,2011年に100億ドルを投資して,新規に2つのFab建築と,1つのFabを新プロセス製造へと移行させると,Investor Meeting 2011で公表した。Intelは,今後3年間で14nmプロセスへの移行を完了すべく,積極的にFabの整備を進める計画だ。
 ただ,100億ドルの投資はもちろんリスクを伴う。要するに,これらの新規Fabを健全に運営するためには,より多くのCPUやSoCを売らなければならないのである。

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グラフィックス機能をCPUに統合したことで,プラットフォームあたりの平均販売価格は増大し,大幅な営業利益増をもたらしたという
 ちなみにIntelは,CPUにグラフィックス機能を統合したことで,同社のクライアントプラットフォームの平均販売価格(ASP:Average Sales Price)は上昇したと発表している。もちろん,ここで得た利益も積極的にFabへと投資しているわけだ。このようにFabへの投資を続け,2年サイクルのプロセス進化を堅持することこそが,携帯電話やタブレット市場などの新規市場における競争力拡大につながるというのがIntelの考えなのだろう。

 もちろん22nm,そして14nm世代の売り上げがIntelの予測を下回れば,今まで行ってきたFabへの投資が足枷となる可能性も否定できない。それでも,ムーアの法則を堅持することは,Intelにとって,CPU性能や省電力性能を向上させられるだけでなく,トランジスタあたりの製造コストを引き下げ,収益の向上につなげられるのと同義だ。この道を信じて進むだけである。

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ムーアの法則に従って,2年サイクル(8四半期)でプロセスを進化させれば,製造コストの削減につながるとBryant氏は説明する
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Bryant氏は,わずかな企業がムーアの法則を維持できるだけの収益を実現していると述べ,このアドバンテージを製品の差別化などに振るという


ソフトウェア環境の優位性をアピール

Windows 8ではSoC向けが登場予定


 Intelがこれら携帯電話やタブレット向けプロセッサの分野で成功を収められるか否か,そのカギを握っているのは,半導体製造プロセスだけではない。同社は,これまで培ってきたx86ソフトウェア資産も,携帯電話やタブレットといった市場で成功するための重要なカギだと見ている。

すぐれた半導体製造プロセス技術やそれを採用した製品のみならず,シームレスなソフトウェアエコシステムもIntelの強みであるとOtellini氏は述べていた
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Renee J. James上級副社長(Senoir Vice President and General Manager, Software & Services Group, Intel)
 Intelでソフトウェアやサービスビジネスを統括するRenne J. James(レネ・ジェームズ)上級副社長は,モバイルデバイスでIntelプラットフォームを選ぶことがソフトウェアやサービスの充実につながるという。
 James氏は,「現在,Andoroid OS上で動作しているアプリケーションを分析すると,約90%がランタイムだった」と述べ,「これは,Androidアプリの90%がIntelプラットフォームへと容易に移植できるのと同じ意味だ」と続けた。「今からでもIntelプラットフォームへの移行は遅くない」。

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James氏は,Windows 8にPC向けとSoC向けが存在すると明らかにした。さらに,過去のソフトウェアとの互換性を保つWindows 7モードを備えていることも言及
 Microsoftが2012年に市場投入を計画している次期OS「Windows 8」(開発コードネーム)においても,「従来のアプリケーション資産を活かせるのはIntelプラットフォームだけだ」とJames氏は言う。

 同氏は,「Windows 8は,従来アプリケーションとの互換性を保つWindows 7モードが搭載され,ソフトウェア資産を継承できる」と述べる。さらに,「ARM版のWindows 8では,互換性機能が提供されないため,従来のアプリケーションを利用できない」と,Intelプラットフォームの優位性をアピールした。

 なお,このJames氏の発言に対し,Microsoftは,「正確ではなく,誤解を招く発言だ」と抗議を表明している。その後,Intelの投資家向けWebサイトから同氏のプレゼンテーションが取り下げられ,また,再公開されたWebcastからもこの件に関する発言が削除された点は付記しておきたい。

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Intelプラットフォームは,用途に応じてOSやアプリケーション,サービスを選べるとのことだ
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ARMプロセッサではベンダーごとに互換性問題が存在するという

 このソフトウェアの互換性問題は,ARM陣営も十分理解しているといえるだろう。というのも,3月8日に開催されたNVIDIAの投資家向け会議「Financial Analyst Day 2011」で,同社のJen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)社長兼CEOがWindows 8のARM版にソフトウェアの互換性問題があることを認めているからだ。
 そのうえで,Huang氏は,「2011 International CESで公開されたように,Tegra 2上でWindows 8とOfficeの動作は可能だ。あとはFlashへの対応さえ進めば,一般ユーザーのデータ資産を活かせる環境が整う」と述べていた。AppleのMac OSを例に挙げ,「ソフトウェア資産の継承ができなくとも深刻な問題にはならない」という見解も示している。

 さて,James氏のプレゼンに話を戻したい。氏はARMプロセッサよりもIntelプロセッサが優れている点を次のようにも述べている。
 「アーキテクチャが統合されていることがIntelの強み」とし,「Intelプラットフォーム(IA32)ならば,Coreファミリーであれ,Atomであれ,Xeonであれ,同じソフトウェアが動作し,かつ世代を超えたソフトウェア資産の運用が可能。これはARMプロセッサではできない」。
 ほかにも,「Googleの『Chrome OS』も,現時点ではx86プロセッサ上のみで動作する」と述べ,Intelプラットフォームにおける,ソフトウェア環境の充実ぶりを強く打ち出している。

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GoogleのChrome OSは,現時点だとx86プロセッサのみで動作するとして,Intelプロセッサの優位性を主張する
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Intelは,同社の開発者向けプログラムに参加している900万人以上のデベロッパを,携帯電話やタブレット市場参入の切り札と考えているようだ


LarrabeeベースのMICアーキテクチャを採用する

Knightsは並列コンピューティング特化型プロセッサ


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MICアーキテクチャを採用し,並列コンピューティング向けに開発されたKnightsファミリーの概要
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「Intel Developer Forum 2011 Beijing」で公開されたMICアーキテクチャのプログラミングモデル
 最後に,話はがらりと変わるが,Intelがソフトウェア環境のアドバンテージを足かがりに,市場拡大を狙っている技術も紹介しておきたい。それは,並列コンピューティング向けに展開するMany Integrated Core(以下,MIC)アーキテクチャを採用した「Knights」(ナイツ,開発コードネーム)ファミリーである。

 「Larrabee」(ララビー,同)アーキテクチャをベースにした「Knights Ferry」(ナイツフェリー,同)は,1つのダイに32基のx86コアを統合。1コアあたり4スレッドの処理が可能で,最大128スレッドの同時処理を実現するプロセッサとなる。
 同社は,このKnights Ferryを2010年から2011年にかけて大手パートナーにソフトウェア開発用としてサンプル出荷している。ただし,このKnightsファミリーの本格的な市場展開は,50基以上のコアを統合し,22nmプロセス技術を採用する「Knights Corner」(ナイツコーナー,同)からになるようだ。

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Knights Ferryの仕様。ソフトウェア開発環境として,大手パートナーにはソフトウェア開発環境用としてすでにサンプル出荷されている
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Knights Ferryの次世代となるKnights Cornerでは,50基以上のx86コアを統合し,22nmプロセス技術を採用する計画とのこと

Kirk B.Skaugen氏(Vice President and General Manager, Data Center Group, Intel)
 Intelでデータセンターグループを率いるKirk B.Skaugen(カーク・スカウゲン)副社長は,「Knightsファミリーならば,CUDAのように新しいプログラミング言語を学ぶ必要がなく,これまで慣れ親しんだプログラミング環境をXeonでもKnightsでも利用できる」と述べている。このシームレスなプログラミング環境を武器に,Intelは,スーパーコンピュータやデータセンターへとKnightsファミリーを展開していく意向だ。

 前述のとおり,Knightsファミリーが採用するMICアーキテクチャは,もともとグラフィックスコアとして開発されたLarrabeeがベースとなっている。ただ,現在では並列コンピューティング向けに特化されており,これが再度グラフィックス製品にも採用されるかどうかはまだ不透明な状態である。

  • 関連タイトル:

    Atom

  • 関連タイトル:

    Core i7・i5・i3-3000番台(Ivy Bridge)

  • 関連タイトル:

    Core i7・i5・i3-4000番台(Haswell)

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