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印刷2008/05/08 19:16

連載

キャラクターゲーム考現学
第31回:超能力とトリックとギャル「12RIVEN -the Ψcliminal of integral-」

 

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 「アニメ絵のアドベンチャーゲーム」が8bit機以来の歴史を持ち,キャラクターゲームの源流の一つであることには,現在の読者の何割くらいが実感を伴って同意してくれるものだろうか? それはさておき,この古くて新しいゲームジャンルの中には,キャラクター性をうまく活用しつつも,読む楽しみ,作中に入り込む楽しみを十二分に実現した作品がいまも投入され続けている。

 そしてそれを放つ先として,年齢層が比較的高いPCゲーム市場は,必ずしも悪くない場所なのではないだろうか。そんな例の一つとして,今回は「12RIVEN -the Ψcliminal of integral-」を取り上げてみたい。

 

 

Character Side:サスペンスの色彩を重視しつつ思い入れを喚起するキャラ設定

 

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インテグラルで,練丸はミュウと謎の少年メイに出逢う。メールに書いてあったとおり,メイはミュウを殺そうとしていた

 サイバーフロントが4月4日に発売した「12RIVEN -the Ψcliminal of integral-」は,以前紹介した「Ever17」の制作スタッフによる最新作である。シリーズ従来作品の発売元であったキッドの倒産,それに伴うサイバーフロントへの版権移管など紆余曲折のあった作品だが,この4月無事に発売された。
 なお,Windows版として店頭で販売されているのは,これまでのInfinityシリーズ歴代作品(Never7,Ever17,Remember11)とセットになった「Infinity Plus」というパッケージであり,12RIVEN単体はAmazon.co.jp専売の形でリリースされている。
 ちなみに,12RIVEN自身はInfinityシリーズではなく(タイトルにinfinityの語が入っていない),新たなIntegralシリーズの第1作ということになっている。とはいえ,Infinityシリーズの発展形であることは間違いなく,ゲームの構成もInfinityシリーズの流れを汲んだものとなっている。

 Ever17と異なり,12RIVENではいわゆる「攻略対象」ヒロインは存在せず,したがって「××(キャラ名)ルート」というような形でのエンディングは存在しない。ルートは二人のキャラクターの視点,すなわち「練丸ルート」と「鳴海ルート」の二つに加えて,その後の解決編となる「∫(インテグラル)ルート」の三つで構成されている。つまり,前作Remember 11とほぼ同様だ。
 Infinityシリーズではもともと,各ヒロインルートは経路にすぎず,それをまとめるトゥルールートが存在した。このためしばしば各キャラのルートが中途半端に終わってしまっていたこともある。ゲーム全体を考えたとき,視点別のほうがすっきりまとまっているのは確かだ。

 

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練丸と鳴海に送られたメール。この2通のメールによってストーリーが動き出す。複雑に絡み合う二人の主人公のストーリーと事件が,謎の始まりだ

 

 内容に踏み込んで話をすると,割とすぐにネタバレになってしまうのが悩ましいものの,導入部のストーリーを紹介しよう。
 事件の発端は2通のメール。高校生の雅堂練丸と警視庁公安十二課所属の三嶋鳴海に届いたメールは,ミュウという少女が殺されようとしていると告げていた。時刻は正午,場所は「インテグラル」の最上階。送り主に心当たりはなくても,幼馴染みだったミュウが殺されるという内容に驚いた練丸は,インテグラルに急行する。そこにはミュウが倒れていた。
 一方,鳴海に届いたメールの送り主は,同じ公安十二課所属の後輩,雪積真琴。メールには,ミュウが殺されるのは世界を破滅させる「第弐エクリプス計画」のためで,計画阻止のためにはミュウが必要だと書いてあった。真琴を信じ,インテグラルに向かう鳴海。到着すると,そこには何者かに捕まっている少女がいた。

 

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鳴海がインテグラルに到着すると,メイがミュウに銃を突きつけているところだった。鳴海はミュウを助けようとするが,Ψ(サイ)を操るメイの前に為す術もなかった

 

 辛くも逃げ出した練丸とミュウは,やがて周囲に「人がいない」ことに気づく。街を探し回った二人はマイナという女性と出会い,なぜこのようになったのかを探ってゆく。一方鳴海は「第弐エクリプス計画」とは何かを探ってゆく。そして,練丸と鳴海の行動は,一つの事実へと収束していく。
 ストーリー上のヒロインとなるミュウに,ほかのキャラクターが絡んで物語は進行してゆく。すでに述べたとおりヒロイン攻略という要素がなくなっているぶん,キャラクターゲーム的色彩は薄まり,サスペンスアドベンチャー指向がより強くなっている。とはいうものの,練丸とミュウの関係には,やはりキャラクターゲーム的要素があって,「ヒロインを守るために行動する主人公」という王道は守られている。

 

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かろうじて逃げ出したミュウと練丸だったが,逃げ出した先は人っ子一人いない世界だった

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練丸はスキを見てミュウを連れ出し,脱出しようとする。しかしそう簡単にはいかず,窮地に陥ってしまう

 

 対する鳴海ルートでは,どちらかというとサスペンス要素が多い。「謎の提示」が多く,それらの真相は∫ルートに持ち越される。
 練丸とミュウに関してはキャラクターがそれなりに“立って”いるものの,鳴海ルートの登場人物に関しては,いま一つといったところ。
 とはいえ,謎解きの「コマ」として,また「狂言回し」としての役割を考えれば,必要十分な思い入れを持てる人物造形とはいえる。

 

高江ミュウ

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「第弐エクリプス計画」という謎の目的のため,Ψクリミナルに命を狙われている少女。練丸の幼なじみで,このゲームのヒロイン。
(CV:野中 藍)

 

伊野瀬チサト

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インテグラルに,ミュウと練丸を助けに現れた少女。Ψの使い手で,数々の不思議な現象を引き起こす。
(CV:清水 愛)

 

マイナ

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インテグラルから脱出したミュウと練丸が,「時が止まった世界」で出逢った女性。練丸とミュウより2日早くここに来たといい,さまざまなことを知っている。
(CV:佐藤利奈)

 

雪積真琴

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鳴海の後輩で,公安十二課の同僚。彼女からのメールで,鳴海はインテグラルに駆けつけることになる。
(CV:木川絵理子)

 

星野遊々

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時の止まった世界の王国「ミラージュ」のリーダー。小生意気で,さまざまなしがらみから解放された時の止まった世界を,理想郷だと思っている。
(CV:小林ゆう)

 

霧寺メイ

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Ψを操る集団「Ψクリミナル」のリーダー。インテグラルでミュウを殺そうとしたうえ,その後もつけねらってくる。
(CV:松風雅也)

 

雅堂練丸

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このゲームの主人公の一人。送り主の分からないメールを受け取り,ミュウを守るために東奔西走する。熱血漢で頭の回転も速い。

 

三嶋鳴海

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もう一人の主人公。公安十二課の捜査官。一度見たことを忘れられない「サイクロペディア症候群」の患者で,その能力を活かして捜査を行う。雪積真琴からのメールで,インテグラルに駆けつける。

 

 

 

Game Side:「Ever17」の正統な後継作としてスケールアップしたゲーム的“叙述トリック”

 

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練丸と鳴海の視点が交錯し,さまざまな謎が湧き出してくる。すべてに決着がつくのは最後の∫ルートだ。それまでは謎の一面しか見えてこない。これだけ複雑かつ周到なトリックはなかなかないものだろう

 本作はEver17などと同じエンジンを利用しており,プレイの快適さに不安はない。多くのセーブスロットやオートセーブ,クイックセーブなど,良好なインタフェースがプレイを助けてくれる。
 Ever17では,序盤で視点キャラクターを選ぶようになっていたのに対し,12RIVENでは中盤まで練丸視点と鳴海視点のストーリーが並行で進む。
 ストーリーの根幹は,「第弐エクリプス計画」の内容や,なぜミュウが狙われたのか,そしてΨという特殊能力などの謎を中心に組み立てられている。そこにはEver17のような「トリック」が仕掛けられており,それを解き明かしていくのがプレイヤーの役割だ。
 「トリック」はEver17同様シナリオ内に盛り込まれており,ゲームとしての演出や構成をも巧みに利用する形で仕掛けられている。さながら“ゲーム的叙述トリック”とでも言えばよいだろうか。複数回のプレイ,マルチエンディングを前提としたゲームというメディア以外での再現は,Ever17同様難しいことだろう。しかもそのトリックは,Ever17と比べてさらに巧妙かつ大がかりになっている。

 

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 その演出と構成には感心する以外にないのであるが,一方でいささか複雑で分かりにくいと言わざるを得ない部分もある。すでにEver17を体験してしまったファンの期待に応えるのが,ある意味つらい部分でもあるように思える。前作と同レベルではファンの満足は得られない以上,より「手の込んだ」ものを作らざるを得ない。もしくは,まったく新しい切り口に挑むか,だ。
 InfinityシリーズでもRemember11においては,Ever17と異なる趣向へと踏み出しているが,これはこれで少々分かりにくいものだったし,さらに「謎に対する明確な回答」をあえてゲーム内で示さず,与えられた情報を元にプレイヤー自身が考察する余地を,意図的に残したらしいところが,若干裏目に出た気がする。とはいえ,これはこれで十分に楽しめるものだったと,筆者自身は評価しているのだが。
 そうした経験を踏まえてか,今回はむしろEver17に近い手法へと回帰しており,そのぶんをスケールやトリックの更なる巧妙さで上積みしたのが,12RIVENだといえよう。
 その意味で,Ever 17とまったく異なる魅力を創出できているわけではないのだが,Ever 17ファンの期待を裏切らない出来ではあると思う。キャラクター性は控えめに(といっても“アニメ絵”を捨てるわけではないが),PC版製品としては珍しい純然たるミステリーアドベンチャーとして勝負する12RIVEN。今後のシリーズ展開も含めて,ぜひ注目しておきたい作品であることに間違いない。

 

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■■田村眞治(ライター)■■
「夢幻戦士ヴァリス」の時代から22年余,キャラクターゲームの歩みを見守り続けてきた(いや,別のことをしていなかったわけではない。念のため)ベテランライター。第3期連載に当たっては,もっぱらトラディショナルな形の作品を担当してもらうが,ぜひ最近の動向も押さえたうえで,持ち前の微妙な知識と組み合わせたオリジナリティの高い解説を展開してもらいたい。
  • 関連タイトル:

    12RIVEN -the Ψcliminal of integral-

  • 関連タイトル:

    インフィニティ Plus

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