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Access Accepted第647回:2020年の夏はデジタルイベントが目白押し
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印刷2020/05/18 00:00

業界動向

Access Accepted第647回:2020年の夏はデジタルイベントが目白押し

画像集#001のサムネイル/Access Accepted第647回:2020年の夏はデジタルイベントが目白押し

 テレワーク経験が長く,ゲームイベントやメディアカンファレンス以外は自宅で黙々と原稿を書いている筆者だが,2か月以上も外出できない状況が続くと,イベントロスを感じるようになってきた。自分の足で取材し,歩き回って人に会い,新作や新ネタを探り当てる機会がなくなったことが原因で,ゲームイベントの喧噪が懐かしくてたまらない。とはいえ,イベントのデジタル化は時代の必然のようでもある。というわけで今週は,予定されているデジタルゲームイベントを紹介したい。


2020年をデジタルイベントで乗り切る欧米ゲーム業界


 「PlayStation 5」「Xbox Series X」の新たな情報公開が期待される中,新型コロナウイルスの感染拡大の影響で,ゲームイベントだけでなく仕事のやり方までもが変化しつつある2020年の欧米ゲーム業界。筆者は基本的に,過去20年ほどずっとテレワークを続けているので,とくに変化は感じられないのだが,春から夏にかけて頻繁に行われていた発表会や各種カンファレンスが今年はなく,PCの前に座りながらも,重要な情報を聞き逃したのではないかという疑心暗鬼に陥り始めている。本連載のテーマにも頭を悩ます毎日で,イベントに参加して人に話を聞き,新情報を手に入れることの重要さをゲームジャーナリストとして改めて認識しているところだ。

 6月のE3に続いて8月のgamescom,9月の東京ゲームショウCEDEC,そして10月のParis Game Weekと,世界の大規模ゲームイベントの大半がデジタルオンリーに移行し,次世代コンシューマ機の発売前に対応する新作タイトルを直に触れる機会はほとんどなくなってしまったようだ。8月のChinaJoy 2020は今のところ開催の姿勢を崩していないものの,日本や中国国外からの参加は難しいだろう。
 10月のPoznan Game Arenaや11月のBlizzCon 2020など判断を保留しているイベントもあるが,例年のように多くのファンで会場がごったがえすという形式で開催されることはないだろう。

画像集#004のサムネイル/Access Accepted第647回:2020年の夏はデジタルイベントが目白押し

 もっとも,大型イベントのデジタル化はこれまでにも着実に進んでいたことである。E3開催前に行われるほとんどすべてのプレスカンファレンスがストリーミング配信を行っており,その先駆的な存在であるNintendo of Americaは,過去6年にわたって「Nintendo Treehouse: Live @ E3」を配信している。要するに,こうしたデジタル化の流れは必然的なものであり,今回のコロナ禍がその動きを加速したという見方もできるかもしれない。
 また,ロケーションベースのイベントが中止になる中,それに取って代わるべく新たなデジタルイベントが次々に名乗りを上げており,なかなか面白い状況になりつつもある。

 というわけで,8月いっぱいまで予定されている夏のデジタルゲームイベントを以下にリストアップしてみよう。見落としもあるかもしれないが,何かの参考になれば幸いだ。


■Summer Game Fest
公式サイトhttps://www.summergamefest.com/
5月〜8月 (開催中)

 ゲーム業界屈指のMCとして知られるジェフ・キーリー(Geoff Keighley)氏が仕掛ける大型デジタルイベントで,Sony Interactive Entertainment,Microsoft,バンダイナムコエンターテインメント,Blizzard Entertainment,Bethesda Softworks,Electronic Arts,Warner Bros. Interactive Entertainmentなど,錚々たるメーカーが協賛として名を連ねている。週単位で,さまざまな発表が行われる予定だ。

■Gamebreak
公式サイトhttps://gamebreak.online/
5月18日〜20日

 IGDA Finlandが主催するカンファレンスを中心に,スカンジナビア地域の業界関係者が6つのトラックに分かれたデジタル講義を予定している。そのうちの3つは,無料公開されるとのこと。

■Guerrilla Collective
公式サイトhttps://www.guerrillacollective.com/
6月6〜8日

 E3などの大型イベントと共催されることが多いインディーズイベント「The Mix」を母体としており,今年は11-bit Studios,Funcom,Raw Fury,Larian Studios,Paradox Interactive,Rebellionなど,名だたるパブリッシャ/デベロッパが参加する予定だ

■INDIE Live Expo 2020
公式サイトhttps://indie.live-expo.games/
6月6日20:00〜23:00(日本時間)

 INDIE Live Expo実行委員会とリュウズオフィスの主催で,日本から発信されるデジタルゲームイベント。PlayismやUnityなどが協賛し,ZUN氏やSWERY氏(末弘秀孝氏)らが出演を予定している。

■Steam Game Festival Summer Edition
公式サイトhttps://store.steampowered.com/sale/gamefestival
6月9日〜14日

 ジェフ・キーリー氏が以前から発表していたデジタルイベントで,サマーセールのタイミングに合わせて,何らかの発表が行われるものと思われる。

■Night City Wire
公式サイトhttps://www.cyberpunk.net/us/en/
6月11日

 9月17日の発売がアナウンスされた,「サイバーパンク 2077」のお披露目イベント。

■EA Play Live 2020
公式サイトhttps://www.ea.com/eaplay
6月12日8:00 (日本時間)

 Electronic Artsが,E3に合わせて開催していた「EA Play」のデジタル版。Nintendo Switchを含む複数のマルチプラットフォーム作品の発表が予定されているという。

■INDIGO 2020
公式サイトhttps://www.dutchgamegarden.nl/indigo/
6月26日

 オランダのゲーム関連企業が構成するDutch Game Gardenが主催する,国内ゲームのショーケースイベント

■Ubisoft Forward
7月13日4:00 (日本時間)
 毎年のE3で行われる,Ubisoft Entertainmentのカンファレンスに似た形のデジタルイベントになる予定。同社はすでに,看板アクションシリーズの最新作,「Assassin’s Creed Valhalla」を発表している。

■GDC Summer
公式サイトhttps://gdconf.com/news/gdc-summer-going-fully-digital
8月4日〜6日

 3月に開催されるはずだったGame Developers Conference 2020の代替イベント。詳細については発表されていない

■Gamescom: Opening Night Live
8月24日19:00(日本時間)
 こちらは,ジェフ・キーリー氏と,gamescomを主催するKoelmesseとの提携で行われる予定だったイベントのデジタル版。カプコン,スクウェア・エニックス,Private Division,THQ Nordic,Xbox Game Studiosなど,現時点で16社が参加を表明している。


「オンラインのみ」の問題点も浮き彫りに


 以上のようにデジタルイベントは盛りだくさんだが,2020年後半の商戦に向けた慎重な舵取りを迫られるパブリッシャにとって,最も大きなメリットを得られるのが,プラットフォームホルダーのデジタルイベントに登場することだろう。任天堂,SIE,Microsoft,付け加えるならSteamのValveとEpic Gamesなら数十万人のアクセスが見込まれ,ゲームメーカーにとって大きなプッシュになる。

 また,Ubisoft EntertainmentやElectronic Artsなどの大手パブリッシャであれば,自社のデジタルイベントを開催することに問題はないだろうが,気になるのは,ファンやメディア,業界関係者が集まるアナログなゲームイベントを重要な情報発信の場としてきた,小さなパブリッシャや,個人レベルのゲーム開発者達が新作発表の機会を失うことだ。筆者は,Game Developers ConferenceやE3のような大規模イベントでも,時間の許す限りインディーズゲームのブースを歩き,気になる作品に触れたり開発者に話を聞いたりして,できるだけ記事を書いてきたつもりだ。同じ方針の同業者もいると思うが,イベントの中止やデジタル化で,そうした「偶然の出会い」がなくなってしまう。

 もちろん,インディーズ開発者達も手をこまねいているわけではなく,共同でオンラインイベントを開催したりしているものの,筆者の見る限り,視聴者数が数百人ということがあったりなど,リアルイベントの代替になっているとは言い難い雰囲気だ。オンラインの特性上,「いつでも見られる」と視聴者が考え,わざわざ配信時間に合わせる必要を感じていないのかもしれない。
 ともあれ,デジタル化されたゲームイベントは今のところテレビのような存在でしかなく,オンラインメディアのメリットを活かしきれていないように感じられる。ニッチなユーザーに確実にアピールするためにはどうするかなど,考えるべきことは多いのではないだろうか。

Summer Game Festで「Unreal Engine 5」が発表されたとき,キーリー氏がEpic Gamesのメンバーにインタビューしている場面。テレワーク時代の,こうした雰囲気の画面にもすっかり慣れてしまった
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 また,我々メディアにとっては,インタビューなどの個別取材やテストプレイができないうえに「一般視聴者と同じ配信を見て情報発信する」ことを求められるわけで,なかなか難しいことになっていきそうだ。

 ウイルスの脅威が沈静化すれば,再び旧来型のゲームイベントが開催されるのかもしれないが,少なくとも2020年内は難しそうだし,この機会にイベントが全面的にデジタルに移行するなどということも起きるかもしれない。今後のことは流動的だが,次世代機が登場するときの,あのお祭り騒ぎのような熱狂を今回肌で感じられないことは,筆者にとって非常に残念なことである。

東京ゲームショウ2020のデジタルへの移行も発表されている。次世代コンシューマ機が登場する年なのに,人々の熱狂を直接感じられないのは,仕方のないことではあるが寂しい(写真は2018年のTGS)
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著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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