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インディーズゲームの小部屋:Room#688「Wildermyth」
これまでは2年ごとに買い替えていたのに,今では同じスマホを使い続けて4年めになる筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第688回は,Worldwalker Gamesが開発した「Wildermyth」を紹介する。本作は,魔物の脅威にさらされた世界で冒険者となり,自分だけの物語を作り上げていくというRPGだ。ここまで来たら,いよいよダメになるまでとことん使い倒すぞ!
舞台となるのは“Yondering Lands”と呼ばれるファンタジー世界。ゲームには複数のストーリーが収録されており,その中で最初に選べる「Age of Ulstryx」では,村を襲ってきたモンスターを退治したことをきっかけに,3人の若者が冒険者グループを結成し,仲間を集めながら世界の脅威に立ち向かっていくことになる。
本作には特徴的なゲームシステムが数多くあり,その1つが主人公達を含むキャラクターやイベント,マップなどがプレイのたびに変化すること。それぞれのストーリーは複数のチャプターで構成され,チャプターごとに用意された目的を達成することで物語が進んでいく。ワールドマップは複数の小さなエリアに区切られており,プレイヤーが行き先を選んで冒険者を派遣し,モンスターとの戦闘やエリアの防衛などを行う仕組みだ。
エリア間の移動は距離や地形に応じて日数がかかり,長引くほど敵の勢力が増して強力になっていく。さらにキャラクターも年を取っていくので,なるべく短い期間で目的を果たしたいところだ。しかし,未知のエリアに進む際は事前の偵察が必須で,これにもある程度の日数を要する。ときにはグループを分けて複数の場所に派遣し,同時進行で探索を行うなどの工夫も必要となるだろう。
戦闘は「ファイアーエムブレム」シリーズなどでおなじみのタクティカルバトルで,マス目状の戦闘フィールドでキャラクターに指示を出して戦うというもの。ここでも本作ならではの要素があるが,基本的には敵を全滅させたり,指定されたポイントまで撤退したりといった目的を達成することで勝利となる。
面白いのが,キャラクターが戦闘不能になったときのイベントで,深手を負って退却するか,命と引き換えに敵に大ダメージを与えるかなど,異なる未来へとつながる複数の選択肢から選ぶことができる。
例えばキャラクターが怪我で左手を失うと,その後の冒険で盾を装備できなくなるなどのデメリットがあるが,死ぬよりはマシというもの。すべてのキャラクターは,たとえ戦闘で生き延びてもやがて年を取って引退し,その子供が新たな仲間に加わったりもする。さらに,そうしてさまざまな活躍をしたお気に入りのヒーローを殿堂入りさせ,別のプレイで再び呼び出せるのも本作ならではの面白い要素だ。
チャプターごとの目的を達成すると,モンスターから解放したエリアの数などに応じてしばらくの平和を享受でき,数年から10年程度の年月が経過する。この間に,解放済みのエリアから得られる資源を使ってより強力な装備品を生産し,ストーリーイベントを挟んで次のチャプターが開始される。ゲーム画面からは地味な印象を受けるが,自分だけのキャラクターや冒険を作り上げていく楽しみがたっぷり詰まった,遊びごたえのあるゲームに仕上がっている。
まだまだ紹介しきれない要素もあるが,とくにお仕着せのキャラクターでは物足りないテーブルトークRPGのファンなら,ハマること間違いなし。日本語化されていないのが残念だが,噛めば噛むほど味が出るスルメのようなゲームなので,興味を持った人はぜひ挑戦してみてほしい。そんな本作はSteamにて,2570円で発売中だ。
■「Wildermyth」公式サイト
https://wildermyth.com/- この記事のURL:
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