オススメ機能
Twitter
お気に入り
記事履歴
ランキング
お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2010/09/27 11:43

業界動向

奥谷海人のAccess Accepted / 第277回:ダウンロード販売がついに“主流”に

奥谷海人のAccess Accepted

 2010年上半期の北米市場のPCゲームソフト売上本数において,Steamなどのダウンロード販売が,ついにパッケージソフトのそれを上回ったと市場調査会社によって発表された。つまり2010年は,30年以上続いてきたビジネスモデルが崩れるという,PCゲーム市場だけでなくゲーム市場全体にとってマイルストーンとなる年になりそうだ。その一方で,ダウンロード販売の実態は見えにくく,実際の販売本数を把握することさえ難しくなっている。さまざまなダウンロード販売サービスが割拠し,しのぎを削る北米PCゲーム市場をレポートしよう。

第277回:ダウンロード販売がついに“主流”に。2010年,PCゲーム市場は新たな時代へ

 

北米では,もはやショップでPCタイトルを買うのは時代遅れ?
image

全世界に6600店舗を持つといわれるメジャーなゲーム販売チェーン,「GameStop」。どの店舗へ行っても,PCゲームを展示する棚は非常に小さいが,コンシューマー機向けのタイトルにもオンラインで購入できるものが増えてきたためか,最近では中古ゲームの販売にビジネスをシフトしているようだ

 北米におけるPCゲームタイトルのダウンロード販売本数が,ついに店舗やオンラインショップを利用したパッケージソフトの販売本数を上回った。
 これは,アメリカのリサーチ会社であるNPDが,北米における2010年1月〜6月のPCゲームタイトルの販売状況を調査した結果によるもので,ダウンロード版の1120万本に対して,パッケージ版は820万本と大差がついている。
 NPDが,本格的にPCゲームのダウンロード販売について調査を行なったのは,今回が2度目。前回の2009年は,ダウンロード版の年間セールスが2100万本だったのに対して,パッケージ版のそれは2300万本と拮抗していたが,今年は(前半だけとはいえ)ダウンロード版とパッケージ版の立場が逆転している。

 4Gamerの読者で,しかもこの週刊連載を読んでいるコアなゲーマーにとって,このニュースはもはや“ニュース”ではないだろう。
 日米の状況はかなり違うとはいえ,「そういえば,最近はショップでPCゲームを買ってないな」と思い当たる人も多いかもしれない。筆者自身,本棚がPCゲームのパッケージで占拠されることが少なくなったと感じており,ざっと眺めてみると, 2009年11月に「Dragon Age: Origins」のパッケージ版をオンラインで注文したのが最後だった。
 Dragon Ageをパッケージで購入したのは,アメリカの小売チェーンGamestopが,エクスクルーシブなインゲームアイテムを予約特典にしていたからだが,その後の一年近くは,パッケージ版を購入していない。
 仕事柄,メーカーからレビュー用コピーが送られてきたりすることはあるものの,自分で買うのはダウンロード版ばかり。本棚にズラリと並んでいたPCゲームは,デジタル化されたゲームリストに置き換わってしまった。

 そんなダウンロード販売の「トップ5」とされているのは,Valveの「Steam」を先頭に,「Direct2Drive」「EA.com」「WorldofWarcraft.com」,そして「Blizzard.com」と続く。
 もちろん,WorldofWarcraft.comとBlizzard.comは,どちらも同じBlizzard Entertainmentの自社販売であり,おそらくWorldofWarcraft.comでは古めの拡張パック,Blizzard.comでは2010年7月にリリースされた「Starcraft II: Wings of Liberty」の予約や,そのプロモーションで行なわれていた旧シリーズの格安販売が売り上げの中心となっているはずだ。
 Steamが大きく抜きんでているのは間違いないだろうが,トップ5にWorldofWarcraft.comとBlizzard.comがランキングされる事実が,ある意味デジタル販売網のスケールの小ささを物語るように感じる。
 「Impulse」や「Metaboli」,そして「GOG.com」といった有名どころもあるはずなのだが,これらは本当にランキング外の規模なのだろうか。それとも,NPDの調査になんらかの不備があったのだろうか。

 事実,NPDは報告の中で「今回の集計は大規模なものだが,さらに改善できるだろう」としており,ダウンロード販売の市場規模を把握し切れていないことを,暗に認めていると考えられる。市場調査には各メーカーからのサポートが不可欠であり,正確な情報は,実際にダウンロード販売を行っている会社から資料を提供してもらうことでしか得られない。
 しかし,ダウンロード販売を行うのは私企業であり,そうした資料を“提出する義務”はない。長い年月にわたってゲームの市場調査してきたNPDでも,断られれば文句は言えないのである。
 さらに最近では,小規模なインディーズ系のゲームメーカーが自社サイトから直接ダウンロード販売を行なっており,例えばオンデマンド型のゲームや,ソーシャルゲームで派生するアイテム課金なども含めると,実態の把握はさらに難しくなる。

 

内情はよく分からないものの,ダウンロード販売市場は激化の一途
image

安価なソフトをDRMフリーで入手できるとあって,ベテランゲーマーに人気の高いGOG.comが,遂に新装開店。もっとも,現状では何がどう変わったのか,見た目にはまったく分からない。今後のスケールアップに期待したいところ

 パッケージ販売に比べて,ダウンロード販売がはるかにグローバルであることも状況を複雑にしている。
 例えば日本に住んでいる人がSteamでゲームを購入した場合,日本ではなく北米での売り上げに組み込まれる。同様に,北米在住のゲーマーがイギリスのMetaboliやスウェーデンのGamersGate,そしてチェコのGOG.comといった,ヨーロッパ系の販売サイトでゲームを購入した場合,NPDのデータに正確に反映されることはない。
 以上のことから,ダウンロード販売の市場規模は大きいものの,実態は非常に掴みにくいのだ。

 さて,そんなダウンロード販売各社の動きも,このところ急になってきた。すでに2500万アカウントを誇るSteamは例外としても,そのほかの小規模販売サイトにとって,競合とどのように差別化を図るかが大きな問題になっている。
 この点で最もユニークなのが,アクションRPG「The Witcher」で知られるCD Projektが立ち上げた「GOG.com」であろう。
 GOG.comについては,本連載の第226回「ゲーム業界に広がる,ロングテールに続く新たなトレンド」で触れているので,詳しくはそちらを参照してほしいが,簡単に言って,通常ならゲーマーの記憶の片隅に残るだけだった古いタイトルを最新のOSに対応させ,5〜10ドルというリーズナブルな価格帯で販売することをメインとした販売サイトだ。そのうえ,販売しているゲームソフトはすべて「DRMフリー」。つまり,一度お金を払ってダウンロードすれば,複数のPCに何度でもインストールできるのだ。

 このGOG.comが,最近「長らく社内でディベートを重ねてきた結果,GOG.comは現状のままではいけないという結論に達しました。GOG.comというアイデアそのものがなくなるわけではありませんが,今のサービスを閉鎖するとともに,新たな試みに挑むことになりました」というメッセージと共に,突然のようにサービスを終了したのだ。
 これを聞いて多くのユーザーが戸惑い,地味ながら一定の地位を築いたと思われていたGOG.comがシャットダウンしたのはどういう理由なのか,あるいはダウンロードし直したいゲームがあった場合,どうすればいいのかといった話題でネットは沸騰した。

 あまりにもユーザーの反響が大きかったためか,この騒動はすぐに収まることになる。実は上の発表はマーケティングキャンペーンの一環であり,GOG.comは数日後に復活。実際は,過去2年間続けられてきたβテストが終了し,サービスをリニューアルして新たに開始するというだけのことであり,閉鎖の情報は話題作りのものだったのだ。予想外の反響に,公式サイトでは,同社のプロジェクトリーダーが僧衣に身を包み,ユーザーに懺悔するビデオが公開されているが,いずれにせよ人騒がせな話である。

 さらに,GamersGateを運営するスウェーデンのParadox Entertainmentは,GamersGateにソーシャルネットワーキングサービスやアチーブメントなどの要素を加えた「Paradox Connect」という新たなサービスをドイツのGamescomで発表するといった動きも見られる。
 SteamやDirect2Driveでは恒例となりつつある,年末“大出血”セールスも始まる頃であり,切磋琢磨を繰り返すことでダウンロード販売市場は今後ますます活況を呈していくだろう。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。サンフランシスコ在住の4Gamer海外特派員。ゲームジャーナリストとして長いキャリアを持ち,多様な視点から欧米ゲーム業界をウォッチし続けている。2004年に開始された本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,4Gamerで最も長く続く連載だ。
  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
トピックス
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:01月17日〜01月18日