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Access Accepted第378回:GDC 2013に見た,ゲーム開発現場の多様性
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印刷2013/04/01 16:13

業界動向

Access Accepted第378回:GDC 2013に見た,ゲーム開発現場の多様性


 「Metal Gear Solid V: The Phantom Pain」の発表や,PlayStation 4のセッションなどのビッグニュースでも賑わったGame Developers Conference 2013だが,参加した筆者の印象に強く残っているのが,活発なモバイルゲーム市場とインディーズ開発に関するトピックスだ。アメリカ,日本,ヨーロッパを中心に行われていたゲーム開発の現場が大きく増え,さらに従来の枠にとらわれない開発者が登場してきたりなど,GDC 2013を通して見たゲーム開発の「多様性」についてお伝えしたい。


モバイルとインディーズが目立ったGDC 2013


GDCの会場である「Moscone Convention Center」は,1970年代に活躍したイタリア系アメリカ人市長,ジョージ・モスコーニ氏にちなんで命名されている。“モスコーン”と発音すると,食べ物みたいでちょっと恥ずかしいので注意しよう
 2013年3月25日〜29日の5日間,世界最大のゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2013」(以下,GDC 2013)がカリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニセンターで開催された(関連記事)。「Computer Game Developers Conference」と呼ばれていた初期の頃と合わせると,今年で26回めとなる恒例のイベントであり,約1万人のゲーム開発者で構成される非営利団体IGDA(International Game Developers Association)と,最近はイギリスの総合メディア企業,UBMが運営を行っている。

 そんな長い歴史を持つGDCでは,さまざまなゲーム業界の変化を見てきたが,昨今の欧米ゲーム史上におけるモバイルゲームの興隆は顕著で,それはGDC 2013においても明らかだ。日本では,割と当たり前に思える「フリーミアム」(Freemium)などとも呼ばれる,無料でゲームアプリをリリースし,追加コンテンツやインゲームアイテムを販売する「Free-to-Play」スタイルが,欧米でもかなり目立つようになってきた。
 ゲーム開発のレクチャーとは切り離された「Free-to-Play」や「マネタイゼーション」専門のトラック(同じ部屋で一日中,同じテーマの講義を行うこと)がGDC 2013に用意されるなど,「モバイル市場でいかにしてお金を稼ぐのか」というビジネスレクチャーが,本来のテーマであるゲーム開発と同じくらいのウェイトを占めるようになったことが感じられる。

 Appleが2008年7月にApp Storeをスタートさせてから約5年になるが,現在,ゲームアプリだけでも10万タイトルがリリースされており,その中には完全無料のものも少なくない。ゲーム内広告の収入がメインだったり,新作タイトルに興味を持ってもらうため,旧作を無料にしてしまうケースもあるが,いずれにしろ,これだけ競争が激しいと新規で参入するのは難しい。多くのモバイルゲームの開発者達が求めていることを,GDCが専用トラックとして用意したという形だ。

 本連載の第375回「インディーズーズゲームを取り巻く最近の状況」で取り上げたが,今年はGDC史上初めて「インディーズゲーム開発者」が「ゲームメーカーの開発者」の参加人数を上回ったという。実際,今年筆者が知り合ったのは,ほぼ全員がモバイル向けにゲームを開発しているインディーズ開発者達だった。新しいトレンドや人脈,そしてインスピレーションを得るために,アメリカ各地や海外からGDCへやってきたのだ。


ゲーム業界に求められる「多様性」


「Wizardry」シリーズのデザイナーだったブレンダ・ロメロ氏は,「FPSの父」として知られるジョン・ロメロ氏と2012年末に再婚したばかりだ。現在は夫と二人三脚でLoot Dropというインディーズブランドを運営している
 インディーズ開発者達が大幅に増えたGDC 2013で1つの事件が起きた。GDCの2日めとなる3月26日夜のIGDA公式パーティにおいて,あまりにもセクシー過ぎる女性の衣装やダンサーの踊り方が,「女性軽視にあたる」として批判を受けたのだ。女性ゲーム開発者や女性ゲーマーを増やすことを目的に設立されたIGDAの関連の会合,「Women in Games」で理事を務めるブレンダ・ロメロ(Brenda Romero)氏が抗議のために辞職し,IGDAへの不参加を表明したことで,大きなニュースになったのだ。

 このパーティを主催したのは,インディーズゲーム開発のスタートアップを資金的,技術的に支援するYetiZenという企業。ゲーム会社が主催するパーティーにモデルやダンサーがいることは珍しくなく,翌日,同じ会場で行われた別のゲーム会社のプライベートイベントでも,ゴーゴーダンサーが踊っていたという。

 IGDAはゲーム産業をテレビや映画などと同じ「メインストリーム」にすることを目指しており,最近は「多様性」をモットーに掲げている。メーカーが主催するイベントとはいえ,一部の女性参加者が不愉快な思いを抱いたことは,IGDAおよびGDCにとってイメージダウンにつながりそうだ。E3などでも,最近はセクシーな衣装を着たコンパニオンは激減しているが,「若い男性向け」というイメージは,業界外部だけでなく,内部でも依然として強く,こうしたイメージを打破していくことがさらなる市場成長につながるだろう。

 ゲーム開発者の多様性について,筆者の印象に強く残っているのが,インディーズ開発者のコリン・ノースウェイ(Colin Northway)氏が,「Indie Soapbox」というレクチャーで行った,彼の生き方に関する短いトークだ。
 自らを「テクノ放浪者」(Techno Nomad)と呼ぶノースウェイ氏は,2009年にノートPC以外のものをすべて売り払い,妻のサラ・ノースウェイ(Sarah Northway)氏とともに,自分達の夢を中心にしたゲーム開発を行うことにしたという。その夢とは,世界中を旅することだ。今や,どんな国にもインターネットがある時代。彼らは自分達の好きな土地を旅しながら,安宿に長期滞在したり,友人の家に泊めてもらいつつインディーズゲームを開発し,その売り上げで旅行資金を得ているのだ。サラ・ノースウェイ氏名義で2011年にリリースされた,ゾンビアポカリプスを背景にした都市建設シム「Rebuild」は,筆者のお気に入りのゲームの1つだ。

ノースウェイ氏のレクチャーを聞きつつ,「ああ,俺もこんな自由な生き方がしてみたかった」と考えたゲーム開発者も少なくなかったはずだ。彼がスライドで紹介した楽しそうな旅行写真の数々は,忙しい日常に追われる筆者にも訴えるものがあった

 ノースウェイ氏のレクチャーは,そんな自分の夢を中心にした生き方を紹介するもので,成功を求めて疾走するゲーム開発者とは,かなり趣の異なるライフスタイルだ。もちろん,ノースウェイ氏のように,自宅もないまま生活に踏み出すのは相当な勇気と決断が必要であるはずで,そう簡単にできるものではない。

 筆者は今回のGDCで,スイスやトルコ,ペルーやガーナといった地域から参加した人々と出会い,モバイルゲームを中心に盛んに開発が行われている現状を目にした。少ない開発者でも安価に,世界を舞台にしたビジネスができるため,開発現場が広がっているのだ。ブレンダ・ロメロ氏の一件がニュースになったのは,それだけ女性開発者の発言力が増していることの現れと見ることもできるかもしれない。
 これまでのようなスタイルにとらわれないゲーム開発者が登場し,さまざまな国の開発者が増える。筆者にとっては,こうしたゲーム開発の多様性が顕著になってきた印象の強いGDC 2013だった。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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