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LG,偏光方式を採用した23インチ3D立体視ディスプレイを発表。メガネや「立体視化ソフト」も付属して3万円で発売
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印刷2011/04/20 15:11

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LG,偏光方式を採用した23インチ3D立体視ディスプレイを発表。メガネや「立体視化ソフト」も付属して3万円で発売

 2011年4月20日,LG Electronicsの日本法人であるLGエレクトロニクス・ジャパン(以下,LGEJ)は,23インチワイドタイプで偏光(Flim-type Patterned Retarder,FPR)方式の3D立体視に対応する液晶ディスプレイ「D2342P-PN」を発表した。4月24日からの週に発売予定で,予想実売価格は2万9800円前後となっている。

D2342P-PN。「CINEMA 3D MONITOR」とも位置づけられている
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LGEJが強調する「3点セット」
画像集#003のサムネイル/LG,偏光方式を採用した23インチ3D立体視ディスプレイを発表。メガネや「立体視化ソフト」も付属して3万円で発売
付属の偏光メガネとアタッチメント。両方とも標準添付である
 D2342P-PNが持つ最大の特徴は,LGEJが「3点セット」と呼ぶパッケージ構成でありながら,予想実売価格が3万円程度に抑えられていることだろう。
 3点セットとは,

  1. ディスプレイ本体
  2. 対応メガネ
  3. 立体視表示を行うためのソフトウェア

のこと。フレームシーケンシャル方式と違って120Hz表示のディスプレイやアクティブシャッター式のメガネが不要であることと,グループ企業であるLG Chemicalが,液晶パネルの上に貼る偏光フィルムの歩留まりを向上させ,コストを低減させたことが,この低価格化を実現させたという。
 ちなみに偏光メガネは,ごく一般的な形状のものと,普段からメガネをかけている人に向けたクリップオンタイプのアタッチメントが両方とも標準で付属し,追加したい場合には1000円程度で購入できるようになるとのことだ。

画像集#005のサムネイル/LG,偏光方式を採用した23インチ3D立体視ディスプレイを発表。メガネや「立体視化ソフト」も付属して3万円で発売
 もう1つ,コンテンツという観点から重要なのは,D2342P-PNにおいて標準添付となる3D立体視用ソフトウェアが,DDD(Dynamic Digital Depth)製の「TriDef 3D」となることだ。TriDef 3Dを使うと,Windows Media Playerで再生できる形式の動画ファイルと,一般的な画像ファイル,そしてゲームアプリケーションといった平面視コンテンツの立体視表示が可能だ。「ソフトウェアベースなので,Blu-rayを除けばほぼなんでも立体視が可能。深度調整も行える」とLGEJはアピールしている。

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TriDef 3Dのメニュー。ここから起動すると,立体視表示を行えるようになるようだ
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発表会では,「VOCALOMARK(ββ)」を利用した立体視表示のデモが行われた

道山涼司氏(LGエレクトロニクス・ジャパン コンシューマーエレクトロニクス セールスグループ セールスマネージャー)
画像集#008のサムネイル/LG,偏光方式を採用した23インチ3D立体視ディスプレイを発表。メガネや「立体視化ソフト」も付属して3万円で発売
 気になるTriDef 3DのCPU負荷は,LGEJでディスプレイ製品のマーケティングを統括する道山涼司氏いわく「とくに計測はしていないが,動作の要求スペックが3年くらい前のPCなので,ごくわずかのはず」。TriDef 3DはDirectX 9〜11に対応しており,DirectXベースならほとんどのタイトルで問題なく立体視表示を行えると氏は述べていた。
 「ただ,いくつか『動作はするが不具合もある』タイトルは見つかっている」そうで,それらはDDDによるソフトウェアアップデートで対応することになるとのこと。すでにLGEJではレポートしているが,エンドユーザー側でも,LGEJのカスタマーサポートから「○●というタイトルで表示がおかしい」とレポートすれば,まとめてDDDへ伝えてくれるという。

入力インタフェース周り
画像集#009のサムネイル/LG,偏光方式を採用した23インチ3D立体視ディスプレイを発表。メガネや「立体視化ソフト」も付属して3万円で発売
 なお,入力インタフェースはDVI-D,HDMI(1.4a対応),D-Sub 15ピンの3系統。TriDef 3Dによる3D立体視表示はすべての入力に対応し,HDMI 1.4aでは,サイドバイサイド,トップアンドボトム,ラインバイライン(インタレース)の3種類に対応するとのこと。これにより,PlayStation 3での立体視ゲームプレイはもちろん,民生用のBlu-ray 3Dプレーヤー,あるいは「Optimus Pad L-06C」などといった立体映像の撮影が可能なデバイスと広く接続できる点も,コンテンツの数という点では重要なポイントになりそうだ。

さまざまな映像方式に対応できることと,HDMI 1.4a対応をそれぞれ謳うスライド
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PlayStation 3と接続して行われた,「WipEout HD」の立体視表示デモ
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Optimus Padのデュアルカメラで撮影した立体視ムービーも再生可能

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 気になるのは,偏光メガネ方式の場合,どうしてもフレームシーケンシャル方式と比べて解像度が落ちる点だが,これについて道山氏は「左右の映像は脳内で立体として認識されるため,片方の解像度が半分であっても,脳内ではきちんと元の解像度で結像する。なので問題ない」と述べていた。現実的に半分となってしまう以上,多少“眠い”映像になるのは理論的に避けられないが,現実問題として,それほど画質が劣化して見えるわけでもないから大丈夫,ということなのだろう。

 ちなみにLGEJは説明会で,フレームシーケンシャル方式よりも偏光メガネ方式のほうが輝度やちらつき,クロストークの面で有利とアピールしていたが,筆者が質問するまで,解像度の件にはほとんど触れていなかった。フレームシーケンシャル方式と比べて有利な点のある偏光メガネ方式だが,画面全体の分解能という観点だと不利になる可能性があることは,押さえておかねばならないと思われる。

発表会には,LG DisplayのIT promotion teamに属するMoonhyun Nam氏が来日。「偏光方式の立体視を楽しむには,“普通の”PCと対応ディスプレイ,5ドルくらいの対応メガネがあればいいだけなので,追加コストは251〜360ドル程度で済む。(GPUを選び,かつ液晶パネルや専用メガネのコストが高くつく)フレームシーケンシャル方式だと,これが500〜1049ドルになってしまう」として,偏光方式のメリットをアピールしていた
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画像集#017のサムネイル/LG,偏光方式を採用した23インチ3D立体視ディスプレイを発表。メガネや「立体視化ソフト」も付属して3万円で発売
 ただ,その点を差し引いても,「3万円でフルセットが手に入る立体視環境。しかもPC&PlayStation 3両対応」というのはインパクトがある。PlayStation 3での立体視に対応したディスプレイとしては,フレームシーケンシャル方式を採用したAcerの「HS244HQbmii」が先行しているが,汎用性,そして価格面ではD2342P-PNのほうが有利であり,「立体視には興味があるけど,やっぱり導入コストが高くて……」という人達の背中を押す製品には大いになってくれそうだ。面白い製品が登場したといえる。

D2342P-PNの製品情報ページ


●D2342P-PNの主なスペック
【液晶パネル】
  • サイズ(表示サイズ):23インチワイド
  • バックライト:LED
  • 液晶パネル:TN,ノングレア(非光沢),偏光フィルム付き
  • 解像度(ドットピッチ):1920×1080ドット(0.265mm)
  • 表示色:約1670万色
  • 視野角(平面視時):左右170°,上下178°
  • 視野角(立体視時):左右80°,上下12°
  • 輝度:250cd/m2
  • コントラスト比:500万対1(DFCオフ時1000対1)
  • 応答速度:5ms(GtG)

【入力系】
  • 水平周波数:30〜83kHz
  • 垂直周波数:56〜75Hz
  • 入力端子:DVI-D(HDCP対応),HDMI 1.4a,D-Sub 15ピン

【そのほか】
  • 消費電力:消費電力:39W(オフあるいは待機時1W以下)
  • 本体サイズ:546.4(W)×179.3(D)×407.3(H)mm
  • 重量:約3.5kg
  • チルト角度:上15°,下5°
  • 主な付属品:電源ケーブル,信号ケーブル,ユーティリティディスク,保証書,立体視用メガネ(標準タイプ,クリップオンタイプ),「TriDef 3D」インストールディスク
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